四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

酔芙蓉に寄せて

2022年09月17日 14時03分55秒 | 短歌
 最近「水曜サロン」に参加いただいた紬さんが、今回のサロンへ「酔芙蓉」の短歌を
三首出詠頂きました。いずれの歌も調べと表現が秀逸と思いました。
紬さんは、高橋治の「風の盆恋歌」を想い出して詠まれたとの詞書に在りましたが、
私もかつてこの小説の世界にあこがれ、出張帰りに足を延ばし八尾を訪ねたことが
ありました。

     「酔芙蓉 八重  咲き始め」

     「酔芙蓉 一重  咲き始め」
 「越中おわらの祭」はすでに終わり、町は静寂の中に眠っていました。ぼんぼりに
灯がともり、胡弓の音が流れた風の盆の夜の熱狂は、そこにはありませんでした。
しかし、酔芙蓉が花弁を紅に染めながら未だ咲いている姿に、かつての祭りの面影と
夏の名残を感じました。

     「酔芙蓉 八重  昼間」

     「酔芙蓉 一重  閉じた花も」
 そんな思いを込めて、酔芙蓉に寄せて詠ってみました。かつてこのブログに載せた
詠歌とラップするものもありますが、小さな物語の構成部分として見て頂けたら
幸いです。

     「酔芙蓉 八重  紅に染まる」

     「酔芙蓉八重 の咲く道」

 ☆酔芙蓉 朝の光に生まるるや白き花弁も 耀き初める
 ☆酔芙蓉 陽の傾きを察してか 花びら染めて音無く閉じる
 ☆落日の思いも汲むか酔芙蓉 ひと日の花の極み飾るは
 ☆夕あかね映し紅さす酔芙蓉 ひと日の花の哀しみも秘め
 ☆そのいのち ひと日に仕舞う酔芙蓉 晩夏の夕べ密やかに散る
 ☆それぞれの想いに染まる酔芙蓉 季に惑いし悔いも秘めるや
 ☆秋雨に濡れつつ開く酔芙蓉 逝く夏惜しむ哀しさもまた

                     了
コメント (7)
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