日本は北欧より安全・安心な国?

2008年07月24日 | 持続可能な社会

 最近、筆者は、北欧福祉国家 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) と日本人の精神的荒廃 9) 10) について書くことが多かったので、あらゆる点で「北欧はいい、日本はダメ」と比較して劣等感を感じる、「自虐」的な話をしていると誤解されるかもしれませんので、このあたりで日本のいいところを一つ。

 いくつかの犯罪率の国際統計を見ると、世界の中でも日本はかなり犯罪率の低い、そういう意味ではまだまだ安全な国です。

 最近の信じられないような無差別の通り魔事件などの報道に接すると、「日本は最悪」といった感じになる方が多いようなので、ここであえて、「確かにかつてに比べると相当に荒廃してきているが、犯罪に関してはまだ北欧より安心・安全な国である」ということも指摘しておきたいと思います。

 「社会実情データ図録」というサイトの「犯罪率の国際比較(OECD諸国)」のグラフを以下に引用します。





 記事によれば、「日本の犯罪率は、2000年に15.2%と先進国中最低である(英国は各地域毎に調査されており、北アイルランドだけは日本より犯罪率が低い)。ただし、1989年の8.5%から急増しており、犯罪の増加が目立っている。」とのことです。

 繰り返すと、「先進国中最低」ということは、上のグラフからも明らかなように、犯罪に限れば日本は北欧諸国よりもまだまだ「安心・安全な国」だということです(実感されているとおり、残念ながら福祉についてはまったく安心・安全ではありません)。

 これは、日本人が聖徳太子以来追求し、とりわけ天下泰平の江戸時代にかなりの完成に到った「和の国日本」の遺産だと思います。

 それは、とても和を重んじ、もめごとを嫌い、真面目で正直に暮らしてきた日本人の無意識的な文化的心性――ほとんどの人が「そんなこと当たり前」と思ってきたこと、マックス・ウェーバーのいう「エートス」――によるものであり、それを培ってきたのは「神仏儒習合」のコスモロジーだ、というのが私の推測です。

 しかし、集合無意識・民族的無意識に精神的遺産として遺されていたエートスを日本人は、明治以降、とりわけ敗戦以降、無自覚に軽視し、忘れ去ろうとしているように思えます(かなりやむをえない事情があったことは繰り返し書いてきたとおりです)。

 そうしたエートスによって犯罪の少ない社会が維持されているにもかかわらず、そのエートスをしっかりと相続して、さらに増収を図る・拡大深化させるどころか、意味を理解できないまま捨て去ろうとしているのは、いわば「親不孝者の遺産の食い潰し」です。

 ここのところ頻発している「ニヒリズム犯罪」とでもいうべき犯罪などは、このまま行けば、まさに日本の精神的倒産・破産が間近だという兆候だと思ってまちがいないでしょう。

 倒産・破産をしたくなかったら、無自覚・無責任に食い潰すのではなく、遺産を自覚的に相続して、それを有効運用して、さらなる本格的増収を図るほかありません。

 せっかく膨大な遺産があるのですから、相続して、さらに増収・増益を図りましょう、日本国民のみなさん!

 私の公開授業には、日本の精神的遺産を意識的に相続しようという呼びかけという意図もあることは、常連読者のみなさんにはおわかりいただいているとおりです。

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