『宇宙はこうして誕生した』

2008年07月05日 | メンタル・ヘルス


 大阪での講演に向かう途中、新幹線の駅の売店にこの本がありました(佐藤勝彦編著『宇宙はこうして誕生した』株式会社ウェッジ、1470円、2004年1刷、現在8刷)。

 コスモス・セラピーは現代科学の標準仮説を基礎にしていますから、改訂の必要がないかどうか、時々心がけてこうしたものに目を通しておくことにしているので、出た時から気になっていたのですが、読む時間がなさそうなので、そのうちにと思いながらそのままになっていたものです。

 待ち時間があったのでちょっと手に取って数頁読んでみるとおもしろそうなので、つい買ってしまい、レポート採点に使う予定だった行き帰りの車中の時間をつぶして読み終えました。

 「はじめに」に次のようにありました。


 宇宙創生の神話は、キリスト教の創世記に代表されるように、世界各地にそれぞれの民族の香りを漂わせながら数多く存在します。
 今日、私たちは二十世紀の爆発的な物理学の進歩と宇宙の観測技術の進歩によって、これらの問いかけに対して、科学的に答えることができる時代になりました。
 「私たちの住む宇宙は”無”から生まれた。無から生まれたミクロの宇宙は、インフレーションと呼ばれる急激な膨張によって、私たちが住むことのできるようなマクロ宇宙になった。インフレーション中に仕込まれた物質の凹凸が成長し、銀河や星が生まれ、私たち人類の存在をも含む、多様で美しい現在の宇宙が創られた」


 現代日本の科学的宇宙論の権威ともいうべき著者が、「宇宙は無から生まれた」と言い切っていて、「という説もある」という言い方をしていないのが、「ふーん、とうとうそこまで来たのか」という感じでした。

 もし「宇宙は無から生まれた」のだとすると、必然的に「宇宙の一部である私も無から生まれた」ということになり、「無は私も含む万物の母」ということにもなり、したがって私たちは「母なる無」を怖れる必要はないということにもなります。

 ニヒリズムは完全に終わりですね。

 読んでみると、その他いろいろ新しい、おもしろいテーマが出てきているようですが、基本的にコスモス・セラピーのストーリーの流れを変更する必要はないことが確認できました。

 しかしともかくおもしろかったので、お薦めです。



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