『監督失格』観に行きました。パチパチ!
もうすぐ終わるかもと公式アカウントでつぶやかれてますので、まだの方はぜひぜひお勧めします。庵野秀明が初めて実写をプロデュースというのでどんなんかと思っていたら、、、、、私の中では、ここ数年観たものの中で、いきなり忘れられない映画の上位に入ってきました。ドキュメンタリーであんなに心をえぐられたの初めてです。矢野顕子の歌が無かったら椅子から立ち上がれないと思います。
他の方のブログで『ゆきゆきて、神軍』以来の衝撃、と書かれていましたが、私も同じ感想です。
写真~
こぼれた種から弦無し朝顔が今頃開花。
以下、ネタバレあり
以下、ホントにネタバレありですよ。
いいんですね?
前半は、AV女優・林由美香と平野勝之監督の北海道不倫旅行。愛人相手に「運命の人」とか言っちゃって、正直「この男、しょうもないなー」と思って観ていましたが、あの前半があるから、衝撃の映像、そして後半がある訳で。結果が分かっているから、平野監督とお母さんが由美香のマンションに入るシーンはホント、怖い。「やめて~!」と言いたくなる。それにしてもなんちゅう奇跡的なアングル!平野監督が「ヤラセだと思われるかも」と危惧したのも分かります。
そして、、、、由美香のお母さんはラーメンマニアならご存知の野方ホープの社長。やはり女性らしく激情タイプ。「あんた、なんで!」と泣き崩れる。平野監督はかつての愛人、そして今でも好きな女がマンションの自室で、蒸し暑さの中で腐敗が進みボロボロの状態で横たわっているのを見ながら、冷静に警察と電話で話す。もちろん、通夜葬儀でも涙は流さない。
あーこんな陳腐な説明じゃ伝わらないなー。気付いたらドキュメンタリー映画を撮るドキュメンタリーになっている、というのも非常におもしろい構成です。
平野監督は問題を先送りにしてきただけなのかもしれないが、やはり「由美香の死を認めたくない、別れたくない」というただその一点だったのでしょう。母親にとってはようやく自分の贖罪が実を結ぼうとしていたその時だったから、どんなにか悔しかったことでしょう。3年間、店に出られなくなってしまうなんて。
1人が自死をしたときに平均して6人の人が一生抱えるような心の傷を負うと言われますが、事故死、突然死もかなりそれに近いのでしょう。やはり急には受け入れられない。そしてその死から5年たってようやく自分流の葬儀が必要なのだと気付き、夜中に泣き叫びながら住宅街を自転車で走り回る(迷惑だ^^;)平野勝之監督…。
余談だけど、葬儀の時に由美香の棺を抱えた男たちが、みなかつての恋人って凄くないですか!?やはり、映画はリアルを越えられない、と思いました。
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