(トークで談笑するヴァイオリンの木村紗綾さんと、ピアノ伴奏の谷崎友美さん)
11月21日、広島県府中市の府中クラシックハウスで木村紗綾さんヴァイオリンリサイタルを聴きました。
府中市は広島県の中でもかなり東部に位置し、もう少し東に行くと岡山県との県境になります。
私の住む山口県から行くには何時間もかかりますが、日程も大丈夫だったので行ってみようと思いました。
リサイタル(コンサート全編に渡って主役)でもあり、初めて訪れる場所でどんな演奏が聴けるのかとても楽しみでした
1. クライスラー:美しきロスマリン
とても軽やかで伸びやかで、スキップしているかのような音色でした。
コンサート1曲目の観客への挨拶代わりにピッタリの曲だと思います
1曲目終了後のトークで、今日は紅葉を見ながら府中クラシックハウスまで来たと言っていました。
2~3曲目は連続で弾き、2曲目についてチェコは「弦の国」と呼ばれていてそれを楽しめる曲とのことでした。
2. ドヴォルザーク:ユーモレスク
ゆったり軽やかに始まりました。
やがて曲調が変わり、少し寂しげな雰囲気になり、さらに迫力と情熱が出て行きました。
3. ドヴォルザーク=クライスラー:スラブ舞曲 ホ短調 Op.72-2
悲しい雰囲気とともに、迫力が凄かったです。
途中から雄大さも感じました。
ピアノの演奏も良くて、音がコロコロとして光の玉が揺らめいているかのようでした
4曲目は木村紗綾さんが在住されているチェコの土の香りや田舎っぽさが表現されていると言っていました。
4. ドヴォルザーク:マズルカ Op.49
ダイナミックに始まり、ヴァイオリンは力強く短い間隔で音を刻んでいました。
ピアノの演奏もかなり良かったです。
ヴァイオリンの音色に安らぎがあり、「ドシラソー」のように音階が下がる演奏が何度も登場してその雰囲気が良かったです
終盤はその音色をピアノが演奏してヴァイオリンが支える場面もありました。
最後は大迫力で終わりました。
5曲目は日本語にすると「伝説曲」と紹介がありました。
伝説曲と聞いて過去に聴いたことがあったのを思い出しました。
5. ヴィエニアフスキー:レジェンド Op.17
ピアノで始まり不気味な雰囲気でした。
ヴァイオリンも入り、そちらも不気味で伝説には不穏さもあるのだなというのがよく分かる音色です。
やがて安らぎも感じるようになり、音色が良いなと思いました。
6曲目はリストのピアノの曲をパガニーニがヴァイオリン用にしたと紹介がありました。
6. パガニーニ=クライスラー:ラ・カンパネラ
ヴァイオリンの切れが良く、さらに音を震わせながら演奏していたのがとても印象的でした。
ピアノがソロで主題(クラシック音楽で楽章の中心となる旋律)を演奏して、そちらもかなり良かったです。
ヴァイオリンの音色が多彩でスピードも凄く、最後も大迫力で終わりました
7曲目のピアノソロに向けて谷崎友美さんのトークがあり、クリスマスも近いので「樅(もみ)の木」を選曲したとのことでした。
7. シベリウス:樅の木(ピアノソロ)
ゆったりと始まり、少し悲しそうな雰囲気でした。
やがて重厚さが出てきて、さらにロマンチックさも出て、良い雰囲気でクリスマスにピッタリだなと思いました
来年3月に予定しているコンサートでは、皆さんが聴きたい曲を募集していると言っていました。
「この曲にこういうエピソードがある」と添えて欲しいとのことで、演奏者が好きな曲を演奏する通常のコンサートと趣きが変わっていて面白そうだなと思います
8. ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14
ゆったりとした始まりで、もの悲しさがありました。
そのまましばらくゆったりとした演奏が続き、低音が多い特徴がありました。
ゆったりなまま高音になり、さらに音の迫力も上がって重厚感が出ていました。
そしてピアノの音がとてもしっとりとしていて甘い雰囲気だなと思いました
9曲目は超絶技巧の曲とのことで、左手も右手も駆使して演奏すると言っていました。
9. ワックスマン:カルメン幻想曲
ピアノで始まり、速くて楽しい雰囲気でした。
ヴァイオリンのソロになり、凄く速い刻み音を出していました。
2人でミステリアスに、今度はゆったりに、そして情熱的にと、次々雰囲気を変えながら演奏して行きました。
ヴァイオリンの高速ピッチカート(指で弦をポロンポロンと弾く演奏)もあり、その切れが良かったです
終盤はかなり激しい演奏になり技も凄かったです
アンコール/モンティ:チャルダッシュ
ピアノで始まり、次いでヴァイオリンも入って行きました。
段々音が大きくなって重厚感が出て、そこから一気にスピードが上がります。
ヴァイオリンの表現が素晴らしく、とても速い演奏の中で音を弱めた場面があり、唐突に訪れたそっと添えるような音に強烈に引かれました。
ゆったりとした雰囲気になり、ピアノが夢の中のような幻想的な音色でポロンポロンと演奏していたのも良かったです
アンコールで終わったかと思ったリサイタルが、何とクラシックハウス創設者で司会の森山勝利さんの無茶振りで、もう一度木村紗綾さん登場となりました。
バッハの「G線上のアリア」を演奏してくださり、無茶振りにも対応出来るのがさすが演奏家と思いました
とても穏やかな演奏でコンサートの余韻にピッタリでした。
福山音楽祭の府中エリア特別演奏会ヴァイオリンリサイタル、とても楽しませて頂きました。
このリサイタルは曲数も多く、様々な雰囲気の曲の演奏を聴いているとクラシック音楽の多彩さ、奥の深さを改めて感じます。
木村紗綾さんは非常に「切れ」の鋭い演奏をされるので、近い距離で聴くとその鋭さがより分かります
チェコと日本で活動しておられ、日本でコンサートに出演したり主催することもよくあるので、またぜひ聴きに行きたいと思います
木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~
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