画像はアメリカ軍からの放出品。
こちらに説明があるような、ただの袋と見せかけて
実はアメリカ軍の最終兵器なのではないか?と私は見ている。
今でこそほとんど匂わなくなったが、恐ろしく臭いシロモノだったのです。
これが届いたあの日・・大陸からの寒波が日本を襲い、ひときわ寒い日でした。
普段は季節を問わずドアを開け放して営業しているが
こりゃ~耐えられん!!とい思い、ドアを締めてぬくぬくと過ごしておりました。
そこに来た運送屋さん。
お~届いた届いた、と荷をほどき、商品をひとつひとつ出してゆく。
それは「へ~実物はこんななんだ~。カタログで見るより良いじゃん♪」
などと雑貨屋稼業の楽しいひととき。
軍モノは中古や新品でもデッドストック品(長い間倉庫に眠っていた未使用品)なので、
そのコンディションはまちまちである。
そのへんはギャンブル。
あまりヒドイのは交換してもらうけど。
さて、カタログで「独特の匂いがあります」と注意書きのあった商品、
アメリカ軍用パックライナー。
これは安いものなので仕入れの単位が10枚。
10枚がまとめてビニール袋に入っている。
それを開ける。
ふむ。確かに独特の匂いがしてきた。
欠品がないか数を確かめ、コンディションが悪すぎたり
どこか破損してる個所がないか、商品として不具合がないか
1枚1枚広げて検品作業。
畳んでひとかたまりになっているのをバラして、1枚1枚広げる
ということは匂いの発生する表面積が何十倍にもなる。
匂いはどんどん強くなっていく。
以前、別の商品で同じ匂いのするモノがあって、
それはバックヤード(店の奥の小さな部屋)に2日くらい吊しておいたら
匂わなくなったので、同じようにしておいた。
バックヤードのドアは、行ったり来たりするのでいちいち完全には締めず
普段は少し隙間を残して開けている。
しかし。
パックライナーの匂いは売場にまで広がってくる。
まずいまずい。ドアを締めた。
お香を焚いて匂いをごまかす。
しばらくするとお客さんがやってきた。
よく来てくれる顔なじみの人だったので聞いてみる。
「匂いがするのわかる?」
「うん、何の匂いかわからないけど・・・何?」
「コレなんだけど」
と、パックライナーを差し出す。
「うわっ臭い。何だろ、ナニ臭っていうんだろ」
「うんこ臭!うんこ臭だよ!!」
「うんこ~?うんこかなぁ」
・・・こんなコト書いて良いのかね、私は。
まぁ今の時代は情報開示が重要ですから。
商品についての情報は全てお伝えせねばならんのです。
とにかく私は「そうかなぁ?」との疑問をはねのけ、
断固として「うんこうんこ」と連呼。(韻を踏んだ)
そのお客さんが帰ったあと、めちゃくちゃ寒かったが
これ以上店内に匂いをこもらせるワケにはイカン、と
店の入り口のドアを開けて営業を続けた。
匂いが消えるまでの我慢だ。
そう思い、3日ほど寒さに堪え忍ぶ、おしんの様な私。
しかしいつまで経っても匂いは弱まらない。
バックヤードから漏れ出るうんこ。
じゃない、うんこ臭。
私自身はリアルうんこではない、うんこ臭であると
わかっているから良いのだが
お客さんにとってはリアルうんこ=店長のうんこ
と考えるであろう。
うんこ店長。
いや、100歩譲ってお腹の具合が悪く、
たまたまうんこを漏らした日があったとしても仕方があるまい。
私は甘んじて「うんこ店長」と思われる事を受け入れようではないか。
しかし何日もうんこを漏らし続けて
平然と営業する店と思われたら困るではないか。
「うんこなんか全然平気な店長」と思われるのは心外である。
いや、ちょっと待て。
ってゆーか、それより買い物してるのに不快な異臭がするのは
お客さんにとって迷惑である。
問屋に聞いてみる。
「あの~あの匂い、全然消えないんですけど」
「今ウチでサンプル用に展示してあるのは鼻を近づけても全然匂いませんよ。
何日か天日干しにすると良いですよ」
は~、なるほど。
バックヤードよりも外に出して風に当てると良いんだな。
さっそく、店の前に停めてある通勤用の自転車に
パックライナーをはさんだハンガーをかけておいた。
カーキ色の袋たちが私の自転車のまわりで風に舞い、
ヒラヒラと楽しげに踊るの・・
などとメルヘンチックな描写をしていたワケではないが
まぁ外だから匂いも分散されてさほど臭くもないだろう、と。
しばらくしてお客さんがやってきた。
「今、あっちから『この匂い、まさかシュルイじゃないよね~』
って思いながら歩いてきたらココだった~!!」
私は驚愕した。
どれほど遠くまで匂っているのだろうか。
「実はその袋なんだけど、うんこみたいな匂いなんだよね・・」
「う~ん、うんこというよりゲロかなぁ」
うんこではなくゲロ!!
どちらにしてもサイアクである。
ゲロの匂いをまき散らしていたとは!!
私はあせってゲロ袋・・じゃなかった、パックライナーをとりこみ、
ハンガーからはずして畳み、まとめてビニール袋に入れた。
1枚では心許ない。2重にする。
その日のうちに自宅に持って帰り、いくつかのハンガーに分けてはさみ
軒下になるべくそれぞれを離して吊す。
1カ所にまとめてかけると強烈な匂いを発するのである。
離しておけば、近所迷惑になるほど強い匂いにはならない。
が、出掛けている昼間は気温が高い分、匂いが強くなったらどうしよう
夜、家に帰ってドアに「うんこ野郎」とか書かれていたらどうしよう
などと最初の頃はドキドキしながら帰宅したが、無事だった。
このような状態で2週間ほど経ちなんとか匂いがほぼ治まったのが数枚。
やっと店に出せました。
そんなワケで、まだ少しだけ匂いが残っていますが
鼻をくっつけるとわかる程度ですので、そのうち完全に消えると思います。
お買い上げの際はくれぐれもご了承下さい。
それにしてもアメリカ人はこの匂い、平気なのでしょうか?