今回ご紹介するのは大河ドラマ「毛利元就 第十六回 弟の謀反」です。
-----内容&感想-----
1524年(大永4年)夏、尼子経久(つねひさ)が送り込もうとした養子を拒否し元就が27歳で毛利家当主となって以来、家臣団は元就派と反元就派の二つに分裂していました。
出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)で経久、重臣の宇山久兼、重心の亀井秀綱が安芸の国(広島県)攻略への作戦を立てていると、裏で尼子に通じている毛利家重臣の桂広澄(ひろずみ)がやって来ます。
この時広澄の様子がおかしく何かを決意した言葉を語り、経久が他に取るべき道はないのかと聞くと今の自身には考えられないと言い去って行き、経久が凄く寂しそうな表情をしていたのが印象的でした。
経久は「桂は元就を斬る気だ」と言い、広澄が謀反(むほん、主君を裏切って襲撃すること)を起こそうとしているのを察知していました。
相合(あいおう)元網は広澄に謀反に同意すると言います。
相合の方(元就の亡き父、広元の側室で元綱の母)は毛利を強くしたいという思いは分かるが二人の考えは無謀だと言い必死に止めようとします。
元網はもはや元就を信じられず、信じられない殿の下では働けないと言います。
相合が広澄に「元綱に兄を殺せと申されるのか」と言うと広澄は元綱を誘う気はないと言います。
しかし元網はそれなら自害すると言い一緒に謀反を起こすと言います。
相合が「元綱に、兄を殺してまで上に立ってほしうはない」と言うと元綱は「お家のためとあらば親兄弟が殺し合うは道理の世にござる」と言い聞く耳を持たないです。
相合がさらに「兄弟で殺し合うより、兄弟で手を取り合い、結果お家が潰れるほうがマシじゃ」と言うと元網は「それは女子の道理じゃ!」と言いますが相合が「人の道理じゃ!」と言ったのが印象的でした。
元網が相合の説得を振り払って去って行った後、相合が「桂殿、お止めください!元網も桂殿も、かけがえのないお人じゃ。母として、女として、死なせとうない。失いとうないのじゃ!桂殿…」と必死の説得をしていたのが悲しかったです。
郡山城では忍の小三太が元就に広澄と元綱が謀反を起こそうとしていると伝えます。
元就は「謀反など信じられぬわ。わしは元綱は斬れぬ。元綱とて、わしを斬れぬはずじゃ」と言います。
すると美伊(みい)が「命に関わることゆえ、さような甘いお考えでは困ります」と言います。
これは血縁者とそうではない者の違いだと思います。
元綱と血の繋がった兄弟の元就は元綱の謀反を信じられずにいますが美伊は冷静に見ています。
毛利家重臣の渡辺勝(すぐる)を広澄が訪ねます。
広澄は「今度生まれてくる時は、武将などではのうて、天候のことばかりを話して、のんびり生きてみたいものじゃと思うたら、急に渡辺殿と空や雨の話をしとうなった。わしは渡辺殿と会えて幸せじゃった」と言い、勝は広澄が謀反を起こそうとしているのを悟ります。
郡山城では重臣の井上元兼が元就に謀反は確かなものだと自身の手の者が知らせてきたと言い、筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は警護を固めると言います。
元就は元綱に会いに行き「此度(こたび)のこと、許してくれ。元綱には煮え湯を飲ましてしもうた。このとおりじゃ」と頭を下げて謝ります。
元綱は元就に「よお分かっておりまする。兄上が家督を継がれて良かったと、今は思うておりまする。あれから悩みも致しましたが、終生兄上に付いて行きまする。何なりとお申し付けくださりませ」と言います。
しかし郡山城に戻った元就に美伊が声を掛けると浮かない顔をしていて、元綱の言葉が上辺だけで実際には謀反を起こそうとしているのを悟っていました。
広澄は元綱から元就が来たことを聞き、感づいていると予想はしていたが最早猶予はないなと言います。
元綱が「いっそ今夜」と言うと広澄は自身が郡山城に攻め入るから元綱は城を囲んでくれと言いついに謀反を決行します。
元綱が自身も城に攻め入ると言っても広澄は「元綱殿は城を囲んでくだされ」と強い声で重ねて言い押し切っていました。
血の繋がった兄弟の元綱を直接元就と戦わせるのは避けたかったのだと思います。
その夜、広澄の嫡男の元澄(もとずみ)が「兵を挙げられると耳に致しました。元澄をお供させてくださりませ」と言いますが広澄は「ならん」と言い、「そなたはまだ若い。しかも桂家の大事な跡取りじゃ」と言います。
桂の家を守るように言っていて広澄は死ぬのを覚悟していました。
出陣直前の元綱が相合に「すみませぬ」と謝ると相合は疲れ切った顔で「行きなさい」と言います。
言っても止まりはしないと諦めたのだと思います。
元綱が行こうとすると相合は即座に自害しようとして元綱に止められ「行きなされ!母は、謀反など起こす子は、見とうない!」と言います。
元綱は側室の子として生まれた苦しさ、そして側室とその子だからと卑屈になる必要はないことを語り、「兄上を斬るは苦しいが、母上とて、元綱を他人の手足とするために産んだのではござりますまい。元綱は己のため、母上のため、毛利のために、兄上を討ちまする」と語り出陣します。
兵を率いた広澄が郡山城に向かい、元綱は相合と話していたため遅れます。
小三太が元就と美伊に広澄が郡山城に向かっていることを伝え、さらに家臣の「謀反にござります!」の言葉で一気に緊迫した雰囲気になります。
広澄の「掛かれ!!」の言葉で戦いが始まります。
家臣は甲冑を着けているのに広澄だけはなぜか普段着で、広澄なりの謀反を起こすことへのけじめのように見えました。
戦いの最中、家臣を連れて郡山城に向かっていた元綱は小三太の率いる集団に襲われ命を落とします。
広澄は一太刀、また一太刀と浴びて満身創痍になりながらも一人で大勢を斬り倒して元就のもとに向かい対面します。
桂広澄(画像はネットより)
元就は静かに広澄を見ながら「申したきことがあらば、全て申せ」と言い、広良や元兼がやって来ると「広澄と話をしておる。下がれ!」と言います。
元就も甲冑を付けずに普段着で居て広澄への誠意だと思いました。
元就が「広澄、腹にたまっておること、申してみよ!」と言うと広澄は広元も興元(元就の亡き兄)も頼りにならないため自身が毛利を動かさんと力を尽くしたと言い、「某(それがし)の一念、分かってくだされ」と言います。
元就が「広澄、此度のことは、そなた一人の所存じゃな!」と言うと広澄は頷き、自身が死のうとしている時に元綱を庇おうとしていました。
広澄は「元就殿、毛利を、託しまする」と言い自ら首を斬り自害します。
今回は「第七回 われ敵前逃亡す」で興元が言っていた「とにかく世間では親兄弟同士が殺し合う。毛利だけはそのようなことのなきよう、兄弟三人力を合わせていこうぞ」が毛利もそうなるとても印象的な回でした。
広澄が自ら首を斬り自害した時、元就が呆然とした表情で涙を流していたのも印象的で深く悲しんでいるのが分かりました。
元就はこれまでに何度も涙を流していてかなり心も疲れているのではと思います。
この悲しさの先に中国地方10ヶ国の覇者、120万石の大名になった毛利元就の姿があり、そのような偉人になるまでには大変な思いをしていたのがよく分かる回でした。
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁
第九回 さらば兄上
第十回 初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋
-----内容&感想-----
1524年(大永4年)夏、尼子経久(つねひさ)が送り込もうとした養子を拒否し元就が27歳で毛利家当主となって以来、家臣団は元就派と反元就派の二つに分裂していました。
出雲の月山富田城(がっさんとだじょう)で経久、重臣の宇山久兼、重心の亀井秀綱が安芸の国(広島県)攻略への作戦を立てていると、裏で尼子に通じている毛利家重臣の桂広澄(ひろずみ)がやって来ます。
この時広澄の様子がおかしく何かを決意した言葉を語り、経久が他に取るべき道はないのかと聞くと今の自身には考えられないと言い去って行き、経久が凄く寂しそうな表情をしていたのが印象的でした。
経久は「桂は元就を斬る気だ」と言い、広澄が謀反(むほん、主君を裏切って襲撃すること)を起こそうとしているのを察知していました。
相合(あいおう)元網は広澄に謀反に同意すると言います。
相合の方(元就の亡き父、広元の側室で元綱の母)は毛利を強くしたいという思いは分かるが二人の考えは無謀だと言い必死に止めようとします。
元網はもはや元就を信じられず、信じられない殿の下では働けないと言います。
相合が広澄に「元綱に兄を殺せと申されるのか」と言うと広澄は元綱を誘う気はないと言います。
しかし元網はそれなら自害すると言い一緒に謀反を起こすと言います。
相合が「元綱に、兄を殺してまで上に立ってほしうはない」と言うと元綱は「お家のためとあらば親兄弟が殺し合うは道理の世にござる」と言い聞く耳を持たないです。
相合がさらに「兄弟で殺し合うより、兄弟で手を取り合い、結果お家が潰れるほうがマシじゃ」と言うと元網は「それは女子の道理じゃ!」と言いますが相合が「人の道理じゃ!」と言ったのが印象的でした。
元網が相合の説得を振り払って去って行った後、相合が「桂殿、お止めください!元網も桂殿も、かけがえのないお人じゃ。母として、女として、死なせとうない。失いとうないのじゃ!桂殿…」と必死の説得をしていたのが悲しかったです。
郡山城では忍の小三太が元就に広澄と元綱が謀反を起こそうとしていると伝えます。
元就は「謀反など信じられぬわ。わしは元綱は斬れぬ。元綱とて、わしを斬れぬはずじゃ」と言います。
すると美伊(みい)が「命に関わることゆえ、さような甘いお考えでは困ります」と言います。
これは血縁者とそうではない者の違いだと思います。
元綱と血の繋がった兄弟の元就は元綱の謀反を信じられずにいますが美伊は冷静に見ています。
毛利家重臣の渡辺勝(すぐる)を広澄が訪ねます。
広澄は「今度生まれてくる時は、武将などではのうて、天候のことばかりを話して、のんびり生きてみたいものじゃと思うたら、急に渡辺殿と空や雨の話をしとうなった。わしは渡辺殿と会えて幸せじゃった」と言い、勝は広澄が謀反を起こそうとしているのを悟ります。
郡山城では重臣の井上元兼が元就に謀反は確かなものだと自身の手の者が知らせてきたと言い、筆頭重臣の志道広良(しじひろよし)は警護を固めると言います。
元就は元綱に会いに行き「此度(こたび)のこと、許してくれ。元綱には煮え湯を飲ましてしもうた。このとおりじゃ」と頭を下げて謝ります。
元綱は元就に「よお分かっておりまする。兄上が家督を継がれて良かったと、今は思うておりまする。あれから悩みも致しましたが、終生兄上に付いて行きまする。何なりとお申し付けくださりませ」と言います。
しかし郡山城に戻った元就に美伊が声を掛けると浮かない顔をしていて、元綱の言葉が上辺だけで実際には謀反を起こそうとしているのを悟っていました。
広澄は元綱から元就が来たことを聞き、感づいていると予想はしていたが最早猶予はないなと言います。
元綱が「いっそ今夜」と言うと広澄は自身が郡山城に攻め入るから元綱は城を囲んでくれと言いついに謀反を決行します。
元綱が自身も城に攻め入ると言っても広澄は「元綱殿は城を囲んでくだされ」と強い声で重ねて言い押し切っていました。
血の繋がった兄弟の元綱を直接元就と戦わせるのは避けたかったのだと思います。
その夜、広澄の嫡男の元澄(もとずみ)が「兵を挙げられると耳に致しました。元澄をお供させてくださりませ」と言いますが広澄は「ならん」と言い、「そなたはまだ若い。しかも桂家の大事な跡取りじゃ」と言います。
桂の家を守るように言っていて広澄は死ぬのを覚悟していました。
出陣直前の元綱が相合に「すみませぬ」と謝ると相合は疲れ切った顔で「行きなさい」と言います。
言っても止まりはしないと諦めたのだと思います。
元綱が行こうとすると相合は即座に自害しようとして元綱に止められ「行きなされ!母は、謀反など起こす子は、見とうない!」と言います。
元綱は側室の子として生まれた苦しさ、そして側室とその子だからと卑屈になる必要はないことを語り、「兄上を斬るは苦しいが、母上とて、元綱を他人の手足とするために産んだのではござりますまい。元綱は己のため、母上のため、毛利のために、兄上を討ちまする」と語り出陣します。
兵を率いた広澄が郡山城に向かい、元綱は相合と話していたため遅れます。
小三太が元就と美伊に広澄が郡山城に向かっていることを伝え、さらに家臣の「謀反にござります!」の言葉で一気に緊迫した雰囲気になります。
広澄の「掛かれ!!」の言葉で戦いが始まります。
家臣は甲冑を着けているのに広澄だけはなぜか普段着で、広澄なりの謀反を起こすことへのけじめのように見えました。
戦いの最中、家臣を連れて郡山城に向かっていた元綱は小三太の率いる集団に襲われ命を落とします。
広澄は一太刀、また一太刀と浴びて満身創痍になりながらも一人で大勢を斬り倒して元就のもとに向かい対面します。
桂広澄(画像はネットより)
元就は静かに広澄を見ながら「申したきことがあらば、全て申せ」と言い、広良や元兼がやって来ると「広澄と話をしておる。下がれ!」と言います。
元就も甲冑を付けずに普段着で居て広澄への誠意だと思いました。
元就が「広澄、腹にたまっておること、申してみよ!」と言うと広澄は広元も興元(元就の亡き兄)も頼りにならないため自身が毛利を動かさんと力を尽くしたと言い、「某(それがし)の一念、分かってくだされ」と言います。
元就が「広澄、此度のことは、そなた一人の所存じゃな!」と言うと広澄は頷き、自身が死のうとしている時に元綱を庇おうとしていました。
広澄は「元就殿、毛利を、託しまする」と言い自ら首を斬り自害します。
今回は「第七回 われ敵前逃亡す」で興元が言っていた「とにかく世間では親兄弟同士が殺し合う。毛利だけはそのようなことのなきよう、兄弟三人力を合わせていこうぞ」が毛利もそうなるとても印象的な回でした。
広澄が自ら首を斬り自害した時、元就が呆然とした表情で涙を流していたのも印象的で深く悲しんでいるのが分かりました。
元就はこれまでに何度も涙を流していてかなり心も疲れているのではと思います。
この悲しさの先に中国地方10ヶ国の覇者、120万石の大名になった毛利元就の姿があり、そのような偉人になるまでには大変な思いをしていたのがよく分かる回でした。
各回の感想記事
第一回 妻たちの言い分
第二回 若君ご乱心
第三回 城主失格
第四回 女の器量
第五回 謀略の城
第六回 恋ごころ
第七回 われ敵前逃亡す
第八回 出来すぎた嫁
第九回 さらば兄上
第十回 初陣の奇跡
第十一回 花嫁怒る
第十二回 元就暗殺指令
第十三回 戦乱の子誕生
第十四回 巨人とひよっこ
第十五回 涙のうっちゃり
第十七回 凄まじき夜明け
第十八回 水軍の女神
第十九回 夫の恋