今回ご紹介するのは「Gボーイズ冬戦争」(著:石田衣良)です。
-----内容-----
池袋、宣戦布告!
今度はキングを、おれが守る。
鉄の結束を誇るGボーイズに異変が生じた。
ナンバー2・ヒロトの胸の内に渦巻く、キング・タカシに対するどす黒い疑念。
Gボーイズが揺らげば、池袋のパワーバランスも破綻しかねない……。
タカシの危機にマコトはどう動くか?
史上空前の熱き闘いを描く表題作はじめ4篇を収録した、IWGP第7弾!
-----感想-----
池袋ウエストゲートパークのシリーズでは、その時々の社会犯罪を題材にすることがよくあります。
今回は振り込め詐欺グループから抜けようとしている人の話や、元少年放火犯の話がありました。
振り込め詐欺の話に出てくる人は、「どんな役でもこなせる電話の達人」という特殊技能があり、その才能を振り込め詐欺という間違った方向に使ってしまっていました。
また、お年寄りを騙すための役割分担についても詳しく説明されていて、「泣き役」や「被害者役」、「医者役」や「警察官役」などがいるようです。
みんなでよってたかって騙そうとするなんて、ひどい限りです…
その振り込め詐欺グループから抜けようとしている人がマコトに相談し、助けを求めてきました。
しかしグループは結束が強く、抜けようとすればただでは済みません。
ひとまずマコトはグループに探りを入れてみますが、意外な組織が背後にちらついて…そう簡単にはいかない雰囲気になりました。
この辺りのバタバタとした展開は池袋ウエストゲートパークのお馴染みです^^
そして、表題にもなっている「Gボーイズ冬戦争」。。。
池袋の街でGボーイズのグループが襲われる事件が二件続けて発生しました。
それはどちらもGボーイズのNo.2・ヒロトが率いるチームでした。
ヒロトの胸には、この事件の裏にいるのはGボーイズのNo.1・タカシなのでは?という疑念が生まれていました。
そしてヒロトは自分の派閥のチームを引き連れてGボーイズを離脱。
同時にGボーイズに対して宣戦布告し、戦争が始まりました。
しかしGボーイズは池袋の裏世界のパワーバランスの一角を担う大事な存在です。
もし戦争によってGボーイズが潰れれば、今まで保たれてきたパワーバランスが崩れてしまいます。
そのせいか、パワーバランスを担う残りの組織たちも、Gボーイズの戦争には危機感を持っています。
どの組織にとっても今のパワーバランスは快適で、それを崩したくはないのです。
マコトも、この戦争を止めるために奔走します。
またこの危機的状況に関して、タカシから何の連絡もないことにマコトは怒っていました。
タカシは「Gボーイズが首まではまってるトラブルに、マコトを巻き込みたくなかった」と言いますが、そのときマコトが言った台詞は格好良かったです。
「おまえはおれをなんだと思ってる。安全なときだけいっしょに遊び、なにか危険があれば手も貸さなくなる。そんな男だと思っていたのか」
タカシはマコトの親友ですし、俺に相談してくれないなんて水臭いじゃないかということだと思います。
タカシが危機的状況なら、当然一緒に危険な橋を渡るという決意も言っていました。
マコトの怒りには、親友としての温かみも含まれていました。
これを機に、マコトも本格的に動き出します。
そして次第に、裏でGボーイズが戦争になるように画策している人間の存在が明らかになってきます。
さらには凄腕の仕事屋”影”と呼ばれる男が池袋に入ったという情報も流れ、一体誰が何のために”影”を呼んだのか、謎は増えていきます。
果たしてGボーイズの戦争を止めることはできるのか、そして裏で暗躍している人間を捕まえられるのか、非常に面白い展開でした。
この作品でシリーズ七作目ですが、マンネリ化することなく楽しめるのはすごいことだと思います。
次の作品も期待しています
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