(エリザベト音楽大学交響楽団。写真は演奏終了時。)
3月23日、広島県広島市のエリザベト音楽大学のセシリアホールに「エリザベト音楽大学創立70周年コンサートシリーズ ザ・シンフォニック・エンターテインメント」を聴きに行きました。
演奏はエリザベト音楽大学交響楽団によって行われ、クラシック音楽が主のオーケストラの演奏では珍しいウルトラセブンの交響詩の演奏などがありました。
珍しいプログラム構成のもと、楽しい演奏を聴かせて頂きました
演奏前、昨年10月の
「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」で演奏を聴いたことがある加々見裕典さんがベーテン音楽コンクールの大学生の部で3位になり学長表彰されました。
「Autumn Concert」には実力者が揃っていたのだなと改めて感じています。
表彰後には学長の挨拶がありました。
毎年春休みに2日間フェスティバルを開催していて、音楽を通してみなさんにエリザベト音楽大学に足を運んで頂き楽しんでもらいたいと言っていました。
(コンサートミストレスの浦川莉緒さん。写真は演奏終了時。)
エリザベト音楽大学交響楽団による演奏になります。
コンサートミストレス(オーケストラの中心的存在)は昨年10月の
「エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会」でもコンサートミストレスを務めた浦川莉緒さんです。
浦川莉緒さんの演奏は
「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」と
「一楽章f未完成 弦楽四重奏コンサート」でも聴いたことがあり、上手い演奏をしていました。
浦川莉緒さんのすぐ後ろには
「エリザベト音楽大学 Autumn Concert」でやはり上手い演奏をしていた手嶋祐里乃さんがいました。
オーケストラでチューニング(音を鳴らして楽器の音程調節をすること)をした後、指揮者の井田勝大さんが登場し演奏が始まりました。
過去にアンサンブル(小規模な演奏者集団)の演奏会などで間近で演奏を聴いた人も数人いて、どの人も上手いです。
1.《ハウルの動く城》より
シンフォニック・ヴァリエーション〈メリーゴーランド〉 久石譲(1950~)
哀愁あるゆったりとしたメロディで始まりました。
映画は観ていませんが音楽は耳にすることがあったのでメロディには聴いた覚えがありました。
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのピッチカート(指で弦をポロンポロンと鳴らすこと)がしばらく続く場面がありました。
華やかな全体演奏になります。
ヴァイオリンの音色が凄く良い場面があり、ゆったりとして綺麗でした
一瞬演奏が途切れ、そこからピアノの独奏になる場面もありました。
演奏後、コンサートミストレスの交代があり、浦川莉緒さんの後ろにいた手嶋祐里乃さんがコンサートミストレスの席に行き、浦川莉緒さんは手嶋祐里乃さんの席に行きました。
これを見て来年次期コンサートミストレスを務めるのは手嶋祐里乃さんなのかも知れないと思いました。
2.交響詩《ウルトラセブン》より 第1、3、5楽章 冬木透(1935~)
一楽章
重く不穏な始まりでした。
打楽器がポーンと不穏に鳴り、ヴァイオリン属の楽器も不穏に続きます。
全体での不穏な雰囲気の演奏が続きます。
不穏な雰囲気から一気にドラマチックな雰囲気になります。
そして有名な「セブンーセブンーセブンーセブン!セブン!セブン! ~」のメロディになります。
ヴァイオリンのドラマチックな音色が凄く良かったです
前の方の席に居た小さな子供がセブンの曲だと分かり楽しそうに体を動かしていたのも印象的でした
三楽章
怪獣と戦うウルトラ警備隊をテーマにした楽章で、凄く明るく力強い始まりでした。
勇ましさを感じ、まさに警備隊発進のような雰囲気でした。
不気味で不穏な雰囲気の演奏になります。
迫力ある不穏さでした。
ゆったりな演奏になった後、再び警備隊発進のような明るく力強い音色になりました。
五楽章
ウルトラセブン最終回の大ピンチをテーマにした楽章で、不穏な始まりでティンパニが目立ちます。
ヴァイオリンが悲しさを感じる音色でした。
凄くもの悲しく寂しげな全体演奏になります。
ヴァイオリン属の楽器が目立ち、悲しい音色でした。
1stヴァイオリン(高音を演奏するヴァイオリン)の悲しそうな高音が目立つ場面がありました。
最後の方で有名なメロディを悲しさと安らぎを感じる音色で演奏します。
トランペットの誇りを感じる演奏が良かったです
交響詩《ウルトラセブン》の演奏後、冬木透さんの挨拶がありました。
演奏後に演奏者達が立ち上がり、観客が拍手していると、指揮者が観客席の方に手を向けました。
そちらを見ると冬木透さんが立ち上がりました。
やがて挨拶になりました。
オーケストラの方に手を向けて「家族」と言ったのが印象的でした。
挨拶後、休憩になった時に小さな子供が「お父ちゃん、セブンの曲作った人がおるよ」と嬉しそうに言っていたのが印象的でした。
3.《ウエストサイドストーリー》より
〈シンフォニックダンス〉 L.バーンスタイン(1918~1990)
浦川莉緒さんが再びコンサートミストレスの席に戻りました。
ミステリアスに演奏が始まります。
忍び足で歩いているような雰囲気の演奏の中で演奏者達による「指パッチン」があるのが印象的です。
ミステリアスな雰囲気でさらに迫力も出ます。
凄い迫力になり、トランペットとトロンボーンが目立っていました。
打楽器の人が鳴らした笛が凄く目立つ場面もありました。
再びミステリアスな静かめの演奏になります。
さらにチェロ、ヴィオラ、1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン(低音を演奏するヴァイオリン)だけの演奏になる場面があります。
安らぐ雄大な全体演奏になります。
やがて安らぎに迫力も加わり、音色が凄く良かったです。
そこから指パッチンとピッチカートが目立つ場面になります。
一気に曲調が変わり、スピードが出て雰囲気が凄く良かったです。
この曲は「マンボ!」とオーケストラ全員で掛け声をする場面があり、その前後の演奏の迫力が凄かったです。
すげえと思い自然と笑みがこぼれました
穏やかな演奏になります。
1stヴァイオリンの1列目2人、2列目2人の4人だけの演奏になる場面があり印象的でした。
全体が凄い迫力になり、どきどき感が凄くある演奏でした。
「タン!タン!タンタン!」の迫力とミステリアスさの混ざった全体演奏が凄く良かったです
フルートの独奏になる場面もありました。
最後は安らぐ演奏になりヴァイオリンの音色が凄く良かったです。
アンコール前に指揮者の挨拶がありました。
今回のプログラムは演奏者達にとってもチャレンジングだったものの、聴きに来た人達に楽しんでもらおうと思い選んだと言っていました。
そして作曲したご本人に聴いて頂けることは演奏家にとってもなかなかないことで、貴重なことだと言っていました。
アンコールはエリザベト音楽大学交響楽団による演奏のもと、観客も一緒にウルトラセブンの歌を1~3番まで歌いました。
ウルトラセブンの歌を作曲者の前で歌うことなどまずないのでかなり貴重な体験になりました。
「エリザベト音楽大学創立70周年コンサートシリーズ ザ・シンフォニック・エンターテインメント」は昨年末くらいからずっと楽しみにしていたコンサートでした。
久しぶりにエリザベト音楽大学交響楽団の演奏を聴くことができて嬉しかったです。
ぜひまた聴きに行きたいと思います
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指揮者プロフィール
井田勝大
鳥取県生まれ。
東京学芸大学音楽科卒業、同大学院修了。
小澤征爾、ズービン・メータのアシスタントを務め、2007年、Kバレエカンパニー『白鳥の湖』でのデビュー以降、Kバレエの多くの公演を指揮している。
指揮を山本訓久、高階正光、井崎正浩各氏に師事。
現在、シアターオーケストラトーキョー指揮者、桐朋学園大学オーケストラ特任講師、エリザベト音楽大学講師。
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交響詩《ウルトラセブン》作曲者、冬木透さんからの言葉
創立70周年お目出とうございます。
短期大学一期生の私は、母校発展の目覚ましさを東京の空の一角から望んでおりましたが、その都度、懐かしさに加えて自慢の思いが浮かんで来たものでした。
それは、70年前には望むべくも無かった立派なホールをはじめとする施設の数々のせいであります。
ところでこの度は、何と!私自身がお招きを受けて、この立派なホールで自分の書いた曲を聴くことになったのです。
しかもエリザベトの血を分けた兄妹の皆さんの演奏で!
これは夢のようなことです。
70年前、初代の学長ゴーセンス師は『音楽は祈りです』、と教えて下さいました。
今日皆さんが演奏して下さる『ウルトラセブン』も、宇宙の戦士ではなく、平和を祈る使徒なのです。
エリザベト音楽短期大学 第一期卒業生
蒔田尚昊(冬木透)
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