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福岡のハングル検定準2級建築士、そして一児の父の[ちゃん]のブログです

西パスの旅[1-4]はくたか17号■「ニュースピード雷鳥」から18年

2009年10月10日 |  □鉄道ジャーニーBlog編
 金沢駅では、真横のホームに次なるランナー「はくたか」が待ち構えていた。金沢から越後湯沢まで走り、上越新幹線で東京へとリレーする、こちらも幹線ルートの特急電車だ。JR世代の特急電車・681系だが、車体のへこみや汚れがひどい。「はくたか」の入る北越急行線は、単線トンネルと豪雪の中を160kmで走る過酷な環境で、車体も無傷ではいられないのかなと、弁護してみる。

 この列車は富山まで35分間の乗車ではあるのだが、先々の予定を熟考した上で、グリーン「権」を1回行使することにした。車体はひどかったものの、車内は美しく、白熱色の照明が照らす雰囲気は上々。なによりグリーン車の座席がどっしりと大きく、ひとたび座ってしまえば、他者の存在が気にならなくなる。プライベート感では、パノラマ感を重視した485系はもちろん、新幹線のグリーン車をも凌駕するものと感じだ。

 なにより居心地よく感じたのは、赤い枕。頭をふんわりと包み込んでくれて、席を大きく倒せば、あっという間に夢の中へと堕ちて行きそうである。

 心地よい加速感とともに、金沢を発車。北陸新幹線の工事は少しずつ進んでおり、民主党政権の中でも整備新幹線の見直しはなさそうだから、数年後には平行する「はくたか」も大変革の時を迫られよう。なにより、「はくたか」の収益がほぼすべての北越急行がどうなるのか。新幹線に光と影はつきない。

 東京起点では時間がかかり、小松空港という選択肢もある金沢よりも、富山からの乗客がメインのようで、車内はガラ空き。写真を撮りつつ車内を巡っていると、面白い施設を見つけた。その名も「プチカフェテリア」。カウンターにショーケースを備え、売店的な役割を担う設備だったのだが、本来の目的で使われたことは一度もなく、もっぱら車内販売の準備室としてお勤めを果たしている。

 もともとこの681系は「サンダーバード」として活躍していた車両で、プチカフェテリアという設備も、当時のスーパー雷鳥にあった「カフェテリア」の役割を引き継ぐ狙いがあったようだ。しかしラウンジスペースはなく、売るものも車内販売と同じではわざわざ足を運ぶこともないというわけで、営業されず仕舞いに終わった。モデルチェンジ車ともいえる683系では当初から設置されず、ゆとりは削られていく傾向にある。小学6年生の時、富山駅で「ニュースピード雷鳥」として試作車の展示会が行われていたのを見学してから、はや18年。その間にも、時代は流れた。

 とはいえ、その他の部分の基本的な設計思想は今でも充分に通用し、飽きの来ない完成された車両と言えそう。北陸から大阪、名古屋、越後湯沢へと路線を延ばす上、将来的には整備新幹線の延伸時の転用も視野に入れなくてはならないJR西日本にとって、どの路線でも長く使える車両は必須だったのだろう。国鉄型485系電車に迫る、新たなスタンダードを作ったと言えそうだ。

 プチカフェテリアに掲げられた列車の現在地表示の地図には、現行のルートに加え、「北越」の新潟ルート、快速「妙高」の長野ルート、さらには「くろしお」の南紀ルートまで描かれており、興味深かった。現状より上回る汎用性を狙っていたのだろうか。

 わずか35分の乗車では惜しく、せめてパスが通用する直江津まで行ってしまいたい気分に駆られたが、旅の目的地である富山で下車した。

つづく
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