読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

帰省

2016-04-30 20:18:22 | ウェブ日記
ゴールデンウィーク初日の昨日は帰省のお土産を買いに出掛けていました。
今回は新たなもみじ饅頭をお土産にするのも良いかなと思い、普段お土産に買う「にしき堂」「藤い屋」に加え、宮島にある「坂本菓子舗」のもみじ饅頭も買いました。
ここのもみじ饅頭は和の趣きの強いこだわりの餡が特徴です。
通年で売っているこし餡のほかにこの時期は春の「さくら餡のもみじ饅頭」と夏の「宇治金時の抹茶餡もみじ饅頭」を買うことができます。
三種類全部買っておきました。

そして今日は埼玉の実家に帰省しました。
始発から2本目の5時台の電車に乗ったのですが、そんな早い時間でも既に空には明るさがありました。
着実に季節は進み「初夏」になってきていると思います。
私は新緑が青空に映え日もどんどん長くなっていく初夏の時期が一番好きです。

さすがにゴールデンウィークとあって広島から東京に向かう新幹線は始発から2本目の早い時間帯でもやや混雑していました。
ただ満員ではなかったので良かったです。
また東京駅の新幹線改札では、これから新幹線に乗って田舎に帰省したりどこかに出掛けたりする人達がたくさんいて混雑していました。
昨年のゴールデンウィークでも見た光景で、やはりGW期間中の新幹線改札は混むなと思います。

天気予報を見ると明日からの3日間は晴れるようです。
4日は雨が降るようですが、その後はまた晴れてくれるようで、今年のゴールデンウィークは比較的晴れの日が多そうです。
明日は家族で出掛けることになりました。
2日と3日は晴れ予報なので散歩をしたいと思います。
無事に帰省したことですしゆっくり過ごそうと思います。

「サーカスの夜に」小川糸

2016-04-29 21:16:26 | 小説


今回ご紹介するのは「サーカスの夜に」(著:小川糸)です。

-----内容-----
離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。
忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。
クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。
少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。
心躍る物語。

-----感想-----
小川糸さんの作品は初めて読みました。
語り手の「僕」は13歳。
生まれつき深刻な病気を患っていて、その病気は薬のおかげで治ったのですが、薬の影響で体が大きくならなくなってしまいました。
年齢は13歳ですが体の大きさは10歳くらいです。
両親が離婚しどちらも「僕」を引き取らなかったため、「僕」はグランマ(祖母)と一緒に暮らしていました。

ある日「僕」は「レインボーサーカス」というサーカス団に興味を持ちます。
13歳の誕生日、お祝いをしてくれたグランマとアパートの一階のタバコ屋のおじさん二人の前で「僕」はレインボーサーカスに入団したいという思いを伝えます。
これを聞いたグランマは猛反対。
「あそこは、いかがわしい人間が集まる卑しい場所だよ。人さらいの集団に自分から飛び込むなんて、そんな馬鹿げた真似…」と言っていました。
しかし「僕は、小さいからサーカスに入りたいんだ。一生、チビだからだよ」と言う主人公の決意は固く、レインボーサーカスに向かっていきました。

「僕」がレインボーサーカスで最初に世話になったのはローズとトロ。
二人は付き合っていて、「僕」がレインボーサーカスの敷地内で倒れているところを助けてくれました。
敷地は「番外地」にあり、団員達はそれぞれ野原に「箱」と呼ばれる移動式の住居を設営して暮らしています。
「僕」との会話の中でローズの両親もローズがサーカス団員と結婚すること、さらにはサーカス団に属すること自体に反対しているとありました。
グランマと同じ反応で、どうやら世間的にサーカス団は快く思われていないようでした。
これには「サーカスを見るのは良いが自分の関係者がサーカス団に属するのは嫌」というタイプと、「サーカス自体が野蛮で嫌」というタイプがいるかと思います。
水物の職業なのでそういった目に晒されることが結構あるようです。
ふと石原慎太郎元東京都知事がオーディションに合格した大道芸人に免許証を発行して公共の場での大道芸を正式に認め、大道芸人の地位向上を目指していたことを思い出しました。

レインボーサーカスの団長に「入団させてくれ」と直訴した「僕」は「まずはレインボーサーカスを見て感想を言ってみろ」と言われます。
「僕」はしばらくの間コックのところに身を寄せることになりました。
コックは団員達の食事を一手にまかなっている人です。
またコックによるとレインボーサーカスは家族経営のファミリーサーカスで、団員にはいとこやはとこ、兄弟、姉妹、おじさん、おばさんの間柄の人がたくさんいるとのことです。
ちなみに団長はトロの父親です。

年末にクリスマス特別公演が行われ、ここで「僕」は初めてレインボーサーカスが行うサーカスを見ることになりました。
空中ブランコ、その空中ブランコと空中ブランコの間を飛翔する名物ペンギン、椅子をどんどん高く積み上げてその上に立つ老人、綱渡りなど、レインボーサーカスは命綱を付けないため命懸けのショーになるものがいくつもあります。
「僕」は特別公演を見てその素晴らしさに感動しました。

クラウンとピエロの違いは興味深かったです。
トロがピエロの格好をしていたので「僕」がローズに「トロってピエロの役だったんだね」と聞いたところ、「そうよ、少年。でも、正確にいうと、トロがやっているあの役は、クラウンっていうの」と言っていました。
クラウンは道化のことで、バカ、のろま、田舎者、おどけ者といった役回りとのことです。
ピエロはクラウンの一種で顔に涙のマークが入っていたらそれがピエロの証で、クラウンより更にバカにされる要素が強いボケ役とありました。
涙マークはバカにされながら笑われている心の悲しみを表す印とあり、単に笑われる役どころに見えるピエロも実は奥が深いなと思いました。

サーカス団員になれるかどうか不安になっている「僕」にローズがかけた言葉は印象的でした。
「少年、あなたが想像できることは、実現できることよ。道は、自分で切り開くものなんだから!」
私はこれを見て、漫画「ONE PIECE」に出てきた物理学者ウィリー=ガロンの言葉「人が空想できる全ての出来事は起こりうる現実である」が思い浮かびました。
全体での意味は違いますが「思い描いたことが現実になる」という点での意味は同じです。
そして「僕」の場合、思い描いたことは、実現させるべく努力すれば、実現できる可能性は充分あるということです。

やがて「僕」は入団を認められ、まずトイレ掃除を担当することになります。
コックの手伝いも引き続きやっていて、「オニオングラタンスープ」が出てきた時に「これは美味しそうだな」と思いました。
またレインボーサーカスには「リングリングドーナツ」という、団長の奥さんであるマダムが作っている名物ドーナツがあります。
これも食べてみたいと思いました。
ちなみに温度計がマイナス30度を示すシーンがありかなり寒さが厳しいようで、そうなると作品の舞台はロシアのほうかなと思いました。

物語が進んでいくと、今まで「僕」のことを小僧としか呼んでいなかった団長が「少年」と呼んでくれるシーンがあります。
こういうシーンが出てくると物語が変わっていくのだろうなという予感がします。
やがて団長にトイレ掃除とコックの手伝いだけではなく技の練習を始めることを認められます。

レインボーサーカスは巡業ごとに名前をよく変えていて、その中の一つに「太陽サーカス」という名前があります。
太陽サーカスは「僕」も過去に見たことがあってその時のことを団長に話すのですが、なぜか団長はその話題に乗り気ではなく、太陽サーカスに嫌な思い出があるようでした。
過去にどんなことがあったのか気になりました。

レインボーサーカスはたくさんお客さんが来ることもありますが、ガラガラになってしまうことも多いです。
「僕」はそのガラガラぶりにショックを受けていました。
コックが「落ち込んでいる時は甘い物を食べるのが一番いい」と言っていて、これはそのとおりだと思いました。
甘いものは気分をホッとさせてくれます。

レインボーサーカスの宿敵として「スーパーサーカス」というサーカス団が出てきました。
場末のサーカス団であるレインボーサーカスと違ってスーパーサーカスは超一流のサーカス団であり、チケットの料金も比べ物にならないくらい高いです。
予期せぬ形でスーパーサーカスのプレミアムチケットが手に入り、偵察をかねて「僕」がスーパーサーカスを見に行っていました。
たしかに規模や設備はスーパーサーカスのほうが断然上ですが、スーパーサーカスを見たことで「僕」はより一層レインボーサーカスへの思いを強くしていました。

物語が進んでいくとある事故によってレインボーサーカスは窮地に立たされます。
お客さんの入りもどんどん減っていきました。
さらに団長とレインボーサーカスの花形団員の対立も起き、苦しい状況になりました。

この作品では過去を振り返る時に一人、物語が進んでいく中で一人、合計二人の人が亡くなっています。
過去のほうは良いのですが、物語が進んでいく中で亡くなった人はだいぶ唐突だなと思いました。
私はこの場面を見て、綿矢りささんが第130回芥川賞を受賞した時、候補にはなったものの受賞はできなかった島本理生さんの作品への選評が思い浮かびました。
当時私は文藝春秋を買って第130回芥川賞がどのように決まったのかじっくり読んでいたのですが、選考委員の一人が島本理生さんの作品について「人を死なせればいいというものではない」というようなことを言っていたのが印象に残っています。
「サーカスの夜に」では作品が進む中で人が亡くなったことで、その後の宴会が「スターウォーズ エピソード6」のエンディングのような楽しさと切なさが入り混じった独特なものになっている良さはあったものの、その人物を唐突に死なせる必要はあったのかという疑問は残りました。

また、「僕」が「なぜだか分からないが泣きそうになった」という描写が何度もあったのも気になりました。
主人公が13歳から14歳にかけての一年間の物語で年齢が若いため「なぜだか分からないが泣きそうになった」という表現にしたのかなと思います。
たしかにそんな心境になることはあります。
ただし何度も出したことで違和感を覚えたので、一回だけにするか二回目は表現を変えたほうが良かったかも知れません。

終盤、コックが良いことを言っていました。
「仕事は、あくまでも仕事なんだ。誰かに仕えてこそ、成り立つものだよ。自分も相手もどっちも楽しい仕事なんて、そうそうありゃしない。仕事っていうのは、たいてい苦しくてつまらないものさ。その中から、小さな喜びややりがいを見出すことに意味がある」
少年はまだ年齢が若いため納得していないようでしたが、これはそのとおりだと思います。
自分で事業を起こした場合や純粋に仕事を楽しめている場合など例外はありますが概ね的を得た意見です。

異国の地のサーカス団が舞台という珍しい作品世界だったので読んでいて新鮮でした。
ショーだけ見ていると凄く楽しく見えるサーカスもその裏では凄まじい努力をしていたり色々な葛藤があったりします。
「僕」にはぜひ選んだ道である「綱渡り」で立派な綱渡り師に成長していってほしいと思いました。


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明日からゴールデンウィーク

2016-04-28 20:10:15 | ウェブ日記
明日からゴールデンウィークになります。
今年はありがたいことに10連休になりました。
ゴールデンウィーク初日となる明日は帰省のお土産を買いに出掛けます。

連休中は埼玉の実家で慎ましやかに過ごそうと思います。
午前中は雨が降っていなければ10時前に散歩に出て外を歩きたいところです。
適度な散歩は健康に良いですし、外を歩くと気分が爽やかにもなります。

午後は主に読書をしようと思います。
ゴールデンウィーク中に何冊か読めると良いなと思います。

そしてもし妹夫婦が来れば先日2歳になった姪っ子の姿を見るのも楽しみです。
結構言葉を話すようになってきたらしいので、2月に会ってからどんな成長を見せているのか気になるところです。
というわけで10連休、ゆっくり休んで楽しみたいと思います

健康診断

2016-04-27 18:21:53 | ウェブ日記
今日は健康診断に行きました。
もしかするとお年寄りの方などで混んでいるかなと思いましたがそれほどでもなかったので良かったです。

体重が予想外に増え気味だったのが驚きでした。
私の場合は体重が変動しやすい傾向にあるため、気をつけていないと知らないうちに3~4kg増えてしまうことがあります。
年明けからしばらくは気をつけていたのですがここ最近は食べ過ぎ気味になっていたのが影響したようです。
そんなわけで、今日からまた意識して元に戻そうと思います。

そして以前書いたことがありますが、私は採血との相性が悪いです。
採血すると気分が悪くなることがよくあります。
なので今回もベッドに寝て採血しました。
そのおかげで昨年に引き続き気持ち悪くならずに済んで助かりました。
無事に今年の健康診断が終わったことですし、体重調整を意識しながらまた一年健康に過ごしたいと思います。

美容室で話が弾む

2016-04-25 23:56:08 | ウェブ日記
先週の金曜日、仕事帰りに広島にある美容室に行きました。
最初は土曜日か日曜日にしようと思ったのですがどちらも普段カットしてもらう美容師さんの都合がつかず、金曜日に行くことにしました。

美容室に行ってカットが始まった時、美容師さんが「今日は仕事帰りですか?いつもなら土日のどちらかに来ていますよね」と話しかけてきました。
この方はエッジの効いた雰囲気の女性で普段は淡々とカットをしあまり話さない人なので意外に思いつつ、「そうです、仕事帰りです。昨日電話で予約した時に土日が無理のようだったので今日にしました」と話しました。
そこからかなり話が弾む展開になりました。
こちらの美容室に来るようになって一年になるという話から元々の出身はどちらだったかの話になり、それならと「そちらは元々広島の出身なのですか?」と聞いてみると島根県の出身とのことでした。
山沿いの豪雪地帯に実家があり、冬はかなり雪が積もるとのことでした。
なので冬場は帰省せず、春になってから帰省するとのことです。
さらにちょうど前日まで帰省していて広島に戻ってきたばかりで、カットしてもらうにはこの金曜日が絶妙のタイミングだったことが分かりました。

島根県には出雲大社があり凄く興味があるので、出雲大社には行ったことがあるのか聞いてみるとあるとのことでした。
やはり凄く神聖な雰囲気のようで興味を惹きます。
また、松江城の話にもなり、そちらは小学校の社会科見学で一度行っただけとのことでした。
これはよく分かる話で、私も東京に6年住んでいたものの、スカイツリーには「いつでも行けるしいいや」と思っているうちに引っ越すことになってしまい、「近場だといつでも行けるという意識が働いて意外と行かないことがある」というのを話しました。

美容師さんはスカイツリーは浅草とセットで観光しに行ったことがあるとのことでした。
「スカイツリーの周りは東京なのに意外とビルとかがなくて静かな場所ですね」と言っていたので、「スカイツリーはテレビ局などの電波を飛ばす電波塔の役目を持っていて、周りに電波を飛ばすのを邪魔してしまう高いビルなどがないほうが良いため、あの場所が選ばれている」というのを話しました。
また、この時の観光では東京駅があまりに広く道に迷ってしまい、新幹線に乗るのが発車ぎりぎりになってしまったと言っていました。
たしかに東京駅の広さは半端ではなく、慣れていなくて時間に余裕もない時は焦ると思います。

ゴールデンウィークの話にもなりました。
私は10連休にできそうなのですが、美容師さんは5月3~5日の3日間だけとのことでした。
ただゴールデンウィーク期間中はどこかに出掛けている人が多く、美容室はそれほど混まないとのことでそれは良かったと思います。

徹夜の話にもなりました。
島根県への帰省は車で3時間以上かかり、以前は夜中に移動してあまり寝ずに朝になっても大丈夫だったのが、最近は疲れるので無理とのことでした。
これは私もよく分かる話で、10代や20代前半の頃は問題なかったですが30代になった今は睡眠不足になるとかなり疲れがきます。
無理はしないほうが良いです。

このように、金曜日に美容室に行ったのがきっかけとなり、かなりたくさん話すことになりました。
ふとしたきっかけで会話が弾むのも良いものだと思います。
終始話していたため、あっという間に時間が過ぎてカットが完了しました。

「遠くの声に耳を澄ませて」宮下奈都

2016-04-24 17:35:00 | 小説


今回ご紹介するのは「遠くの声に耳を澄ませて」(著:宮下奈都)です。

-----内容-----
私は一人でどこへでも行ける。
そんなことも忘れていた―。
新しい一歩を踏み出す覚悟をくれた南の島の空。
恋を静かに終わらせた北の大地の湖。
異国から届くラジオの声に思いを馳せた豊かな記憶。
淡々とした日常を一変させる「旅」という特別な瞬間は、気持ちを立て直し、決断を下す勇気をくれる。
人生の岐路に立つ人々をやさしく見守るように描く、瑞々しい12編の傑作短編集。

-----感想-----
第13回本屋大賞を受賞したことで各書店で「羊と鋼の森」が売り出されている宮下奈都さん。
書店によっては他の宮下奈都さん作品も一緒に並べていて、そこで見かけた「遠くの声に耳を澄ませて」はまだ読んでいなかったので今回読んでみることにしました。

物語は12編の短編で構成されています。
最初はそれぞれ全く別の物語かと思いましたが、読んでいくと短編の登場人物同士につながりがあったりしました。
なので読み進めていくうちに「この語り手は以前の短編の誰かと関係しているのか?」と気になるようになりました。

「アンデスの声」
語り手は瑞穂。
ある日、瑞穂の祖父が倒れたと、祖母から電話がかかってきます。
動揺する瑞穂から電話を代わった母から祖父の状況を聞き、二人は祖父が入院した病院に駆けつけます。
病院に向かう車の中で瑞穂は、電話を受けた時に突如頭の中に広がった遠い記憶について思いを馳せます。


「転がる小石」
語り手は梨香。
冒頭、陽子から電話がかかってきます。
陽子は調子がよくない時に限って笑うとあり、一つ前に読んだ「明日になったら 一年四組の窓から」にもそういった人がいたので印象的でした。
その陽子が梨香に波照間島(はてるまじま)に来ないかと誘います。
ただし陽子とは最近は気まずい関係になっていて、梨香は「もうこの人と会うことはないだろう」と考えていました。
波照間島は沖縄県の八重山諸島にある日本最南端の有人島です。

梨香は先日、恋人に振られてしまいました。
陽子と電話で話しながら、その恋人と陽子を思い浮かべながら梨香が胸中で思った言葉は印象的です。
笑ったり泣いたり怒ったり、感情を素直に出せるのは相手に恵まれているときなのだ。
これはそのとおりだと思います。

陽子とはパン教室で知り合いました。
そのパン屋の主人の圧倒的な熱心さに梨香は衝撃を受けます。
世の中にはいろんなすごい人がいて、ぱっと思いつくアイデアのすごい人もいれば、地道な作業を淡々とこなすパン屋の主人みたいな人もいる。
あたりまえといえばあたりまえなのに、ぱっとするほうに目を奪われて、パン屋の主人に気づかない。

これは良い言葉だと思いました。
目に付きやすいほうに気を取られがちですが、目立たず淡々としていながらも凄い人というのがいます。

怖がっていたものの正体を見極められたなら、もう、新しい一歩を踏み出しているってことだ。
これもかなり良い言葉です。
正体を見極めるのは自分自身の心と向き合うということで、簡単そうで難しいことです。
それが出来たなら、今までの場所から一歩踏み出せていると思います。


「どこにでも猫がいる」
語り手の「私」に名前は出てきませんでした。
冒頭、ずっと一緒に暮らしてきた元彼から「どこにでも猫がいます」という葉書が来ます。
消印はイタリアで、元彼はイタリアに行っています。

「私」はイタリアについて、
「私のイタリアは、今も昔もミラノではない。フィレンツェでもローマでもない。イタリアと聞いて人が思い浮かべるよりずっと南、長靴でいえばつまさきのあたりで海に浮かぶ島、シチリア島がそれだ」と言っていました。
このシチリア島については名前は聞いたことがあり、海に浮かぶ島ということで気色が良さそうです。
「私」は遠い記憶に思いを馳せます。
また、この元彼にはちょっとした仕掛けがあり、その正体と、彼が取った行動の意味に驚かされました。


「秋の転校生」
語り手は「僕」。
みのりという鳥取県出身の子と付き合っています。
「僕」はみのりから蔵原佐和子と付き合っているのではと疑いを持たれています。
仕事で北陸の街に降り立った「僕」は商談をするのですが、その別れ際、相手の方が言った「なまた」という方言に興味を持ちます。
なまたは「ほんならまた」が縮まった方言ではとのことでした。


「うなぎを追いかけた男」
語り手は看護師の蔵原。
妹は佐和子で、「秋の転校生」に名前が出てきた人でした。
妹の佐和子は要領が良いですが、姉の蔵原はそうでもありません。
また、蔵原は患者からよくナースコールで「指名」され、あれこれと愚痴や悩みを聞かされたりすることがよくあり、精神的に疲れ気味のようでした。

この話にはかつてうなぎについて研究していた「濱岡」という男が登場します。
今は病気で蔵原の勤める病院に入院していて、「どこにでも猫がいる」の「私」が暮らすマンションの管理人でもあります。

探しても見つからない。
考えてもわからない。
そういう大きなものに押しつぶされないように私たちはただ生きていく。


蔵原のこの言葉は印象的でした。
考えても分からないことを考えても詮無きことですし、そのことについては考えないほうが良いと思います。
また、考えが浮かんできてしまうのは仕方ないことなので、そんな時はその考えを横にどかし、気分転換することが大事です。


「部屋から始まった」
語り手は依子。
依子はOLで、職場の昼休み、女子社員でご飯を食べながら談笑していました。
その中に佐和子がいて、依子は佐和子のほうを見ながら可愛い子だと思いながらも、「この人がこっそり北村さんと」と考えていました。
どうやら佐和子は北村さんという人とこっそり付き合っている疑惑があるようでした。

依子は北村が好きですが、北村のほうは全く興味がないようです。
精神的なものなのか、依子は体に不調を感じていて、台湾に居るという「目を見て脈に触れるだけでどんな身体の不調もぴたりと言い当てる医者」に診てもらおうと思い、台湾の首都台北(タイペイ)に行きます。
台湾の医者はこの話の中では伊東さんというOLが言っていたし、他の話にも名前が出てきていて気になる存在でした。


「初めての雪」
語り手は美羽。
美羽の友達として「転がる小石」で語り手だった梨香が登場し、冒頭から二人で話していました。
そして美羽は梨香の薄ぼんやりした不自然な様子が気になっていました。
美羽によるともともと梨香はしっかり者で大学時代は「級長」と呼ばれていて、今の梨香の様子は明らかにおかしいようです。
一体梨香の身に何が起きたのか気になるところでした。


「足の速いおじさん」
語り手は七海。
七海は塾の講師をしていたのですが激務に嫌気が差し退職し、四ヶ月ほど前から繭子という中学生の家庭教師をしています。
しかし繭子は全然勉強をせず、隙を見つけては公園にいるという「足の速いおじさん」の話ばかりしています。
最初はどうでも良いと適当に聞き流していた七海だったのですが、次第にそのおじさんの正体が気になります。
もしかすると、七海と関係のある人物かも知れないと思ったのです。
話が進むにつれおじさんの正体に迫っていきました。

やがて、塾の講師を退職したことでやや自信を無くし気味だった七海はおじさんの調査をする中で祖母から色々な話を聞き、気持ちに整理がつきます。
次はある。強く信じさえすれば、次は必ずある。
自身のこれからに明るい気持ちを持って終わってくれたのが良かったです。


「クックブックの五日間」
語り手は碓井。
碓井の仕事は料理を作ることと、その作り方を本に書くことです。
ある日、インタビュアーの女性が来て、碓井が料理を始めたきっかけの話になり、碓井はそのきっかけについて北海道の朱鞠内湖(しゅまりないこ)と答えていました。
碓井が20歳だった当時、大学の研究室に勤める助手職の彼氏と逃避行のような形で朱鞠内湖に来ていました。
この大学の研究室に勤める助手が「うなぎを追いかけた男」に出てきた濱岡の若き日の姿でした。


「ミルクティー」
語り手は原田真夏。
真夏は「秋の転校生」に登場したみのりと高校の同級生であり、ある日後輩の高野にずっと好きだったので付き合ってくれと言われます。
戸惑いながら「ごめん」と断った真夏。
そんなこともありふとした時、かつてみのりと「コーヒーと紅茶」について話していた時のことを思い出します。

「真夏はコーヒー向き。コーヒーって、これからのための飲みものって感じがするもの」
「じゃあ、紅茶はどうなの、何のための飲みものなの」
「紅茶は、どちらかというと、振り返るための飲みものなんじゃないかなあ。何かをひとつ終えた後に、それをゆっくり楽しむのが紅茶」

この「コーヒーはこれからのための飲みもの。紅茶はこれまでを振り返るための飲みもの」というのが凄く印象的でした。
たしかにコーヒーは何かする前に飲む印象があり、紅茶はほっと一息つく時に飲む印象があります。
そして真夏は自身が何気なく口にした言葉からみのりと口論になり、疎遠になってしまったことを思い出していました。


「白い足袋」
語り手は咲子。
「アンデスの声」で語り手だった瑞穂の又従妹です。
冒頭、「かぺかぺ」という言葉が出てきました。
かぺかぺとは方言で、「表面をつるんとコーティングされて、かぺっと光る様子を表している」とのことです。
田舎出身で現在は都会で暮らす咲子は都会の街の明るさをこの「かぺかぺ」で表していました。

ある日、留守電に母からのメッセージが入っていました。
今度の土曜日に又従妹の瑞穂の結婚式があり、咲子が帰省する時にはお土産を買ってきてくれというものでした。
ちなみに咲子は母の電話が憂鬱です。
ある時期、故郷近くの海が埋め立てられて発電所ができる件で母から頻繁に電話があり、発電所反対の意見をまくし立てていました。

「ほやけど電気は居るんやろ。みんな今の生活レベルを落としたくないと思ってるんやろ。日本のどこかでつくらなあかんのなら、うちらの町にだけは嫌やなんていうの、わがままなんでないか」
咲子がこう言ったところ母はひどく嘆き、以来ぎくしゃくした関係になっていました。
また、この故郷は宮下奈都さんの出身地である福井県ではと思いました。
瑞穂の結婚式のために帰省した咲子は花嫁の瑞穂の衣装の中で足袋が足りないというアクシデントに遭遇し、足袋を買いに行くことになります。


「夕焼けの犬」
語り手は比々野先生。
比々野は「うなぎを追いかけた男」に登場した蔵原と同じ病院で働く医師で、ある日屋上に行くと蔵原に遭遇しました。
蔵原は比々野が「一瞬誰だか分からないほど生気の削がれた顔」と形容するほど疲れた様子でした。

同じく疲れ気味の比々野に対し、看護師の三上が言った言葉は印象的でした。
「だから、先生、たまにはゆっくり休んでください。整理のつかない気持ちが溜まっていくと、身動きが取れなくなりますよ」
これは良い言葉だと思います。
整理のつかない気持ちが溜まって身動きが取れなくなる前に、休んだり出かけたりして気分転換することが大事です。

比々野が屋上から帰ってきてしばらくしても蔵原の姿が見当たらず、もしやと思ってもう一度屋上に行くとそこには蔵原の姿がありました。
幸い比々野の姿を見た蔵原は微笑んでいて、最初に見た深刻な気配はなくなっていました。
蔵原は亡くなった患者に対し、屋上で気持ちに整理をつけていました。
感情を軽く流すのが苦手でまともに受け止めることが多い蔵原ですが、自身に合った気持ちの整理のつけ方を持っていて良かったです。
全12編の最後となるこの話が爽やかな終わり方をしていて読後感も良かったです


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「明日になったら 一年四組の窓から」あさのあつこ

2016-04-23 19:36:26 | 小説


今回ご紹介するのは「明日になったら 一年四組の窓から」(著:あさのあつこ)です。

-----内容-----
中学二年から三年に進級した井嶋杏里、市居一真、里館美穂、前畑久邦の仲良し四人組。
高校進学を前にして、それぞれの夢に向かって突き進もうとする四人の前に、新たな壁が立ちはだかる。
将来への不安、新しい環境への不安に押し潰されそうになりながら、かけがえのない友だちと家族に支えられ悩みながらも成長する十五歳を描いた、あさのあつこの青春傑作小説。

-----感想-----
※「一年四組の窓から」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

この作品は次の四編で構成されています。

桜吹雪の下で
光に向かって手を伸ばし
それぞれの道を
ここからの風景を

「桜吹雪の下で」は満開の桜のもと、杏里と美穂が外掃除をしている場面から物語が幕を開けます。
春になり、杏里たちは中学三年生になっていました。
杏里と美穂は三年二組、一真と久邦は三組です。
杏里が桜の花びらを見て胸中で思ったことが興味深かったです。
一枚一枚は白く透けるほど薄いのに、集まるとほんのりとピンク色になる。
これはそのとおりで、私も不思議に思ったことがあります。
一枚一枚は儚くてもたくさん集まると華やかな色合いを発揮するのが桜らしくて良いと思います。

杏里は美穂、一真、久邦の三人に出逢えたことに思いを馳せます。
三人といると楽しい。疲れないのだ。話題を合わさなければならないとか、空気を読まなきゃとか、心に思ったこと感じたことをそのまま口に出さないよう気を付けるとか、そういう気配りをいっさいしないですむ。
今作は冒頭から杏里の言葉が良いなと思いました。
芦藁第一中学校に転校して来てこの三人に巡り逢えて本当に良かったと思います。

美術部に所属し、将来は絵の道に進みたいという夢を持っている一真はこのごろスランプになっていました。
杏里をモデルに描いている人物画が思うように進まなくなっています。
自分の描きたいものと描いた作品が全然別のものになってしまうとあり、さらに「そのくせ、自分がどんな絵を描きたいのか分かっていない」とありました。
自分がどんな絵を描きたいのか分かっていないのに「描きたいもの」が描けるはずはなく、袋小路に迷い込んでいるようでした。

久邦は五月にある市の陸上競技大会に向けて猛練習をしていました。
この大会で上位の成績を収めた者は県大会に出場できるのですが、三年生である久邦は県大会に出場できなければ引退となります。
陽気な久邦にしては珍しくしんみりと「もうちょっと、走っていたいんだよな」と言っていました。
中学校の部活動は多くの人にとって人生において初めて「引退」という言葉を使うことになるのではと思います。
まだ引退したくないという気持ちは10代の青春が表れていて良いと思います。

また、久邦は「今、この時」を重視していて、一真と話している時に「今十四歳で、今年は十五になる。十四の走り、十五の走りってのは、今しかできない。今の自分にしかできない走りと別れたくない」と言っていました。
これを聞いて一真は刺激を受け、「今の自分にしか描けない作品があるはず」と思うよあうになります。

美穂から、色々あって友達付き合いが嫌になり不登校気味になっていた時のことを話してもらった際の杏里の心境は印象的でした。
縮こまる前に、笑われるのを恐れる前に、誰もわかってくれないと口をつぐむ前に、しゃべってみよう。言葉にすれば誰かに伝わるかもしれない。思いもかけない人に届くかもしれない。そう信じることは、自分の明日を信じることだ。
これは前作の「一年四組の窓から」から杏里の心の中にある思いです。
たしかに自分の心の中で思っているだけでは誰にも届かないですが、言葉にすれば誰かに届く可能性があります。
その言葉を真剣に聞いてくれる人がいるものです。


「光に向かって手を伸ばし」は季節が夏になり、美穂が語り手になります。
三年前に美穂の両親は離婚し、父は家を出て行きました。
ただ離婚してからはたまに会うと仲良く話せるようになり、母は「パパとママはお互いの間に距離が必要だった。その距離があれば、とても仲良く付き合える」と言っていました。
それは「人と人との距離」で、美穂も中学生になってこれで悩むことになりました。

美穂は栄養士になりたいと考えていて、進路の第一志望は西堂高校の栄養科です。
西道高校の栄養科は倍率が高いのですが、美穂はこの大事な時期に成績が下降していました。
その理由は西堂高校に入ると杏里と離ればなれになってしまうことに悩んでいたからでした。
それまで女子の友達付き合いに嫌気が差し不登校気味になっていた美穂にとって杏里の存在は極めて大きく、かけがいのないものでした。

また、前作で一真への想いを諦めたかに見えた美穂でしたが、夏休みになって四人で会おうとなったある日、待ち合わせ場所で杏里と一真が仲良く喋っているのを見てひどく動揺します。
そんな美穂をなぐさめて元気付けてくれたのが幼馴染みの久邦で、この時の久邦はかなり良い味を出していました。


「それぞれの道を」の語り手は杏里。
冒頭、「今日は公立高校の合格者発表の日」とあり、一気に季節が進んだことが分かりました。
スポーツ推薦で一足先に甲山(こうやま)高校の体育科への入学が決まった久邦を除き、芦藁高校普通科を受験した杏里、西堂高校栄養科を受験した美穂、美稜学園高校芸術科を受験した一真の三人とも、今日が運命の日でした。

杏里が同じく西堂高校普通科を受験した永川那美子と一緒に合格者発表を見に行き、那美子から「井嶋さんは転校してきた時は近寄りがたい雰囲気があったが、話してみると意外と面白い」と言われた際に杏里が思ったことは印象的でした。
人は自由に、自分の心の全てをさらけ出して生きることなど、できないのだ。
どこかで構え、どこかで装い、どこかで自分を隠す。
悪いことじゃない。
でも、疲れる。
重い鎧を着込んだまま走れば、息切れがする。
それと同じように、身構えたままだと、いつか、疲れて動けなくなる。

これはそのとおりです。
それゆえに、そうしなくても済む自然に話せる友達の存在は大事です。

また、杏里が美穂にかけた言葉も印象的でした。
「学校が違うから友達じゃなくなるなんて、そんなこと、ないよ。絶対にない。」
学校が違うと疎遠にはなりますが、友達ではなくなるということはないです。
杏里と美穂はしばらく会わずにいたとしても久しぶりに会った際は変わらず楽しく話せる間柄だと思います。


「ここからの風景を」では新年度になり、四月下旬になっています。
杏里たちはそれぞれの道に進んで行きました。
杏里は嵯峨(さが)優斗というクラスのムードメーカーによく話しかけられ、それに嫉妬する美能嘉香にやっかまれたりしていました。
杏里は高校でも嫉妬と向き合うことになるのかと思いました。
やはり人生は色々なことがあります。

杏里も美穂も一真も久邦も、何もかも順風満帆というわけにはいかないですし、悩むこともあります。
そんな時はまた時期を見つけて四人で集まり、たくさん話して気分転換してほしいと思います。
そして10代を駆け抜けていってほしいです。
終わり方も良く、爽やかな青春小説でした


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宮島の桜 古風な和の建物と瀬戸内海

2016-04-23 16:48:23 | フォトギャラリー
吉香公園の桜を見た後は宮島の桜を見に行きました。
桜の時期の宮島はどんな姿を見せてくれるのかとても楽しみでした
※写真は全てクリックで拡大されます。


----- 宮島の桜 古風な和の建物と瀬戸内海 -----


というわけで、宮島にやってきました。


宮島も開花していました


写真一枚目の奥に見える小さな山を登っています。


「瀬戸内海国立公園 要害山」と言います。


曇っていますがここからは海を見ることができます。


反対方向に要害山を降りて歩いていたらこんな階段を見かけました。
鳥居があるので、この先には神社があるようです。


五重塔のほうに行ってみます。


五重塔のある場所まで上がってきました。


木々の間から見える、厳島神社へと続く鳥居。


桜と海。
良い景色です


桜の向こうに厳島神社が見えます。


高い位置からの厳島神社はなかなか新鮮です。


階段を下ります。


厳島神社に行きます。
西日によって昼間に行く時とは少し違った雰囲気になっていました。




厳島神社は引き潮の時間帯でどんどん潮が引いていっていました。


後ろに五重塔。
厳島神社については引き潮時と満ち潮時のフォトギャラリーを作ってあるので参考にどうぞ。

※宮島 厳島神社 引き潮編1をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※宮島 厳島神社 引き潮編2をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※宮島 厳島神社 満ち潮編1をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※宮島 厳島神社 満ち潮編2をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※宮島 厳島神社 満ち潮編3をご覧になる方はこちらをどうぞ。


夕方の時間帯でも海の大鳥居をバックに写真を撮れるこの場所は大人気でした。


厳島神社を出ました。
次は写真奥に見える多宝塔のほうに行ってみます。


ここから上って行きます。


厳島神社の出口が見えます。




多宝塔が見えてきました。


向こうのほうに満開近くまで咲いている桜の木がたくさんあるのが目に留まりました






多宝塔のある所まで来ました。


ここのソメイヨシノは満開です


高台にあるので桜越しに瀬戸内海を見ることができます


奥に「聚景荘(じゅけいそう)」という旅館が見えます。
高台の旅館から桜と瀬戸内海の景色を楽しむのも良さそうです。


この道はあせび歩道と言い、あせび歩道沿いに写真撮影をしている人がたくさんいました。


最後は桜と海の大鳥居とフェリー。
桜の時期の宮島ならではの景色です。

宮島が持つ古風な和の雰囲気に桜が加わり、素晴らしい景色を見ることができました


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本屋大賞効果

2016-04-22 20:59:53 | ウェブ日記
4月12日、宮下奈都さんの「羊と鋼の森」が第13回本屋大賞を受賞しました。
※『宮下奈都さんの「羊と鋼の森」が本屋大賞を受賞!!』の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

昨年の9月に発売されたこの小説、初版の発行部数は6500部と少ないものでした。
そこから第154回直木賞の候補作になったこと、TBS「王様のブランチ」が選ぶ「ブランチブックアワード2015」の第1位になったこと、紀伊国屋書店がベストな本を選ぶ「キノベス2015」の第1位になったこと、第13回本屋大賞にノミネートされたことなどを経て、じわりじわりと発行部数を伸ばしていきました。
本屋大賞発表直前の時点では11万2500部まで伸びていました。
そして本屋大賞が発表され見事大賞を受賞すると発行部数は一気に上昇しました。
22万部の重版により、発行部数は33万2500部に。
さらに先日これでも品薄が懸念されるということで追加で17万部重版され、発行部数は50万2500部になりました。
11万2500部から50万2500部へ、本屋大賞の受賞によって39万部も発行部数が増えました。
「芥川賞、直木賞よりも小説が売れる賞」「今現在最も小説が売れる賞」と呼ばれるその効果を発揮した格好です。
受賞するとベストセラー確実というのは凄いです。

そして羊と鋼の森は本屋大賞受賞に至るまでの着実な歩みも印象的です。
初版が6500部だったのが本屋大賞発表直前では11万2500部まで部数を伸ばしていたのは、それだけ作品が評価されていたということです。
私も昨年の10月初めに読んで凄く良い作品だと思ったので、本屋大賞受賞によってこの作品がより多くの人に読んでもらえるのを嬉しく思います。
本屋大賞は書店員さんがボランティアで運営しているため資金面や労力など大変だと思いますが、ぜひ今後も続いていってほしい賞です。

※「羊と鋼の森」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

伊予銘菓 あわしま堂のタルト

2016-04-20 22:59:07 | グルメ


写真はローソンのレジ横に置いてあるのを見つけた、あわしま堂の「タルト」です。
よくコンビニではレジ横にバラ売りの和菓子などが置いてあります。
どこかのコンビニが最初に始めて、他のコンビニも真似するようになって現在のようにどのコンビニでも置かれるようになったのだと思います。

あわしま堂の「タルト」、名前はタルトですがこの見た目は和のロールケーキのように見えました。
そして包装に書かれている内容が目を惹きました。

「伊予銘菓
柚子風味 自家製小倉こしあん」とあり、興味を惹く内容でした。
伊予とは愛媛県のことで、私は伊予と聞いて2月頃に旬を迎える「いよかん」が思い浮かびました。
柚子風味の小倉こしあんも気になるところでした。
さらに「第二十四回全国菓子大博覧会 農林水産大臣賞受賞」とあり、そんな賞を受賞するなら美味しいんだろうなと思い買ってみました。

食べてみるとほんのりとゆずの香りのする餡が印象的でした。
基本は小倉こしあんの味で、時折ゆずが香りを主張してきます。
このさっぱりとした香りは良いと思います。
餡は非常にきめ細やかなこし餡でなめらかな口当りでした。
そして餡にはしっとり感があり、このしっとり感とロールケーキ生地がよく合っていました。
見た目も味も良く良い和菓子だと思うのでまた食べてみたいです