読書日和

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参議院選挙2016 民主主義の否定

2016-06-30 19:22:13 | 政治
今回の参議院選挙の争点の一つである憲法九条改正。
憲法九条改正を目指す安倍晋三首相に対し、民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党四党が選挙協力をし、憲法九条改正反対の主張をしています。

この憲法九条改正反対の主張について、民進党の作った参議院選挙用ポスターが目に留まりました。
そのポスターには「まず、3分の2を取らせないこと」と書いてありました。
3分の2とは中学校の社会の授業などでも習う「憲法改正の発議に必要な国会議員の数」です。
衆議院と参議院の両方で国会議員の3分の2以上の賛成があった場合に憲法改正が国会で発議され、憲法改正をするかどうかの国民投票が行われることになります。

ここで疑問なのが民進党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちによる「3分の2を取らせない」という政治主張。
これは民主主義を否定しています。
この野党四党は「3分の2を取られたら憲法九条が改正されてしまう。よって3分の2を取らせない」と言っていますが、改憲派の国会議員が衆参両院で3分の2以上になった場合に行われるのは「憲法改正の発議」です。
この発議により憲法を改正するかどうか国民に意見を聞くことになり、国民投票が行われます。
国民投票で過半数以上の賛成があった場合に初めて憲法が改正されることになります。
憲法を改正するかどうかについて、最後に判断するのは主権者である国民なのです。
民主主義的な手法である投票による多数決によって決まります。
野党四党の主張は憲法改正について国民に意見を聞くことさえ許さないと言っているのであり、明らかに民主主義を否定しています。

安全保障法制(集団的自衛権)の時にあれだけ「民主主義の否定だ」と主張していた人達が平気で民主主義を否定するとはどういうことなのでしょうか。
つまり気に入らないもの(集団的自衛権)が可決された場合は民主主義の否定だと言う一方で、同じく自分達の気に入らないもの(憲法九条)が改正されるかも知れない場合、阻止するためなら平気で民主主義を否定するというダブルスタンダードを使っていることが見て取れます。
共産党全員、社民党全員、民進党の大半の議員のような反日左翼思想の人達によく見られる傾向であり、こういうところが不信感を持たれる原因なのだと思います。
憲法九条改正反対を主張するのは自由ですが、国民に意見を聞くことさえ許さないというのは酷いです。

ちなみに日本には中国による尖閣諸島侵略という目の前に迫っている危機があります。
最初、漁船による領海侵犯が行われ、次に巡視艇による領海侵犯が行われ、やがてそれが頻繁に行われるようになり、先日はついに中国軍の艦艇による領海侵犯が行われました。
中国による侵略行為はどんどんエスカレートしており、このまま行けば遠くない将来、武力による尖閣諸島侵略に動くでしょう。
私は戦争は嫌なので、そのような戦争を仕掛けられる未来になってほしくはないです。
中国による尖閣諸島侵略を阻止するには中国に「日本に戦争を仕掛ければこちらもただでは済まない。迂闊には動けない」と思わせること、つまり抑止力を高めることが重要であると考えます。
昨年秋の安全保障法制で集団的自衛権の行使が可能になり従来より抑止力を高めることができましたがまだ万全ではなく、憲法九条改正という問題が残っています。

中国の尖閣諸島侵略がどんどんエスカレートしている現状を見ても、こちらがいくら憲法九条を信じても中国は尖閣諸島の侵略を止めてはくれないことは明らかです。
憲法九条の平和の理想は世界中の全ての国が善良で他国の領土を侵略する国が一つもない場合にしか成り立たないことを受け止める必要があります。
平和とは憲法九条を信じてさえいれば守れるものではなく、危機に対処することによって初めて守れるものです。

現実の一切から目を逸らし憲法九条に縋り付くのではなく、領土を侵略してくる国がいるという目の前に迫っている危機に対応できる憲法にしてほしいです。
抑止力を強化し、日本の平和を守れる可能性を高めるため、私は憲法九条の改正を希望します。
そして憲法九条の改正を目指す安倍晋三首相を支持します。
戦後誰も成し遂げられなかった憲法九条改正を、安倍晋三首相に成し遂げてほしいです。

参考記事
「平和記念公園の折鶴から見る戦争と平和」
「参議院選挙2016 民進党と共産党の共闘について」
「参議院選挙2016 自衛隊予算は人殺しのための予算という政治主張」

参議院選挙2016 自衛隊予算は人殺しのための予算という政治主張

2016-06-29 20:16:39 | 政治
6月26日、NHKの「参院選特集」という生放送の討論番組にて、日本共産党の藤野保史政策委員長が自衛隊予算を「人殺しのための予算だ」と発言し波紋を広げました。
今回は丸山和也参議院議員の時のようにマスコミによる切り貼り報道によって無理やり作られた発言ではなく、本当に「人殺しのための予算」と主張しています。

日本共産党は党の綱領に「自衛隊の解散(廃止させて潰すということです)」を書いています。
党の綱領に書かれていることはその政党が目指す政治の姿です。
なので今回の自衛隊予算を「人殺しのための予算だ」と主張する発言は共産党員にとっては当たり前の政治主張なのだということが見て取れます。
典型的な「反日左翼思想」です。
志位和夫委員長と藤野保史政策委員長は「党の公式見解ではない」と言っているようですが、党として自衛隊を敵視し「解散させる」とまで言っているのですから、党としても人殺しのための予算と考えているのは明らかです。

ちなみに、当たり前ですが自衛隊予算は「国家国民を守るための予算」です。
日本共産党の「人殺しのための予算だ」には大きな矛盾があり、まず世界中の全ての国は善良で、日本が一方的に人殺しに出かけると考えていることが見て取れます。
そして中国のように武力で日本の領土を侵略する国の存在を一切見ないようにしています。
中国のように日本の領土を侵略する国に対しては、当然日本は国家国民を守らなければなりません。
日本共産党の主張はこのことに対し、侵略してくる中国については何も言わず、侵略から国家国民を守ろうとする日本のほうに「人殺しだ」と言っているのと同じです。
なぜ実際に武力で日本の領土を侵略しようとする中国については一切を見ないようにして何も言わないのでしょうか。
なぜその中国の侵略から国家国民を守ってくれる自衛隊のほうを人殺し扱いするのでしょうか。
明らかに日本ではなく中国の側に立った政治主張に異様さを感じます。
日本共産党の主張どおりに行くと、中国が武力で尖閣諸島侵略に動いた時、日本はそれを阻止してはならず(防衛において中国側に死人が出ると人殺し扱いされるため)、何もせずに尖閣諸島を中国に侵略されなければならなくなります。
また、中国が極めて頻繁に尖閣諸島の領海を侵犯していることについて、「中国の脅威を煽るな」と中国を擁護する発言をしています。
党名こそ日本共産党ですが、これらの主張を見ると「中国共産党日本支部」のように見えるのです。
日本の抑止力を低下させ、中国の尖閣諸島侵略を援護しているように見えます。

民進党はこの日本共産党とタッグを組んで共闘していますが、いくら何でもまずすぎはしないでしょうか。
日本共産党は反社会的な団体を監視する公安調査庁の長年に渡る監視対象でもあり、つまり反社会的な団体だということです。
選挙のためなら公安監視対象の反社会的団体とも組むというのは酷すぎますし、公党として最低限のモラルは守るべきだと思います。

みそかつ 双葉

2016-06-28 18:36:33 | グルメ


名古屋駅に「エスカ地下街」というショッピングやグルメが楽しめる地下街があります。
そこにある「みそかつ 双葉」という味噌カツのお店に行きました。
まずはお店の一番人気の「みそカツ定食」を注文してみました。

味噌カツは愛知県に来てから既に何度も食べています。
一番最初に食べた時は味噌ダレに戸惑いましたが、何度か食べていくうちに好きになりました。
お店によって味噌ダレがだいぶ違うことがあるのが面白いです。
すごくサラサラな味噌ダレもありますし、反対にドロッとした味噌ダレもあります。
「みそかつ 双葉」はドロッとした味噌ダレになっています。
味噌ダレにはこだわりがあるようで、メニューには「創業当時から変わらない特製みそだれは四十年間守り続けた独特の味覚」とありました。

食べてみると甘い味噌ダレになっていました。
カツはカリッと揚げています。
味噌カツの場合、通常のカツ用ソースで食べる場合に比べて、味噌ダレの仕上がりが美味しさで大きな比重を占めるような気がします。
「みそかつ 双葉」はかなり美味しい味噌ダレでした。

味噌カツのお店はたくさんあるのでこれからどんどん食べていきたいと思います。
そして名古屋は味噌カツのほかにも鶏の名古屋コーチン、ひつまぶし、きしめんなど、美味しいものが色々あります。
喫茶店の凄く充実しているというモーニングも気になるところです。
せっかくですし色々グルメを楽しみたいと思います

「ガールズ・ブルー」あさのあつこ

2016-06-27 22:38:11 | 小説


今回ご紹介するのは「ガールズ・ブルー」(著:あさのあつこ)です。

-----内容-----
落ちこぼれ高校に通う理穂、美咲、如月。
十七歳の誕生日を目前に理穂は失恋。
身体が弱く入院を繰り返す美咲は同情されるのが大嫌い。
如月は天才野球選手の兄・睦月と何かと比較される。
でもお構いなしに、それぞれの夏は輝いていた。
葛藤しながら自分自身を受け入れ愛する心が眩しい、切なくて透明な青春群像小説。

-----感想-----
物語は次の三章で構成されています。

第一章 スプラッシュ
第二章 花火と世界征服
第三章 海に還る犬

夏の7月初めから終わりにかけての物語です。
語り手の吉村理穂は高校二年生。
冒頭、理穂は彼氏の拓郎と久しぶりにデートをした後に「おれたち、やっぱ合わないと思わない?」と言われ振られてしまいます。
「やっぱ合わないと思わない?」という言い方が合わないと思ったけれどしぶしぶ付き合ってやったという響きがあり酷いなと思いました。

理穂の17歳の誕生日の日、夜中の1時18分に友達の藤本如月からバースデーメールが送られてきます。
理穂は「バースデーメールは、午前零時きっかりに送信するのが、礼儀ってものだろう」と不満に思っていました。
私はバースデーメールの時間にこだわったことはないので理穂が胸中で文句を言っているのに対し、そんなに不満に思うほどのことかと思いました。
たぶん午前零時きっかりに送信したほうが「あなたの誕生日を心待ちにしていた」と、 友達を大事に思っている雰囲気が出るということなのだと思います。
ただそういうのにこだわりすぎると友達関係が窮屈になるので気を付けたほうが良いと思います。

理穂には如月のほかに師岡(もろおか)美咲という友達がいます。
美咲は皮肉や不遜な物言いをすることが多いです。
理穂たちは稲野原高等学校に通っています。
落ちこぼれ高校とのことで、理穂によると「地域のダストボックスと呼ばれている稲野原高校」とのことです。
理穂は父親が国語の教師だけあって言葉が面白く、美咲や如月と話している時も面白い言い回しをすることがあります。

城下町で出雲街道の要所にあり雨の多い街とあったので、島根県の松江市が舞台かなと思いました。
松江市は松江城があり雨が降ることが多く、「水の都」と呼ばれています。

理穂にはもう一人、竹下綾菜という気の合う友達がいました。
しかし成績不振と授業日数不足により進級できず、退学しました。
稲野原高等学校は真面目に授業を受ける人が少ないため、毎年10人くらいの生徒が進級できないとのことです。
寂しがる理穂に対し美咲はとてもドライでした。
「忘れるよ。傍にいないやつのことなんか、すぐに忘れて楽しくやれるって」
しかしその美咲に対し、今度は如月が言葉をかけました。
「おれな、おまえがいなくなっても、そう簡単に忘れないと思うぞ」
美咲の言葉と対照的であり、良いことを言っていると思いました。
「眠りネコ」のあだ名を持ち授業中もよく寝ている如月ですが、たまに良いことを言うようです。

同じクラスには長原好絵(スウちゃん)という学年で一番成績の良い子がいて、理穂たちはこの子とも仲が良いようで、よく一緒に遊んだりしています。
また、如月には睦月という一つ年上の兄がいて、繰州東高校の野球部の超高校級バッターとして有名です。
兄が睦月(1月)で弟が如月(2月)という名前になっています。
そして睦月は理穂のことが好きです。
ただ理穂のほうはあまり恋愛対象としては関心がないようで、睦月から電話がかかってきて、せっかく野球部が夏の甲子園に向けて勝ち進んでいても気の効いたことは言わないです。
美咲と如月はそれが歯痒いようで苦言を呈していました。

美咲の言葉は青春時代特有のどぎつさがあります。
体重300gほどの超未熟児で生まれ、現在も身体が弱い美咲が体調を崩したのを心配する理穂に対し、次のように言っていました。
「熱出したからって、理穂にメーワクかけたわけじゃないし、ほっといてよ。少しうるさいんだよ、理穂は。リップの重ね塗りするより、接着剤で引っつけときな」
理穂のほうも応戦して毒舌を発揮します。
「あんたが入院しようが、病気になろうが、死のうが、殺されようが関係ないけどね。おばちゃんがかわいそうでしょ」
これらの言葉は友達同士だから言える言葉であるとともに、10代の高校生だからこそ言える言葉だと思います。
大人はなかなか言えないです。

理穂、美咲、如月、スウちゃんの四人で出掛けた「西の小京都」という場所が興味深かったです。
西の小京都と言えば山口県の萩が思い浮かぶのですが、島根県の津和野という場所もそう呼ばれているようです。
直接の地名は出てこなかったですが津和野に出掛けたのではと思いました。
そしてそこから歩いて20分くらいで家に帰れるとあったので、どうやら作品の舞台は松江ではなく津和野の近くだと思いました。

作中ではネコが毒殺されているのを理穂たちが見つけるのですが、その毒殺が連続事件になっていきます。
スウちゃんの彼氏、森次啓志がイラついて暴力的になったりもします。
また、理穂の家の犬に寿命が近づいてきたり美咲が入院になったりもして、色々なことが起きていきました。
小学生の時、入院した美咲をお見舞いに来た子が美咲のことを可哀相がって泣いたことについて、美咲が激怒したのを見て理穂が胸中で思ったことは印象的でした。

他人に対し、かわいそうと泣くことに、人はもう少し慎重でなければならないのだろう。助力できるなら、救えるのなら、最後まで支え続ける覚悟があるのなら、泣けばいい。

何も助力しないのに可哀相がるのはやめてくれということのようです。
美咲は可哀相がられることを非常に嫌っています。
そして理穂はそのことを知っています。
ただしこれは美咲達の側の考えであり、他の人が可哀想な光景を見て可哀相と感じるのは止めようがないとも思います。

完全に暮れきっていない空は、濃い紫で、西の山際は、まだほのかに明るかった。
これは夏の夕暮れが思い浮かぶ良い表現だと思いました。
私は6~7月の19時30分頃に見る夏のこの空が好きです。

あたしたちの前には、長い長い時間がある。それなのに、今しか着れない浴衣も、今しか感じられない歌も、今しか愛せないものもある。今だけがよければいいなんて、思わない。でも、過ぎていく時を惜しむことも、これから来る時に怯えることもしたくない。したくないのだ。
これは理穂の「今」への切実な思いが溢れた良い言葉でした。
今しか着れない浴衣や今しか感じられない歌、今しか愛せないものとともに高校二年生の夏という今を精一杯楽しんでほしいと思いました。

「ガールズ・ブルー」は夏に読むのにピッタリの小説だと思いました。
物語全体に漂う疾走感と切なさが印象的です。
中学生や高校生の夏休みの読書感想文にも良いのではと思います。
続編となる「ガールズ・ブルーⅡ」も出ているようなのでそちらも読んでみたいと思います。


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「書店ガール5 ラノベとブンガク」碧野圭

2016-06-25 23:27:50 | 小説
今回ご紹介するのは「書店ガール5 ラノベとブンガク」(著:碧野圭)です。

-----内容-----
取手駅構内の小さな書店の店長に抜擢された彩加。
しかし意気込んで並べた本の売れ行きは悪く、店員たちの心もつかめない。
一方、ライトノベル編集者の小幡伸光は、新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改ざん騒動などトラブル続きの中、期待の新人作家との打合せのために取手を訪れる。
彩加と伸光が出会った時、思わぬ事実が発覚し……。
書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第五弾。

-----感想-----
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※「書店ガール2 最強のふたり」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール3 託された一冊」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「書店ガール4 パンと就活」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

今回は宮崎彩加と小幡伸光が交互に語り手となり物語が進んでいきます。
彩加は駅ナカ書店の店長、伸光は出版社のライトノベル編集部の編集長です。
彩加が取手駅の駅中にある「本の森 取手店」に来て半年になります。
駅ナカ書店ではみんな慌ただしく本を買ってあっという間に去っていくため、機械的で味気ないやり取りに彩加は戸惑っていました。
吉祥寺の書店で働いていた時のように棚作りにこだわり文芸本にPOPを付けたりもしていますがほとんど効果がありません。
店の様子を見に来た本部の統括部長の中谷茂之からは、「自分でいい棚を作ったと思っても、売れないならそれは自己満足にすぎない」と言われていました。
彩加は自分のこだわりがこの駅ナカ書店では通用しないことにふんぎりがつかないようでした。

小幡伸光のほうの話は、伸光と亜紀、3歳になる息子の光洋が家で団らんしているところから始まりました。
亜紀の語りの物語で伸光が出てくることはありましたが、伸光の語りは始めてだったので興味深かったです。
亜紀が光洋に親バカぶりを発揮しているのを見ながら、伸光が胸中で語った言葉は興味深かったです。

親が我が子を可愛く賢いと思わなかったら、誰が思う?
自分は徹底して親バカになろう。


これは良いことを言っていると思いました。
親が子供を可愛く思うのは大切なことです。

亜紀は「本当に心に響く本を紹介すれば、きっとお客さまにも届くはず」と信じて疑わないのですが、伸光はその亜紀の純粋さがまぶしくもあり、気恥ずかしくもあるようです。
伸光によると実際には本が売れるのは版元の宣伝力や営業力によるところが大きいとのことです。
書店員によって運営される「本屋大賞」という現在日本で最も本が売れる賞があったり、書店員が手の込んだポップを作って本をアピールしていたりもするので本が売れるのが全て版元のおかげとは思えないですが、全体で見ると版元の宣伝力や営業力によるところが大きいのだと思います。

彩加は常磐線の柏駅で降り立ち、同じチェーンの柏店の店長、戸塚健太のもとを訪れます。
駅ナカ書店で「なろう系」の本を求めるお客さんがいて、柏店になら在庫があるのでそちらから回してもらおうとしました。
その際、柏店ではなろう系小説やライト文芸、さらには萌え系の美少女や異世界の戦士などのファンタジー小説が圧倒的な比重を占めていることに彩加は驚きます。
戸塚は本来文芸好きとして知られているため、彩加は「戸塚さんの店なら、一般文芸を中心に並べているのかと思っていました」と言います。
戸塚は自分の嗜好と売り場の棚とは別物と割り切っていました。
しかし彩加は割り切れずに店の運営について悩みます

彩加的にはどうしても文芸を中心に据えたいようで、次のように胸中で語っていました。

だけど、できれば自分の書店は文芸が売れる店であってほしい。そう思うのはわがままなことだろうか。ライト文芸を読むお客さんでも引き込まれるような一般文芸もある。そちらに誘導できるような店づくりをしたいと思うのは、間違っているだろうか。

やはり書店員として、そして店長として、どんなお店にしたいかのこだわりがあるようです。
しかし彩加の場合は店長として、お店を繁栄させお店で働く人達の生計を守っていく立場でもあります。
自分好みの棚を作ることにこだわり続けた結果お店が潰れてしまったのでは本末転倒です。
どこかで取手駅の駅ナカの客層に合わせたお店作りに舵を切らないといけないのではと思いました。

伸光の働くライトノベルの編集部では「疾風ノベル大賞」という賞が創設され、選考委員の三名の作家さんに最終選考をしてもらっていました。
その結果、疾風ノベル大賞は原滉一の「鋼と銀の雨がふる」に、佳作は神谷傑(すぐる)の「俺の彼女は半端なことじゃ許してくれない」に決まります。
大賞と佳作決定の場で、高遠部長が「大賞作は小幡に、佳作は森野に担当させる」と一方的に宣言してしまいます。
佳作の「俺の彼女は半端なことじゃ許してくれない」は元々契約社員の松江が「これはすごい好みです。絶対売ってみせるからぜひ自分に担当させてほしい」と言っていた作品でした。
森野は今年入社した新人で、立場の違いもあり松江は何かと森野を毛嫌いしています。
その森野が松江が担当したがっていた作品を奪うような形になってしまいました。
高遠部長のせいで編集部が揉めるかも知れないと伸光は危惧します。

彩加は高梨愛奈と吉祥寺のバル(食堂とバーが一緒になったような飲食店のこと)で待ち合わせをします。
愛奈は出身校である私立の中学で司書教諭として採用されることになりました。
書店の試験も受けていましたが軒並み落ちていました。
真奈が書店員にはならないことを彩加は胸中で寂しがっていました。
二人の会話から、彩加は沼津のトルコパン職人、大田英司との関係はあまり進展していないようでした。

その大田が彩加のお店にやってきて、彩加の勤務時間後に二人でご飯を食べに出掛けます。
「取手駅の駅ナカ書店では吉祥寺の時のようにはいかない」と現状を話す彩加に、大田は「だったら、やりがいがありますね」と言っていました。
吉祥寺の駅ビルの店ならヒットを作るのもそんなに難しくはなく彩加でなくてもできるが、取手駅の駅ナカの店で何かを起ち上げたりヒットを作るのはなかなかできることではないため、そこにやりがいがあるとのことでした。
大田はかなり前向きな人だなと思いました。
大田の言葉に勇気付けられ、彩加は取手に愛されるお店を作るべく決意します。

疾風ノベル大賞の佳作を受賞した神谷が受賞を辞退したいと言い出すまさかの展開になります。
なんと同じタイミングで別の大手出版社の賞にも応募していてそちらでも賞を受賞し、その出版社からデビューしたいので疾風ノベル大賞は辞退したいとのことでした。
疾風ノベル大賞を受賞した原は初めて小説を書いたとのことです。
それで大賞受賞とは凄いなと思います。
伸光が胸中で「書ける才能というのは生れつき備わったものなのだろう。誰に教えられなくても、書ける人は書けてしまうのだ」と言っていましたがたしかにそうなのだろうと思います。
綿矢りささんが最初に書いた「インストール」でいきなり文藝賞を受賞したことを思い出しました。

彩加のお店には田中幹(つよし)といういつも小さな声で煮え切らない返答をするアルバイトがいます。
話し方の雰囲気から、疾風ノベル大賞受賞の原滉一の正体は彩加の店のアルバイトの田中幹かも知れないと思いました。
直木賞と本屋大賞を受賞した三浦しをんさんも書店でアルバイトをしながらデビュー作の「格闘するものに⚪」を出したので充分有り得る話です。

彩加は田中幹や学生アルバイトの三浦由季奈に「お薦めの本があれば教えて。店に並べるから」と言い今までとは違う店作りのために動き出していました。

駅中書店であろうがなかろうが、本屋の喜びは同じだ。自分がいいと思う本を並べ、それがちゃんと売れることだ。それを一度経験すれば、本屋のバイトにやりがいを感じてくれるだろう。

彩加はお店に活気を出すために「勧めてくれた本をお店に並べる」という形でアルバイトを巻き込もうとします。
そして彩加の策に三浦由季奈、宮里香南(フリーター)、田中幹らが乗ってくれます。

ちなみに、「ヘイト本」という言葉が出てきたのは興味を惹きました。
これは何をもって「ヘイト(憎悪表現のこと)」とするのかがとても曖昧です。
例えば反日国家の韓国について、「死ね殺せ」と露骨にヘイト(憎悪表現)しているわけではなく、韓国の数々の反日行為について正当に指摘した本でも「ヘイト本だ」と主張する人達がいます。
特定国家に都合の悪いことを書くとそれが過激な表現ではなくても「ヘイトだ」とするのは言論弾圧に該当すると思います。
また、書店員さんの政治思想に合わない本を「ヘイト本だ」としてしまうことも可能です。
「カエルの楽園」(著:百田尚樹)が一部の書店で目立たないように置かれたりお店に並べないようにされているというのを思い出しました。

伸光のほうは、ある人物が起こした原稿改竄騒動によって苦しい状況になっていました。
それだけに、大賞受賞作の「鋼と銀の雨がふる」(著:原滉一)はライトノベル編集部の名誉挽回のためにも何としてもヒットさせなければなりません。
また、木下という営業と書店に「鋼と銀の雨がふる」を推してくれるように頼みに言った時、「改ざん騒動のために、才能のある新人の作品を埋もれさせるわけにはいかない」と熱く語っていたのも印象的でした。

前作の「書店ガール4」では彩加とともに書店員として大活躍していた高梨愛奈が今作では書店員ではなくなり、脇役になっていたのも印象的でした。
振り返れば西岡理子も小幡亜紀も時折登場したり名前が出たりするだけになり、主役は別の人になっています。
次作ではどんな物語が見られるのか楽しみにしています。


※「書店ガール6 遅れて来た客」の感想記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

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参議院選挙2016 民進党と共産党の共闘について

2016-06-23 19:05:05 | 政治
今回の参議院選挙では、民進党と日本共産党の共闘が注目されています。
一人区の選挙区で選挙協力を行い、候補者を一本化しています。
そこで今回は日本共産党がどんな政党なのか書いてみます。

まずは反社会的な団体を監視する公安調査庁が発行している「内外情勢の回顧と展望(平成28年度版)」について。
この資料において、日本共産党の名前が何度も出てきます。
一例として、日本共産党傘下の極左過激派団体「民青同(日本民主青年同盟)」が主導する安全保障法制(集団的自衛権)に反対する学生団体「SEALDs」の名前が載っているページを次に示します。



「こうした中、共産党は…」と思いっきり名前が載っているのが分かると思います。
これは日本共産党(SEALDsもです)が公安調査庁の監視対象であることを意味しています。
日本共産党は公安調査庁や公安警察も監視する極左危険団体なのです。

次に日本共産党の党の綱領について。
日本共産党は党の綱領に「日米安保条約の破棄」「自衛隊の解散」「天皇制への反対」などを書いています。
※日本共産党が公開している党の綱領をご覧になる方はこちらをどうぞ。

日米安保条約を破棄するとのことですが、破棄すると在日アメリカ軍は撤退することになり、日本の抑止力は大幅に低下します。
さらに自衛隊を解散させるとのことですが、解散すると日本の戦力がなくなってしまい、中国のように日本の領土を侵略しようとする国が侵略してきた時に国家国民を守れなくなります。
在日アメリカ軍も自衛隊もなくなれば日本は丸裸になり、日本共産党は日本の防衛力を一切なくして丸裸にしたいと考えていることが見て取れます。
そして「天皇制」という言葉は日本共産党や反天連(反天皇制運動連絡会=極左団体)など、天皇陛下を忌々しく思っている勢力が好んで使う言葉です。
日本共産党は党の綱領の中で天皇陛下について、「一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではない」と天皇陛下が日本の象徴であることに反対する考えを示しています。

これら日本共産党が党の綱領に示している主張は「反日左翼思想」剥き出しであることが見て取れます。
日本を弱体化させ潰したいという考えです。
このような反日左翼思想剥き出しで公安調査庁や公安警察も監視する政党と、民進党は手を結んでいます。
安倍晋三首相や菅義偉官房長官が「共産党と組む民進党に負けるわけにはいかない」と言っている言葉の意味はここに由来します。
公安調査庁や公安警察が監視するような人達と組む民進党には負けられないということです。

日本共産党と組むようでは民進党も末期的だと思います。
国民は一度民主党に騙され、日本憲政史上最悪の民主党政権を誕生させ酷い目に遭っています。
また騙されることがないように国民の良識を期待したいです。

参議院選挙公示 18歳と19歳に選挙権付与

2016-06-22 23:58:50 | 政治
今日は参議院選挙の公示日です。
今までは選挙権があるのは20歳以上の人でしたが、今回の選挙から18歳以上に引き下げられるため、18歳と19歳の人も選挙に参加できるようになります。

新たに選挙権が与えられた10代の人達に言いたいのは、「せっかく与えられた選挙権、まず第一に選挙に行きましょう」ということです。
もし若い人達が投票に行かない場合、政治家は投票に行かない(義務を果たさない)若い人達より、投票に行く(義務を果す)年配層を重視した政策を行うようになり、投票に行かなかったツケが自分達に跳ね返ってくることになります。

10代の人にありがちなこととして、「政治なんてダサいしよく分からない」と反体制的なポーズを取ることがあります。
これは本人としては格好良いつもりなのかも知れませんが、大人から見ると物凄く格好悪いです。
そして選挙権がなかったうちはこれでも良かったのかも知れませんが、選挙権が付与された18歳と19歳の人は単に政治を小馬鹿にしていれば良いという立場ではなくなります。
以前「平和記念公園の折鶴から見る戦争と平和」の記事に書いたように、選挙権のある人は例えば平和な社会を守っていくにはどうすべきか、具体的な方策について考える必要があります。

政治が取り組む課題は北朝鮮による拉致問題、経済政策、少子化対策、外交、安全保障(中国の尖閣諸島侵略の問題があります)、憲法改正、北方領土問題、韓国による竹島不法占拠問題など、色々なものがあります。
これらの課題について各政治家がブログやツイッター、フェイスブックなどで考えを発信しているので、それらを見てみるのも良いかと思います。
自分の選挙区の人がどんな人なのかを知ることができます。

私は若い世代のほうがネットに精通しているため年配世代よりも自分で情報を集める能力が高いのでは思っています。
なのでテレビと新聞が言っていることをそのまま鵜呑みにして信じ込んでしまう危険性は年配世代よりも低い気がします。
ネットからどんどん情報を収集し、テレビと新聞が言っていることとの差を検証したりしながら、政治家や政策について知っていってほしいです。

AKB48選抜総選挙に思うこと2 歌とダンスについて

2016-06-20 23:53:08 | ウェブ日記
AKB48については、「歌が下手」「ダンスが下手」といった批判があります。
私的にも特段上手くは見えないです。
ただこれはAKB48の元々のコンセプトが「手の届く身近なアイドル」といったものな点に注目です。
圧倒的な歌や圧倒的なダンスで魅せる神がかり的なアイドルやアーティストではなく、だいぶ身近な存在として売り出しています。
その身近さがファンに愛されていると見たほうが良さそうです。
なのでこのグループに歌やダンスの切れを求めるのは間違いなのだろうと思います。
歌やダンスの切れを求める場合は他のアイドルやアーティストに目を向けたほうが断然良いです。

例えば歌の切れで見ると、現役最強クラスの歌唱力と思われるSuperflyさん辺りと比べると大幅に見劣りします。
それでもファンが大勢いるのは、ファンの人達が求めているものが「圧倒的な歌唱力」ではなく「身近さ」だからなのだと思います。
AKB48の「身近さ」はアイドルの一つの形として多くのファンを獲得しているようです。
絶頂期の2010年頃と比べると勢いの衰えは感じるものの、依然としてファンは大勢いるのだなと思いました。
ただし絶頂期からの衰えが見えるだけに、歌やダンスという基礎パフォーマンスの向上は常に意識したほうが良いと思います。
従来のやり方がファンに飽きられてしまった場合、そこから新たにファンを獲得しようとした時には歌やダンスで惹き付けることが必要になってきます。
AKBといえば明るく楽しい曲のイメージなのでそこは大事にしながらステップアップするのが良いのではと思います。
選抜総選挙で2位になった渡辺麻友さんという方がスピーチで興味深い発言をしていたようです。

「今、AKB48はピンチだと思います。たくさんの先輩方が卒業していて、今いるこのメンバーだけではカバーできないところも出てきました。でも私は、先輩方が作ってくださったAKB48をこのまま終わらせたくありません」

自らのグループの衰えを認めて言葉にしている人がいるとは驚きました。
グループの屋台骨となるのはこういう人なのではと思います。
この渡辺麻友さんという方も近々卒業するのではと言われていますが、この人がもうしばらくの間グループにいるのであれば、日々の歌やダンスの稽古の大事さをグループの人達に伝えていくのではという気がしました。
「このまま終わらせたくない」という言葉は卒業していった先輩方とともに自らも初期の頃から活動して絶頂期を見てきたからこその言葉であり、グループに誇りを持っているのだと思います。
そして誇りを持ちつつ、今のグループに絶頂期ほどの勢いはないことを受け止め、向き合っているところが偉いと思いました。

AKB48選抜総選挙に思うこと

2016-06-18 23:59:52 | ウェブ日記
今日は第8回AKB48選抜総選挙がありました。
2009年に始まった選抜総選挙も8回目となりもうそんなに経ったのかという心境です。
選抜総選挙当日の今日まで特に注目していなかったのですが、ツイッターで選抜総選挙のことが話題になっていたのでどんな結果になったのか興味を持ちました。
開票の結果、選抜メンバー入りとなる上位16人は次のようになりました。

1位 指原莉乃
2位 渡辺麻友
3位 松井珠理奈
4位 山本彩
5位 柏木由紀
6位 宮脇咲良
7位 須田亜香里
8位 島崎遥香
9位 兒玉遥
10位 武藤十夢
11位 横山由依
12位 北原里英
13位 向井地美音
14位 岡田奈々
15位 高橋朱里
16位 にゃんにゃん仮面
次点17位 峯岸みなみ

16位のにゃんにゃん仮面は小嶋陽菜さんの別名義のようです。
こうして見ると、AKB48がトップアイドルへとかけ上がって行った時代(2009年~2010年頃)を支えた結成初期の頃からのメンバーはほとんど卒業していることが分かります。
いわゆる「神7」と呼ばれたメンバーのうち、残っているのは2位の渡辺麻友さんと16位のにゃんにゃん仮面こと小嶋陽菜さんの二人です。
その小嶋陽菜さんは総選挙後、AKB48を卒業することを表明しました。
そして渡辺麻友さんも来年の選抜総選挙には出ないと明言しているらしく、卒業発表が近そうです。
近々いわゆる「神7」と呼ばれたメンバーが全員AKB48を去ることになり、一つの時代が幕を閉じます。
不祥事がありながらも地道に活動していた同じく初期の頃からのメンバー、峯岸みなみさんも近々AKB48を卒業するようです。

私はAKB48が黄金期を迎えた2010年に、この後はどんどん衰えていくのだろうなと思いました。
しかし予想外に、そこから6年経った今でもAKB48はトップアイドルとして活躍しています。
これは凄いことです。
ただし紛れもない絶頂期であった2010年頃と比べるとやはり勢いの衰えは感じます。
選抜総選挙にもマンネリ感があります。
「散り際の美しさ」ですっぱりとグループを解散するか、人気の陰りを受け止めながら納得がいくまで走ってみるか、どちらも間違ってはいないと思います。
私は「ONE PIECE」の白ひげのように、かつて最強を誇った人が時の流れによる衰えで最強ではなくなってしまっても、最後まで自身に誇りを持つというのは嫌いではないです。
AKB48がどんな道を歩むのか注目しています。

ブログのシステムメンテナンス

2016-06-15 23:39:27 | ウェブ日記
昨日はgooブログのシステムメンテナンスがありました。
12時に終わるはずが14時に延び、さらにその後ブログにアクセスしずらい状態が夜になっても続いていました。
過去にシステムメンテナンスがあった時も予定どおりには終わらずに長引いたり、ブログに何らかのトラブルが生じたりしていました。
システムメンテナンスをするとかなり高い確率ですんなりとは終わらないようです。
たぶんメンテナンスしても大丈夫かどうか事前にシミュレーションしてから臨んでいるはずですが、それでも上手く行かないのだろうと思います。

こんな時システムエンジニアは大変だと思います。
どうにかして不調の原因を突き止めないとブログサービスを正常にすることができないです。
何人ものシステムエンジニアが激闘を繰り広げたのではと思います。
幸い今日のgooブログはアクセスしずらい状態が解消されていました。
無事に直ってくれて良かったと思います。
そして次にシステムメンテナンスがある時は何とかトラブルなく終わってほしいと思います。