読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
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日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

雷雨

2021-06-23 19:47:10 | ウェブ日記
今日の夕方は突然の雷雨になりました。
帰り道、家に着く少し前からポツリポツリと雨が降り始め、半袖の腕に当たった雨粒がやけに大きく感じ、梅雨のしとしと降る雨とは違う荒れた降り方になるのが予感されました。

幸い傘は差さずに帰宅できましたが、間もなく大雨になりました。
物凄く強く打ち付ける雨で、窓への打ち付け方が半端ではなかったです。
横から叩き付けるような降り方でそのスピードも凄かったです。
ウオンと唸りを上げるような叩き付け方で、叩き付けた雨のしぶきでまるで煙が立ち込めたようになっていました。
遠くの景色が見えないどころか近くの景色も見えなくなり、少しの間窓辺に立って嵐の様子を見ていました。

雷も鳴っていて、細長く青白い光のすぐ後、あまり遠くない距離に落ちる音が聞こえました。
この嵐の中を歩いていたらひとたまりもなかったと思います。

激しい雷雨を見て、もうそんな時期になったのかと思いました。
雷が鳴り、嵐のような大雨が短い時間に降るのは近年では「ゲリラ豪雨」とも呼ばれ、真夏ならではの天気です。
6月下旬の今、真夏はすぐそこまで来ていると感じ、ワクワクと「もう来てしまうのか」の焦りが入り混じった気持ちになり、一日一日を大事にしたいと思いました。

「ショコラの魔法」(主演:山口真帆)

2021-06-20 13:01:21 | 音楽・映画


(「ショコラの魔法」のポスター。写真はネットより。以下同じ)

今回ご紹介するのは映画「ショコラの魔法」(主演:山口真帆)です。

-----内容-----
美しき魔女ショコラティエ・哀川ショコラが作るのは、食べるだけで願いが叶う不思議なチョコレート。
ある日、哀川ショコラの元に聖蘭学園に通う女子高生が訪れる。
その女子高生は、「チョコを食べた者は、お代としてその者の“一番大切なもの”を奪われる」という危険な契約を聞かされるが、彼女は契約を受け入れ、チョコを食べる。
そしてその日から、聖蘭学園内に次々と謎の事件が起き…。
一方、学園の新聞部に所属する飯田直はそれらの事件を追う。
直は事件に隠された闇深い欲望と、チョコの謎に迫っていくが…。

-----感想-----
少女漫画紙「ちゃお」に不定期連載されている「ショコラの魔法」(著:みずの梨乃)の実写映画化で、原作は今年第66回小学館漫画賞を受賞しました。
映画に興味を持ったのは、女優の山口真帆さんが主演すると知ったのがきっかけでした。
山口真帆さんはかつて新潟県を本拠地とするアイドルグループで活動していましたが2年前に卒業し、「研音」という芸能事務所に移籍し女優に転身しました。
移籍の際の「研音」のコメントは「令和という時代に合った情報発信力を評価」というもので、これからの時代を担う存在として非凡さが高く評価されていました。
今回の映画初主演はそこから女優として歩んできた2年間の集大成であり、一つの重要な区切りになる気がしてぜひ観に行きたいと思いました



(哀川ショコラ役の山口真帆さん)

どこかの人里離れた森が映し出され、ミステリアスな雰囲気で始まりました。
やがて入口に「Chocolat noir」(ショコラノワール)と書かれた、一見すると洒落ていますが雰囲気はかなり不気味な洋館に辿り着きます。
洋館の主、哀川ショコラが登場していよいよ物語が幕を開けました。
食べれば願いが叶う代わりに1番大切なものを失う怖いチョコと、チョコを売る魔女が登場するホラー要素もあるダークファンタジー映画と知ってはいましたが、冒頭から想像以上に怖さを感じました。



(飯田直役の岡田結実さん)

聖蘭学園高等学校2年生で新聞部部長の飯田直は学園内に流れる噂「食べれば何でも願いが叶うチョコ」に興味を持ちます。
しかし「願いは叶うが高い代償を払うことになり、中にはチョコを食べてビルから飛び降りた子もいる」とありました。



(仁科愛利役の桜田ひよりさん)

2年生で美術部の仁科愛利が描いた絵が全国美術展で最優秀賞を受賞します。
後輩の1年生、水無月花音が「絶対に最優秀賞を取ってください。そのためなら何でもします」と言っている場面があり、もしやこの後輩が先輩に最優秀賞を取らせたいばかりにチョコを食べてしまうのかなと思いました。
しかし物語が進むともっと凄まじい展開が待っていました。



(水無月花音役の畑芽育さん)

沢村という学園一のチャラ男が行方不明になる事件が起きます。
直は事件の真相を突き止めようとしますが、西尾猛という同級生に「お前では無理だからやめておけ」といったことを言われて憤ります。
猛は嫌な奴に見えますが頭は良く、直が追いかけている事件の謎に直よりも早く辿り着くことが何度もあったとのことです。
直は沢村の消息を追うべく聞き込みをしていきますが、何者かに後を付けられていて足音が迫ってくる雰囲気が怖かったです。
そして直の元にショコラからの「招待状」が届きます。
どうやらショコラは何かの願いを強く持っている人のことが分かり、その人の元に招待状を送っているようでした。



(西尾猛役の中島健さん)

人里離れた森の中を直が歩く場面があり、霧も出ていて辺りが不気味でさらに音楽も怖かったです。
ショコラの住む洋館「ショコラノワール」での場面になる時は必ず怖い雰囲気になるのが印象的でした。
やがて直がショコラノワールに辿り着くと、ショコラが「ようこそ、ショコラノワールへ」と静かに淡々と言い出迎えます。
直が最近のわだかまりを口にすると、ショコラがチョコを出して願いを叶えてあげようとしますが、同時に「お代はいただくわ。私のチョコは高いわよ」と怖いことを言います。
チョコを見て考え込む直がどうするのか、とても気になりました。

ショコラ役の山口真帆さんは話す時の声がミステリアスだなと思いました。
そして話し方は穏やかそうに見えますが、実際には「冷たさ」が漂っていると思いました。
人間を人間として見ておらず、自身のモルモットとして見ているような冷たさを感じ、心の奥底を見通すような微笑も印象的で演技力が着実に上がっていると思いました。

猛が直に「お前なんかに事件が解けるわけねーよ」と言うのは、直の身を案じているように見えました。
するとやはり、直は聞き込みをするうちにある女性から凄まじい嫉妬による憎悪を向けられて窮地に立たされます。
その場面も怖く、超常現象的な怖さとはまた違う、嫉妬でそこまで狂気じみたことが出来るのかという人間の心の怖さを感じました。

全国美術展で最優秀賞を受賞した仁科愛利は進路も順風満帆でしたが、この人の笑い方を見て怖さを感じ、裏があるなと思いました。
愛利が美術室で遭遇した体験は恐ろしいものでした。
私はまず愛利ととある「絵」のシーンでギクッとなりました。
音楽もこちらに打ち込んでくるような響き方で、客席で思わず身じろぎしました。
さらに美術室はまるで脱出不可能な永遠に続く地獄のような様相になり、愛利が恐怖しているのと同じように見ているほうも恐怖しました。
日本を代表するホラー映画「リング」の貞子が井戸から出てきて対象を呪い殺す時を彷彿とさせるようなシーンもあり、まさかここまで怖い映画だとは思っていなくて衝撃的でした。

やがて愛利にどういったことがあったのかが明らかになります。
ここにも人間の嫉妬が絡んでいて、嫉妬に狂う人間は時として感情に任せて一線を越えてしまうのだなと思いました。

「お待ちなさい。あなたからはまだ代償を頂いていないわ。言ったはずよ、私のチョコは高いわよ」
最後はショコラもかなり怖くなり、怒っているのが分かりました。

「黒き闇に堕ちて行きなさい」

「ショコラノワール」にはカカオ・テオブロマ(綱啓永さん)という得体の知れない人物も住んでいて、「しかし人間というのは欲深い生き物だな」と言っていました。
嫉妬のような感情に支配され、欲深く他人よりも自身が何かを手に入れようとすると周りが見えなくなり、気が付いた時には手遅れとなります。
そうならないように、自身が抱いている感情と向き合い、感情任せに動かずに気持ちの整理をする力を身に付けるのは重要だと思いました。





(最近の山口真帆さん)

山口真帆さんはこの2年間でアイドルの顔から女優の顔になってきた気がします。
高校や大学からプロ野球選手になった人などによく見られますが、人は新たな環境で顔の雰囲気が変わることがあります。
最近は充実感が伝わってくるような表情を目にすることがあり、良い雰囲気だと思います。

主役ではありますが役柄上頻繁に登場するわけではない山口真帆さんを、岡田結実さんが準主役の立ち位置で映画全編に渡って登場し強力に支えていました。
岡田結実さんは演技も良かったですが顔立ちの凛々しさが印象的で、女優として良い個性だと思いました。
後半は桜田ひよりさんもかなり存在感が出ていて、山口真帆さんと同じ「研音」所属で年齢は今年度19歳と若いですが女優歴は長く、演技も上手かったです。
こういった人達の支えによってショコラの淡々としたミステリアスさが際立ったと思います。



(新潟の先行上映で舞台挨拶時の山口真帆さん)

6月18日の全国公開に先立ち、16日に新潟県で先行上映が行われました。
大都市東京ではなく新潟で先行上映というのが、山口真帆さんの「義理」への熱い思いを感じて良いなと思いました。
新潟を本拠地とするアイドルを卒業後、女優として2年間歩んできた姿の集大成を、新潟の人達に真っ先にお見せしに来てくれたのではと思います。
この姿勢は非常に好感が持て、今後のさらなる飛躍を決定付けた気がしました
義理を大事にする人には周りの人達も義理を持って接してくれると思います。


山口真帆さん本人の努力も当然凄いですが、それとともに「研音」という芸能事務所も凄いと思いました。
移籍の直後、当時は全国放送のニュースやワイドショーで連日報道されていたので、ワイドショーなどに出演してさらに知名度を上げる手はいくらでもありました。
しかし「研音」はそれをしませんでした。
最初はモデルやグラビアのお仕事を中心に活動して、その間にじっくりと演技の稽古をしていったのだと思います。
その後少しずつドラマや舞台に出演するようになり、ついに映画初主演となりました。
地道な歩み方ですが「王道の歩み方」でもあり、私は女優としての活動を長期的に見れば大正解だったのではと思います。
今回の主演が今後への大きな糧になると思われ、これから先どんな活躍を見せて行くのかとても楽しみです


-----山口真帆さん登場作品の記事-----
「山口真帆 1st写真集 present」
「DIVER-特殊潜入班- 第二話」


-----関連記事-----
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「るろうに剣心 最終章 The Beginning」(主演:佐藤健)

2021-06-14 18:30:10 | 音楽・映画


(緋村抜刀斎と雪代巴。写真はネットより。以下同じ)

今回ご紹介するのは映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」(主演:佐藤健)です。

-----内容&感想-----
人気漫画「るろうに剣心」(原作:和月伸宏)を映画化したシリーズの最終作です。
この作品は「るろうに剣心」の主人公緋村剣心(佐藤健さん)が幕末の動乱期に反徳川幕府勢力の長州藩(現在の山口県)で「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」となって京都に行き、幕府側の要人を次々と暗殺していた時代が舞台です。
その時代に抜刀斎は左頬に十字傷を負い、後にトレードマークになりますが、この作品ではなぜ十時傷が出来ることになったのかが描かれています。
「スターウォーズ」という有名映画でフォースに安定(平和)をもたらす者と予言されたアナキン・スカイウォーカーがなぜ暗黒面に堕ちてダース・ヴェイダーになったのかを描いたのと通じるものがあり、謎が明らかになる話は興味を引きます。

Beginningは始まりという意味で、シリーズ最終作にして「るろうに剣心」の物語の始まりでもあります。
そして最終作にして私が劇場で観る初めての作品となりました。
先日ネットでこの作品の特集を読み、十字傷誕生に大きく関わる重要登場人物の雪代巴(ゆきしろともえ)役の有村架純さんが素晴らしく似合っていて、これはぜひ観に行こうと思いました



(雪代巴。有村架純さんのこの雰囲気を見て一気に映画への興味が強まりました。)

雪代巴という悲劇的な役のイメージと有村架純さんが醸し出す雰囲気がピッタリだと思いました。
また今作は悲しきラブストーリーにもなっていて、今まで「るろうに剣心」を知らなかった人が観ても十分興味深く観られる内容だと思います。


1864年(元治元年)1月、幕末の動乱に揺れる京都を舞台に物語が始まります。
冒頭からいきなり抜刀斎の殺陣(たて)が凄まじかったです。
対馬藩の敵達を前に「新時代のため、あなた方には死んでもらう」と言ったかと思いきや、次の瞬間から物凄い速さのアクションが始まり次々と敵が倒されて行きました。

暗殺仕事の後、現代の歴史の教科書で「維新三傑(明治維新立役者の中でも特に優れた三人)」と称される長州藩の重要人物、桂小五郎(高橋一生さん)と話す場面になります。
その時に抜刀斎が「人斬り抜刀斎になって半年」と語っていました。
桂は最近幕府の力が増していて「壬生(みぶ)に現れた狼」が特に強いと語ります。
桂の他に高杉晋作(安藤政信さん)も登場していて、幕末に実在した重要人物が登場すると気持ちがワクワクします



(抜刀斎と話す桂小五郎)

抜刀斎による対馬藩大勢暗殺の惨劇の舞台を壬生の狼、新選組が検分しにやって来ます。
三番隊組長の斎藤一が「誰の仕業だ」と誰にともなく問うと、一番隊組長の沖田総司が「この太刀筋にこの人数、言うまでもなく人斬り抜刀斎でしょう」と返していて、表向きは秘密にされている抜刀斎の存在を既に新選組は知っていました。



(新選組三番隊組長の斎藤一(江口洋介さん))

抜刀斎が居酒屋で静かに酒を飲んでいると、同じ店に巴がやって来ます。
その時の巴の澄ました表情とゆったりとした所作がかなり良く、超然とした存在感を放っていました。
抜刀斎は酔っ払いに「酒をつげ」と絡まれていた巴を助けてあげます。

居酒屋からの帰り道、抜刀斎の前に忍び装束を着た男が現れ「抜刀斎だな?」と言い襲いかかってきます。
秘密のはずの抜刀斎の存在はどこからか漏れ、刺客に狙われるようになっていました。
抜刀斎は男を斬り殺しますが、その時にお礼を言おうとして後を追いかけてきた巴が大量の返り血を浴びます。
「惨劇の場では血の雨が降ると言いますが、あなたは本当に血の雨を降らすのですね」と静かに淡々と言っているのが印象的でした。
巴は血の雨の雰囲気に当てられ倒れてしまい、抜刀斎は長州藩士がアジトにしている宿に連れて帰って介抱します。
翌朝抜刀斎は巴に「みなが安心して暮らせる新時代のために人を斬っている。武器を持っている敵が対象で、市井(しせい)の人を斬っているわけではない」と語りますが、ならば私が刀を持てば斬るのかと反論されます。

巴が一緒に祭りを見に行ってくれないかと言い二人で見に行きます。
その時に巴が「平和のための戦いなど本当にあるのか」と問い、これも印象的な言葉だと思いました。

また今作は悲劇を描いた作品でもあり、明かりが全体的に薄暗いかもしくは暗くなっています。
抜刀斎も巴も口数が少なく淡々と話すタイプなので、照明の暗さはこの作品がどんな作品なのかを表すとともに二人の雰囲気にもよく合っていました。



(人斬りとして暗躍する抜刀斎。佐藤健さんはかなりのはまり役だと思います

やがて「池田屋事件」が起きます。
史実において維新獅子達が倒幕のための密会を開いているところを新選組が襲撃して壊滅させた有名事件です。
飯塚という桂小五郎の側近から池田屋襲撃の知らせを受けた抜刀斎は現場に急行しますが、その途中で逃げた維新獅子を追撃していた一番隊組長の沖田総司と遭遇して戦いになります。
アクションが凄まじく、殺陣の凄さは「るろうに剣心」映画シリーズの大きな特徴だと思います。



(激闘を繰り広げる抜刀斎と新選組一番隊組長の沖田総司(村上虹郎さん))

巴が寝ている抜刀斎に毛布を掛けようとしたシーンは良かったです。
常に澄ました表情で他の人からは「愛想がない」と言われている巴が毛布を掛ける時少し微笑んだように見えました。
しかし直後、気配に気付いた抜刀斎が瞬く間に刀を取り刃を巴の首に突き付けます。



(抜刀斎に敵の襲撃と思われて斬られそうになる雪代巴)

斬られそうになり、巴に初めて動揺が走り恐怖に引きつった声が出ますが、それ以上に抜刀斎も信じられないものを見るような驚愕の表情で自身の手元を見ていました。
一体自身は何をしているのか、とんでもないことをしてしまうところだったと表情が物語っていてかなり良い演技だと思いました
抜刀斎は「市井の人間は斬らないと言っていたのにこの有様だ。(このままでは殺してしまうかも知れないから)出て行ってくれ」と言いますが、巴は恐怖しながらも抜刀斎に近寄り、「もうしばらくおそばに居させて頂きます。今のあなたには、狂気を収める鞘が必要です」と言います。



(雪代巴を斬りそうになって悔やむ抜刀斎と、恐怖しながらもその場に留まる巴)

このシーンが凄く良くて、怖いという感情は表情に出て、この人のそばに居たいという感情は座ったままジリジリと間合いを詰める態度に出て、この人のそばに居たい感情が何とか勝ったのが上手く表されていました。
佐藤健さんと有村架純さん、両者揃って高い演技力が発揮された今作最大の名シーンだと思います

池田屋事件以降、新選組の勢いが増し、長州藩士がアジトにしている宿にも藩士潜伏の情報を聞きつけたようで捜査をしにやって来ます。
間一髪のところで抜刀斎は巴を連れて逃げ、守ってあげていました。



(雪代巴を守る抜刀斎。佐藤健さんの醸し出す雰囲気と刀の構えが凄く良いと思います

徳川幕府との戦いが激化し、長州藩は劣勢に立たされていたため、抜刀斎と巴は桂から京都の外れにある農村でしばらく2人で夫婦に扮して暮らすように言われます。
桂は巴に「形だけで良い」と言いますが、巴の方は「そんなことを言わなくて良いのに」といった感じの無表情で佇んでいました。
しかし抜刀斎は「出来れば形だけでなく共に暮らそう」と言い、すると巴は微笑んで「はい」と言っていて、それぞれがお互いのことを想っているのがよく分かりました。

農村での暮らしでは巴が再び寝ている抜刀斎に毛布を掛けるシーンがあり、今度は起きずに眠っていました。
抜刀斎が巴に気を許しているのがここでも分かりました。
ある晩、巴が鏡を見ながら涙を流す場面があり、なぜ泣いていたのか最後に明らかになりますが、原作を知っていると表情だけでも自身の境遇と抜刀斎への想いの板挟みで泣いているのだろうな、とすぐに想像がつくくらい印象的な涙でした。



(農村で暮らす抜刀斎と雪代巴。その様子はまさに夫婦でした)

巴が抜刀斎に「あなたは近頃、よく笑うようになりましたね」と言う場面があり、その時の言葉の雰囲気がとても優しいと思いました。
最後の「なりましたね」の辺りで声量を少し弱めていて、それでいて同時に温かさが滲む言い方でかなり上手いと思いました

しかし温かい雰囲気は長くは続きませんでした。
闇乃武(やみのぶ)と呼ばれる徳川幕府側の暗殺諜報組織が動き出します。
長州藩士の中にかねてから存在が囁かれていた裏切り者がいて、闇乃武と結託して抜刀斎暗殺を企てていました。

巴の弟の縁(えにし)が農村にやって来て、巴はどうしてここが分かったのかと驚きます。
縁の話を聞くうちに巴は何が起こっているのかを悟ります。

その夜、巴は抜刀斎に実家は江戸にあるなどの自身の生い立ちを話します。
10代の頃に「るろうに剣心」の漫画を読んだ時は分かっていませんでしたが、人が突然生い立ちを話したりするのは何か心境の変化があった時の可能性が高く、映画が佳境を迎えているのがよく分かる場面でした。
また抜刀斎は巴に「新しい時代が来たら、人を斬るのではなく人を守れる道を探したい」と言います。
巴は抜刀斎の思いを聞いて「はい」と穏やかに言っていて、序盤では反論していたのが「はい」になったのが良いなと思いました。
先に眠った抜刀斎の横で巴は自身の短刀を手に取り、思い詰めた顔になります。
その最後、抜刀斎を見て悲しそうに微笑んだのが印象的で、出向いた先で生きて帰って来られそうにないのを悟っているのだと思いました。
巴は一人で自身と関わりのある闇乃武のアジトに向かいます。



(闇乃武のアジトに向かう雪代巴)

翌朝抜刀斎も長州藩の裏切り者の謀略によって動揺した心境でアジトに向かいますが、様々な罠を仕掛け地の利を得て戦う相手達を前にボロボロになります。
そんな中、巴が窮地の抜刀斎を助けに来ますが…
スローモーションで描かれた場面を見て「巴さん…」という心境になり目にじわりと涙が浮かびました。
結末を知っていても涙が浮かぶのは抜刀斎役の佐藤健さんと巴役の有村架純さんの作り出す世界観がそれだけ凄かったのだと思います。
闇乃武との戦いの後、「じゃあ、行ってくるよ、巴」という寂しそうな言葉とともに、抜刀斎は新しい時代のために再び徳川幕府との戦いに向かって行きます。


この作品を観て、紛れもないラブストーリーだと思いました。
元来どちらも愛想がなく、さらには意見も違っていて恋愛には程遠い関係だった二人が、段々と心を通わせていく様子はとても良かったです。
二人揃って口数が少ない分、表情や所作、間から伝わって来るものがたくさんあり、特に巴が抜刀斎の方を静かに見る回数がたくさんあったので、どういった心境なのかに思いを馳せながら見ました。
悲劇のラブストーリーになるのが分かってはいても、せっかく心を通わせたこの関係が終わらないでほしいと願わずにはいられないような良い雰囲気で、観に行って良かったと思う素敵な映画でした。

HiKaRi Library Concert Vol.27

2021-06-06 18:08:39 | コンサート、演奏会


(写真左からピアノ田中香織さん、ヴァイオリンrioさん、エレクトーンrionさん)

6月5日、山口県周南市立徳山駅前図書館の2階広場で行われた、新感覚音楽ユニットHiKaRi(ヒカリ)のHiKaRi Library Concert Vol.27を聴きました。
HiKaRiのコンサートを聴くのは初めてで、ヴァイオリン、ピアノ、エレクトーンでの三重奏という珍しい編成となっており、これまでに聴いたコンサートでもこのトリオでの演奏は聴いたことがなかったです。
また今回、ヴァイオリンメンバーの山口紘子さんの活動休止に伴い、新たなヴァイオリニストとしてrioさんが加わりました。
rioさんは広島県広島市のエリザベト音楽大学在学時の2018年秋~2020年春に演奏会で何度も演奏を聴いたことがある浦川莉緒さんで、とても演奏の上手い人なので興味を持ちこれはぜひ足を運んでみようと思いました



1.ピアソラ:リベルタンゴ(3人で演奏)

1曲目から情熱の曲「リベルタンゴ」が来たのが印象的で、情熱的なコンサートになるのかなという予感がしました。
メロディはそれほど速くないのですが聴いていると内側から気持ちが盛り上がってきます



2.映画「魔女の宅急便」より:海の見える町(ピアノ、ヴァイオリンで演奏)



写真のように、rio(浦川莉緒)さんのヴァイオリン演奏はピッチカート(指でポロンポロンと弦を鳴らす演奏)で始まりました。
音の響きが良く、「海の見える町」冒頭のどこかもの悲しさのあるメロディへの良いアクセントになっていました。



3.ディズニー音楽:リトルマーメイドメドレー(ピアノ、エレクトーンで演奏)



雄大さ、ロマンチックさを感じる音色で、エレクトーンという様々な種類の音を出せる楽器の良さがかなり発揮されたように思いました
楽器の見た目は田中香織さんの弾く電子ピアノと似ていますが出てくる音は全く違っていて、それがピアノの光が弾けるような音色と合わさって豪華な音色になっていました。



4.アニメ「エヴァンゲリオン」より:残酷な天使のテーゼ(ヴァイオリン、エレクトーンで演奏)



かなり楽しそうに演奏しているのが印象的でした
この曲はヴァイオリン演奏に向いている気がします。
音が生き生きと弾んでいるように聴こえ、やはり楽しい音楽は良いなと思いました



5.一青窈(ひととよう):ハナミズキ(3人で演奏)



一青窈さんの有名曲で、この曲は音色に安心感や安らぎがあると思います。
ピアノもエレクトーンも良い演奏をして安らぎに明るさも感じられ、残酷な天使のテーゼで盛り上がった気持ちをゆったりと落ち着かせてくれた気がします。



6.Superfly:愛をこめて花束を(3人で演奏)

こちらもハナミズキと同じくバラード系の有名曲ですが、熱量の物凄い曲でもあります。
「愛をこめーてー はーなたばをー」のサビの部分の演奏がかなり生き生きとした明るさがあって良かったです



7.映画「ティファニーで朝食を」より:ムーン・リバー(ヴァイオリン、ピアノで演奏)



オードリー・ヘプバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」で歌われた曲で、とても安らぐ音色の曲です。
田中香織さんがトークで「この曲はヴァイオリンの良さが引き立つ」と言っていましたがまさにそのとおりで、ゆったりとした安らぎが良かったです。
またここまでのプログラムを見ると気持ちが盛り上がる曲の後には反対に安らぐ曲が入れてあり、上手く緩急がついていると思いました。



8.T-SQUARE:宝島(ピアノ、エレクトーンで演奏)





田中香織さんはこのコンサート全体でトークを担っていて、演奏もピアノ、エレクトーン、ヴァイオリンの珍しい編成の中で上手く全体の調和を取っていたと思います。

宝島は「エリザベト音楽大学 打楽器アンサンブル Trip! ~9th Concert~」で聴いたことがあり、好きな曲です。
聴いていると気持ちがワクワクしてきて笑みがこぼれたりもします



9.アニメ「呪術廻戦」より:廻廻奇譚(かいかいきたん)(ヴァイオリン、エレクトーンで演奏)



かなりロックな雰囲気の曲でスピードも速く、ハイテンションで駆け抜けるように演奏して行きました。
速い曲はやはり盛り上がりも良く、コンサートが終盤になっているのが意識されました。




rio(浦川莉緒)さん。これまでで一番近い距離で演奏を聴き、そしてこれまでで一番のびのび演奏している気がしました





rionさん。高校生時代からシンガーソングライターとして活躍してCDも出し、今年から音楽大学に進学したとのことでこれからのさらなる活躍が楽しみです



10.葉加瀬太郎:情熱大陸(3人で演奏)



最後の曲は情熱大陸でした。
演奏会でも聴いたことのある盛り上がる曲で、rio(浦川莉緒)さんが楽譜スタンドを後ろによけたのが印象的で、田中香織さんが「暴れるということでしょうか」と言っていました
観客も手拍子を送り、大きな盛り上がりの中で終演となりました


初めて聴いたHiKaRiのコンサート、良いコンサートだと思いました。
音がノリノリで楽しそうだったのが印象的で、楽しい音楽の良さを改めて感じました。
山口県周南市の徳山駅前図書館と協力して地域に根ざした活動をし、定期的にコンサートを開いていて27回も続いているのも素敵です。
偶数月にコンサートを開いているとのことで、次回の8月もぜひ聴きに行ってみたくなりました



-----HiKaRiのコンサート-----
HiKaRi Library Concert 2021年8月
HiKaRi Library Concert 2021年10月
HiKaRi Library Concert 2021年12月
HiKaRi Library Concert 2022年4月
HiKaRi Library Concert 2022年6月


-----rioさん登場のコンサート、演奏会-----
「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」
「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」
「一楽章f未完成 弦楽四重奏コンサート」
「エリザベト音楽大学 ザ・シンフォニック・エンターテインメント」
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
「エリザベト音楽大学 2019年度卒業演奏会」


-----徳山ゆかりのフォトギャラリー -----
出光興産徳山事業所 「海賊と呼ばれた男」ゆかりの地
遠石八幡宮 整った綺麗な神社


-----徳山ゆかりの小説-----
「海賊とよばれた男 (上)」百田尚樹
「海賊とよばれた男 (下)」百田尚樹


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。