シュルイのブログ「エコ魂」

スケールの大きい小心者のこの私。地球の未来を憂いて早四半世紀。地域活性と持続可能な社会を目指す日々を綴ります。

Tシャツ外交

2022年08月12日 | 平和
8月になると戦争関連の番組が増える。
戦争はよくない、核兵器はよくない、とみんなが言っているけれど
ウクライナや、その他の地域で起きている紛争を止めるような停戦協議などの具体的な動きがなくて虚しい。

共通の敵を認識できると、国同士でも個人でも、容易に団結する。
核兵器の話になると、ウクライナ侵攻後にその使用をチラつかせていたロシアが取り上げられるのは当然ではある。
しかし、その他にも核兵器を持っている国はあるではないか。
あちらが持つならウチも持つ、という核抑止力論で、無くなりそうもないのだが
使用せずともその脅威におびえるならば、保有している全ての国が世界平和を乱しているといえないだろうか?

ロシアと同じくらい保有しているアメリカは本当に世界平和を望んでいるのかと言えば
それはきっとアメリカが世界一強い国だと誇示しうる状況で、という条件付きのような気がする。

そして唯一の被爆国でありながら核拡散防止条約に参加しない日本。
今、日本政府がやっている事と言えば、ただ平和を願うとか祈るとかのみであり、
核兵器を減らそう、無くそうと能動的に世界に働きかけることでは無い。
情けなさ過ぎる。
ドイツなど、核保有国でもオブザーバーとして参加している国があるというのに。

実際、条約に「参加します!」と言ったらアメリカは圧力をかけてくるのだろうか?
「じゃあ何かあっても守ってやらないよ」というのなら、それは具体的にどういうことになるのかなぁ。
例えば、日本国内の米軍基地が減るの?いや・・減らないよなぁ。
今なら、もし他国から攻撃されたら本当に米軍が守ってくれるの?
一応そういう事になってはいるけど・・・。
現在のウクライナを見ているかぎり、やっつけてくれるわけではないし。
ウクライナはNATOではないけれど、こうなった背景にはNATOの拡大が要因のひとつなのに。

少し前に「ワイド!スクランブル」というTV番組で杉村太蔵がアメリカにも責任があると言ったら
よく解説で出てくる駒木さんっていう専門家が「(アメリカではなく)プーチンの責任だ!」と
ビックリするくらいめちゃくちゃ怒ってたなー。
いや、太蔵もそんな事はわかってるよ。
誰がどう考えたってプーチンが悪いに決まってるよ。
だけど、それだけで終る話じゃないじゃん。
ロシアの肩を持つとか、アメリカに責任を押しつけるとかじゃないんだけどなー。
太蔵の持論が正しいかどうか私にはわからないけど、現実問題、ウクライナの被害が続いているワケで。
そういう状況下で、ただただプーチンが悪いと言ってウクライナに武器供与をし続けることが、正しいのかどうか?

停戦請負人と呼ばれる伊勢崎賢治のツイッターを時々見ている。
ゼレンスキー大統領が、本来ならば命を守るべき国民を戦わせているのを批難していた。
ウクライナがんばれ、負けるな、と大合唱している地上波のTVには出ない、とも書いていた。
日本は停戦のために他国と協力すべきである。停戦と降伏は違う、とか。
この戦争がアメリカとロシアの代理戦争だときっぱり言っている。
そして、代理戦争というのは当事者がそうとは思っていない・・みたいな事も。
停戦のためには悪魔と握手をしなければならない、とも。
一応書きますけど、もちろん伊勢崎さんだってロシアが全面的に悪いという前提で、
その上で戦い続けるより、まずは一刻も早く停戦をすべきだと言っているのだ。

侵攻が始まって間もなく見たTVで、伊勢崎賢治ではないけれど、
国同士の交渉?停戦なんかにも関わるのかな?国連かな・・
うろ覚えだけど、そういう交渉人みたいな人が出演しているのを見た。
その人も「悪魔と握手」的な事を言っていたなぁ。
自分の思う方に交渉を進めるには頭を下げる事くらい何でもない、みたいな事を。

国同士の場合、それをジャマするのは世論とかプライドとか次の選挙とか色々あるんだろうけど
その多くは政治家の都合のような気がしてしまう。
戦争を始めるのも続けるのも、国民のためではなく、政治家が政権を維持するための方が大きくないっすか!?
プライドって持つべきだけど、場合によっては捨てるべきだよなー。
すごく難しいけど。

世界平和ってどういうコトだろう。
一つ一つの国の、政治とか経済とかエネルギーとか歴史観とか様々な事情はみんな違う。
だからそもそも全く不平等で、そう考えると世界が平和になるってとてつもなく難しいのでは・・・。

だからこそ少なくとも個人のレベルでは平和でいたい。

身近にロシア人がいたら仲良くしたいなーと思っていたところ、出会いましたよ、三島市内の某アイリッシュパブで!
某って言っても、アイリッシュパブは多分一軒だけど。
外国人のお客さんが、ロシア出身だというではないか!!
私は迷わず着ていたTシャツを見せて話しかけましたよ。


これは「軽野造船所」という面白い屋号で、歴史講座などをしている人が作っているTシャツです。
伊豆とその周辺の歴史をデザインしたもののひとつで、「Friendship on HEDA」というタイトル。
1854年に下田に来ていたロシアの船、ディアナ号が津波で壊れ、戸田で修理をすることになりました。
途中で船は沈んでしまいますが、地元の人々により乗組員は助けられます。
更にディアナ号に代わる船を、ロシアの技術者に教わりながら日本の船大工が作り、
無事にロシアに帰る事ができました。
外国人なんて見たことがない時代に、小さな漁村である戸田の人々が
ロシア人を助けたりもてなしたり、その後も交流を続けていたなんてステキだなー。
お店に来ていたロシア人も、ヘダ号の事は知っていて戸田に行ったこともあるそうな。

今の戦争の事をどう感じているのかなと気になりながらも、初対面でそういう質問もしづらいなぁと思っていたら
戦争には反対のようでホッとしたりして。
どこの国の出身かは関係無く、日本にいる人とは仲良くしたいな。
日本って良い国だな、平和で良いな、と思ってもらいたい。
かつて戸田の人々とロシアの船乗りが仲良くなったように。
経済やエネルギーや共通の敵で国同士は関係性を深めるのかもしれないけれど、
個人と個人を繋ぐのは人の気持ちだよなー。
きずな、思いやり、尊敬・・そんな言葉も素晴らしいけど
気軽に親しくしてみる・・そんなコトで良いんじゃないかなー。

あ、ちなみに私は日本語しか話せないし、実は社交的でもありません。
そんな私でも、ロシアの人と話すキッカケを作ってくれた軽野造船所のTシャツに感謝でございます。

庶民大学三島教室

2022年06月15日 | 平和
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって100日以上。
ニュースでも取り上げられる時間が減ってきて、ワイドショーでは全く扱わない日も増えてきた。

それについて、池上彰の番組で芸人のカズレーザーが言っていた。
何故なんだろうと思っていたら、視聴者が暗く憂鬱な気分になってしまうかららしい、と。
大事なニュースだけれど、制作者側としては色々考慮せざるを得ないのだろう。

確かに人によっては精神的に辛くなるのかもしれない。

報道の中で、ウクライナで新ロシア派住民がロシア軍を喜んで受け入れている場面や、
そういった趣旨のプロパガンダ映像を見ると、腹立たしいと同時に思う事がある。

彼らの多くは民主主義、というものをそもそも知らないのではないか?と。
もちろん、反戦や反プーチンの思想をもっているのに、声をあげられない人もたくさんいるのだろうけど。
しかし、プーチン政権に都合の良い情報や教育、日常生活にあふれる「愛国者であれ」という抑圧の中で
自国が民主主義であるかどうかをどれほどの人が考えているのか?
どのような状態が民主主義かを理解しているのか?
そして民主主義であることを求めているか?

それというのも、かつての日本が軍国主義であり、終戦と同時に価値観がひっくり返って・・という話をよく聞くからである。

8年前のNHKの番組で興味深い内容があり、録画したものを抜粋して保存してあったので紹介します。

政治学者で東大の教授だった丸山眞男という人が、市民に民主主義を教えたのだそう。
市民主催の文化講座「庶民大学」が敗戦直後の昭和20年12月に、なんとここ三島市で始まった。
当時、講義を受けた二人がインタビューに答えている。
「(講義の内容は)平和の問題、民主主義の問題。民主主義なんて言葉もよくわからなかった。
新しい世の中がどんなになるかという期待があり、それを聞きたくて来た」と。
もう一人は
「陸軍士官学校出身で天皇第一主義だったから、新しい考え方に反発した。
勉強しながら変わっていった」
それまで正しいと信じてきたことが間違いだったと認めるのは、
自分自身が否定されるような気分になるのだろう。

丸山が当時を語ったカセットテープではこんな風に語っている。
「質問はもっぱら民主主義とは何かということに集中した。全然わからない時代ですからね」
はー、そもそも何のことやら?なのね。
「むしろ非常に疑問ですね。民主主義に対する。民主主義になったらこうなるんじゃないかという」
聞いてすぐ受け入れたワケじゃなく、怪しんだりもしていた感じかな。
「その時の真剣な表情ね、質問ね、それはもう、ちょっと想像を絶しますね。
つまり今までの価値体系が一挙に崩れ、まったくの精神的空虚なんです。
飢餓の中の上の中の民主主義の原点」

普通に学校で何かを学ぶのとは全く違う。
自分自身の人生も、それをとりまく社会や政治について、それまでとは別の考え方を持つことが希望になる。
戦争はいけない、平和に暮らすたいと強く願って、そこで初めて民主主義という事を考えたり受け入れたりできるのではないか。

更には、敗戦で占領されて押しつけられたからではなく、
明治からデモクラシーの思想があったのだという事を強調したかったのだという。
なるほど、そういう部分は大事かもしれない。
日本という国を全否定するワケではない、というか。

翻ってロシアは、プーチン政権を支持せざるを得ない大前提があるなかで、平和な暮らしが保てている国民に
「ロシアがやってる事は全く正当性のない非道なことだ、間違っている」と外国から言われたところで
聞く耳を持たないのは無理もないことだ。
一個人の価値観なり、国家体制なり、食料やエネルギー事情などのいずれかが
一度崩れて空虚になる事が必要なのかもしれない。

ソ連が崩壊した時がそのチャンスだったのだろうけど。
国や生活を良くするためにどうしたら良いかということを、
ロシアの中でどれほど真剣に取り組んだのか?
・・なんて、偉そうに言えるほどソ連やロシアや国際政治の事を知らないけどさ。
もしかしたら日本が平和でいられるのは、勉強が好きな国民性も大きく影響してるのかなぁ。
民主主義とはなんぞや、平和とはなんぞや、とマジメに考えた、という・・・。
もちろん、色々な条件が相まって現在があるのだけど。
ま、日本人がマジメで勤勉というのは間違いないよね。

誰かの考える「民主主義」が絶対的に正しくてロシアも受け入れるべきというのは間違いなのかもしれないが。
しかし少なくとも、人を傷つけたり殺したり土地を奪ったりしちゃいけないよ。
そんな簡単な事も、今のロシア人には理解できてない人が多くいるというのが驚きなのです。
昔の映像で、ドイツ国民がヒトラーを熱狂的に支持しているのを見るとプーチンに重ね合わせてしまう。
近い将来、ロシア人も自分たちがあんな風に殺人鬼を支持していたのか、と後悔や驚きを持つ日が来るのだろうか。

普通の人々である私たちは何をすべきか?

2022年04月07日 | 平和
ここ数年、日々報道されているニュースを見てその背景や裏側に何があるのかを知りたいと強く思うようになった。
様々な分野に精通している人の話や、別の視点での考え方などを知るのはとてもためになる。

ETV特集「ウクライナ侵攻が変える世界 私たちは何を目撃しているのか 海外の知性に聞く」
という番組を見た。
頭の良い人の話を聞くのは、ものごとの理解を深める事ができるし疑問に思っていたコトがわかったり
私たちは何をすべきかという提言をくれたりもするので、希望が見える気がして好きだ。

番組タイトルである「知性」の一人、アメリカの政治学者イアン・ブレマーは
「このような危機の時代、あなたに発信する場があるなら声をあげる義務がある。
もっと多くの人がこのことを理解する必要がある」と言っていた。

「世界で起きていることを理解し、自分ごととして関わり、声をあげるべき。
私には関係無い ここでは起きない 私にはどうでもいいことだと
あまりにも長い間 もう何十年も市民の多くが受け身だった。
その結果 国際的なのけ者 悪党 殺し屋が人類を破滅させる余地を増やしたのだ」と。
そして「普通の市民にも責任がある」とも。

確かにウクライナに関しては毎日毎日ニュースをみているが、
クリミア侵攻やチェチェン紛争の事は聞いたことあるな、くらいだった。
もちろん、私個人が詳しく知っていようがいまいが何も変りはしない。
しかしまるでそれと同じように、国際社会がこれを無視、あるいは傍観していた結果がウクライナの惨状であるというのは
平均的な個人の認識度と、国際社会の捉え方が比例している気がして、「普通の市民にも責任がある」に説得力を感じる。

スベトラーナ・アレクシエービッチはノーベル賞作家で、
第二次世界大戦やアフガン戦争の兵士の証言の本を書いている。
国家に翻弄された普通の兵士は加害者でもあり、被害者でもある。
そういう人々の声を集めている。

ソ連出身で、ベラルーシに移住し現在は病気療養のためにドイツに住んでいる。
祖母の家はウクライナにあり、度々訪れていたという。
番組の最後に流れた彼女の言葉。
「人間社会は3つのゾーンに分かれています。
アクティブに行動する人、反対する人、そして一番多いのが、どっちつかずのいわゆる『グレーゾーン』の人。
こういう時は物陰に隠れてやり過ごそう、自分の生活の質さえ変わらなければ良いという人たち。
私たちはこの人達と対話する術を学び取らなければならない。
グレーゾーンが広がるなら私たちが目指す未来は訪れません。」

対話かぁ。
意見の違う人との対話というのは思いの外難しい。
面倒くさいし、出来れば避けたい。
ただ「対話する」ではなく、「対話する術を学び取らなければならない」というところに、その難しさが表れている。
でもそこから逃げていたら、目指す世界は来ないんだな。

TVの報道を見ていると、ロシアではプーチンの支持率が高まっているらしい。
が、表立って批判をする事が非常に難しく、世論調査が公平であるかは疑わしい。
きっとグレーゾーンが多いのだろう。
実際にロシア人の匿名のインタビューで
「ウクライナの人には気の毒だが、自分たちには何も出来ないし、しょうがない」と言っているのを見た。
このインタビューは二人で受けていて、もう一人が
「今までプーチン政権に声をあげなかった自分たちにも少なからず責任がある」と言ったのに対して
「うーん、そうなのかなぁ・・・」と、あまり深く考えたくない様子。
いずれにせよ、二人とも反戦運動をするほどの行動を起こすわけではなく、グレーゾーンと言えるだろう。

長年ロシアに住んでいる日本人が言うことには
通常耳に入る情報は、ロシアは良い国でありプーチンは素晴らしい人物だという内容ばかりで
頭の中で中立を保つのに苦労したという。

ロシアでの中立も大事であるのと同様に、いわゆる西側諸国の視点も中立でなければと思う。
こうなるまでに、何が過ちだったのか。
フランスの経済学者のジャック・アタリはソ連崩壊後にロシアへの援助をしてこなかった事は良くなかったし
今、世界からロシアなるもの全てを悪者にし、排除するのは間違いであると言っている。
彼が言うにはこの戦争は「冷戦の最期の出来事」なのだそうだ。
冷戦が終結した時、人類は平和な世界を実現するために本気で変わる事ができるのだろうか?
ロシアが、ではなく人類が、である。

この番組の出演者ではないが、伊勢崎賢治がどう考えているのかが気になって時々ツイッターを見ている。
メディアで「紛争解決請負人」と紹介されている、実際に世界の紛争地で武装解除などをしてきた人物だ。

4月5日の彼のツイート。
阻止する方法はただ一つ。悪魔との【対話】です。”降伏”ではありません。【停戦】のためにも。

やはり対話なのだな。
ロシアが見ているのはアメリカなのだから、アメリカが停戦交渉をすべきという意見もよく聞かれる。
武器供与ではない、停戦のための働きかけにもっと力を注ぐべきだ。
冷戦の断末魔、ポスト冷戦、色々な表現をされるけれど、やはりこれはロシアとアメリカの戦争といえるらしい。
アメリカが言う「自由」や「民主主義」は守るべきだと思うけれど「正義」となると・・・。
正義という言葉は戦争も起こすし、継続させる。
実際に、プーチン支持者は「正義のために戦っている」と思っているし。
都合の良い言葉だな。

ただの一般市民である私はどうすべきだろう。
まずは、日々のニュースを見ることに慣れてしまわないようにしたい。
関心を持ち続け、歴史的な背景や、各国の政治的や経済的な関係も知る努力をする。
経済制裁で物価が上がったり、エネルギーを節約しなければならないなども受け入れる覚悟も必要だ。
あとは募金などの支援をするとか。
町内でウクライナ支援の小さなイベントがあると知り
自分が実行委員をやっている「この祭り、乱れ咲き」でもブースを出しませんかと申し出た。
ウクライナ出身の方の絵やアクセサリーの販売をする予定です。
乱れ咲きについては、また後日詳細をお知らせします。
是非足をお運びください!

伊丹万作「戦争責任者の問題」

2022年03月19日 | 平和
毎日ニュースや報道番組を長時間見ている。
ウクライナで起っている戦争について、何か少しでも良い兆候がないかと見ずにはいられないのだ。

ウクライナの被害を見るのは心が痛い。
同時にロシア国民の多くが、プーチンの言うことを信じ
この戦争が正義のためだと疑わないという事実はとてつもなく気分を暗くさせる。
ロシアでは家庭内でも、例えばインターネットなどで真実を知る若い世代と、
国営TVなど政府の言う事を鵜呑みにする親の世代で喧嘩になっているそうである。

プーチン政権支持者が真実を知る時、どう思うのだろう。
熱狂的なプーチン支持者は、何を聞いても「それこそがフェイクニュースだ」と耳を貸さないかもしれない。
しかし、多くの人が騙されたと怒ったり、騙されていた自分を恥じたり悲しんだりするのではないだろうか。

かつて日本でも、国民は第二次世界大戦の時は大本営からの情報しか得られなかった。
アジア解放のための正義の戦争であるとか、戦況が常に優勢であるとか。
敗戦後、それらの情報がウソで塗り固められていたと初めて知ることになる。
しかし戦時中でも、事態が悪化していることを察していた人や反戦を訴える人がいた。

「スーダラ節」でおなじみの植木等のお父さんはそういう人で、
幾度となく捕まって拷問を受けたり投獄されたりしていたそうだ。
植木等著「夢を食いつづけた男 おやじ徹誠一代記」という本に詳しく書かれている。
拷問のくだりなど、死ぬじゃん!!!と思う壮絶さである。
体制に異を唱えるというのは命がけなんだなぁ・・・。

戦後を象徴する文章としてその一節が取り上げられる
伊丹万作の「戦争責任者の問題」という作品がある。
インターネットの図書館「青空文庫」で読めます。
短い作品なので、是非見てみて下さいな。

以下はその抜粋。

「多くの人が今度の戦争でだまされていたという。

いくらだますものがいても だれ一人だまされるものがなかったとしたら
今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。

だまされたものの罪は ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく
あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い
家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた
国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。」

政治に対して、私たち一般の人間がもっと関心や責任を持たなくてはいけないと改めて思う。

先日(3月18日)のニュースで、モスクワでクリミア併合8周年を祝す集会の様子を見た。
「ウクライナの人々を大量虐殺から救うために戦っている」と言うプーチンの顔が映るだけでもムカムカするが、
何万人かの聴衆が拍手や歓声で応えているのを見ると、更に怒りと憤りを悲しみを感じる。

ロシアの人々、いや世界中の人々に「戦争責任者の問題」を読んでもらいたい。
ロシアでは少なくとも、反戦デモをする勇気ある人々がいるのだから
全く情報がなくてだまされているワケではない。

世界は残念ながら分裂しているし、人々の考え方はそれぞれだ。
そういう意味では「世界はひとつ」になってはいない。
だが、物理的に世界はこのひとつしかない。
だから、無関係は人はいない。
全員が当事者なのだと思う。
世界平和について、真剣に考える時がきた。

妄想未来ばなし・・の続きが書けない

2022年03月03日 | 平和
3話まで書いた「妄想未来ばなし」。
ロシアがウクライナに軍事侵攻し、
文中に出てきた核というキーワードをプーチンが使ったりして
さすがに不謹慎な感じが否めないよなぁとかモヤモヤして
積極的に書こうと思う気持ちがすっかり萎えてしまった。

妄想未来ばなしは、将来、こんな風なら平和になれるかもね、というファンタジーを書くつもりだった。
誰もが平和に暮らしたいけれど、世界の複雑な情勢を知れば知るほどそれがいかに難しいかを思い知らされる。
だけど、今人々が問題だと思っている事柄の多くは
少し前ならばそれが普通だと思われていた事だったりして、
問題意識を持てている事自体が、世界が平和になるプロセスの第一歩であると感じられて
未来は捨てたもんじゃない、と思えるのだ。
そう思いたいし。

30年ほど前、ベルリンの壁が壊されソ連が崩壊した。
夜中にテレビでルーマニアの独裁者、チャウシェスク大統領が処刑された、なんていうニュース速報が流れた。
バブルははじけたとは言え、一般的には景気は悪くなかった。
雑誌「CREA」が創刊したのはこの頃で、社会情勢に関する特集なんかもあったりして
それを読んでバルト三国を覚えて「こーゆーコトにも関心を持たねば」なんて思っていたものだった。

世界は時間を経る毎に変化の速度を増している。
インターネットや軍事など、様々なテクノロジーが日々発達する。
それに伴うグローバル化で、資源、食料で多くの国が依存し合う。
良い国が悪い国を倒してめでたしめでたし、なんていう勧善懲悪はあり得ないんだよなぁ。

戦争をしたり、自然環境を壊したり、核兵器を持ったり、人類は破滅に向かいたいのかと思ってしまう。
地球の歴史を考えたら、人類の誕生などごく最近のほんの一瞬の出来事に過ぎないなんてよく言われる。
人類は認知機能を持ったその時から破滅へと向かっており、それは残念ながら必然で
今もその歩みは止まらないということなのかもしれない。

何千年か何万年かしたら・・。
昔いたホモサピエンスという動物は、さも地球を思い通りに操れると思い込んでいたが、アッという間に自滅した・・。
人類の歴史など、そんなものになるかもしれない。

とかなんとかシニカルなコトを書いているのさえ、
侵略行為などどこか他人ごとと呑気に構えているようだが、そんなんじゃイカンな。

戦争反対。
ロシア軍は今すぐウクライナから撤退しろ。
例えキエフが陥落しても、不利益の方が遙かに上回るだろう。

そして、自国の政治にも関心を払わねば。
安倍元総理の米軍の核を共有する案について、私は断固反対する。

頭のおかしい独裁者の暴挙は止まらないのだろうか

2022年02月25日 | 平和
ロシアがウクライナに侵攻してとんでもない事態になっている。
クソプーチンは核をチラつかせている。
ロシアの駐日大使はウクライナがナチス化するのを止めるためなどと
無理矢理すぎる理由でこの侵攻を正当化している。

クソプーチン、習近平、金正恩など頭のおかしい人間の独裁政権ができてしまうと
その暴走はそうそう止められない。
ゴルゴ13に依頼できないものだろうか、とよく思う。

こんな状況にならないようにするには、こんなリーダーを生まない事だ。

あんまり、というか全然世界の政治に詳しいわけでもないのでとんちんかんな内容かもしれないけど
少なくとも関心を持たなければいけないと思うので稚拙ながらも、こんな文章を書いていますので悪しからず。

北朝鮮は世襲なので事情が違うけれど、独裁者でも最初は選挙で選ばれて政治家になり
さらにそこで実績をあげて組織の中や国民の間で支持を広げて
最後には一国のリーダーになる。
その時から、あるいは有る程度経ってからは異を唱えるものを許さない独裁者となる。
だから、こういう危険人物がのし上がろうとしている時に、
国民が「あれ、コイツおかしいぞ」と見抜く目を持つ必要がある。

一国の理想のリーダーはどういう人物なのだろう。

私達は何か問題が起ると、その行方をどこかで「勝ち負け」として捉えがちだ。
だから、「もっと強く出なければ」と考えたり「強いリーダー」「強い国」を頼もしく感じる。

今、ウクライナの問題でバイデンよりもトランプの方が良かったのではなどと言う人もいるが
それこそが危険なのではないか。
それとも、彼だったらもっと上手く交渉をしてこの危機を回避できたのだろうか?

トランプの交渉術がどれほどのものかはわからないが、彼の示す強さは力で相手をねじ伏せるものであり
同盟国とうまく協力するのは難しい、というのはTVでよく聞くコメントなので
果たして上手く対処できたかは疑わしい。

リーダーに求める「強さ」は、自分や自分を支持する人だけを守るものなのか。
そうではない人々や問題にも目を向けて解決する方が難しいので
政治家としてはこちらの資質の方が必要だと思うのだけど。
とはいえ、誰でも自分がかわいいので自分にとって、時に短絡的であっても得な人を支持してしまう。

人って一度「こっちが正しいよね」と思うと、そこに乗っかるのが一番ラクになる。
自分でその都度考えたり、やっぱアレは間違ってたな、と思うのがイヤだったりして
思考停止状態になったりして。
思考停止になった人々が多ければ独裁者は国を操るのが容易になる。
一般の国民は自国の政治が悪い方向へ行っていないか、常に監視しなければならない。
警察が国民の安全より政治家を守るために働いていないか、監視しなければならない。

ロシア国内では軍事侵攻に反対するデモに参加する人を警察が次々に拘束している。
独裁者と言えども、たった一人で政治をしているワケではない。
ロシア国内でこの暴挙を止める動きが大きくなることを願う。

独裁者を支持する人々がどうか目を冷まして平和になりますように。

妄想未来ばなし~「強い国」って?の巻~

2022年02月16日 | 平和
爆発は、その配備地内で次々と起った。
が、何発爆発したのかはわからない。
そもそも、どこに何発の核弾頭が配備されているかも公表されていないのだ。

2発目、いや最初の爆発が1発だったかどうかも不明である。
「2回目」と言われる爆発は
最初の爆発による熱や振動、施設内の火災などに誘発されて起きたのではないかという見解だった。

しかし、最初の爆発が何故起きたのか。

まず疑われたのは他国からの攻撃だ。
コロナ以降、世界の勢力争いは激しさを増す一方だった。
エネルギー、食料、日常の様々なモノに関わるサプライチェーンはほとんど何かしらの形で大なり小なり他国に依存している。
利権や土地を巡る争いは増え、不当に働かされる人々と、逆に富を得る人々の格差は一向に縮まらない。
貧しく、苦しい生活を強いられている国の多くは、
甘い言葉とその場限りの援助、あるいは武力によって専制的な国家に支配されていった。

そうでない、民主主義の国でもその様な脅威に対抗すべく、軍備は増強され、敵基地攻撃能力を有していた。
他国にナメられないように、強い国となるのだ。
いつしか、世界の首相や総理大臣など国のトップはそういうメッセージを言わざるを得ない空気になっていった。

いつ、どこで、どこから攻撃されるかもしれないという疑念はどこの国も同じだった。

しかし、爆発の当時に他国がミサイルを発射したという情報はなかった。
爆心地周辺のレーダーにも映っていない。
明らかなのは「外からの攻撃ではない」ということのみだった。

つづく

妄想未来ばなし~核の脅威の巻~

2022年02月11日 | 平和
スマホの画面に現れたニュースの見出しは
「アメリカで核兵器が爆発」だった。
アメリカが本土に配備していた核弾頭が爆発したというのだ。

TVやインターネットで流れるニュース、SNSで見る画像は
爆風で吹き飛ばされたのか、かなり広い範囲が全く何も無い荒野だった。
その他は火災が起きていたり、洪水の後のように樹木や瓦礫が溜まっていたり、
大きな建造物の中に使われていたであろう長い鉄筋がぐにゃりと曲がって倒れていたりした。
死者は最初10万人単位で報じられていたが、やがて100万人を越えていった。

アメリカ本土から逃げようとする人々が空港に押し寄せたが、
諸外国はすぐさまアメリカからの入国を全面拒否。

アメリカはもとより、世界中がパニックとなった。

つづく



妄想未来ばなし第一話~OKくっくる、どうすれば平和になるの?の巻~

2022年02月06日 | 平和
前回の記事に書いた「妄想未来ばなし」。
妄想、とはコトバンクによると以下の通り。
①とらわれの心によって、真実でないものを真実であると、誤って意識すること。また、そのような迷った考え。邪念。
② ありえないことを、みだりに想像すること。みだらな考えにふけること。また、そのような想像。ぼうそう。
③ 特に根拠がないのに不合理なことを事実と確信し、誤りを立証しても承知しない状態。いろいろな精神病の症状として現われる。
なので、正しくない(先の事なので正しいも何もないのだが)内容であっても、フィクションですから悪しからず。

ここから本文。

202X年、新型コロナウィルスはほぼ収束したと言っていい、とWHOが発表した。
実際には感染者がゼロではないもののウィルスは弱毒化し、重篤化したり死亡する事は無くなったためである。
世界は感染症による恐怖からは解放されたが、コロナ前からある気候変動などの危機は悪化し、
コロナ禍で勢力を増した専制主義の国が世界の治安を脅かしていた。

日本では、的基地攻撃能力を行使することを認める法案が可決された。
国民の声は様々である。
「いざという時は、と思うと安心です」
「反撃されたら戦争になる」
「核兵器を持たないかわりに抑止力として、攻撃能力を備えていると世界に知らせることが重要なんだ」
「基地だけをピンポイントで攻撃するなんて、そもそも可能なのか」

世の中は、明確にひとつの正解が見つからない問題が多すぎる。
しかし人々はすぐに答えを求めたがる。
そして、スマホに向かって呼び掛けるのだ。
今人気の音声アシスタントは「くっくる」。
リベラルとか左派とかZ世代が好んで使っている。
平和の象徴である鳩の鳴き声を連想させる名前にしたのだそうだ。

鳩ならばあちらこちらに沢山いるが、それを見ても平和だなぁと思うワケでもないし、
平和の象徴とされるのはいつも真っ白な鳩だ。
ドバトと呼ばれるキジバトは街中やベランダでの糞害もあり、どちらかというと嫌われている。

鳩に対してでさえ、白い方が良いイメージを持っているというのは
日本人が差別をしないといいながら、白人、つまりは欧米人以外の外国人に対して
差別意識を持ち、しばしばヘイトスピーチや人権侵害につながる行為をする人が存在する現実を連想してしまった。

「ふう」とため息をついてスマホを取り出し、
「OKくっくる、どうすれば世界が平和になるの?」と聞いてみた。

くっくるが答えるより早く、急に別のアプリが立ち上がった。
ニュース速報だ。

「核兵器」という文字が目に飛び込んだ。

つづく

妄想未来ばなし 予告

2022年02月04日 | 平和
数年前に聴いた講演で、歴史は70年くらいの周期で繰り返すと言っていた。
曖昧な記憶ではあるが。

今、世界では
「国家のすべての権力が特定の個人や少数者の手に集中され、その意思のままに自由に政治が行なわれるような体制」
とされる専制主義の国が民主主義の国の数を上回っているという。
北朝鮮の相次ぐミサイル発射。
危機迫るウクライナ情勢。
ミャンマー、香港、アフガニスタン。
民主主義の国だとて、ますます軍備を強固にしなければという声が大きくなっている。

第2次世界大戦が終って77年。
ニュースを見るとまた大きな戦争が始まるのではないかと不安に駆られる。

一人の人間の心の中でさえ、様々な考えが混在してひとつの答えを出せないものだ。
国や共同体が一枚岩でないのも当たり前だし
歴史の中で、世界中が平和であった事など一度も無いのは不思議でも何でもないのだ。

昔話のように、勧善懲悪で最後は「めでたしめでたし」とはいかない。
が、平和な世界なんてこの先もあり得ない、と言い切ると心の中がどよ~~~~んとするので
「昔ばなし」ならぬ、「未来ばなし」を妄想する事にした。

次回、妄想未来ばなし「OKくっくる、どうすれば平和になるの?」の巻

お楽しみに!!