読書日和

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「PERSONA5 the Stage #3」(主演:猪野広樹)

2022-01-23 14:57:31 | 音楽・映画


(”心の怪盗”として活躍する左からモルガナ、奥村春(菅原りこさん)。写真はネットより)

今回ご紹介するのは舞台「PERSONA5 the Stage #3」(主演:猪野広樹)です。

-----内容-----
自身に課せられた“更生”のため、そして悪しき欲望から人々を救うため―――
“心の怪盗”となった主人公は、腐った大人たちをどう改心させるのか!?
謎とスリルあふれるストーリーが、爽快感たっぷりのバトル・アクション、友情を育み、絆を作りながら成長していく少年少女の丁寧な心理描写と共に描かれる。

-----感想-----
PERSONA(ペルソナ)は国内外で人気を博している日本発のテレビゲームで、本舞台はゲームシリーズ5作目の舞台のパート3となります。
私が初めて「ペルソナ」というテレビゲームを知ったのは、子供時代の1999年~2000年にかけて「ペルソナ2 罪」と「ペルソナ2 罰」が発売された時で、ゲームはしませんでしたが作品概要に興味を持ったのは覚えています。
新鋭の女優、タレントとして活躍する菅原りこさんが出演するということで舞台に興味を持ち、昨年12月19日に行われた横浜大千秋楽公演のアーカイブ配信を見てみました
人の心の奥底が描かれ、アクション、歌唱、ダンスも登場する多彩な舞台を興味深く見させて頂きました




(一番右の主人公(猪野広樹さん)と主要登場人物達)




(心の怪盗団の、上段左から主人公”ジョーカー”(猪野広樹さん)、”スカル”坂本竜司(塩田康平さん)、”パンサー”高巻杏(御寺ゆきさん)、下段左から”フォックス”喜多川祐介(松島勇之介さん)、”クイーン”新島真(石塚朱莉さん)、”ナビ”佐倉双葉(福田愛依さん)、”ノワール”奥村春(菅原りこさん)。それぞれにコードネームがあります。)

「ペルソナ」という言葉は、以前より臨床心理学の流派の一つ「ユング心理学」をモデルにしていると感じていて、本舞台を見た時にペルソナの他に「シャドウ」という言葉が登場したのを見て確信しました。
ユング心理学においてペルソナは「周囲に適応し、上手く付き合って行くために付ける仮面」、シャドウは「心の中に抑圧している、自身の認めたくない部分」となっていて、テレビゲームでは「ペルソナ」を「心の中に眠る別人格が、伝来の神や悪魔の姿となって出現した特殊能力」とし、「シャドウ」は心理学とほぼ同じ定義をしています。
上記写真を見ると心の怪盗団は「仮面」を付けているのが分かり、モデルとなった言葉の名残を感じます。

物語は大きく「前半」と「後半」の二つに分かれ、前半は佐倉双葉、後半は奥村春が重要人物として登場します。
主人公は公演の度に名前が変わり、横浜大千秋楽公演では赤瀬望となっていました。
「心の怪盗」とは何なのか気になりましたが、舞台を見て行くと「悪い人の心の中(パレス)に入り込み、悪の心を成すものを盗み去り、その人物を改心させる」という怪盗だと分かり、面白そうだなと思い興味が高まりました



物語前半

主人公のバッグの中から「全会一致で決めた大物だけを狙う。吾輩達怪盗団の掟だからな」という声が聞こえてきて、声の主は猫の姿をしたモルガナでした。
モルガナは元々は人間だったらしく、元の姿に戻るために怪盗団に身を置いているようです。
主人公は全編を通じてどこか影のある雰囲気を出していて、カリスマ性があり良い演技だと思いました。




(学生バージョンの7人)



(上段左から三島由輝(田村升吾さん)、明智吾郎(佐々木喜英さん)、新島冴(茉莉邑薫さん)、下段左から奥村邦和 (松本寛也さん)、佐倉惣治郎(森山栄治さん)、モルガナ(声の出演:大谷育江さん))

国際的ハッカー集団「メジエド」が日本の怪盗団に「偽りの正義を語るのをやめろ」と脅しのメッセージを発し、メッセージを受けて怪盗団の次のターゲットはメジエドにしようとなります。
この時点での怪盗団メンバーは主人公、坂本竜司、高巻杏、喜多川祐介、新島真、モルガナです。

「怪盗団の戦略的広報(メンバーではないが怪盗団に好意を持っている)」を名乗る三島由輝が大手ハンバーガーチェーン「オクムラフーズ」でくつろいでいると、奥村春が「あの、ペットボトルの蓋、良かったら私にもらえます?」と謎の言葉で話しかけてきます。
菅原りこさんの言葉の抑揚の付け方が、2020年2月に舞台「罪のない嘘 ~毎日がエイプリルフール~」で見た時より明らかに上手くなっている気がしました
ペットボトルの蓋をリサイクル会社が引き取ってくれてワクチンに換えられるとのことで、新型コロナウイルスの影響が依然としてある今タイムリーな話題だと思いました。

主人公のSNSにアリババという者から「君は怪盗だな?心を盗んでほしい人間が居る」とメッセージが来て、さらに「改心が成功すればメジエドの情報を渡す。君達が望めば片付けることも可能だ」と言ってきます。
ターゲットの名前は佐倉双葉とのことで、「やらなければ君の名前を世に晒し通報する」と脅しても来ます。
怪盗団は「佐倉」が主人公の居候する喫茶店「ルブラン」のマスターと同じだと気付き、佐倉双葉とどんな関係なのか聞いてみようとなります。

検察官の新島冴(真の姉)が佐倉惣治郎を訪れて、「若葉」という双葉の母親のことを聞こうとします。
「認知訶学(訶は摩訶不思議の訶)が精神暴走事件と関わっている疑いがある」と謎のことを言っていました。
新島冴が去った直後、主人公が双葉のことを聞くと佐倉惣治郎はなぜ知っているのかと動揺していました。
また、高校生探偵の明智吾郎が怪盗団の前に現れ、怪盗団の捜査チームに加わることになったと言い、怪盗団メンバーを疑っているのが分かりました。
物語の進み方がミステリー調なのでどんな展開になるのか引き込まれる面白さがあります。

モルガナが「パレスは強い欲望によって歪んだ認知が具現化したもの」と言います。
怪盗団メンバーは「アリババの力を借りるために佐倉双葉のパレスを盗もう」という意見になります。
また、佐倉双葉は母親が車道に飛び込んで亡くなったのは自身のせいだと思っていることを知ります。

佐倉双葉のパレスに行くと「シャドウ」が出て来て暗い雰囲気をしていました。
パレスは簡単に盗れそうではなく怪盗団はピンチになり一旦現実世界に戻ります。
やがて佐倉双葉が一人で歌う場面になり、何もかもを諦めているような表情の絶望感が凄かったです。




(佐倉双葉(福田愛依さん))

怪盗団は再び佐倉双葉のパレスに行き、敵も出て来てバトルアクションになります。
敵を倒しながらパレスの奥に進んで行くと母親が亡くなった時の記憶が明らかになってきます。
喜多川祐介の「忘れたくて記憶を隠したのか」という言葉は印象的でした。
心の奥底に閉じ込めてしまいたいのはとてもよく分かります。
私はパレスの「核心」に迫って行くのが怖いと感じました。
佐倉双葉自身がその記憶を無くしてしまいたいと思っていて、心を楽にしたいと願うのもよく分かります。

喫茶店「ルブラン」での佐倉惣治郎のくせ者感満載の演技も面白かったです。
「ん?誰かに見られているような」が何度も登場し、「マスクを付けた人達に見られてるような」「また横浜に来てねって思ってる人達に見られてるような…」とお客さん達のことを言っていて、舞台ならではのアドリブだと思いました。

高巻杏が佐倉双葉に言った「助けてほしいって自分から伝えるのはそんなに簡単じゃないんだよ」という言葉は印象的でした。
弱さを見せるのを恥と感じたり、あるいは相手に迷惑になるのではと心配したりして、なかなか伝えられないこともあると思います。




(新島真(石塚朱莉さん)。かなり利発なキャラで、怪盗団の会話を常にリードする活躍を見せていました。)

もう一度佐倉双葉のパレスに行くと、シャドウとはまた違う「佐倉双葉の認知が生み出した怪物」が登場し、物凄い強さで怪盗団は苦戦します。
佐倉双葉もパレスに入ってきて、母親の死の真相に気付きます。
そしてついに覚醒の時を迎えます。
「自分の目と心を信じて真実を見抜く!」
それまでの抑圧された演技から一気に激情へと変わり対比がとても印象的で良かったです



物語後半

主人公、坂本竜司、新島真、高巻杏、三島由輝の5人は秀尽(しゅうじん)学園という同じ高校に通っていて、ハワイに修学旅行に行きます。
ハワイに来て1分くらい経った時に主人公と三島由輝で話す場面があり、三島由輝が「修学旅行も終わりだね」と言うと、主人公がサングラスを外して「もう終わりか!」とあまりの尺の短さに驚愕しながら言っていたのが面白かったです。

修学旅行から帰ってきて、佐倉双葉を仲間に加えた怪盗団の次のターゲットは株式会社奥村フーズ社長の奥村邦和にしようとなります。
しかし賛成の坂本竜司と反対の喜多川祐介で意見が割れ、坂本竜司が引き下がるとモルガナが苛立ちます。
坂本竜司がついモルガナにきつく当たりモルガナも怒って怪盗団を出て行ってしまいます。

怪盗団が奥村邦和のパレスに行くとロボットが出て来て早くもバトルになり、「シフトは厳守。嫌なら辞めろ。ただし手当無し」と言っていて、それが奥村邦和の認知だと坂本竜司が言います。
さらにロボットがやられて倒れると管理者ロボットが「廃棄」と言い、「社長から見た奥村フーズの社員だ」と主人公が言います。
奥村邦和がブラック企業の経営者なのがよく分かる場面でした。




先に進もうとする怪盗団に「お待ちなさい、あなた達」と言い怪盗姿の奥村春が登場し、モルガナも登場します。
モルガナが「お宝を狙って来たのなら、尻尾を巻いて帰ったほうが良い。お宝は我輩と、この美少女怪盗が貰うからだ」と言い、奥村春も台詞を言いますがその場面が面白かったです。
奥村春が「いいですか、立派な怪盗とは…あなた、どう考えてるんです!」と主人公に言うと、「俺のような正統派なイケメンのことを言う」と言い格好良く仮面を外します。
主人公が「惚れるなよ!?」と言った時の奥村春の反応に会場から笑いが起きていて、面白いアドリブ場面だったと思います。




新手の敵が出てきて怪盗団が一旦引くと言って撤収しても奥村春はおろおろしていて、モルガナに「逃げるんだよ!」と言われると慌てて逃げていて戦いに慣れていないのが分かりました。
また奥村春は奥村フーズ社長奥村邦和の娘でもあり、その人が父親のパレスに怪盗として侵入してきたということです。

現実世界に戻り、奥村邦和と春で話す場面になります。
奥村邦和は春を有力議員の息子と政略結婚させようとしていて、娘を自身の勢力を拡大するための道具としか見ていないのが分かりました。
春が下を向きながら「精一杯、務めます」と言っていたのが印象的で、言葉と対照的にとても悲しそうでした。




(奥村邦和と春)

奥村春が一人で歌う場面になり、とても上手いと思いました。
声に張りがあり、腹の底から出ているのがよく分かり、昨年8月の「辰巳真理恵 菅原りこ 追川礼章 SPECIAL CONCERT」での経験が生きていると思いました。
ソプラノ歌手辰巳真理恵さんとの共演は得るものが大きかったと思われ、良い歌唱の師に巡り合えたのではと思います。

モルガナと奥村春で話す場面になるとそこに婚約者がやって来ます。
「僕の、フィアンセからの電話はすぐに出ろ!」と言い乱暴に奥村春の腕を掴み、態度の横柄な人だなと思いました。
モルガナが立ち向かいますがやられてしまい、高いハッキング能力を持つ双葉によって家を突き止めた怪盗団がやって来て何とか事なきを得ます。

再び奥村邦和と春で話す場面になり、勝手に春を一週間後にフィアンセの家に迎えてもらうことにしていて春は驚愕します。
春が怪盗団のみんなに相談すると、喜多川祐介が「君の父を改心させれば罪人の娘というレッテルが一生付きまとうんだぞ?それでも良いのか?」と言います。
春は「他人の不幸で成り立つ幸せに甘んじたら私もお父様と同じだから」と言い、決意を固めていました。

和解したモルガナが帰って来た怪盗団と春は再び奥村邦和のパレスに行きます。
やがて奥村邦和とフィアンセの「認知上の存在」が現れ、二人揃って春のことをまるで「物」として扱っているようなことを言います。
ここからの場面が凄かったです

春「私自身も、会社のために浴して育った娘。会社のための政略結婚なのだと一度は受けました!でもこんなの話が違います!」
この時点で言い方がかなり上手くて驚きました。
最後の方になると金切り声で叫ぶような言い方になっていて、声に怒りや切迫感が強く出て、やはり以前より明らかに演技が上手くなっていると思いました。

春「お父様個人の野心のために、この男のおもちゃになれと!?」
邦和「(悪役丸出しの顔で)なあーーにを今さら。お前など最初からその程度の価値でしかないわ!」
フィアンセ「飽きるまで、たーーっぷり遊んでやるよ!」
「下の下(げのげ)ね!」
この言い方が吐き捨てるように言っていてかなり上手く、相当稽古したのではと思いました。
後半の「下ね!」は一瞬「溜め」を作ってから言っていて、吐き捨てる雰囲気が非常に良く表されていました。
声もそれまでの可憐な高音の声から低めの力強い声に変わっていて、その差がとても際立っていて上手かったです。

怒りが限界を迎えた春の「ペルソナ」がついに完全に目を覚まします!
ペルソナ「ミラディ」が春に話しかけると、春は「心はとうに決まっています!」と力強く言います。
「心は」はゆっくりとドスを効かせて言い、「決まっています!」は速く力強く言うという特徴があり、一つの台詞の中でのスピードや抑揚の変化が印象的で良かったです。




(奥村邦和、フィアンセとの対決)

春「さようなら!お父様!私はもう、あなたには従わない!」
怪盗団、春と敵達のバトルになり、春が物凄く強くなっていました
新島真が「これが、春の本当の力!?」と驚愕していました。
斧を地面と水平に敵に向けて突き出して構えながら、段の高い位置から低い位置に降りて行く場面がかなり上手かったです。
姿勢も洗練されていて、緊迫感と凄味が出ていて「隙がない」という言葉がピッタリで、まるで時代劇の「殺陣(たて)」で侍が刀を敵に向けて構えながらゆっくり歩いている時のようでした。
まさかここまで演技が上手くなっているとは驚きました。
最高に良かったです

みんなでダンスをする場面もあり、途中から春がセンターポジションに出てソロでダンスをして目立っていました。
動きが指先まで洗練されていて非常に上手かったです。





奥村春のペルソナの力の開花に、菅原りこさんの女優としての開花が重なりました。
この先さらに飛躍して行くと確信する素晴らしい演技を見せて頂きました。
声がよく通り細身でスタイルも良く、雰囲気がとてもステージ映えするという高い素質を持っているところに演技力も上昇著しい今、才能完全開花の時を迎えていると思います。
歌唱力、ダンス力、演技力の3つを備えた菅原りこさんならではの幅広い活躍の道を歩んで行けると思います。
現在21歳で今年11月に22歳を迎え、このくらいの年齢から大きく名を上げた女優には仲間由紀恵さん、有村架純さん、松岡茉優さんなどいくつもの例があるのも心強いです。
お芝居を作る人達の目に留まり良縁を得る場面も増えて行くと思われ、これからの益々の活躍がとても楽しみです


「PERSONA5 the Stage #3」、パート3から見ても十分楽しめる面白い作品でした。
たくさんあるアクションシーンや、それまで抑圧されていた人が覚醒を迎える時など見ていて気持ちが盛り上がる場面がいくつもあり、さらにはアドリブ満載と思われる笑える場面もたくさんあり、シリアスもユーモアも豊富に備えた素晴らしい舞台になっていました。
悪い人の心の「パレス」に入り込み、悪い部分を形作るものを盗み去って改心させるというのも面白く、いずれパート1から全作品を通しで見てみたくなりました。
今年はぜひパート4が上演され、素晴らしい舞台をまた見られたら良いなと思います


-----菅原りこさん出演作品、コンサートの感想記事-----
「罪のない嘘 ~毎日がエイプリルフール~」三谷幸喜
辰巳真理恵 菅原りこ 追川礼章 SPECIAL CONCERT


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アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~

2022-01-10 13:39:52 | コンサート、演奏会


(左からピアノ重野友歌さん、ファゴット白井薫さん、コントラバス原田一平さん、ヴァイオリン木村紗綾さん、ヴィオラ松本麗さん、チェロ向井真帆さん、ホルン西本葵さん、クラリネット馴田洸奈さん)

1月8日、広島県広島市のゲバントホールで行われた「アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~」を聴きました。
それぞれが異なる管弦鍵盤楽器8人によるアンサンブル(演奏グループ)で、新年になって初めて聴く演奏会となりました
年末年始休みを機に新型コロナウイルスが感染再拡大していますが警戒を厳重にして無事に開催して頂けて良かったです。
とても楽しみにしていた演奏会で、新年初めて聴くに相応しい強力なプログラムの演奏を楽しませて頂きました



1. G.F.ヘンデル=J.ハルヴォルセン:パッサカリア



(左から木村紗綾さん、松本麗さん)

ヴァイオリンとヴィオラの2人で演奏しました。
それぞれがピッチカート(指で弦をポロンポロンと鳴らす演奏)で掛け合う演奏が迫力と切れがあって良かったです。
冒頭から小刻みに弦を刻む演奏がよく見られ、緊迫した雰囲気がありました。
時折ゆったりになることもあり、そんな時はどこか悲しそうな雰囲気になっていました。
2人で静かめのピッチカートになった場面も良く、ヴァイオリンがピッチカートの中心となりヴィオラは三味線のような音色を出してそれを支えていました。
終盤は2人でとても緊迫した小刻みの演奏になり凄い迫力でした。





(左から白井薫さん、木村紗綾さん)

1曲目の後に木村紗綾さんと白井薫さんのトークがありました。
白井薫さんが2曲目を「1曲目とは打って変わって、どちらかと言うとふざけた曲」と紹介し、さらに「ばかばかしい曲と思って聴いてください」と言うとお客さんから笑いが起きていました。
木村紗綾さんは3曲目の「ます」について華やかなメロディーが続く曲と紹介し、さらに「今日は多種多様な曲が続くので最後までお楽しみください」と言っていました。



2. C.ニールセン:セレナータ・イン・ヴァノ



(左から向井真帆さん、原田一平さん、白井薫さん、西本葵さん、馴田洸奈さん)

チェロ、コントラバス、ファゴット、ホルン、クラリネットという珍しい組み合わせの5人で演奏しました。
ゆったりとコミカルな雰囲気で始まりました。
それぞれの楽器の音がとても引き立つ曲で、各楽器の個性を楽しみました。
最後までゆったりな曲調が続いて行き、いたずらっぽく夢見心地な雰囲気がとても良かったです。

私はこの演奏会を知った時から、クラリネットの馴田洸奈さんが非常に気になっていました。
エリザベト音楽大学在学時、まだブログ記事には出来ていませんが間近で演奏を聴いたことがあり、上手い人だなと思いました。
この人が中心メンバーで登場するコンサートや演奏会をぜひもっと聴いてみたいと思っていた矢先の2020年早春、新型コロナウイルスに見舞われました。
コンサートや演奏会の開催がほとんど不可能になり、大学時代最後の1年間は演奏を聴くことが出来ず、とても悔やまれました。
その人がまさかこのアンサンブルに登場するとはと驚くとともに、再び演奏を聴けることがとても嬉しかったです
プロフィールを見ると精華女子高等学校出身とあり、「響け!ユーフォニアム3 北宇治高校吹奏楽部、最大の危機」(著:武田綾乃)という高校の吹奏楽部を舞台にした小説に登場する全国大会金賞常連の強豪校のモデルになっているのを思い出しました。
馴田洸奈さんが在籍した時代も金賞受賞とあり、やはり小説に書かれている通りなのだなと改めて思いました。
現在は東京の大学院に在学中とのことですが、今回のようにたまに広島のコンサートや演奏会に登場してくれると嬉しいです



3. F.シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」イ長調 D.667



(演奏前のチューニング(音合わせ)の様子。左から木村紗綾さん、重野友歌さん、松本麗さん、原田一平さん、向井真帆さん)

一楽章
短い音での始まりが印象的で引き込まれるインパクトがありました。
ヴァイオリンとピアノが目立っていて、ヴァイオリンが明るい演奏をしてピアノが宝石のきらめきのように演奏することが何度もありとても良かったです


二楽章
ヴィオラの独奏で始まりました。
二楽章でもピアノが宝石のきらめきのように他の楽器の演奏に「ふし」を付けた場面が何度もあり、そのきらめきの音色の表現力が素晴らしいなと思いました。
そしてピアノが目立つ場面もあり、軽やかにスキップしているかのようでとても上手かったです。





三楽章
ヴィオラとピアノでゆったりと始まり、それをチェロとコントラバスが支える中でヴァイオリンも入って行きました。
明るく安らぐ音色が続いて行き、ヴァイオリンとピアノは同じメロディの掛け合いを繰り返していて、明るく軽やかな雰囲気が良かったです。
ピアノのゆったりしていながらも一つ一つの音が弾んでいる音色も良かったです。


四楽章
冒頭はヴァイオリンの目立つ聴いたことのある音色で始まり、その響きに引き込まれました。
ピアノが冒頭の演奏をし、音がとても弾んでいて華やかでした。
さらにはヴィオラ、チェロ、コントラバスも冒頭の演奏をしていて、次々と繰り返されて行くのが印象的でした。
最後は全体でとても激しい演奏になりました。


五楽章
最後まで明るく軽やかでした。
五楽章のみならず、全楽章通して明るさや軽やかさが目立ち、とても心地良く聴いていられる音色の曲でした





(3曲目終了後、休憩中のゲバントホール。老若男女問わず幅広い層の人が聴きに来ていました。)





(トークをする木村紗綾さんとサポートをする重野友歌さん)

4曲目の前に木村紗綾さんのトークがありました。
最初に3月12日に行うコンサートの紹介がありました。
演奏する曲を昨年11月~今年2月までのお客さんへのアンケート結果で決める(上位の曲を演奏)という、通常のコンサートとは違う珍しい試みをするとのことです。
今回のプログラムに挟まっていたチラシに3月12日コンサートのチラシもあり、投票用のアンケート用紙も付いていたので、私もコンサートに行けるかはまだ分からないですがヴィヴァルディの「四季」より「春」で投票してみました。
中学校時代の卒業式で流れたのが思い出され、毎年春になると聴きたくなる厳かな気持ちになる曲です

4曲目のベートーヴェンの七重奏曲の紹介もありました。
6楽章まであり40分くらいある曲とのことでした。
昨年の春くらいから演奏したいと思っていたとのことで、七重奏の演奏が可能なアンサンブル・プリエールの結成によってついに実現となりました。



4. L.V.ベートーヴェン:七重奏曲 変ホ長調 Op.20



(演奏前のチューニングの様子。左から木村紗綾さん、松本麗さん、向井真帆さん、原田一平さん、白井薫さん、西本葵さん、馴田洸奈さん。
4曲目出演の女性陣はドレスの衣装替えがあり雰囲気がガラッと変わりました


一楽章
この曲はピアノ以外の全員での演奏となりました。
ヴァイオリンが演奏して他の楽器が続く掛け合いの演奏、さらにヴァイオリン以外の楽器が演奏してヴァイオリンが続く掛け合いの演奏がありました。
そこからはクラリネットとヴァイオリンがかなり目立っていて、軽快な雰囲気の演奏が続いて終わりました。




(白井薫さん、西本葵さん、馴田洸奈さんの演奏の様子)


二楽章
クラリネットを中心にゆったりと始まり、伸びやかな音色のクラリネットを他の楽器が支えていました。
その後ヴァイオリンがクラリネットの演奏をして他の楽器が支えていました。
ホルンとクラリネットで短い音を連続させる緊迫した演奏があったのが印象的でした。
クラリネットが束の間独奏になり、音がフワーッと浮遊しているようで上手いと思いました。
ヴァイオリンが目立ち、音が高音から低音まで変化が大きくこちらも不穏さとダイナミックさの表現が上手いと思いました。




(機材との位置関係で見えずらいですが、木村紗綾さんと松本麗さんの演奏の様子)


三楽章
ヴァイオリンを中心に軽快に始まりました。
最後まで楽しそうな雰囲気の楽章でした。


四楽章
ヴァイオリンとファゴット&クラリネットの掛け合いがありました。
私はクラリネットに「滑らかな音色」、ファゴットに「ファンキーな音色」という印象を持っていて、その二つがコンビを組んだ音色をはっきりと聴き取ることが今まであまりなかったのでとても新鮮でした。
良いハーモニーになっていると思い、そんな音色が聴けるのはアンサンブルならではの良さだと思います。
その後はヴァイオリンの非常に速い小刻み演奏が目立っていて、終盤に少し不穏にチェロとコントラバスが演奏した場面も印象的でした。




(向井真帆さん、原田一平さんの演奏の様子。コントラバスはいかに大きな楽器かがよく分かるのではと思います。)


五楽章
ホルンで始まり、今まで聴いてきたコンサートや演奏会でホルンがソロで先陣を切る演奏は聴いたことがなかったような気がし、こちらも新鮮に感じました。
チェロがかなり目立つ場面があり、軽快な音色で良いと思いました。


六楽章
少しミステリアスな全体での演奏で始まりました。
この楽章でもヴァイオリンとクラリネットがかなり目立っていました。
ホルンの「タータータタター」という演奏の後に他の楽器が続く演奏が4回もあったのも印象的で、回を重ねるごとにホルンのメロディが始まると「再び盛り上がるな」とワクワクした気持ちになりました



アンコール

ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲



(アンコール時の挨拶の様子)




(アンコール演奏時。ピアノの重野友歌さんも再登場し、この日初めてフルメンバーでの演奏になりました








ラデツキー行進曲は明るい雰囲気のとても盛り上がる曲で、聴いていると気持ちがワクワクしてきます。
お客さんからは手拍子が巻き起こり、私も一緒に手拍子していました





(アンコール終了後)

アンサンブル・プリエールの第1回演奏会、楽しませて頂きました。
新年になって初めて聴く演奏会がこの演奏会で良かったと思う素晴らしい演奏会でした。
3曲目と4曲目に大曲を揃えて、素晴らしい音色で胸いっぱいになったところにアンコールのラデツキー行進曲で軽快な気持ちにする構成も秀逸で、今年もクラシックのコンサートや演奏会をたくさん楽しんで行きたい気持ちになりました
ぜひ次回も開催され、再び演奏を聴けることを願います



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演奏者プロフィール

ヴァイオリン 木村紗綾

広島市出身。
15歳で単身チェコに渡り、プラハ音楽院に学ぶ。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
チェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミー修了。
これまでに指揮者大植英次氏を初め、広島交響楽団やチェコにてオーケストラと多数共演。
2020-21年度チェコ国立ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスを歴代最年少で務める。
現在チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者として活動する他、ソロ・アンサンブルなど国内外で幅広く活動を行っている。


ヴィオラ 松本麗

千葉県出身。島根県育ち。
桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽科を卒業。
在学中に成績優秀者によるstudent's concertに出演。
同大学、大学院を卒業。
在学中にヴィオラ科に転向。
これまでにヴァイオリンを須貝万紀、高旗健次、長谷川夕子、田澤明子、故名倉淑子、ヴィオラを故岡田伸夫、室内楽を山崎伸子、磯村和英、各氏に師事。
現在、都内のオーケストラにエキストラとして出演するなど、フリーランスとして活動している。


チェロ 向井真帆

広島県廿日市市出身。
愛知県立芸術大学音楽学部を卒業。
同大学大学院博士前期課程修了。
在学中、ドイツのケルン音楽大学へ留学。
第11回ベーテン音楽コンクール全国大会第1位。
第10回セシリア国際音楽コンクール室内楽部門第3位。
第22回さくらぴあ新人コンクール廿日市市教育長賞受賞。
これまでにチェロをマーティン・スタンツェライト、花崎薫、H.C.シュヴァイカー の各氏に師事。
現在広島を拠点にソロ、アンサンブル、オーケストラの客演など幅広く演奏活動を行っている。
エリザベト音楽大学非常勤副手。
あきクラシック実行委員会委員。


コントラバス 原田一平

広島県出身。
くらしき作陽大学音楽学部音楽学科卒業。
東アジア音楽芸術教育連盟設立大会記念演奏会に出演。
コントラバスを石川徹、徳原正法、樋口誠、渡辺彰考の各氏に師事。
第21回日本クラシック音楽コンクール弦楽器部門第4位。
現在、瀬戸フィルハーモニー交響楽団コントラバス奏者。
ジャパン・アカデミーアンサンブルソロイスツ主宰。
あきクラシック実行委員会委員。
四国大学短期大学部音楽科非常勤講師。


クラリネット 馴田洸奈

12歳よりクラリネットを始める。
精華女子高等学校在学中、全日本マーチングコンテスト、全日本吹奏楽コンクール金賞受賞。
クラリネットを橋本眞介、武田忠善、伊藤寛隆の各氏に師事。
室内楽を赤坂達三、万代恵子、金子恵の各氏に師事。
大植英次プロデュース威風堂々クラシック in Hiroshimaソロコンサートにてソリストとして出演。
フィリップ・ペロー氏のマスタークラスを受講。
エリザベト音楽大学卒業、現在国立音楽大学大学院修士課程1年次在籍中。


ホルン 西本葵

広島音楽高等学校を経て東京音楽大学を卒業。
在学時、特別特待奨学生として奨学金を得る。
第27回中国ユース音楽コンクール金管部門最優秀賞。
第34回ヤマハ管楽器新人演奏会金管楽器部門へ出演。
第89回日本音楽コンクールホルン部門入選及び岩谷賞。
小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅩⅣ・ⅩⅥに参加。
サボルチ・ゼンブレーニ、ヨハネス・ヒンターホルツァー、クリストフ・エス各氏のマスタークラスを受講。
これまでにホルンを佐々田裕美、宮本辰彦、水野信行の各氏に師事。


ファゴット 白井薫

広島県出身。
愛知県立芸術大学にて音楽学をヴァイマール・フランツリスト音楽大学にてファゴットを学ぶ。
ファゴットを岡崎耕治、水間博昭、フランク・フォルストの各氏に師事。
音楽学を原田宏司、安原雅之の元で学ぶ。
ドイツにてカメラータ・テンポラリス等に客演。
2016年、卒業論文として「アルノルト・シェーンベルクの音楽劇《幸福の手》ーーその歴史的意義について」を執筆。
愛知県立芸術大学在学時より指揮者、ソリストとしての活動や、演奏会の企画、楽曲解説の執筆など、多岐にわたる活動を行っている。


ピアノ 重野友歌

広島県呉市に生まれる。
母親の手ほどきによりピアノを始め中学校卒業後に渡英。
メニューイン音楽院を経て英国王立音楽大学に全額特待生で入学。
首席で卒業した後ドイツに移り、ハンブルグ国立音楽演劇大学で大学院修士と国家演奏家資格をどちらも最優等で取得。
2018年よりアメリカ、マイアミ大学フロスト音楽学校にてケヴィン・ケナーの下、博士課程に在籍。
2020年、日本に帰国。
リカルド・ヴィネス国際コンクール日本人初優勝をはじめ、国内外でのコンクールで数々の賞を受賞。
ソロのみならず、妹 文歌とのピアノデュオ・カントゥス、国内外のアーティストとのアンサンブルにも力を注いでいる。
全日本ピアノ指導者協会演奏会員。
エリザベト音楽大学非常勤講師。
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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


向井真帆さん出演のコンサート、演奏会
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019


馴田洸奈さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
エリザベト音楽大学 第77回定期演奏会
エリザベト音楽大学 大学祭2019


※「コンサート、演奏会記事一覧」をご覧になる方はこちらをどうぞ。

広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達

2022-01-08 20:41:25 | コンサート、演奏会


(全演目終了後。左から若松成さん(ピアノ)、谷崎友美さん(ピアノ)、木村紗綾さん(ヴァイオリン)、瀬川泰代さん(ピアノ)、吉川絢子さん(ピアノ)、中川詩歩さん(ソプラノ))

昨年の11月28日、広島県民文化センターホールで行われた「広島プレミアムコンサート~海外から凱旋した広島のアーティスト達」を聴きました。
よく演奏を聴く広島出身ヴァイオリニストの木村紗綾さんが出演されるということで興味を持ちました。
「ORIZURU国際平和音楽祭」という催しの一つとして行われたコンサートで、コンサート名にあるとおり海外で活動しているアーティストが出演されました。
声楽、ヴァイオリン、ピアノの演奏があり、初めて訪れるホールでしたが非常に響きも良く、それぞれの演奏を楽しませて頂きました




(広島県民文化センターホールのステージ。非常に響きの良いホールでした



1. 中川詩歩さん(ピアノ伴奏:吉川絢子さん)

1. ヘンデル:オペラ「リナルド」よりLascia ch’io pianga(私を泣かせて下さい)
2. ドビュッシー:マンドリン
3. フォーレ:夢の後に
4. サティ:ジュ・トゥ・ヴ

コンサートの最初に登場したのがソプラノの中川詩歩さんで、1曲目の「Lascia ch’io pianga(私を泣かせて下さい)」が非常に印象的でした。
タイトル日本語訳の「私を泣かせて下さい」からは想像もつかないような安らぎを感じる音色で、一気に歌唱に引き込まれて行きました。
どの曲も安らぎや軽快さが感じられ、歌詞は外国の言葉でも音色に魅力があり、様々な雰囲気が伝わってきて聴き入っているうちにあっという間に終わった気がします。



2. 瀬川泰代さん

1. ライネッケ:左手のためのピアノソナタ
2. 吉松隆:タピオラ

瀬川泰代さんは右手に病を患ったのを機に左手一本で演奏するピアニストになったとのことで、どんな演奏になるのかとても気になりました。
その演奏は「片腕の演奏には片腕ならではの良さがある」とはっきり感じるものでした
独特のダイナミックさ、立体感があり良い演奏だと思いました
片腕での演奏用のピアノソナタもこのコンサートで初めて聴き、クラシックの新たな奥深さを知りました。



3. 木村紗綾さん(ピアノ伴奏:谷崎友美さん)

1. スメタナ:わが祖国より
2. フバイ:カルメン幻想曲

木村紗綾さんのヴァイオリン演奏は何度も聴いていますが2曲とも初めて聴く演奏でした。
スメタナの「わが祖国より」はゆったりと叙情的な音色になることもあれば激しい音色になることもあり、変化の豊かな曲でした。
「カルメン幻想曲」は、木村紗綾さんの演奏ではワックスマンのカルメン幻想曲を聴いたことがありますが、フバイのは初めて聴きました。
2曲とも木村紗綾さんの特徴の「音の切れの鋭さ」が発揮され、それが叙情的であったりミステリアスであったりといった作品世界とよく合い、切れの良い音色に魅了されました。



4. 若松成さん
(全てショパンの曲)

1. ノクターン
2. ワルツ
3. 舟歌

どの曲もショパンらしい繊細さや可憐さが出ていて良かったです。
ピアノから出てくる繊細な音や可憐な音を聴いていると気持ちが穏やかになって行きました。
ショパンのピアノ曲には独特なロマンチックさがあるなと改めて思い、これからの演奏会でも様々なピアノ曲を聴いてみたくなりました。


今回は気楽に雰囲気を楽しもうと思い曲名以外は何もメモせずに聴いていましたが、その中で木村紗綾さんが挨拶時に「大勢の人の前で演奏出来ることが嬉しい」と言っておられたのは印象的でした。
新型コロナウイルスの問題でなかなか思うようにコンサートを開催出来ない時期が続いていたので重みのある言葉でした。
昨年秋頃からは比較的コンサートを開催出来るようになっているので何とかこのまま維持されてほしいです。
クラシックの音色に気持ちが明るくなったり救われたりすることもよくあり、今回出演された方の演奏もまたどこかで縁あって聴けると良いなと思います



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演奏者プロフィール

中川詩歩《ソプラノ》

エリザベト音楽大学演奏学科声楽専攻および同大学院修士課程修了。
パリのエコール・ノルマル音楽院にて最高課程高等コンサーティスト科ディプロムを審査員満場一致の首席にて取得し卒業。
またトゥール地方音楽院や多数のマスタークラスにてバロック声楽を学ぶ。
これまでに升田裕子、益田遙、林裕美子、波多野睦美、Anne-Marie Rodde、Nina Uhari、jerome Correas、Noemi Rime、Claire Lefilliatre 各氏に師事。
これまでにペルゴレージ「スターバト・マーテル」バッハ「ヨハネ受難曲」、ヘンデル「メサイア」、モーツァルト「レクイエム」、メンデルスゾーン「エリア」などのソロやアンサンブルなどを数多く行う。
フラワーフェスティバル開会式「花ぐるま」演奏、新進演奏家育成プロジェクトにて広島交響楽団と共演、マツダスタジアムにて国歌歌唱、韓国にてInternational Music Expo出演、パリ中央室内楽団と共演。
欧米、アジアなど世界各地で演奏。
ウィーン国際音楽ゼミナール、スイス・アローザ国際音楽講習会、ベルリン、ルクセンブルク、フランス各地にて著名な教授陣のもとマスタークラスに参加。
第19回大阪国際音楽コンクール歌曲部門Age-U部門第2位。
第21回九州音楽コンクール声楽一般部門審査員特別賞受賞。



瀬川泰代《左手のピアニスト》

安田女子高校、エリザベト音楽大学、同大学研究生を経て、2018年タレントミュージックマスターコース(イタリア)ディプロマ取得。
2020年グラーツ芸術大学大学院 コンサートピアノ科(オーストリア)を満場一致の最優秀の成績で卒業。
高校3年時に局所性ジストニアを右手指に発症を機に左手のピアノ曲を専門に学ぶ。
エリザベト音楽大学卒業後、演奏活動・国際ピアノコンクール受験は左手だけでの取り組みである。
2017年 City of Vigo国際ピアノコンクール2位(スペイン)、2018年Val Tidone国際コンクールSilvio Bengalli 4位(1位なし、イタリア)、Nuova Coppa Pianisti国際コンクール3位、現代音楽賞(イタリア)、2019年Primavera Pianistica コンクール2位(ベルギー)などこれまでに12の国際ピアノコンクールで受賞。
2018年館野泉氏が審査委員長を務める左手のピアニストのための公開オーディション(石川県)最優秀賞受賞。
14ヶ国で演奏活動を展開。
ルーマニア国立バカウ交響楽団、広島交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢と左手のためのピアノ協奏曲を共演。
ソリストとしてエヴメリア国際音楽祭、いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭に出演。
2021年東京2020パラリンピック聖火リレー全国集火式広島県代表に選出されたことにより県知事表敬訪問、「広島県の火」集火・出立では出立宣言と被爆ピアノ演奏を行う。
これまでに、平本恵子、濵本恵康、横山幸雄、池場文美、アンドレアボナッタの各氏に師事。



吉川絢子《ピアノ》

エリザベト音楽大学、同大学院修士課程を首席、総代で修了。
6年間続けて特待生としてザビエル奨学賞受賞。
同大学院博士後期課程修了、博士号(音楽)を取得。
フランス、スイスにてマスタークラスを修了。
これまでに広島交響楽団、チェコ・フィルハーモニー弦楽四重奏団、ドビュッシー弦楽四重奏団と共演。
エリザベト音楽大学付属音楽園講師、比治山大学短期大学部非常勤講師、安田女子大学、安田女子短期大学非常勤講師。
東広島市音楽普及啓発事業登録アーティスト。



若松成《ピアノ》

名古屋市出身。
2003年東京芸術大学音楽学部付属音楽高校卒業。
2008年ハンガリー国立リスト音楽院卒業、修士課程修了ハンガリー国家演奏家資格取得。
2017年ドイツ国立カールスルー音楽大学ソリストディプロマコースを首席で卒業ドイツ国家演奏家資格取得。
これまでに服部浩美、播本枝末子、青柳晋、ジョルジュ・ナードル、ソコライ・バラージュ、バラニャイ・ラースロー、ケヴィン・ケナー、アンジェイ・ヤシンスキー、ベルンド・ゲツケ、ペーター・アイヒャーの各氏に師事。
2004年ヌエバ・アクロポリス国際ピアノコンクール(イタリア)最高位、併せて古典派特別賞。
2014年エンニョ・ポリーノ国際ピアノコンクール(イタリア)最高位など、ヨーロッパ各地の国際ピアノコンクールで優秀な成績を修め、東ヨーロッパからドイツ、イタリア、フィンランドに至るまでヨーロッパ各地で広く演奏活動を展開する。
日本でも精力的に演奏活動を行っており、2007年宗次ホール・オープニングコンサートの一環としてリサイタルを行い、2011年まで同ホールにて毎年ソロリサイタルを開催する。
2012年、2013年フィンランド国内12の都市にてコンサートツアーを行い好評を博す。
2017年9月にドイツより帰国、名古屋、広島を中心に演奏活動、コンクール審査、後進の指導にあたっている。
全日本ピアノ指導者協会会員、日本クラシック音楽コンクール、ブルグミュラーコンクール、ピティナピアノコンペティションG級、特級審査員。



木村紗綾《ヴァイオリン》

広島市出身。3歳よりヴァイオリンを始める。
安田女子中学校卒業後、15歳で渡欧し、プラハ音楽院に首席入学。
第50回コツィアン国際ヴァイオリンコンクール第1位、第38回チェココンセルヴァトワール・ギムナジウム国際コンクール第1位、第2回ヴィッラフランカ・ディ・ヴェローナ国際コンクール第1位、併せて聴衆賞を受賞するなど国内外のコンクールで入賞。
ドヴォルジャーク音楽祭にて指揮者、ヤロスラフ・クルチェク氏とバッハのヴァイオリン協奏曲を共演。
2016年よりチェコフィルハーモニー管弦楽団オーケストラアカデミーに在籍し、プラハの春音楽祭、スメタナ音楽祭など国内外の演奏会、ツアーに多数出演し、2018年修了。
2017年イタリアで開催されたインターハーモニー音楽祭ではコンサートミストレスを務める。
2011年度ヒロシマ平和創造基金ヒロシマスカラシップ奨学生、2016年より大植英次氏プロデュース威風堂々クラシック in Hiroshimaにてコンサートミストレスを務め、チャリティコンサートなどソリストとしても多数共演。
第54回文化庁委託事業新進演奏家育成プロジェクト オーケストラシリーズにて広島交響楽団と共演。
現在チェコフィルハーモニー管弦楽団、プラハ交響楽団などの客演奏者として活動し、2020年秋よりチェコ ピルゼンフィルハーモニー管弦楽団アシスタント・コンサートミストレスに歴代最年少で就任し、国内外で活動中。



谷崎友美《ピアノ》

広島音楽高等学校卒業。
エリザベト音楽大学を4年間学費全額免除の特別奨学生として通い首席で卒業。
同大学院在籍中、ヒロシマ・スカラシップ、エルネスト・ゴーセンス奨学金を得て渡独し、国立フォルクヴァング芸術大学修士課程を修了。
帰国後、エリザベト音楽大学修士課程を修了と共にセシリア賞受賞。
ドイツ、広島でソロリサイタルを行う他、伴奏、室内楽などにも取り組んでいる。
現在、エリザベト音楽大学非常勤副手、付属音楽園講師。
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木村紗綾さん出演のコンサート、演奏会
威風堂々クラシック in Hiroshima 2018
威風堂々クラシック in Hiroshima 2019
安田女子中学高等学校 第8回復興支援チャリティーコンサート
一楽章f未完成 Violin & Cello Duo Concert
木村紗綾さん ヴァイオリン・サマーコンサート
ひろしま美術館 ミュージアムコンサート(出演:木村紗綾)
CHRISTMAS IN PEACE CONCERT 2019
新進演奏家育成プロジェクト オーケストラ・シリーズ 第54回広島
木村紗綾さんオンラインヴァイオリンリサイタル ~クラシックで満ち満ちて~
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル
アンサンブル・プリエール 第1回演奏会 ~広島ゆかりの若手演奏家が紡ぐアンサンブルの調べ~
音のマリアージュ Vol.1 ~あなたが決める名曲コンサート~


谷崎友美さん出演のコンサート、演奏会
エリザベト音楽大学 2018年度卒業演奏会
第52回福山音楽祭府中エリア特別演奏会 木村紗綾ヴァイオリンリサイタル


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年末年始の働き方見直し

2022-01-02 23:01:23 | ウェブ日記
近年、年末年始の働き方見直しの動きが見られるようになりました。
「元日も営業」「お正月三が日も営業」に対して、「三が日はお休みしますで良いのでは」という意見が出るようになってきました。
私はこの意見に賛成です。
例えばコンビニのように、元日からお店を営業して頂けるのはとても助かりますが、義務ではないので、お休みする方向に舵を切るのも大いにありだと思います。
「我が社は元日から営業します」と偉い人が言ったとして、その言葉は従業員さんを無理やり元日から出勤させないと成り立たないのは忘れてはいけないと思います。

コンビニなどの「24時間営業」も同じように見直す動きが少しずつ広がっています。
私はこうした動きは「行き過ぎた便利さ」への揺り戻しの動きと捉えています。
便利を追求するあまり、どことなく社会全体がギスギスしてしまったのかも知れません。

もちろん病院の関係者や神社の初詣対応の巫女さんなど、人手が必要な分野もあります。
そういったもの以外の分野で徐々にお正月をお休みする動きが広がって行けば、今より少し社会がゆったりするのではと思います。
元々日本人は「働き過ぎ」と言われているので、お正月三が日くらいは休める人が少しでも増えて行くのは良いことだと思います。
ギスギスしない働き方になって行くことを願います

謹賀新年

2022-01-01 15:20:02 | ウェブ日記
新年明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします

元日の今日は三つの神社に初詣をしました。
そのうち二つの神社で御神酒(おみき)を頂きました。
御神酒は神様にお供えして霊力の宿った日本酒のことで、ご利益があるとされ、特にお正月の三が日はたくさんの神社で振る舞われます
普段はあまりお酒を飲まない私も御神酒は喜んで頂きます。

今日の初詣で御神酒を頂いた際、最初の神社では巫女さんがチラチラと何か言いたそうにこちらを見ていて、何だろうと思ったらその巫女さんが御神酒の係でした。
どうやら「御神酒をご所望ですか」的なことを言おうとしたものの、緊張もあり話しかけて良いものか戸惑っていたようです。
「御神酒を頂けますか」と話しかけると、戸惑いつつ「どうぞ」と言い手元の御神酒を示しました。
私が御神酒を飲み終わる数秒の間に場の雰囲気に慣れてきたようで、飲み終わると爽やかな笑顔で紙コップを回収してくれました。

何だか気持ちが温かくなりました
初詣ならではの初々しい光景だったなと思います。
きっとお正月期間中のアルバイトの巫女さんと思われ、高校生くらいに見えました。
明日と明後日も多く人が初詣に訪れると思うので、上手く御神酒を渡せることを祈ります。

温かな気持ちで元旦(1月1日の朝)、そして元日(1月1日)を過ごせて良かったです。
このまま温かく穏やかに三が日を過ごしたいと思います。
そして今年もマイペースにブログやツイッターを楽しんで行きたいと思います