今回ご紹介するのは「あと少し、もう少し」(著:瀬尾まいこ)です。
-----内容-----
陸上部の名物顧問が異動となり、代わりにやってきたのは頼りない美術教師。
部長の桝井は、中学最後の駅伝大会に向けてメンバーを募り練習をはじめるが……。
元いじめられっ子の設楽、不良の大田、頼みを断れないジロー、プライドの高い渡部、後輩の俊介。
寄せ集めの6人は県大会出場を目指して、襷をつなぐ。
あと少し、もう少し、みんなと走りたい。
涙が止まらない、傑作青春小説。
-----感想-----
田舎にある市野中学校が舞台で、冒頭の語り手は三年生で陸上部部長の桝井日向(ひなた)です。
市野中学校の陸上部には満田先生という名物顧問がいたのですがこの春に離任してしまいます。
そして始業式の日、美術担当の上原先生が陸上部顧問になることが明らかになります。
上原先生は20代後半の女性教師で、桝井の語りによると「どんくさそうでとろそうでひょろひょろしていて……。とにかく、陸上部を受け持つのに一番不適な教師」とのことです。
桝井は中学最後の駅伝を今までで一番のものにするはずだったのですが顧問が頼りないためがっかりとした気持ちになります。
「1区」
1区の語り手は三年生の陸上部員、設楽亀吉(かめきち)です。
秋の駅伝大会で設楽がスタートするところから物語が始まります。
6位までに入ると県大会に行くことができます。
この作品は時間が進んだり戻ったりし、どの区間も冒頭に駅伝大会で走り出す場面が書かれていて、そこから1区から6区までの6人がどんな気持ちで駅伝大会当日まで進んできたかが書かれています。
6人とも内に秘めた思いがあります。
設楽は気が小さく名前が亀吉なこともあり、小学校低学年からランクが常に最下層だったとありました。
桝井とは小学校も一緒でした。
小学校6年の時の駅伝大会で、同じく小学校が一緒だった大田が急に出場を放棄したために、設楽は周りから押し付けられる形で駅伝を走りました。
中学校に進学した設楽は桝井に誘われ陸上部に入ります。
設楽は桝井の良いところについて次のように語っていました。
僕の意見なんか聞かなくていいのに、いちいち確認してくれる。桝井のいいところだ。
先輩だろうと女の子だろうと不良だろうと、誰とでもかまえず話せる。それが、桝井が好かれる理由だと思っていた。でも、きっと逆だ。桝井は後輩にだって僕みたいなやつにだって、態度を変えなかった。
この中で「でも、きっと逆だ。」という言葉が印象的でした。
桝井のほうが周りの人全てを好いている、好こうとしているということかなと思います。
桝井は上原先生にがっかりしていますが上原先生を無視して練習を進めることはしませんでした。
そこも桝井の良いところだと思います。
駅伝のメンバーをどうするか桝井と設楽が話している時、桝井が大田に走ってもらおうと言います。
不良の大田をメンバーに入れることに躊躇う設楽に対し、桝井はかなり乗り気になっています。
躊躇う設楽が空を仰いだ時の次の描写は印象的でした。
五月も真ん中。空の色が静かに淡くなっていく。一年で一番夕方がきれいな時期だ。
これはまさにそのとおりだと思います。
5月の真ん中頃は気候も安定していて明るく心地よく晴れることが多く、夕方もとても綺麗です
設楽はここのところ良い記録が出なくなっています。
普段の設楽は3000mを9分台で走れるのですが最近は10分台になってしまっていて、どうして良い記録が出ないのか自身にも分からないようです。
梅雨が明けて真夏になった頃、ついに大田が駅伝練習に参加します。
態度は大きいですがみんなに礼を言われてまんざらでもなさそうです。
夏休みになって二週間くらいすると大田に続いて吹奏楽部の渡部も練習に参加するようになります。
さらにみんなからジローと呼ばれている仲田も練習に参加するようになります。
ジローは生徒会書記でバスケ部部長をしていて他にも色々なことをしているお調子者で、桝井はジローがいると場が楽しくなると言っていました。
設楽も6人揃った駅伝メンバーの中ではジローが一番気兼ねなく話せるようです。
二学期になってすぐ桝井からまず1区と2区のメンバーが発表されます。
1区が設楽、2区が大田になり、大田が苦手な設楽は「百歩譲って僕の1区はしかたがないにしても、その先に待つのが大田だなんて恐怖だ」と胸中で語っていました。
駅伝大会まで10日に迫った日、大田が設楽に話しかけてきます。
大田は常に「うぜえ」「だりい」などと言っていて周りと打ち解けようとはしないのでこれは意外でした。
そして大田が「お前こんなもんじゃねえだろ。小学校二年からお前は俺の何倍も速かったはずだ」と設楽に言い、設楽のことを凄く速い人だと思っているその気持ちを言葉にして伝えたのも意外でした。
単に「うぜえ」「だりい」と言っているだけではなく周りをよく見ているのだと思います。
「2区」
2区の語りは大田です。
1区の最後で襷を渡す時に設楽が怖いと思った大田の表情は、大田としては笑っているつもりでした。
大田が他人のためにそんな気遣いをするとは驚きました。
大田が小学校時代に全教科の勉強を投げ出し何もしなくなる様子が描かれていました。
また小学校6年の時に駅伝を投げ出したのは足を捻挫していたからでした。
そして駅伝を投げ出したのを機に運動も投げ出すようになり、中学に入学する時には何もやろうとしなくなっていました。
中学三年になってからの大田はテニスコートのベンチに寝て昼を過ごし午後の授業もさぼっているのですが、桝井が駅伝を一緒に走ろうと勧誘しに来るようになります。
受験の話題になった時、桝井の言葉に大田が驚きます。
「教師は受験受験って言うけど、そんなのただの脅しってみんなわかってるし。焦らなくたって、世の中少子化なんだよ。それなりにやれば高校くらい受かるじゃん」
大田は「そ、そうなのか」と驚いていて、この反応は普段の態度の大きい大田とは違っていて面白かったです。
大田は心の中では桝井の勧誘に乗っても良いと思っていますが素直になれないでいます。
駅伝は嫌いじゃないし、小学生の時みたいに走ってみたいという気持ちが心の奥底にはある。でも、素直に乗れない。馬鹿でくだらなくて惨めなプライドが俺を邪魔するのだ。
「馬鹿でくだらなくて惨めなプライド」という言葉が印象的で、やはり大田は単に悪ぶっているだけの子ではなく、自分自身の気持ちを客観的に見ることができるのだと思います。
桝井が「大田を駅伝メンバーに入れる」と言った時の
上原先生の反応は面白かったです。
「だって、大田君どうせすぐ辞めるって言いそうだし、練習だって来ないだろうし、何よりこんな金髪じゃ大会なんか出られないでしょう」
「うわ、眉毛もないじゃん。だめだよ。絶対言うこと聞かなそうだし、記録会とか行ったら、他の学校の先生に注意されるしなあ」
上原先生は本人がいるのに好き放題言っていて大田も「なんだ、この教師」と面食らっていました。
桝井に何度も勧誘され大田の気持ちも変わっていきます。
俺なんかが必要とされるのは、これが最後かも知れない。こんな俺を立て直そうと誰かがてこを入れてくれるのも、これで終わりかもしれない。
ついに大田が駅伝の練習に参加するようになります。
夏休みに駅伝の試走に行く時、屁理屈ばかり言っている渡部が大田に嫌味を言ってきて大田が怒る場面があります。
その時桝井にたしなめられた大田は胸中で次のように語っていました。
「そうだ。走る前にあんまり桝井に気を遣わせちゃいけない。桝井だって走るのだ。」
本当に大田はよく他人を気遣っていて、普段のぞんざいさとは裏腹に良い感性を持っているのだと思います。
2区の大田の話は凄く面白く、笑ってしまう場面が何度もあります。
特に上原先生との話が面白かったです。
そして胸が熱くなる場面もあります。
若き熱血教師の小野田先生が大田のことを気にかけていて駅伝大会でも応援に駆けつけます。
「お前は本当にやれるやつなんだからな!走れ!」
この言葉に大田が思ったことは興味深かったです。
「一つ覚えみたいに教師が口にする言葉。だけど、小野田のは少しだけ違う。本当はやれるやつじゃなくて、本当にやれるやつ。」
「本当はやれるやつ」が「その時は舞台に立たず何もしていないが本来はできるはずだ」という歯がゆさのある意味合いなのに対し、「本当にやれるやつ」は舞台に立っている人が周りの人が信じていたとおりの力を発揮するという意味合いで、一文字違うだけでかなり躍動感のある言葉になっています。
「3区」
3区の語りはジローで本名は仲田真二郎と言います。
ジローは「頼まれたら断るな」が母親の教えで何でも引き受けています。
駅伝は学校をあげて取り組んでいて、毎年県大会に進出しています。
ジローは当初は「速くもない俺が走って上に進めないとなると大問題だ。放課後や夏休みに練習するのが面倒でもある。」と考えていて駅伝の勧誘に乗り気ではなかったですが、やがて練習に参加するようになります。
ジローが唯一苦手とするのが渡部で、渡部が駅伝メンバーにいるのを見てぎょっとします。
渡部は何かとジローにつっかかってきて、ジローは「渡部は俺のことを嫌っている」と見ています。
記録会で桝井がジローに声をかける場面があります。
桝井は本来の力が出ずに不本意な結果だったのですがにこやかにジローに声をかけていました。
それを見たジローは桝井の胸中が気になります。
「桝井にとって納得いく結果じゃなかったはずだ。それなのに、今、どんな気持ちで俺を励ましているのだろう。」
桝井は常ににこやかで爽やかな態度で他人に接するのですが、本当はどんなことを思っているのかが気になります。
この作品は前の区間の人の語りで描かれていた場面が後の区間の人の語りでも登場します。
ある場面を他の人はどう見ていたかが書かれているので興味深いです。
珍しく渡部がジローをかばう場面があります。
渡部はジローが周りに都合よく使われることにイライラしています。
これは渡部自身が周りに都合よく使われたりすることのない孤高の存在になりたいと思っていて、それとは真逆のジローを見ると自分自身がなりたくない存在が目の前にいることになるのでイラつくのだと思います。
ジローは大田がこの駅伝を拠りどころにしているのを知っています。
駅伝大会で大田から襷を受け取った時、ジローは次のように語っていました。
いい加減なことばかりやってきた大田にとって、この駅伝の持つ意味は大きい。駅伝にかかわっていた時間は、大田にとって唯一中学生でいられた時間だったにちがいない。いや、まだこの時間は続く。上の大会に進んで、あと少し大田にこういう思いをさせてやりたい。
小説の題名にもなっている「あと少し」という言葉が出てきました。
ジローも他人を思いやれる人で、この思いはとても良いと思います。
「4区」
渡部孝一が語り手で、桝井が一番勧誘に苦戦した相手です。
渡部は駅伝には汗や涙や努力が付きまとっていると思っていて、そういったものを好まないため勧誘も断り続けています。
難攻不落の渡部に対し、やがて上原先生が勧誘に行きます。
桝井に頼まれてやってきた裏事情をペラペラ喋ってしまう上原先生に渡部はあきれかけますが、上原先生の真の狙いに気づきます。
「こいつ、確信犯だ。自分の手の内をオープンにしておいて、俺の心も開かせようという魂胆だ。」
上原先生は渡部の自分を作っている特徴を見抜いて次のように言っていました。
「じゃあ、渡部君って、何のために芸術が好きな感じにしてるの?」
「は?」
「どうして必死で知的な雰囲気を出そうとしてるのかなって」
上原先生はぼんやりしているように見えてかなり鋭いです。
能天気に見えるしゃべり方をしながら、巧みに相手の様子を見て性格の特徴を捉えています。
そして重要な場面では必ず事態を打開する言葉を相手にかけています。
渡部は祖母との二人暮らしで、周りの人達に「ばあちゃん」と二人暮らしなのを知られたくないと思っています。
また駅伝の練習に参加するようになってから渡部はどんなふうに自分を作っていたのか時々分からなくなることがあると語っていました。
本来の自分とは違う姿を無理に作ったとしても何かきっかけがあってその姿に亀裂が入ると、今までどおりその姿を維持していくのはとても苦しくなると思います。
渡部も桝井の不調に気づいています。
そんな中、桝井から3区から6区の区間配置について驚きの発表があります。
3区がジロー、4区が渡部、5区が桝井でアンカーの6区は俊介です。
誰もが6区は桝井だと思っていたためみんな言葉を失います。
そしてこの配置に上原先生が珍しく何度も食い下がって強硬に反対します。
上原先生の反対にイライラした桝井はかなりひどい言葉を言ってしまい渡部も絶句していました。
「桝井はほかにこの場を収める方法が思いつかなかっただけかもしれない。だけどだ。こんなにすべてを否定してしまう言葉はない。」
これはそのとおりだと思います。
言ってはいけない言葉というのがあります。
常ににこやかで爽やかだった桝井の初めて見る普段とは違う姿でした。
この時渡部は次のように思います。
つくろっているのは、俺だけじゃないんだ。誰だって、本当の部分なんて見せられるわけがない。生きていくってそういうことだし、集団の中でありのままでいられるやつなんていない。
これもそのとおりだと思います。
他の人と接している中でどんな場面でも全く繕わずにありのままでいる人はそうはいないと思います。
駅伝大会を二週間後に控えた最後の試走の時に渡部と俊介が話していました。
渡部は両親が離婚して小学二年生の時から祖母と二人で暮らしているとありました。
親友についての話になり、俊介が次のように言っていました。
「どういうのが親友かって難しいけど、自分の中を見せてもいいと思える相手は親友って呼んでもいい気がするんです」
心の中の本当の気持ちは誰にでも話せるようなものではなく、たしかにそれを話せる相手は親友と呼べると思います。
「5区」
二年生の陸上部員、河合俊介が語り手です。
保育園の頃からの友達の修平に誘われて陸上部の見学に行った時、桝井の走る姿に衝撃を受け入部します。
俊介は桝井について「いつだって桝井先輩はすっきりしている。悔しさやねたみなんて持ち合わせてないみたいにさわやかだ。」と語っていました。
ただし最近の桝井は不調になっていて爽やかではない表情を見せることがたまにあります。
俊介は桝井のことを凄くよく見ていて、次のようにも語っていました。
「最近は考えこんだり、不安そうにしたりする姿を見せることもあった。もちろん、桝井先輩はそれに誰かが気付く前に、にこやかに笑ってみせる。けれど、そのふとした瞬間が僕には気になってしかたがなかった。」
桝井から発表された駅伝大会での区間配置に俊介は驚きます。
その後桝井と二人で話す場面があるのですが桝井の言葉は俊介の心をまるで分かっていなくて俊介は愕然としていました。
常ににこやかで爽やかでも周りの人の気持ちまでは分からないようです。
俊介は修平と話している時に自身が心の中で抱えているものを打ち明けるべきか迷います。
「自分の中を開けられる人がいたら、抱えているものは軽くなる。それも知っている。でも、友達にそこまで開いていいのだろうか。」
これは渡部と親友について話していた時に俊介が言っていた言葉ともつながっています。
誰かに心の中に抱えていることを打ち明けるのは勇気が要ることですが、それだけではなく打ち明けた場合に相手がどう思うかも考える必要があります。
俊介が抱えているのはかなり重大な問題で、不用意に打ち明けると修平が離れていってしまう可能性があります。
渡部との話では「そこを打ち明けても良いと思える相手が親友」としていて、修平には打ち明けるのを躊躇ったのに対し、渡部には断片的にですが打ち明けていました。
これは修平と渡部が俊介が抱えていることを察知した時に、修平は「打ち明けてほしくない」、渡部は「打ち明けて良いよ」という空気を出していたという違いがありました。
抱えていることを打ち明けられる相手は普段から仲が良い友達とは限らないということです。
そして渡部には抱えているものを打ち明けても良いと思ったので、普段はあまり話さなくても悩みを打ち明けられる相手としての「親友」になるのかも知れないです。
「6区」
桝井日向が語り手です。
もう少しだけ、みんなと走っていられる時間を延ばしたい。おれにそれができるだろうか。今のおれに、それをかなえる力があるだろうか。
「もう少し」も小説の題名になっている言葉です。
俊介の襷を待っている時桝井はこのように思っていて悲壮感が漂っていました。
桝井は小学生の時に野球のリトルリーグのチームに所属していました。
しかし楽しく真面目にやっているはずだったのに周りとの付き合いが上手くいかずチームを退会することになります。
野球を失った苦い経験から桝井は陸上まで失いたくないと思っています。
桝井はいつもにこやかに爽やかにしていますが、心の中はかなりイライラしていて、本人が語り手のこの話ではそのことがよく分かりました。
梅雨が近づいた頃、桝井は小さなことでイラつくようになっていて「この苛立ちを作るおおもとは不安だ。」とありました。
満田先生がいなくなり代わりに顧問になった上原先生は陸上のことを何も知らず、駅伝チームをどうするか桝井は思い悩んでいました。
桝井はここ最近体の調子がおかしくなっています。
桝井のことを常によく見ている俊介はいち早く異変に気づきますが、桝井は心配されないように精一杯取り繕っていました。
桝井が大田、渡部、ジローを勧誘した時の心境も書かれていました。
大田と渡部の勧誘に苦戦したため、桝井は「ジローに断られたらきっとおれは立ち直れない。」と胸中で語っていました。
周りは桝井は常ににこやかで爽やかで全くめげないと見ていますが本人の心は疲れきっていました。
夏休みになると桝井の体調はさらに崩れます。
「病院に行ったほうがいい。それは明確だった。」とありました。
区間配置を発表して上原先生が反対した時に桝井はひどいことを言ってしまいます。
その言葉について「自分の口から出た言葉にぞっとした。」と語っていて、自身の言葉に後悔していました。
部長になってから、一度だって自分の不満も不安ももらしたことはない。それなのに、 みんなは気楽になるどころか、気を遣うばかりだった。
これは桝井自身の不満や不安を話したほうが駅伝メンバーはほっとすると思います。
自身の体調の悪さについても打ち明け「こんな状態だが何としても6位以内に入って県大会に行きたいんだ。みんなよろしく頼む」と言ったほうがまとまりが出ると思います。
駅伝大会当日、会場に向かうバスの中で大田が桝井に良いことを言います。
「そんな深刻にならずに走れよ」
「え?」
「俺だってそこそこ走るし、しんどいならしんどいで走ればいい」
これこそ一人だけで走るのとは違う団体戦の醍醐味だと思います。
大黒柱の体調が悪かったとしても他の5人でカバーすれば県大会進出に望みをつなぐことができます。
上原先生も良いことを言います。
「走れなくてもいい。私が、ううん、私たちが望んでるのはそんなことじゃないから。でも、6区を走るのは桝井君だよ」
これは戦術重視の人の場合は桝井が言っていた5区桝井、6区俊介のほうを支持するかも知れないです。
しかし顧問の上原先生も他の5人の選手も、全員が桝井の6区を望んでいるのなら、そのほうがチームとしての力も出ると思います。
調子の良し悪しは関係なくアンカーの6区は桝井に走ってほしいと全員が思っているところに、桝井のこれまでの歩みへのみんなの気持ちが現れていると思いました。
桝井もその気持ちを受け止めて6区に臨みます。
素晴らしい青春小説で、一つの区間の話が終わるたびに次の区間はどんな話になるのか気になりました。
読んでいるうちに題名にもあるようにもう少しだけこのチームでの活動が長く続いてほしいと思いました。
爽やかで面白くさらに胸の熱くなる小説を読むことができて良かったです
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