四季の彩り

季節の移ろい。その四季折々の彩りを、
写真とエッセーでつづって参ります。
お立ち寄り頂ければ嬉しいです。

「秋の歌」に

2023年11月25日 15時49分42秒 | ボランティア

 「秋の日の ヴィオロンの ためいきの
    身にしみて ひたぶるに うら悲かなし」
は皆さんご存知のように、上田敏訳のヴェルレーヌ「落葉」の一節ですが、
この詩の情景がしみじみと思い浮かぶような秋の日が続きます。
ポール・ヴェルレーヌの原詩の題は「秋の歌 Chanson d'automne」ですが、
「落葉」の方が私達には馴染深いですね。

     「秋薔薇 マチルダ」

また、この詩の一節が第二次世界大戦の暗号に使用されたことでも有名です。
1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦の際、イギリス・特殊作戦執行部が
フランス各地のレジスタンスに、工作命令を出すための暗号放送として、
「秋の歌」の冒頭が使われ、英国放送協会(BBC)のフランス語放送で
流されたとのことです。戦時下とは言え「粋」を感じます。

     「皇帝ダリア」

炎暑の夏から、一気に冬の季節の訪れを感じさせる日もありますが、短い
ながら秋の風情を感じられるひと時を、大切に味わいたいとも思っています。
散歩で訪ねる遊歩道や、公園の片すみに咲く秋の花をデジイチで撮って
みましたので、その一部を載せてみます。ささやかな晩秋の息吹を感じて
頂ければ幸いです。

     「色づき始めた モミジ」

ウクライナ、さらにガザの現状を見ると厳しい現実と惨状ばかりが目につきます。
眼を凝らしつつも、ガザにおける、ひと時の「戦闘休止」が、本格的な停戦と
なります
ことを祈りたいと思います。

上田敏訳の ヴェルレーヌ「落葉」の詩を載せてみたいと思います。

 秋の日の ヴィオロンの ためいきの
  身にしみて ひたぶるに うら悲かなし。

 鐘のおとに 胸ふたぎ 色かへて
  涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや。

 げにわれは うらぶれて こゝかしこ
  さだめなく とび散らふ おちばかな。
               了

     「咲き初める ボケの花」

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする