十月十日土曜日朝7時半、久留米駅にて同期と合流。まずは「有明」の自由席で博多へと上る。グリーン車用の西日本パスではあるが、グリーン券との引き換えは6回まで(3日間用は8回まで)に制限されており、博多まで30分にも満たない区間で利用しては損だ。土曜日とはいえ通勤客も多く、豪華な787系電車に日常の空気を乗せ、博多まで一気に駆け抜けた。
博多駅で新幹線改札を抜け、大名旅行のトップランナーに選んだ「のぞみ14号」のグリーン車の扉をくぐった。せいぜい覗き見る程度だった新幹線のグリーン車に堂々と乗るだなんて、かなり出世したような錯覚に陥る。
やはり、ゆとりが違う。ふっくらと体を包み込むようなシート、広々とした足元。「ひかりレールスター」の普通車指定席も4列で、「まるでグリーン車だな」なんて気分で乗っていたが、本物のグリーン車はワンランク上のグレードがある。
JR東海と西日本の共同開発によるN700系。九州の車両のような独特のデザインではないが、アルミや木目などポイントごとに素材感を出し、暖かな照明とあって雰囲気もよい。サニタリー周りも、洗面台や小便器にセンスあるものを使っていて、高級ホテルか百貨店のような雰囲気を醸し出していた。なかなかの完成度と思う。
博多駅を離れ、猛然と加速して一路東へ。N700系の特徴のひとつが加速度のよさで、通勤電車並みとも言われる。
一方で高速性の犠牲となったのが車窓の楽しみで、窓が飛行機のものとも思えるほど小さくなってしまった。これじゃあ通路側からの車窓なんて、文字通りほとんど望めないななどと、以前小倉まで普通車に乗った時には思ったものだが、今回は通路側に座っても、それなりに車窓に目をやれる。慣れかなと思って、はたと気付いた。グリーン車は座席ピッチが広い分、窓も少し大きいのである。
新山口を出ると、客室乗務員からおしぼりのサービスがあった。紙製ながら、居酒屋やチェーンの喫茶店で供されるそれとは違い、厚手でしっかりした質感。さすがはグリーン車と思うものの、サービスがこれだけとは少し寂しい。乗客の数も多いので、九州のように飲み物や雑誌のサービスまで行き届かないのは仕方ないと思うものの、せめてスリッパくらいは置いておいて欲しいと思う。飛行機の上級クラス然り、サービスまで含めてのプレミアムである。東海道区間では席が埋まるのだから、会社乗客双方、これを打拠点としているのかもしれないけど…
博多はガラガラで発車し、小倉、新山口、広島と停車する度に乗客が増えていくのが、早朝の山陽新幹線のパターンだが、今回は博多から半分以上の席が埋まっており、広島あたりまで少しずつ乗客を迎えて満席となった。3連休とはいえグリーン車にこれだけの乗客が集まるのも、パスの効果に違いない。子連れの乗客も多く、雰囲気は普通車に近かった。まあ我々も、グリーン車らしい雰囲気作りに貢献できていないのは、明白ではあるが。
岡山を出ると、乗客アンケートのお願いが回ってきた。特に「西日本パスがなければ旅行をしなかったか」という設問がキーのようで、今後の商品開発へフィードバックされていくようだ。自由記述欄はなかったものの、欄外に「高速無料化反対!」「負けるなJR!」と、応援メッセージを書き添えておいた。
いつみても六甲の緑が気持ちいい新神戸を出て、トンネルを抜け阪急の茶色の電車を目にすれば、あっという間に新大阪。西日本パスの利用区間も、JR西日本管轄のこの駅までだ。パスの利用者が多いことを証明するかのように、半分以上の乗客が席を立った。
つづく
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博多駅で新幹線改札を抜け、大名旅行のトップランナーに選んだ「のぞみ14号」のグリーン車の扉をくぐった。せいぜい覗き見る程度だった新幹線のグリーン車に堂々と乗るだなんて、かなり出世したような錯覚に陥る。
やはり、ゆとりが違う。ふっくらと体を包み込むようなシート、広々とした足元。「ひかりレールスター」の普通車指定席も4列で、「まるでグリーン車だな」なんて気分で乗っていたが、本物のグリーン車はワンランク上のグレードがある。
JR東海と西日本の共同開発によるN700系。九州の車両のような独特のデザインではないが、アルミや木目などポイントごとに素材感を出し、暖かな照明とあって雰囲気もよい。サニタリー周りも、洗面台や小便器にセンスあるものを使っていて、高級ホテルか百貨店のような雰囲気を醸し出していた。なかなかの完成度と思う。
博多駅を離れ、猛然と加速して一路東へ。N700系の特徴のひとつが加速度のよさで、通勤電車並みとも言われる。
一方で高速性の犠牲となったのが車窓の楽しみで、窓が飛行機のものとも思えるほど小さくなってしまった。これじゃあ通路側からの車窓なんて、文字通りほとんど望めないななどと、以前小倉まで普通車に乗った時には思ったものだが、今回は通路側に座っても、それなりに車窓に目をやれる。慣れかなと思って、はたと気付いた。グリーン車は座席ピッチが広い分、窓も少し大きいのである。
新山口を出ると、客室乗務員からおしぼりのサービスがあった。紙製ながら、居酒屋やチェーンの喫茶店で供されるそれとは違い、厚手でしっかりした質感。さすがはグリーン車と思うものの、サービスがこれだけとは少し寂しい。乗客の数も多いので、九州のように飲み物や雑誌のサービスまで行き届かないのは仕方ないと思うものの、せめてスリッパくらいは置いておいて欲しいと思う。飛行機の上級クラス然り、サービスまで含めてのプレミアムである。東海道区間では席が埋まるのだから、会社乗客双方、これを打拠点としているのかもしれないけど…
博多はガラガラで発車し、小倉、新山口、広島と停車する度に乗客が増えていくのが、早朝の山陽新幹線のパターンだが、今回は博多から半分以上の席が埋まっており、広島あたりまで少しずつ乗客を迎えて満席となった。3連休とはいえグリーン車にこれだけの乗客が集まるのも、パスの効果に違いない。子連れの乗客も多く、雰囲気は普通車に近かった。まあ我々も、グリーン車らしい雰囲気作りに貢献できていないのは、明白ではあるが。
岡山を出ると、乗客アンケートのお願いが回ってきた。特に「西日本パスがなければ旅行をしなかったか」という設問がキーのようで、今後の商品開発へフィードバックされていくようだ。自由記述欄はなかったものの、欄外に「高速無料化反対!」「負けるなJR!」と、応援メッセージを書き添えておいた。
いつみても六甲の緑が気持ちいい新神戸を出て、トンネルを抜け阪急の茶色の電車を目にすれば、あっという間に新大阪。西日本パスの利用区間も、JR西日本管轄のこの駅までだ。パスの利用者が多いことを証明するかのように、半分以上の乗客が席を立った。
つづく
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