四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「口語短歌・水曜サロンの会」(その51)

2022年09月07日 06時57分06秒 | 短歌
「口語短歌・水曜サロンの会」(その51)   短歌の投稿を歓迎します!!

 ☆☆☆ 明るく、楽しく、和やかな短歌の交流広場を目指したいと思います。  ☆☆☆
 ☆☆☆ 短歌の投稿と共に、投稿歌の歌評、感想、ご意見等もお寄せください。 ☆☆☆

 「口語短歌・水曜サロンの会」は、このブログにお立ちより頂いている皆様の詠まれた
 短歌を掲載し、その作品の鑑賞を行うサロンです。

 短歌の初心者の方から、ベテランの方まで、所属する短歌会等を越えて、自由に短歌を
 投稿し、鑑賞しあえる「賑わいのあるサロン」を目指したいと思っています。
 皆様の短歌の投稿と、歌評、ご意見等をお寄せ頂ければ幸いです。

【サロンの運営について】
 運営等につきましては、末尾に記させて頂きますので宜しくお願い致します。



     「酔芙蓉 一重」

「ブログ友の投稿短歌 交流コーナー」

【詞書】8月27日土曜日、「24時間テレビ~会いたい」の中で無言館の設立過程を
    映画(浅野忠信主演)でやっていました。テレビを見ながら3首詠みました。
☆画学生 生きた証は キャンバスに 戦地で散るも 想いを込めて
☆一筆(ひとふで)に 魂込めて 描く(えがく)のは 愛の叫びと 男女の絆
☆あと少し 絵画に向かい 出征を 惜しんで描(か)くは 生の叫びか

                         浅間山明鏡止水(knsw0805)さん

【解説】
 無言館の設立過程の描く映画が、感動的であった故でしょうか、今回の詠歌は、
 いずれも作者の感動と、想いが溢れ、引き締まった歌となっていると感じました。

 無言館の館主、窪島誠一郎氏が開館の日に詠んだ詩の一節に
  「遠い見知らぬ異国で死んだ画学生よ
   私はあなたを知らない
   知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ
   その絵に刻きざまれたかけがえのないあなたの生命の時間だけだ」
 と・・・、詠っていました。
 私たちも、その絵を見るたびに「絵に刻きざまれたかけがえのないあなたの生命」と、
 その想いを引き継いでいかねばとの想いにさせられます。特に、ウクライナ、台湾を
 めぐる緊迫とした情勢の中で…。一首目を少し添削してみましたが、いかがでしょうか。
【ご参考】
 ★画学生 生きた証は キャンバスに 戦地に散るも 想い残れる


【詞書】ご挨拶代わりに、私の住む町のシンボル像を詠んでみました。
☆空展くわが住む町の駅前に少女の像が 伸びやかに立つ  
                         紬さん
【詞書】先日、奈良へ行った時、鹿と遭遇。奈良の鹿はその昔、鹿島神社から
    神鹿に乗ってやってきたという伝説があり、神の使いとして手厚く
    保護されています。
☆鹿せんべい見せれば濡れた唇で品よく食べる優しその瞳も
                         紬さん
【詞書】賑やかに青春を謳歌していた蝉の声もいつの間にかツクツクボウシに
    代わっています。雨の早朝にお腹を見せてあちこちに骸となって・・・
    夏の入道雲は見たのか?と思わず話しかけました。
☆腹見せて短き命の落ち蝉や あっぱれなるかな見あぐ青空
                         紬さん

【解説】
 今回から「水曜サロン」へ参加いただいた、紬さんの詠歌です。皆さんも
 宜しくお願い致します。
 「伸びやかに立つ」「優しその瞳も」「見あぐ青空」と、それぞれの詠歌の五句を
 あげてみましたが、いずれも詠歌をしっかりと締め手堅い歌となっています。
 なお、一首目の詠歌、どこまでも澄み渡る夏空のもと、駅前に立つ少女像が夏の
 陽光を受け爽やかにすっくと立っている。それは町の「シンボル像」とのこと。
 その像を愛情をこめて「伸びやかに立つ」とすっきりと表現しきった作者に、歌の
 手練れを感じます。情景がすっきりと浮かぶ表現を、私たちも心掛けたいと思います。


【詞書】夏の終わりに
☆今年もコロナで終わった夏
   とりあえず珈琲飲んでからだなあ

                         自閑 (jikan314)さん
【短歌説明】自閑 (jikan314)さんご自身の説明です。
 この3年目に突入したコロナ禍の夏は、田舎の兄や東京の甥、友人など身近な者に
 感染が蔓延しました。1週間で100万人も感染していましたし。
 よく知人には、「アメリカ大統領、日本の首相閣僚でも感染するんだから、どんなに
 気を付けていても、いつ感染してもおかしく無い」と言っております。
 人生のカウントダウンが始まった小生にとっては、貴重な夏なのに、不要不急な
 (そもそも自分はそればかり)外出を控え、店の片隅で黙食しつつ飲んでおりました。
 自分自身では、どうにもならない事は、深く考えず、アイスコーヒーから普通の
 コーヒーを飲みながら、好きな曲を聞き、秋の夜長を過ごそうと。その時聴いて
 いたのが、東儀秀樹さんの篳篥と賈鵬芳さんの二胡の共演 「夏の終わりに」です。
 下記URLにYouTubeを貼付しておりますので、皆様もこの夏を振り返っては如何ですか。
 https://blog.goo.ne.jp/jikan314/e/76d616a0c8e548e4f8c13e7e8091f24b

【投稿外コメント】自閑 (jikan314)さんご自身のコメントです。
 何気にテレビチャンネルを回して?いると、NHK教育で、いきなり小町が出て来ました。
  思ひつつぬればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを(古今集 小野小町)
 究極の短歌・俳句100選ベストセレクションの恋と言う番組の再放送で、選者が短歌
 50首、俳句50首を選ぶと言う嗜好。
 選者の一人、栗木京子さんは、新古今和歌集をよく読んでらっしゃるらしく、
 式子内親王の百人一首と、
  ながめつつ思ふも寂し ひさかたの月の都の明け方の空(新古今和歌集 藤原家隆)
 を選ばれておりました。家隆は、定家ほど有名ではありませんが、後鳥羽院歌壇の
 双璧で、定家ほど性格が悪く無いです。
  花をのみ待つらむ人に山里の雪間の草の春をみせばや(六百番歌合)
 この歌は、茶人千利休が座右の銘にしていたそうです。貴方の知らない新しい美を
 見せようと言う意味ですね。
  下紅葉かつ散る山の夕時雨 濡れてやひとり鹿の鳴くらむ(新古今 秋歌下)
 巻頭歌(一番最初に掲載される歌)の栄誉を受けたもので、俳句の季語
 「紅葉かつ散る」の元になった歌です。
  志賀の浦や遠ざかりゆく波間より氷りて出づるありあけの月
 私は幽玄の歌だと思っています。
  露時雨もる山かげのした紅葉濡るとも折らむ秋のかたみに(秋歌下)
 私の好きな歌で、歌のイメージが、晩秋の映像となって、入って来る気がします。
  契りあれば難波の里に宿りきて波の入り日を拝みつるかな
 最後は、大阪市天王寺区に夕陽ヶ丘と言う地名、四天王寺前夕陽ヶ丘駅と言う駅が
 有りますが、由来はこの歌によります。


【解説】
 東儀秀樹さんの篳篥と、賈鵬芳さんの二胡の共演 「夏の終わりに」のYouTubeを
 視聴させて頂きました。
 二胡奏者である賈鵬芳さんと東儀秀樹さんの篳篥のハーモニーが素晴らしい👏
 歴史をたどれば発祥が同じと思わせる美しい和音になっていますね。
 詠歌の下の句「とりあえず珈琲飲んでからだなあ」は、行動をリセットする際の
 私達庶民の生活の知恵でもありますね。
 なお、新古今集を中心とした和歌の紹介を、今回も行って頂きありがとうございます。
 私はもとより、「水曜サロン」に集う皆さんの学びになると考えます。


     「未だ咲く 向日葵」

☆一目惚ればかりでありし若き日の我が恋おもひ出すときのあり
☆ひと目見て一生(ひとよ)思ひを持ち続けわが初恋に果てはあらざる
☆触れることひとたびもなく人を恋ふ恋をしながら古希も過ぎにき

                         suisenさん

【解説】
 未だ瑞々しい感性を湛えた三首の詠歌は「若き日」の思い出が、未だ鮮明ゆえと
 思います。特に、二首目は
   観覧車回れよ回れ想ひ出は君には一日我には一生
 と詠った栗木京子氏の歌を彷彿とさせます。
 栗木氏は令和初の歌会始の儀で召人に選ばれた方でもありますが、彼女はこの歌を
 20代の前半に詠んだと言われています。
 これからも,このように感性溢れるお歌を詠み続け、出詠されることを期待したいと
 思います。

☆たのしみは 通りの木々に声をかけ 朝リハビリ室に向かうとき
☆たのしみは 小包開けてふるさとの 里芋大根手にするとき
☆たのしみは 芽が出て伸びて瓜食べて 蔓を手繰って実入りみるとき

                         shima-千恵子さん

【解説】
 作者の独樂吟を鑑賞して、いつも思うのですが、何気ない日常の一齣に眼差しを向け、
 その中に楽しみを見出し感性の豊かな詩を紡ぐ。そこに絵手紙制作で鍛えられた作者の
 確かな観察眼とともに、心根の優しさを感じます。
 特に、三首目の「瓜」の双葉から実のりに至る「瓜の生涯」を一首の中に詠み込んだ
 手並みは流石と思います。


☆これもまた「三年ぶり」と言いたるや 久々仰ぐスターマインを
                         ポエット・M

【解説】
 新型コロナ感染症の蔓延の中で、二年半にわたり夏の風物詩と言われた花火大会や、
 夏祭り等々が軒並み中止を余儀なくされてきました。そんな中で規模を縮小しながら
 いくつかの花火大会や、夏祭りが今年は実行されました。そんな花火大会の場で
 夜空を染めて耀くスターマインの等に久々の感動を味わいましたが、そのプログラムの
 説明書きに必ず「三年ぶり」の注釈が付きました。そんな場面を詠んでみました。


    「咲き初める コスモス」

「五行詩」「痛みの変奏曲」鑑賞 (52)
 13.悪夢のアウシュヴィッツ(3)


   ああ! 我れは深き淵より
           (『詩篇』)

   再びは
     この世に光る
       当てもなき
     星を仰ぐや
        クリスマスイブ

      十字架を
        打つ釘音に
          うなさるる
        病める心の
          雨の夜の夢

       カナリアの
         首を締めたる
           恋人に
          銃弾一発
            悪夢の終わり

     「殺せ」と言う
         雲間の声に
            逆らいて
          ホタルを闇に
            放ちたる夢

    一匹の
      蝿の羽音に
        破らるる
       毒気激しき
         我が超人夢



     「風に揺れる秋桜 淡紅」

   
【短歌入門・質問・提案コーナー】
 この「水曜サロン」に集う皆様の直近のコメント等に記された、短歌を作るうえでの
 ヒント、質問、諸々の疑問点、さらにご意見等について触れていきたいと思います。
 皆様からのご提案、歌評、さらに素朴な疑問も含めて、コメント欄にお寄せ頂ければ
 幸いです。
 なお、私の「質問への回答」は、あくまでも一つの「解」でありますので、他の回答、
 反論、ご意見等もありましたら、このコーナーで大いに議論して参りましょう。
 それが学びに繋がれば嬉しい限りです。

【サロン参加者からの和泉式部の歌の紹介】前週に引き続き掲載致します。
 自閑 (jikan314)さんからの詠歌の紹介ですが、学びとして掲載します。

 和泉式部について、御関心が有ると言う事で、今週は和泉式部を数首紹介します。
 恋多き歌人として有名ですが、当時一番有名な歌は、
 ★冥きより 冥き道にぞ 入りぬべき 遥かに照らせ 山の端の月(拾遺集)
   姫路の書写山の性空上人に送った歌です。娘小式部内侍と死に別れて、
   心が暗く塞ぎ込んでいた時期かと。
 ★置くと見し露もありけりはかなくて 消えにし人を何に例へむ(新古今 哀傷)
   小式部内侍が死んで、上東門院が小式部内侍の衣をお経を表紙にすると
   言うので、差し上げる時。
 ★ねざめする身を吹きとほす風の音を 昔は袖のよそに聞きけむ(新古今 哀傷)
   恋人の為尊親王、敦道親王が相次いで亡くなり、ふと真夜中に寝覚め、恋人が
   いない現実を思う歌です。
 ★たらちねのいさめし物をつれづれと 眺むるをだに問ふ人もなし(新古今 雑歌下)
   たらちねは、親を導く枕詞ですが、この時代名詞化しております。うたた寝や
   物思いは良くないと親から注意されていたのに、今は物思いしても誰も心配も
   してくれない。
   和泉式部には、赤染衛門、紫式部、清少納言など多くの女流歌人と交流が有り、
   夫の橘道貞と疎遠となり、敦道親王と交際しているとの噂に、赤染衛門が、
    うつろはでしばし信太の森を見よかへりもぞする葛のうら風
      かへし 和泉式部
    秋風はすごく吹けども葛の葉のうらみがほには見えじとぞ思ふ
                           (新古今 雑歌下)
   安倍晴明の母、葛の葉伝説の大阪の和泉市の信太森葛葉稲荷神社には、歌碑が
   有ります。その他、多数撰集に撰ばれているのは、彼女の才能が非凡ならざる
   所以かと思います。
【suisenさんの関連コメント】
 自閑さん、和泉式部の歌をご紹介くださいましてありがとうございます。
 私は常々和泉式部の歌にも生き様にも憧れておりまして、今回、好きな歌をご紹介して
 いただき、改めて味わわせていただくことができました。が、歌が巧く、恋多き歌人で
 あった和泉式部も、娘の小式部内侍を失うという悲哀を味わったのですね。
 小式部内侍も母親の和泉式部に負けない才能豊かな歌人であったらしいですが、
 早死したのは惜しかったですね。小泉式部が時の中納言、藤原定頼に「お母さんに
 代作してもらう手紙はまだ着かないだろうね」と誂われた時、
   大江山いく野の道の遠ければまだふみもみず天の橋立
 と、やり返した歌は有名ですね。私も、こんな歌が即座に詠めるような歌人に
 なりたいです。小式部内侍も、母親に負けない恋多き女性だったらしいから、
 血は争えないということだったのでしょうね。
【チョウキチさんの関連コメント】
 赤染衛門
  うつろはでしばし信太の森を見よかへりもぞする葛のうら風
 和泉式部よりやや大人の女性の感じがしますね。
【チョウキチさんへの返答】ポエット・M
 おっしゃるように、赤染衛門は気の良い、面倒見の良い女性だったようですね。
 その意味では、まさに「大人の女性」であったと思っています。
 恋多き歌人であった和泉式部に、
  「心がわりしないでしばらく和泉の信太(しのだ)の森を見ていなさい
   葛の葉が風にひるがえるように、あの人が帰ってくるかもしれないのだから」
 と、詠い諭していますので・・・。
 この場合「和泉の信太の森」は和泉守に任じられていた夫の橘道貞を指して
 いますね。歌と共に、その背景も読み解くと歌の面白さが増しますね。


     「オクラの花」

【運営にあたって】 注)文頭から移しました。
 (1) 投稿期間は毎週水曜日から翌週火曜日17:00までと致します。
    なお、変更がある場合は、その都度ご連絡致します。
 (2) おひとり様 3首まで(1首でも可)コメント欄に投稿願います。
 (3) 口語短歌を基本としますが、文語混じりでも構いません。
   仮名遣いは新仮名遣いとし、旧仮名遣いは極力避けて頂ければ幸いです。
 (4) 投稿頂いた短歌は、そのまま掲載します。皆様から感想等頂ければ幸いです。
 (5) 作者名は投稿頂いたペンネーム等を、そのまま掲載します。
 (6) 掲載順序は、原則本ブログのコメント欄への到着順と致します。
 (7) 掲載された短歌の著作権は、投稿者に帰属します。
 (8) 最近心無い「スパムメール」等がコメント欄に届いています。
    誠に心苦しいのですが、今後コメントは「許可制」にさせて頂きます。
 (9) 投稿に当たっては、ご自身のブログのアドレス(url)も記入願います。
    ニックネームのみでIDのない方、あるいは匿名の投稿は内容により掲載
    できない場合もありますのでご了承願います。
                     了
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