読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

「下鴨アンティーク」白川紺子

2015-03-29 11:47:37 | 小説
今回ご紹介するのは「下鴨アンティーク」(著:白川紺子)です。

-----内容-----
京都、下鴨―。
高校生の鹿乃は、旧華族である野々宮家の娘だ。
両親を早くに亡くし、兄の良鷹と、准教授をしている下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。
アンティーク着物を愛する鹿乃は、休日はたいてい、祖母のおさがりの着物で過ごす。
そんなある日、「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう!
すると、次々に不思議なことが起こって…!?

-----感想-----
小説タイトルの「下鴨」から森見登美彦さんの作品が連想され、その縁で手に取ってみた一冊です。
野々宮鹿乃(かの)はこの春から高校三年生になります。
兄の良鷹は古美術商をしていて、離れに住む下宿人の八島慧(けい)は私立大学で近世文学を教えている准教授です。
物語の主要登場人物はこの三人となります。

鹿乃には「おふじさん」こと芙二子(ふじこ)という亡くなった祖母がいました。
その祖母のお下がりの着物を色々なコーディネートで着こなすのが鹿乃の休日の過ごし方です。
また、鹿乃は着物を着る時にテーマを設定するのが好きです。
赤い紬(つむぎ)に油彩調で森を描いた染め帯を合わせて『赤ずきん』、浅葱の縞御召(しまおめし)に蛙柄の帯で『梅雨』などという具合に着ています。

古くからの言葉もたくさん出てきて興味深かったです。
行李(こうり)という、竹や柳、籐などを編んで作られた葛籠(つづらかご)の一種など、言葉を見ただけではどんなものか分からないものがたくさんありました。

兄の良鷹は「たいへんぐうたら」とのことで、古美術商ですが家で寝転がっているばかりで滅多に仕事をしません。
しかしかなりの目利きでもあり、物凄い高値の取引をしたりもしています。

美しい衣服や紅葉などをたとえていう言葉の「綾錦(あやにしき)」も知らない言葉でした。
「色とりどりの着物や帯を吊るした部屋の中が幾重にも綾錦の幕を張ったようになっていて美しい」という使われ方をしていて、なるほどと思いました。
衣桁(いこう)という着物を掛けておくための衝立も聞き慣れない言葉でした。
全体的に着物にまつわる和の言葉がたくさん出てきて、かなり造詣が深い人なのかなと思いました。

ある時、祖母から「開けてはいけない」と言われていた蔵を鹿乃が開けてしまいます。
蔵にある着物を虫干ししようと思ったのでした。
それが引き金となり、次々と着物にまつわる不思議なことが起こるようになります。
古美術商の良鷹曰く、蔵の着物には幽霊や物の怪が憑いているとのこと。
異様な状態となった着物を元に戻すべく、鹿乃は蔵の着物の謎と向き合っていくことになります。

ちなみに野々宮家は京都の左京区、下鴨神社糺(ただす)の森の近くにあります。
私はこれを見て森見登美彦さんが思い浮かびました。

物語は「アリスと紫式部」「牡丹と薔薇のソネット」「星月夜」の三章に分かれていて、第一章の「アリスと紫式部」では源氏物語の話がよく出てきました。
まだ通しで全て読んだことはないのですが、この話を読んでいたら源氏物語のほうも気になりました。

あとになって気づくことは、いくらでもある。それだから、何度もなんども立ちどまって、ふり返らずにはいられないのだろうか。
鹿乃が祖母のことを思い返していた時のこの心境は印象的でした。
私も亡くなった祖父について、もっとできることがあったのではないか、話を聞いておくべきだったのではないかと思ったりすることがあります。

辛夷(こぶし)の花が出てきて、これはどんな花かと思い調べてみたら、春に咲く白い花で、見たことのある花でした。
ただ木蓮の花との違いがよく分からないので詳しい違いを調べてみようかと思います。

「おなじものを見ているのに、まるで違うとらえ方をしていたら、不安だろう。気が合わないってことだ」
「せやろか」
鹿乃は、首をかしげて、考える。
「おなじもん見とって、別々のとらえ方するんやったら―そっちのほうが、得やない?ひとつのものに、ふたつ、見方ができるんやもん」

この場面は印象的でした。
たしかに同じものを見て全く同じ捉え方をするとは限らず、感性の違いによって違う捉え方をしたりもします。

「もとには戻れんでも、先には進めるんとちゃうやろか」
鹿乃のこの言葉も良い言葉だと思いました。
過ぎたことを悔やむより、前に進もうという意思が良いなと思います。

「鴨川デルタ」も登場。
加茂川と高野川が交わって鴨川になるところで、その合流地点の突端にあたる河原は飛び石で両岸と行き来できるようになっています。
この三角形の河原が「鴨川デルタ」と呼ばれていて、森見登美彦さんの作品に何度も出てきていました。
さらには「珍妙な招き猫の置物」や、「先刻承知」という言葉まで登場。
どうも白川紺子(こうこ)さんは森見登美彦さんの作品の影響を受けている気がしました。

それと鹿乃が通っている高校では「ごきげんよう」が学校名物の伝統的なあいさつとのことで、なかなか興味深かったです。
モデルになった学校はあるのかなと思いました。

また、第二章「牡丹と薔薇のソネット」に出てきた「ぽかぽかとその背中をたたいた」という表現も森見登美彦さんの言い回しが思い浮かびました。
やはり森見さんの作品の影響を受けているのではという印象を持ちました。
ちなみにこの第二章では蔵から女性のすすり泣く声が聞こえてきます。
しかもその声は長襦袢から聞こえてくるのです。
何とも不気味なのですが、作品が軽いタッチのためあまり怖さはないです。
どうにかして長襦袢を泣きやませて蔵に戻すため、鹿乃は慧と良鷹の力を借りながら奮闘します。

舞台が京都で言い回しも森見登美彦さんに似ているため、最初は同氏の二番煎じになりかねないのではと思ったりもしました。
それでも着物についての造詣が相当深いのか、それを生かして明るい和の作品世界を展開していました。
幽霊や物の怪という怖い要素を織り込みながらも明るく読みやすい作品になっていたのは良かったと思います。


※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。

※図書ランキングはこちらをどうぞ。

「ハケンアニメ!」辻村深月

2015-03-28 19:50:20 | 小説
今回ご紹介するのは「ハケンアニメ!」(著:辻村深月)です。

-----内容-----
伝説の天才アニメ監督・王子千晴が、9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』。
プロデューサー・有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。
同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と敏腕プロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』が。
人気アニメーター、聖地巡礼に期待をかける公務員……。
誰かの意思が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び、新たな事件を起こす!
アニメ界の“ハケン”を制するのはどっちだ?

-----感想-----
最初にこのタイトルを見た時、「派遣社員によるアニメ」かと思いました。
しかし違いました。
「覇権を取る」という意味の「ハケン」です。
物語は以下の四章で構成されています。

第一章 王子と猛獣使い
第二章 女王様と風見鶏
第三章 軍隊アリと公務員
最終章 この世はサーカス

第一章の語り手は有科香屋子。
36歳で、「スタジオえっじ」というアニメ制作会社に勤めています。
香屋子の役目は「プロデューサー」。
監督と一緒に作品タイトル全体の流れを見る一方で、監督とプロデューサーは芸能人とそのマネージャーか、ある意味それよりもずっと濃い関係をペアになって結ぶとのことです。
監督が現場に来なければ始まらないことも多く、だから香屋子も、王子のことは仕事のみならず私生活だって管理してきた。
何時に現場に入れて、何時に上がり、どれくらい寝てもらって、翌日は起床時間に家にお迎えに出向く。
―今、洗濯してるからあと一時間待って、と言われて、洗濯機の音を聞きながら、部屋の前で一緒に待ったことだってある。

とあり、本当にマネージャーみたいだなと思いました。
想像以上に監督に付きっきりの仕事のようです。

監督の名前は王子千晴。
33歳で、24歳の時に『光のヨスガ』という作品で広く名が知れ渡りました。
「この一作で、日本の地上波アニメの歴史を十年進めた、と言われている」とあり、物凄い伝説的作品だったことが分かります。
その王子千晴が九年ぶりに挑む新作が『運命戦線リデルライト』。
いつか王子と一緒に仕事をしたいと思っていた香屋子が口説いて口説いて、ついに一緒に仕事ができることになりました。

しかしその王子が失踪。
制作途中のアニメを放り出していなくなってしまいました。
冒頭からしばらくは王子が失踪したことについての話がメインでした。
香屋子の絶望的な心境が描かれています。
この時1月で、春からの放映まであと三ヶ月を切っていました。
スタジオえっじの江藤社長から「監督を代える」と言われ、「必ず戻ってくる」と必死に食い下がる香屋子。
もともと王子千晴は脚本家を何度も代えたりあれこれわがままを言ったりと、かなり現場を混乱させる監督でした。
今回は江藤社長をはじめ失踪を知るほとんどの人が「逃げ出した」と思いましたが、香屋子は必ず戻ってくると自分に言い聞かせながら懸命に王子を待っていました。
この姿はほんとに監督と一心同体のプロのプロデューサーなんだなと思いました。
周りからどれだけ「やっぱり噂どおりの人だった」「トラブルメーカーだ」と言われようとも、プロデューサーだけは最後まで信じて待とうとしていました。

王子が9年前に『光のヨスガ』を撮った時に在籍していた「トウケイ動画」のプロデューサー、行城理(ゆきしろおさむ)も王子の失踪を知っていて、香屋子に嫌みを言ってきました。
行城は有名なヒットメーカーでもあり、嫌みな奴ですが腕は確かなようです。

ひとつのアニメを作るには物凄くたくさんの人が関わっています。
監督ひとつ取っても王子のように全体の流れを見るメインの監督のほか、音響監督という演技や声量を監督する人などもいます。
プロデューサーも、香屋子は監督とともに作品全体の流れを見ますが、その下には一話ごとに作品のプロデューサー的な役割を担う「制作進行」という人もいるようです。
スタッフの中では原画を描く「アニメーター」が一番イメージが湧きやすく、この話では迫水(さこみず)というフリーのアニメーターが登場。
「有科さん、春クールのハケンを争うんですよね。『サバク』と」
「ハケン?」
「覇権。王者覇者の覇に、権利の権。―頂点取るって意味です」


『サバク』はトウケイ動画の行城プロデューサーが携わる作品で、『運命戦線リデルライト』と同じクールで激突します。
また、迫水は香屋子なら行城プロデューサーに勝てると言っていました。

子ども層をターゲットにしたアニメは、間に必ず12月を挟む。クリスマス商戦におもちゃを売るためだ。
これを見て、なかなかあこぎな商売だなと思いました
「DVDやフィギュアの売り上げだって、最終回の出来で左右されるご時世だよ。そういう二次利用がなきゃ、採算はまず取れない」ともあり、アニメの放送単体では採算が取れないようです。
テレビでの放送ではスポンサー収入に頼ることになりますが、それだけでは厳しいということです。

王子が言っていた以下の言葉も印象的でした。
「一つのタイトルが始まれば、その人の時間を俺は三年近くもらうんだよ。俺がやりたいものを形にするっていうそれだけのために、その人の人生を預かるんだ。そのことを考えない日はないよ。監督は、基本、誰かに何かをお願いしないと進めない仕事なんだから。俺だけじゃ何もできないんだ」
この言葉、常にわがままなことを言っている王子がこんなことを考えていたのかと驚くと同時に、一つのアニメを作るには三年もかかるのかとも思いました。
一クールの放送は三ヶ月ですが、そこに行くための時間は想像以上に長いようです。

コアなアニメファンは、その愛ゆえに、付け焼き刃のファンを嫌う。アニメが好き、オタクであることを売りにするのは、程度が半端なら諸刃の剣だ。
これはサッカーや野球のファンでも同じことが言えるなと思います。
コアなファンは最近サッカーや野球を見始めたような付け焼き刃のファンに自分の好きなチームや選手を評論されるのが嫌なようで、実際に嫌がって「昔からのことを知らないくせに」的なことを言っている人を見たことがあります(笑)
私的にはファンが増えるのは裾野が広がるわけだから良いことなのにと思います。

王子が「ハケン」という言葉に不快感を露わにした場面も印象的でした。

「ご存じなかったですか。今、アニメファンの間でよく使われる言葉なんですよ。もともとは、あるパッケージ会社の社員の方の言葉だったと聞いています。『今期の覇権はうちで決まりですね』と発言したことがきっかけになったとか。そのクールで作られたたくさんのアニメの中で、一番成功したものに贈られる言葉です」
「ええと、ハケンって、つまりは覇者の権利ってこと?」
「バカにされてんのかと思った。フリーランスが多い業界だから、派遣社員で作ってるって。やな言葉だね、それ」
「え?」
「嫌な言葉ですね」
「誰が決めんの?それ。成功って、それ結局、どのアニメが一番儲けたかってことなわけでしょ。パッケージ会社の人間から出た言葉なら、間違いなくそうだよね。そんなこと意味ある?アニメってさ、勝たなきゃいけないの?頂点取った一つ以外は負けなの?」

私も最初に小説のタイトルを見た時に派遣社員によるアニメだと思ったくらいなので、たしかにそちらと混同されやすい言葉のような気がします。
それと「アニメってさ、勝たなきゃいけないの?頂点取った一つ以外は負けなの?」は胸に刺さる言葉でした。
また、アニメはワンクール五十本近く作られるとあり、そんなに作られるとは知らなかったので驚きました。

そして「ハケンアニメ」という言葉に不快感を示す王子を見て、香屋子が心の中で思ったことも印象的でした。

覇権アニメは、単純な利益を指す言葉ではもうない。
意味の最初のスタートはそこだったかもしれないけど、今やもう、”覇権”アニメは制作サイドが高みから放った言葉の枠を越えて、アニメファン全体のものだ。
このクールで、どのアニメが一番人の心を打つか。記憶と、時代に名前を残せるか。
そういう言葉に、今は変わっている。そこでは、売り上げは二の次だ。


私の場合は、アニメに詳しい人が「ハケンアニメ」という言葉を聞けば香屋子が考えるような意味、詳しくない人が聞けば王子が指摘するような意味に聞こえるのではという印象を持ちました。
同じ言葉でもその分野に詳しい人が聞くか詳しくない人が聞くかで受けるニュアンスは変わってくると思います。

「『リデルライト』の中にある、”生きろ”という命令形の言葉は、泥臭いけど、本気です。現実を生き延びるには、結局、自分の心を強く保つしかないんだよ」
王子のこの言葉は良い言葉だと思いましたし、そのとおりだと思います。
作品に行き詰ると何も言わずに失踪してしまうような人ですが、かなり見せ場もある人だなと思いました。


第二章の語り手は斎藤瞳。
トウケイ動画に在籍する26歳で、王子と同じく監督をしています。
『サウンドバック 奏の石』、略して『サバク』という作品で王子達と同じクールで激突します。
そしてプロデューサーは香屋子が嫌う行城です。
瞳が大学二年生の時に見て影響を受けた野々崎努監督の『ミスター・ストーン・バタフライ』劇場版という作品は”バタフライ”と呼ばれるロボットを操縦し、宇宙からの侵略者から地球を守る少年たちの闘いを描くアニメーション作品とあり、何となく『エヴァンゲリオン』をモデルにしているような気がしました。

この話でもアニメの制作について色々触れられていました。
「絵コンテ」というものについて説明があり、「絵コンテは、キャラクターや背景の動き、セリフや音楽の流れが書き込まれた、いわばアニメの設計図だ。それを作るのが監督の大きな仕事の一つでもある」とありました。

瞳は行城のことで疲れていて、『サバク』の初回放映の喜ばしいはずの日にも沈んだ気持ちになっていました。
さらに美末(みまつ)杏樹、群野葵の二人の女性声優との関係も上手くいかず、瞳はアニメ制作の現場で悩みの多い状態になっていました。
ちなみにこの話にも王子や香屋子が登場する場面があり、王子は群野葵と仲が良いということで瞳に助言をしに来てくれていました。
問題の多い人ですが結構良いところもあると思います。

また、この話では「神原画」と呼ばれる物凄く上手い原画を描く並澤和奈というアニメーターが登場。
新潟県選永(えなが)市にある原画スタジオ『ファインガーデン』に在籍していて、第三章で主役になる人です。

瞳たち大人の社会ではマイノリティーの楽しみであるアニメは、小学生の世界ではドメジャー級のメインカルチャーなのだ。
それは、少人数の丁寧なファンを救うメディアではなく、クラスの目立つ中心人物のための楽しみに他ならない。
アニメを録画し、原作コミックを買ってもらえる者こそが我がもの顔で語れるものなのだ。


これはよく分かります。
自分がそのメインカルチャーに興味がなかったりした場合などは話題についていけなくなったりもします。


第三章の語り手は並澤和奈、26歳。
語り出しの「どうして、アニメ業界に入ったんですか。という質問をされる時がある」は毎回同じで、そこから物語が始まっていきます。

つまるところ、人海戦術のアニメ業界において、和奈は自分を軍隊アリだと思っている。

この話は新潟県選永(えなが)市という架空の市を舞台にしています。
市役所の職員、宗森周平との話がメインです。
また、第一章に登場したフィギュア製作会社「ブルト」の逢里哲哉と鞠野カエデも登場。
鞠野カエデはブルトのナンバーワン造形師です。

なんで、世の中の人はこんなにスタンプラリーが好きなんだろう。どこかの自治体が聖地巡礼やイベントごとを考える時、まず真っ先に持ち出すのがスタンプラリーだ。アイデアとしてはもう二番煎じ三番煎じもいいところ。はっきり言ってイケてない。
和奈は最初、選永市職員の宗森たちの考えたスタンプラリーという案について、このように否定的に思っていました。
たしかにマンネリ感のあるアイデアだとは思います。
それでもラリーを通してそれぞれの場所の優れた景色を見たりすることもできる良さもあるのではと私は思います。

「もとからある景観を壊してまでアニメの何かを置こうって考えるのは本末転倒ですよ」
宗森が鍾乳洞の中にスタンプ台とキャラクターの立て看板を置こうとしたことに対する和奈のこの言葉は印象的でした。
アニメのイベントで街を盛り上げようとするあまり、元からある良さが失われてしまっては元も子もないなと思います。

ちなみにこの話に出てくる「河永祭り」は興味深かったです。
朝の9時から一時間ごとにいろんな団体が作った舟を流すお祭りで、毎年十万人のお客さんが見込めるお祭りとのことです。
舟を流す前には舟謡(ふねうたい)という人が独特の節回しでその舟の成り立ちやそこにかけた思いなどを読み上げます。
私はこれを見て埼玉県秩父市吉田の「龍勢祭り」が思い浮かび、もしかしたらこのお祭りをモデルにしているかも知れないと思いました。
それぞれの流派が作ったロケットを打ち上げる際に独特の節回しで口上を述べるなど、似ている点があります。
そして「河永祭り」に『サバク』の舟を出そうというのは面白いアイデアだと思いました。
このアイデアから、第三章は怒涛のクライマックスへと向かっていきます。
宗森の高校の先輩の正体や商工会の副理事長の正体が次々と明らかになり、第一章、第二章で登場した人物も次々登場。
最後にこんな怒涛の盛り上がりがあるとはと驚きました

この作品は今年の本屋大賞にノミネートされています。
直木賞受賞作家の本屋大賞受賞となれば2006年7月の直木賞受賞→2012年本屋大賞受賞の三浦しをんさん以来です。
読んでみてかなり面白かったですし、本屋大賞を取ってほしい作品です


※図書レビュー館を見る方はこちらをどうぞ。

※図書ランキングはこちらをどうぞ。

久しぶりの更新

2015-03-22 15:47:45 | ウェブ日記
しばらく時間のない日々が続いていたため、久しぶりのブログ更新となりました。
気がつけば東京マラソン2015から1ヶ月が経とうとしています。
フォトギャラリーが途中のままこんなに月日が流れてしまったのは初めてのことです。
それくらい業務が激化してブログをやる余力がなくなっていました。
ようやく落ち着いたのでフォトギャラリーはマイペースに作っていこうと思います。

明け方の4時半くらいまで会社にいたり、そのまま次の日の朝まで会社にいて、その日もぶっ通しで夕方まで会社にいるといったことを久しぶりに経験しました。
すごくストレスになるし体に悪いです。
14、15日の土日も会社に行っていたので非常にうんざりとする日々でした。

この週末は休みになったのでお彼岸ということで実家に帰り、久しぶりにゆっくりと休むことができました。
しかし10時間くらい寝てもまだまだ寝足りない感じで、相当体が疲れているなと思いました。
元の調子に戻るにはあと何日かかかりそうな気がします。
明日からは忙しさも一段落するので、あまり無理をしないようにして体調を整えていこうと思います。