シュルイのブログ「エコ魂」

スケールの大きい小心者のこの私。地球の未来を憂いて早四半世紀。地域活性と持続可能な社会を目指す日々を綴ります。

持続可能な社会が持続可能な平和をもたらす

2022年04月18日 | 持続可能な社会
ついさっき、TVの世論調査で
「ガスや電気料金などの値上がりにつながってもロシアからのエネルギー資源の輸入を減らす必要がある」
と約6割が回答したというニュースを見た。

落としどころがなく長引くと言われているロシアの攻撃に、国際社会の無力さを感じずにはいられない。
とはいえ、中国など協力しない国もあるにせよ、多くの国々がウクライナに支援をしプーチン政権に対抗している。

日本でも様々なものをロシアから輸入しているが、これを見直す機会になっている。
この侵攻の他にも、コロナや異常気象による不作などの影響で世界では色々なモノが不足しているらしい。
木材についても「ウッドショック」という言葉がよく聞かれる。
コロナ禍を脱したアメリカで住宅建設が増え、木材の需要が一気に増えた。
世界的に供給が不足したなかで、ウクライナ侵攻によりロシアの木材が入りにくくなっており、
日本の住宅建設にも大きく影響しているという。

私は、森の事を知ってもらうための「森の楽校」という事業を10年ほどやっている。
小さな任意団体での活動だけれど、今の日本の森について伝えてきた。
日本では戦後、建築材にするため杉やヒノキがいたるところに植えられた。
しかし、その後に安い輸入木材におされ林業が衰退する。
本来ならば「間伐」という間引きの作業をして、残った木を大きく育てる。
間伐をしないと、ヒョロヒョロと細い木ばかりになる。
そしてその細い木さえも、いつまでも切られることなく放置されている。
実際、いつも活動している山だけでなく、ちょっと出掛けた先なんかでも、そのような状態をしょっちゅう目にする。
細い木同士が風で頼りなく揺れて、てっぺんがぶつかり合っていたりして
あぁここもか、と残念な気持ちになるのだ。

エネルギーに関しても、温暖化防止のために再生可能エネルギーを、と言われながらも
日本が本格的にそれに大きく舵を切る事はなかった。
再エネというと太陽光エネルギーや風力発電がよく知られるが
実は世界第3位(!!)の地熱エネルギーを持っている。
これがほとんど使われていないのは、技術がないせいかと思いきや・・・。
アイスランドでは電力は100%自然エネルギーであり、その20%が地熱。
そして、地熱発電のタービンは日本製であるという。
日本で地熱発電が進まないのはその土地が国定公園内だとか
温泉施設に影響が出るのではという懸念から積極的でないとか
掘り当てるまでにお金と手間がかかるとか色々あるらしいが、
そーいうのは「やれない理由」ではなく「やらない口実」だよなぁ。
つい最近、業務スーパーの創業者が事業を進めているというニュースで聞いたので期待が高まる!!
2016年からやってたんですってー。知らなかった-。

これから、様々な食料や日用品が今までのように手に入りにくくなるとよく言われている。
しかし、今まで輸入に頼っていたものを、国産にすれば輸送のコストは削減できる。
日本はこれまで何十年も、安価なものを求めすぎて国内の産業を伸ばす機会を逃していたんじゃなかろーか。

ここに来て、日本の賃金が外国に比べて低いとか、円安がすすんで外国人が日本のモノは安い!と言われるようになるとは驚きだけど
安さを優先するがゆえに輸入に依存してきたのを変えるキッカケになるならば、それは良い事だと思う。

今に限らず、ずっと以前から何かが値上がりする度に大騒ぎで取り上げて
スーパーで客にインタビューし「家計に大打撃」などと報じてきたマスコミにも責任あるよ。
何十円値上げしました、と聞いて文句を言っても、一方で高い家電が流行っていたりして。

様々な理由でモノの値段が変わるのは当たり前の事だし、
値上がりを悪いことのように報道するのは、それを取り扱うお店にとって
値上げを躊躇させてどこかにしわ寄せがきて、結果的には人件費が削られて
給料は上がらないとか悪い循環を生んでいるんじゃなかろーか?

あと、声を大にして言いたいのはモノや資源を大切にしようよ!というコトです。
食べ物が高くなる、と騒がれるけれど捨てられる食べ物も多く、無駄にしている。
「もったいない」という言葉は有名になったけれど、
日本人が本当にモノや資源を節約し、大事にしているかは常々疑問に感じている。

この文章の一番最初に書いたように「値上がりを許容する」という声が多いのは良いことだが
金額の問題だけでなく、節約など自分自身の行動を変えたり、
世界の出来事が自分にはどう関係しているかと考えるのも必要だ。

今回の戦争で、悪事をはたらく国に依存しているリスクがいかに高いかを思い知らされた。

それぞれの国で持続可能な社会を目指すことが、
戦争や危機的状況から私たち一人一人や、未来を担う子どもたちに平和な世界をもたらすのだと思う。

普通の人々である私たちは何をすべきか?

2022年04月07日 | 平和
ここ数年、日々報道されているニュースを見てその背景や裏側に何があるのかを知りたいと強く思うようになった。
様々な分野に精通している人の話や、別の視点での考え方などを知るのはとてもためになる。

ETV特集「ウクライナ侵攻が変える世界 私たちは何を目撃しているのか 海外の知性に聞く」
という番組を見た。
頭の良い人の話を聞くのは、ものごとの理解を深める事ができるし疑問に思っていたコトがわかったり
私たちは何をすべきかという提言をくれたりもするので、希望が見える気がして好きだ。

番組タイトルである「知性」の一人、アメリカの政治学者イアン・ブレマーは
「このような危機の時代、あなたに発信する場があるなら声をあげる義務がある。
もっと多くの人がこのことを理解する必要がある」と言っていた。

「世界で起きていることを理解し、自分ごととして関わり、声をあげるべき。
私には関係無い ここでは起きない 私にはどうでもいいことだと
あまりにも長い間 もう何十年も市民の多くが受け身だった。
その結果 国際的なのけ者 悪党 殺し屋が人類を破滅させる余地を増やしたのだ」と。
そして「普通の市民にも責任がある」とも。

確かにウクライナに関しては毎日毎日ニュースをみているが、
クリミア侵攻やチェチェン紛争の事は聞いたことあるな、くらいだった。
もちろん、私個人が詳しく知っていようがいまいが何も変りはしない。
しかしまるでそれと同じように、国際社会がこれを無視、あるいは傍観していた結果がウクライナの惨状であるというのは
平均的な個人の認識度と、国際社会の捉え方が比例している気がして、「普通の市民にも責任がある」に説得力を感じる。

スベトラーナ・アレクシエービッチはノーベル賞作家で、
第二次世界大戦やアフガン戦争の兵士の証言の本を書いている。
国家に翻弄された普通の兵士は加害者でもあり、被害者でもある。
そういう人々の声を集めている。

ソ連出身で、ベラルーシに移住し現在は病気療養のためにドイツに住んでいる。
祖母の家はウクライナにあり、度々訪れていたという。
番組の最後に流れた彼女の言葉。
「人間社会は3つのゾーンに分かれています。
アクティブに行動する人、反対する人、そして一番多いのが、どっちつかずのいわゆる『グレーゾーン』の人。
こういう時は物陰に隠れてやり過ごそう、自分の生活の質さえ変わらなければ良いという人たち。
私たちはこの人達と対話する術を学び取らなければならない。
グレーゾーンが広がるなら私たちが目指す未来は訪れません。」

対話かぁ。
意見の違う人との対話というのは思いの外難しい。
面倒くさいし、出来れば避けたい。
ただ「対話する」ではなく、「対話する術を学び取らなければならない」というところに、その難しさが表れている。
でもそこから逃げていたら、目指す世界は来ないんだな。

TVの報道を見ていると、ロシアではプーチンの支持率が高まっているらしい。
が、表立って批判をする事が非常に難しく、世論調査が公平であるかは疑わしい。
きっとグレーゾーンが多いのだろう。
実際にロシア人の匿名のインタビューで
「ウクライナの人には気の毒だが、自分たちには何も出来ないし、しょうがない」と言っているのを見た。
このインタビューは二人で受けていて、もう一人が
「今までプーチン政権に声をあげなかった自分たちにも少なからず責任がある」と言ったのに対して
「うーん、そうなのかなぁ・・・」と、あまり深く考えたくない様子。
いずれにせよ、二人とも反戦運動をするほどの行動を起こすわけではなく、グレーゾーンと言えるだろう。

長年ロシアに住んでいる日本人が言うことには
通常耳に入る情報は、ロシアは良い国でありプーチンは素晴らしい人物だという内容ばかりで
頭の中で中立を保つのに苦労したという。

ロシアでの中立も大事であるのと同様に、いわゆる西側諸国の視点も中立でなければと思う。
こうなるまでに、何が過ちだったのか。
フランスの経済学者のジャック・アタリはソ連崩壊後にロシアへの援助をしてこなかった事は良くなかったし
今、世界からロシアなるもの全てを悪者にし、排除するのは間違いであると言っている。
彼が言うにはこの戦争は「冷戦の最期の出来事」なのだそうだ。
冷戦が終結した時、人類は平和な世界を実現するために本気で変わる事ができるのだろうか?
ロシアが、ではなく人類が、である。

この番組の出演者ではないが、伊勢崎賢治がどう考えているのかが気になって時々ツイッターを見ている。
メディアで「紛争解決請負人」と紹介されている、実際に世界の紛争地で武装解除などをしてきた人物だ。

4月5日の彼のツイート。
阻止する方法はただ一つ。悪魔との【対話】です。”降伏”ではありません。【停戦】のためにも。

やはり対話なのだな。
ロシアが見ているのはアメリカなのだから、アメリカが停戦交渉をすべきという意見もよく聞かれる。
武器供与ではない、停戦のための働きかけにもっと力を注ぐべきだ。
冷戦の断末魔、ポスト冷戦、色々な表現をされるけれど、やはりこれはロシアとアメリカの戦争といえるらしい。
アメリカが言う「自由」や「民主主義」は守るべきだと思うけれど「正義」となると・・・。
正義という言葉は戦争も起こすし、継続させる。
実際に、プーチン支持者は「正義のために戦っている」と思っているし。
都合の良い言葉だな。

ただの一般市民である私はどうすべきだろう。
まずは、日々のニュースを見ることに慣れてしまわないようにしたい。
関心を持ち続け、歴史的な背景や、各国の政治的や経済的な関係も知る努力をする。
経済制裁で物価が上がったり、エネルギーを節約しなければならないなども受け入れる覚悟も必要だ。
あとは募金などの支援をするとか。
町内でウクライナ支援の小さなイベントがあると知り
自分が実行委員をやっている「この祭り、乱れ咲き」でもブースを出しませんかと申し出た。
ウクライナ出身の方の絵やアクセサリーの販売をする予定です。
乱れ咲きについては、また後日詳細をお知らせします。
是非足をお運びください!