鯱の構造はブロンズの原形に漆を焼き付け、その上に0.15mの18金のウロコを張り付け、簡単に剥ぎ取られないように、五角形の特殊ボルトで固定されています。近くで見ると頭部が異常に大きく不気味ですが、遠くで見た時バランスよく見えるようにとの匠の技が秘められているとのことです。
雌雄の鯱は尻尾をピンとはね上げて同じような姿勢ですが、微妙に違います。メスの黒目が目頭の側に寄っているとか、オスの口の方が大きく開いているとかの違いがありますが、わかりやすいのは背びれで、雄は4枚(山が4つみえます)メスは3枚です。
天守の上ではメス鯱が棟の南側に座り、オス鯱は北側からメス鯱を見る形で座っています。古来火除け、水の神獣とされ崇められてきた鯱ですが、伊勢湾台風襲来の時に名古屋に住んでいた知人は、「高潮被害は金鯱の祟りだ」とささやく声も聴いたと話していました。