四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その32)

2022年04月27日 05時25分28秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その32)   短歌の投稿を歓迎します!!

  ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。  ☆☆☆
  ☆☆☆ 「口語短歌・水曜サロンの会」は2021年9月発足以来、半年を経過しました。
       皆様のご尽力とご協力に心から感謝申し上げます。         ☆☆☆
  ☆☆☆ 緊急連絡!! 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
       誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている
 皆様の詠まれた短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、
 自由に短歌を投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと
 思っています。皆様の短歌の投稿と、ご意見を歓迎します。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「なにわ茨の花」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】4月12日高遠城址公園に行って来ました。快晴の中桜も満開で見事でした。
    そして今回は桜守という言葉をしりました。植樹されて130年桜守の方々が英知を
    傾けて守った桜であると実感しました。
☆桜守 受け継ぐ誇り 名誉にも 営々として 千年咲かす
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)
【詞書】4月14日小諸城址懐古園に行って来ました。ここの見どころは何と言っても石垣と
    ソメイヨシノのマッチング、素晴らしかったです。
☆石垣と 見上げる空に 桜花 落した城に 往時を偲ぶ
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)
【詞書】4月16日部屋の模様替えをしました、所謂「夏バージョン」です。その時に
    5月節句の兜やお人形を出して飾りました。
☆金太郎 鯉のぼり乗って 颯爽と 孫の成長 秘かに祈る
                         浅間山明鏡止水(knsw0805)

【解説】
 「高遠城址公園」「小諸城址懐古園」と、信州の桜の名所に吟行し、しっかりと
 短歌に詠まれる作者のフットワークの良さと、作歌姿勢に感動しています。
 また、「節句の兜やお人形」を飾り、お孫さんの成長を祈る「じいじ」の姿にも
 ほのぼのとした温かさを感じます。
 二首目の「落した城に」の表現が少し気になりましたので、手直ししてみましたが、
 いかがでしょうか。
 ★櫓無き苔むす石垣見上げれば 桜咲き満つ往時偲ばん

【詞書】グーグル依頼によるユーチューブのアカバンリスクとベネフィットの比較を
    阻止する対策に驚きました。このような隠ぺいは身近でも起きていました。 
    長くブログをやっていて初めての体験を含め詠いました。
☆真実は削除の彼方 塵となり 詭弁の山が さらに惑わす
                         さわやか♪さん 

【解説】
 「ネットでの添削は、とてもいいこと」と、おっしゃって頂き、心強く思います。
 なお、「アカバン=垢BAN」は、e-スポーツやネットをかなり使いこなしている方には
 一般的な用語になっていますが、このサロンに集う皆さんには馴染みのない用語かも
 知れません。すこし解説しますとアカバンとは「アカウント停止」を意味します。
 つまりネットの運用者によって、運営規約に抵触した等の理由によりアカウントを
 停止されることを言います。

 ユーチューブ等に掲載されたワクチンのリスク情報が削除され、利便性との比較検討が
 出来なくなっている状況。この隠ぺい体質への警告を詠んだ短歌と思いますが、この
 短歌の表現のみで、これらの内容を読者の方に解って頂くのは少し無理があるかと
 思います。…との提案後、ネットを介して意見交換を行い、次の通り整えました。
【推敲結果】
 ★示されし 言の葉すでに 削除され 偽り語り詭弁を弄す




【詞書】あれ程豪華絢爛に咲いた八重桜も時期がくれば、そよ風にも散っていく。
    そんな風情を詠みたかったのですが~。
    クロか?八重桜か?主人公がいまいち解り憎いかな?と思いつつ。
☆クロの背に ヒラリ舞い散る 八重桜
         そよ風うけて 足どり軽く

                         クロママさん
【詞書】アオサギを見かけ写真を撮ろうと~、気ずかれて飛んで逃げられました。
☆大塩湖 水面(みなも)に遊ぶ アオサギや
            気配を感じ 高く飛び立つ

                         クロママさん

【解説】
 愛犬クロちゃんとの散歩とふれあいの日々が、丁寧に詠まれ和やかな雰囲気の
 漂う詠歌と思います。
 一首目、「クロか?八重桜か?主人公がいまいち解り憎いかな?」との
 コメントがありましたが、八重桜をメインに据えて少し整理してみましたが、
 いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★そよ風にひらり舞い散る八重桜
        クロの背包む 淡きくれない


☆球音の春待ちわびて新しき砂が積まれる野球場
                         『楕円と円』さん

【解説】
 訪れの遅い春を待ちわびる想いが、雪解けをまって「新しき砂が積まれる」の
 表現に、的確に詠み込まれています。
 なお、作者の、情景に対する観察眼の光る詠歌と思います。
 「北国にもようやく桜が辿り着いた」と、作者のブログに書かれていましたが、
 春はやがて北海道の大地に萌え、緑に染め上げていくものと思います。


☆たのしみは はつか大根の黑いたね 土を押し上げ 双葉になるとき
☆たのしみは 今日か明日かと豆の実の 長くなりしを今朝に見るとき
☆たのしみは 寝ぼけ眼で庭に出て くねる小さな豆を採るとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 蒔いた種の発芽と、双葉はそれ自体が「希望」の象徴でありますが、それが花をつけ
 実り、さらに収穫へと向かう経緯にも表現しがたい喜びがあります。
 そんな時の流れと経緯が三首の独樂吟に詠み込まれ、そこに喜びが静かに息づく詠歌です。
 短歌とは本来このような想いを詠むものと、改めて教えられました。



【詞書】惜別桜を
☆さくら花
   うつろうまでは
     しばしとて
  ともに眺めて
     ともにかたらむ

                         自閑(jikan314)さん
【短歌説明】自閑(jikan314)さん ご自身の説明です。
 blog新古今和歌集の部屋亭主自閑と号しております。
 新古今和歌集には多くの本歌取りと共に、漢詩を取った本文取りもいくつか
 撰歌されており、有名な歌として、
 白氏文集 嘉陵春夜詩不明不暗朧朧月    大江千里
 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき
 白氏文集 蘭省花時錦帳下廬山雨夜草庵中  藤原俊成
 むかし思ふ草のいほりのよるの雨涙な添へそ山ほととぎす
 が有ります。

 愚詠は、感春 張籍の
 明年各自、東西に去らば、此の地に花を看るは是れ別人。
 です。
 同じテーマで、俳句 この櫻明日見る人は別の人 も作っております。

【解説】
 『古今集』は正岡子規の『歌よみに与ふる書』で、痛烈な批判を浴びてから一時期
 肩身の狭い想いをした時期もありましたが、批判を恐れず申し上げますと『古今集』
 から『新古今集』への時代は「短歌の完成期」でもあったと思っています。
 本歌取りや、掛詞、折り句等々短歌の技巧が精緻を極めた時代とも思っています。
 作者の『新古今集』の造詣の深さにはいつも学ばせて頂いていますが、俳句も自在に
 こなし、それらの土台の上に紡がれる口語自由律の短歌の世界観には、短歌表現の
 宏大な可能性を感じています。

 さらに今回の「惜別桜」の一首の「ともにかたらむ」は、移ろう季節の象徴でも
 ある桜と、それを眺める人の世も移ろいゆくもの、せめて桜を共に眺めるひと時を
 心ゆくまで語ろうではないか・・・と、そのように理解させて頂きました。

【詞書】今月20日に見て参りました弘前の桜を詠ってみました。
☆狂ふから見に来る人のゐることを知らず狂ひて咲くさくら花
☆咲くは裂く木の枝先から裂けて咲く花を哀れと思ひつつ見る
☆身体(しんたい)を裂きて子を生む性(さが)を持つ女のごとく桜の花は

                         水仙さん

【解説】
 「弘前城の桜」は、見事に咲き満ち、背景をなす岩木山の頂には未だ雪が残り、
 雄大な山裾を見せていたことと思います。本州の桜前線最北端の弘前の桜の見事さは
 格別で、その美しさ故に「桜に狂う」人の存在も納得できます。
 桜は新古今集の時代から、私たちの先人の体に染みつき、深層意識に埋め込まれた
 記憶であり、DNAなのかも知れません。
 一首目の「狂ふから見に来る人」の詠歌から、そんな思いが浮かびます。


☆空に向き笑むかに咲くや花水木 地上に満ちる哀しみも抱き
                         ポエット・M

【解説】
 20世紀初頭、日米の友好を願って、日本から桜がアメリカに贈られましたが、
 その返礼としてアメリカから日本に贈られたのが花水木とのことです。
 この出来事から「返礼」という花言葉が出来たようです。
 一青窈の代表曲に「ハナミズキ」がありますが、大切なひとへの想いに溢れた歌詞
 でもあります。かの「9・11アメリカ同時多発テロ事件」によって、愛する人を亡くした
 人の思いを伝える意味もこめられているそうです。
 今、ロシアのウクライナの侵略により日々無辜の民が惨殺されていますが、それぞれの方に
 家族があり、大切な人がおり、歴史があります。それが根こそぎ抹殺される現実と、
 それらを止める何の手立てを講じることの出来ない私達の無力さに、心がふさぎ哀しみが
 襲います。そんな哀しみをも包んで空を向き、ほほ笑むように咲く花水木に勇気付けられる
 想いが致します。そんな思いを詠ってみました。

 

     「空に向って咲く 花水木」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (33)
 8.浅き夢みし (2)

  色は匂へど 散りぬるを 我が世誰そ 常ならむ 有為の奥山
                 今日越えて 浅き夢見し 酔ひもせず
                     『寺子屋の教科書「いろは覚え」』
  我れの名を
    かすかに呼びて
        逝く君の
     掌(て)よりこぼるる
        薔薇の十字架

     時が来て
       君の命を
         奪うのか
        小鳥のような
          君の命を

       傷ついた
         小鳥のように
           君は逝く
          十字架さえも
            掌(て)よりこぼして

     深き川
       我らの命
         越えゆかば
        まこと確かに
          カナンはありや
   
    さんさんと
      陽のふりそそぐ
        花野辺の
       浅き夢みし
         君が墓標よ




【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでのヒント、
 さらに質問、諸々の疑問点等にいて、触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せいただければ幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、反論、
 ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しいです。

【破調について】先週に引き続き掲載致します。
 破調とは短歌・俳句などの定型詩で、音数に多少が生じることを言い、字余り・字足らず
 などがあります。破調はあくまでも定型を遵守する上での例外的な措置と位置付けたいと
 思っています。
 なお、破調は、短歌会や結社によっては避けるよう指導されるところもありますが、
 一般的には広く許容されていると考えます。
 大切なことは調べ(リズム)が美しいか否かですが、名歌と呼ばれる歌歌に、極端な
 破調の歌は少ないと思っています。これは文語でも、口語でも同様と考えます。
 さらに破調でも字足らずの名歌というのは、知る限り少ないと考えています。

 例えば下記のように、字余りの名歌はかなりあり、有名な歌人でも正しく31音のみで
 詠う人は少ないと考えます。
 ・日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも     塚本邦雄(1句目)
 ・肺尖に ひとつ昼顔の 花燃ゆと告げんとしつつたわむ言葉は   岡井隆(2句目)
 ・瓶にさす藤の花ぶさ みじかければ たたみの上にとどかざりけり 正岡子規(3句目)

 しかし、字余りには以下のようないくつかの法則があります。
 ・第1句は6音7音ぐらいなら許容され、かなり多用される字余りです。
 ・第2句~第5句は1音の字余りは許容範囲です。
 ・第4句は意外と桁外れな字余りを許しますが、例歌は少ないです。
 ・いくつかの字余りが混在する例は少ないです。

 一方、字足らずの名歌は少ないのですが、以下二首を例示します。
 ・さねさし相模の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君はも  弟橘媛(1句目)
 ・あたらしき墓立つは家建つよりもはれやかにわがこころの夏至 塚本邦雄(5句目)
                      参照: 現代短歌辞典「角川書店」等

【投稿外コメント】自閑さんからのコメントです。歌友各位の参考として掲載します。
 破調について、新古今和歌集にも有名な歌が一首有りますので、ご紹介いたします。
  ☆阿耨多羅三藐三菩提の仏たちわがたつ杣に冥加あらせたまへ
 読み:あのくたら さんみゃくさんぼだいの ほとけたち わがたつそまに
    みょうがあらせたまえ

 伝教大師最澄の歌ですが、さすがに正岡子規も「九たび歌よみに与ふる書」の中で、
 「いとめでたき歌にて候。長句の用ゐ方など古今未曾有にて、これを詠みたる人も
  さすがなれど、此歌を勅撰集に加へたる勇気も称するに足るべくと存候。
  第二句十字の長句ながら成語なれば左迄口にたまらず、第五句九字にしたるは
  ことさらにもあらざるべけれど、此所はことさらにも九字位にする必要有之、
  若し七字句などを以て止めたらんには上の十字句に對して釣合取れ不申候。」
 と絶賛しております。和漢朗詠集などにも撰歌されて、我が立つ杣は、比叡山の
 異名ともなっており、天台座主の慈円も、おほけなく~の百人一首歌で
 本歌取りしております。



【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    注)投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
                       了
コメント (18)
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