玄徳道

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慧真人訓、病気の予防道。

2021-08-28 00:19:00 | 道院
人は皆、有形の病を治すことは知ってあるが、無形の病を治すことは知らない。

有形の病を取り除く事は容易ではないが、無形の病を治すことは更に難しい。

かりにも、無形の病が起きて来なければ、どうして、有形の病が生じてくるのであろうか。

そこで、無形の病が起こって来ないようにするには、どうすれば、良いのであろうか。

それは、人の予防の如何に、かかっているのである。

いわゆる、人の五臓というのは、心臓、肝臓、脾臓、肺臓、腎臓である。

心臓の病が起きて来ると、物が言えなくなる。

肝臓の病が起こってくれば、怒りの気によって損なわれる。

脾臓の病が起きれば、食べても、その味が分からず、かつ消化しないのである。

肺臓の病が起こってくれば、水を生じるはたらきが無くなってくるので、咳が出てくる。

腎臓の病が起こってくれば、五臓の最初に当たる肝臓(木)に滋養を与えることが、出来なくなる。

これが、病が有形なるものである。

それは、水(腎)が能(よ)く火(心)
を尅(剋、相手にうちかつ)して(水が火を尅する)水を調(ととの)え、火は能く金(肺)を尅して、火を調え、金は能く木(肝)を尅して、金を調え、木は能く土(脾)を尅して木を調え、土は能く水を尅して、土を調える。

このように、五臓がみな、その調和を得れば、病はどこから起こってくるというのであろうか。

ただし、これは、調えるところの方法についても皆の為に告げなければならない。

それは、喜怒哀楽の七情六欲がみな、病を招くところの源となるのである。

これを用いるのに、その中庸を得ることが出来なければ、病の原因となるのである。

喜びも度を越せば、水(腎)を傷(そこ)ない、怒りも度を越せば、木(肝)を傷ない、哀しみも度を越せば、火(心)を傷ない、楽しみも度を越せば、金(肺)を傷ない、この四つのものが一つでも傷なわれれば、土(脾)もまたこれに従って傷なわれるのである。

土は万物を生育するところの母なので、金木水火の四つのものに比べて特に大切であり、これを傷なってはならない。

故に五臓を調和しようとすれば、土が最も重要である。

しかし、この四つの中で一つでも傷なうところがあれば、土はこれに従って傷なわれる。

そこで、他のものに比べて土を調和させることは、特に容易なことではないので、これは実験によって証明すらことが出来るのである。

土を傷なうということは、もし、心に病があれば、食は必ず減少し、肝に病があれば食もまた必ず多く食べられない。

その他、肺や腎の如きも、いかなる病であろうとも一たび病めば土(脾)を傷なってしまい、健康の時のように飲食することができなくなる。

土とは即ち脾であり、脾を調和することが容易ではないということが分かるので、また土は金木水火によって病を招くことが、明白になったのであり、これが無形の病の内に発するところのものである。

また、外から来るものも気を付けなければならない。

それら陰陽風雨晦明などはみな病を招くもので、これを予防するにはどうすべきであろうか。

それには、それは陰に対しては、これを防ぐに陽を以てし、陽に対しては、これを防ぐに陰を以てし、陰陽相和すれば、病はなくなるのである。

風にはこれを防ぐに、静を以てし、動静が全て適宜であれば、病はどこから、入ってくるのであろうか。

明にはこれを防ぐに暗を以てし、明暗相交われば、自然に合致し、戻ることはないのである。

しかし、その陰陽風雨晦明というものは、皆陰に過ぎ、陽に過ぎ、風雨に過ぎ、晦に過ぎ、明に過ぎ、その中庸を得ていないところに病の原因がある。

故にこれを予防すれば、内外の病は入って来ないのである。




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