今回ご紹介するのは絵本「まっくろくま ポカさんの春」(絵&著:miyu)です。
-----内容-----
はやくあったかい春がきてほしい。
そう願わずにはいられないまっくろくま。
そんなとき、太陽から不思議な飴を貰って―。
-----感想-----
この作品は「まっくろくま」というまだ赤ちゃん同然の小さな熊が主人公の絵本を「動く絵本」にしてYoutubeで公開しているものです。
まっくろくまの絵本シリーズは電子書籍で販売されていましたが販売が終了し、現在あるのはYoutubeに公開されている二作品です。
miyuさんは栃木県在住のイラストレーターで、私はブログで10年交流があり、小説などの読んだ本の感想記事を書くのが好きなので今回miyuさんの「まっくろくま」をご紹介しようと思いました。
※miyuさんのホームページをご覧になる方はこちらをどうぞ。
私は子供に絵本を読む時は状況を分かりやすく説明しながら読んであげるのが良いと思います。
その考えに基づき、お父さんお母さんがお子さんに絵本を読む時にどう読み聞かせるかという形で感想記事を書いています。
また絵本を読みながらお子さんと楽しく話すことも意識して書いています。
各ページで文章が全て表示された後少し静止画になる時間があるので、そこで一時停止してお子さんに説明しながら一緒に絵本の世界を楽しんで読んでいくのが良いと思います
鼻水ぐしゅぐしゅまっくろくま
「もう冬はこりごりさ!春はまだ!?」
今しがたまっくろくまは真冬の湖に落ちました。
この場面はまっくろくまがもうこりごりと思っているのがよく分かるように情感を込めて台詞を言うと良いと思います。
子供は情感の込もった台詞のほうが作品世界に興味を持ちやすいです。
「せっかく冬とお友達になれると思ったのにあいつはボクを裏切ったんだ!!!」
この場面はまっくろくまが毛布にくるまっているのに注目です。
お子さんに「冷たい湖に落ちて寒いから毛布にくるまってるんだね」と言ってあげると良いと思います。
さらに頭に魚が載っているのも注目で、「まだ頭に魚が載ってるね」などと言ってあげても良いと思います。
またまっくろくまのセリフから、まっくろくまが冬に怒っていることが分かります。
「なんでこんなに怒ってるんだろーね?」とお子さんが興味を持つように言ってあげると良いと思います。
「湖に氷が張っていたので旗をたて夢中でスケートをしていたところ、突然穴があき落ちたということです」
ここでなぜまっくろくまが真冬の湖に落ちたのかが分かります。
「楽しく遊んでたのに氷に穴が開いて落ちちゃったから冬に怒ってたんだね」と言ってあげるとお子さんもすんなり状況が分かると思います。
「はやく!はやく太陽さん!こっち!こっちにおいでってば~」
この場面ではまっくろくまが寒いから太陽に近くに来てもらおうとしているのが分かります。
「お日様が出ると暖かくなるもんねー」などと言ってあげると良いと思います。
「ふぁ~あったかい♪乾いてゆくよ~」
『あんまり長居は…。ひいきになります』
「何で!?太陽さんボクが可愛くないの!?」
お子さんから「ひいきってなあに?」と聞かれたら「誰か一人だけを特別扱いすること」と言い、この場面を例に「お日様は朝から動いてみんなを照らしに行ってるのに、ずっとまっくろくまのところにいたら他のみんながお日様を見られないでしょ?そういうのがひいきだよ」と言ってあげると分かりやすいと思います。
面倒になった太陽は珍しい飴を出しました。
『まっくろくま。春がみえる飴をあげます』
「ありがと!!なにソレ!?」
『ポカさんがたくさん集まってくれば春が近いということですよ』
これはポカさんとは何なのかが気になると思います。
一緒に「何だろーね?」と言いながら興味を引いてあげると良いと思います。
まっくろくまは家に帰りココアを飲みました。
そしてお母さんに抱きついてぬれた体を温めました。
この場面はイラストが興味深く、ココアをこぼしています。
お子さんが飲み物をよくこぼす場合は「○○よりもっとこぼしてるね」と言ったり、こぼさず飲める場合は「○○はこぼさないから偉いね」などと言ったりしながら読み進めると楽しいと思います。
「そういえばあめがあったねぇ」
小腹が空いたまっくろくまは太陽からもらった飴を舐めました。
「小腹が空く」は少しお腹が空いた状態で、お子さんが聞いてきたらお昼ご飯と夕ご飯の間におやつを食べることがあるのを引き合いに出し、「○○もおやつを食べることがあるでしょ?それと同じだよ」などと答えてあげると良いと思います。
「!!!」
あったかいココアにひょっこり現れました!
「あ…ポ、、ポカさん!?」
「……あ…」
あったかいお母さんにもポカさんがいます。
「これがポカさんみたいだね」と言ってあげるとお子さんの興味も高まると思います。
まっくろくまは幼いにもかかわらず逆転の発想をしました。
「温かいところにポカさんがくるんじゃなくて、ポカさんがくるからココアも温かいのかな?」
思い込んだら止まらないまっくろくま
自分の部屋をいち早く春にしようと「ポカさん泥棒」を始めました!
イラストを見るとまっくろくまが網でポカさんをたくさん捕まえているのが分かるので、お子さんにそれを言ってあげると良いと思います。
そしてついに春のお部屋が完成しました!
「ぽかぽかな春がきた!きたんだって春が!」
ポカさんをたくさん捕まえて部屋が暖かくなったことを言ってあげると良いと思います。
しかしまっくろくまの部屋とは反対に世の中はどんどん寒くなっていきました。
ポカさんがいないからです。
イラストを見ると雪が降っているので、「雪が降ってて寒そうだね。ポカさんがいなくなったからみたいだよ」と言ってあげると良いと思います。
そんなとき親友が訪ねてきました。
最近とっても寒いから具合が悪くて…早引きしたから給食のクレープをあげるね
この場面を見ると、親友は幼稚園か小学校に行っていることが分かります。
お子さんに「早引きってなあに?」と聞かれたら「熱が出たりして具合が悪くなった時に早めに学校から帰ることだよ」と教えてあげると良いと思います。
まだ幼稚園に行っていない場合は「○○ももう少ししたら幼稚園に行くんだよ」と言うと幼稚園に興味も持ってもらえて良いと思います。
「…みんな、元気じゃないの?」
『うん 2わとりたちも寝込んでるみたい』
「………」
この場面ではまっくろくまがみんな元気ではないと知って動揺していることが分かります。
「まっくろくまは自分がポカさんをたくさん捕まえたから外が寒くなって、みんな寒くて元気がなくなったことに気づいて、どうしようって思ってるみたいだね」と言ってあげると良いと思います。
まっくろくまはショックでおもらしをしそうになりましたがぐっとこらえて叫びました。
「ポカさんさよなら!さよなら!!」
ポカさんはふわ~っと皆のところへ春を届けに飛び立ちました。
イラストのポカさん達が「ありがとう まっくろくま」と言っているので、ポカさん達は皆のところに行けるのが嬉しいことが分かります。
また読んでいるとポカさんのポカは「ポカポカ暖かい」のポカだと分かります。
それも言ってあげると良いと思います。
……
おや?
イラストから一人のポカさんがまっくろくまのそばにいることが分かります。
「ここには温かいものなんて もうないよ?」
しかしポカさんはまっくろくまの胸から離れようとはしませんでした。
このポカさんはショックを受けたまっくろくまの気持ちを温めようとしてくれているのかも知れないです。
「まっくろくまは自分のせいでみんな寒くて元気がなくなったと分かって落ち込んでるでしょ?このポカさんは落ち込んだまっくろくまの気持ちを温めようとしてくれてるのかもね」と言ってあげても良いかと思います。
たくさんのポカさんが行き交う街
「春がきたんだねぇ」
まっくろくまは ずっと太陽に聞いてみたかったことがありました。
イラストから音が出て、ポカさんがまっくろくまの耳を引っ張っているのが分かります。
これは「びよ~んだって」と言うだけでお子さんは面白がるのではと思います。
「太陽さん、いつになったらボクの目は普通になるのですか?」
この場面でまっくろくまは自分の目を気にしているのが分かります。
これは「まっくろくまは目がまっ白だもんねー」と言うくらいにしておくのが良いかと思います。
またポカさんが凄くたくさん現れ、「これならとても暖かそうだね」と言ってあげると良いと思います。
桜の花が咲き、向こうには親友がいて、さらにポカさんがミルクの入ったカップをこぼしているので、それらも言ってあげると興味を引くと思います。
最後は登場人物の紹介があります。
聞かれたら「お話に出てきた人達の紹介をしてるんだよ」と教えてあげると良いと思います。
子供の感性は大人の想像を超えていることがよくあるので、説明をしなくても子供のほうからどんどん聞いてきたり驚くようなことを気付いたりすることもあると思います。
そんな時は子供の感性を尊重し、子供の反応に寄り添いながら読んで行くのが一番良いと思います
まっくろくまの言葉と行動は大人の私が読んでも興味深かったです。
まだ赤ちゃん同然の小さな熊なのであまり深く考えずに動いていますが、自身が間違っていたと気づいてポカさんを解放してあげた場面は偉かったです。
自身が間違っていた場合にそれを認められるのは大事なことで、まっくろくまの心が少しだけ大人に近付いたように見えました。
Youtubeに公開されているまっくろくまの絵本はもう一つ「となりのでんわ」があるのでいずれそちらも感想記事を書きたいと思います
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