教育史研究と邦楽作曲の生活

一人の教育学者(日本教育史専門)が日々の動向と思索をつづる、個人的 な表現の場

教育団体論・教育会研究の意義?

2007年05月07日 18時40分58秒 | 教育会史研究
 今日も、登校後すぐに速読トレ→『教育学研究』の読書。今日は藤田晃之「2006年の教育改革案・調査報告等」(日本教育学会編『教育学研究』第74巻第1号、2007年、49~62頁)を読みました。この内容は、2006年に特に目立った教育問題の発生と、各方面の対応をまとめた年表です。昨年の教育に関する動向について、最低限押さえておくべき内容がまとめられています。この年表は、教育に関する動向を捉えるにあたって、政府・文部科学省・日本教職員組合・政党・教育委員会の動向に注目し、主に政治的動向を捉えたものと言えます。
 しかし、教育に関する政治的動向を押さえるには、これらの組織・機関だけに注目していていいのでしょうか。たとえば、教育団体の動向を日教組に代表させるのは、再考の余地が十分にあると思います。現代日本では、日教組とは理念や歴史を違える無数の教育団体が活動し、独自に政治過程へ関与しています。文部省対日教組の対立が大きな政治的影響力を持っていた時代ならばいざ知らず、現在の教育に関する政治的動向は、多様な教育(関係)団体の動向に注目しなくてはならないと思います。
 読書後、「今、教育会とは何か」というテーマで教育会のHPを調査。今日は、全国団体(日本連合教育会・日本教育会)とその他の全国教育団体(全国連合小学校長会など)を調査。なんとなく今の教育会を取り巻く状況がわかってきましたが、依然ピンとこないのは、この無数ともいえる教育団体の中、教育会はどんな役割を果たしているかという点です。
 全国的教育会に限って、各教育会自身が自らの特色をどのように語っているかというと、日本連合教育会は、明治以来の教育会の伝統に連なっているという点をとくに強調しています。日本教育会は、異なる学校種別(幼小中高など)やPTA関係団体等を横断的に組織している点を強調しているようです。あえて整理するならば、教育会独自の特色とは、明治以来の教育会の伝統と学校種別・教育関係団体の横断的組織、といったところでしょうか。ただ、これは組織上の特色であって、役割上の特色ではありません。教育会の役割は、表面上よくわからないままなのです。
 結局、他の団体にできなかったことのうち、教育会は何をしてきたのか、ということがハッキリしないと解明されない問題なのでしょう。無数の教育団体がひしめく現在、教育会の役割が不明確なのは、もしかしたら仕方ないことなのかもしれません。しかし、明治期の教育会結成が相次ぐ時代はどうでしょうか。明治期には教育会以外にも教育団体がありましたが、今ほどではありません。結成期の教育会を研究することで、今の教育会が果たすべき役割もわかってくるのかもしれませんね。
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