「ちょっと変だぞ日本の自然Ⅲ」は変だと思った

2008年07月30日 | 持続可能な社会

 つい今しがた、NHKテレビの「ちょっと変だぞ日本の自然Ⅲ」を見ました。

 現在の「持続可能な国づくりの会〈緑と福祉の国日本〉」につながっている一昨年のシンポジウム「日本も緑の福祉国家にしたい!」の準備の時、スタッフのみんなでⅠを見たことを思い出しました。

 報道されている異変はもう「ちょっと変だぞ」というタイトルで取り上げるようなものではないと思われます(それはⅠの時から感じていることですが)。まずそこが変だと思いました。

 あまりの深刻さに視聴者が引いてしまわないように、印象をやわらげる工夫をいろいろしているのかな、という感じはしましたが、しかし、危機というものは、やわらげて伝えるようなものなのでしょうか?

 もちろん過剰な危機感を煽るべきではありません。

 しかし、過剰な危機感を煽らないために表現をやわらげ、結果として必要な危機感を薄めてしまうというのはメディアとして正しい報道の姿勢ではない、事実としての危機への適切な対応を生み出すような適切な危機感を醸成すべきだ、と私は考えます。

 さらに可能ならば、あくまでも一つの提案として、適切な対応策の提案もしていいのではないか、と考えます。


 さて、話題の一つはこうだったと思います(見たばかりなのにちょっと記憶があいまいなところもありますが、そこは素人なのでご容赦を)。

 チベットの温暖化 1) 2)
 →高原の降雨量の減少
 →高原の草の草丈の低下と減少
 →高い草丈が抑えていたナキウサギのオスとメスとの出会いが容易になり、異常繁殖
 →草の減少の加速化・砂漠化
 →さらなる温暖化
 →アジア全体の気候に大きな影響を与えているチベット高気圧が大きくなる
 →日本上空まで広がってくる
 →上にはチベット高気圧、下には太平洋高気圧と二重の高気圧のために日本は猛暑になり、集中豪雨が増えている

 もう一つは、こうだったかな?

 シベリアの温暖化 3)
 →永久凍土が溶けている+積乱雲が起こり雨が多くなっている
 →永久凍土の上側の地面が陥没する
 →そこに溶けた凍土の水と降った雨水が溜まる
 →草地だったところが湖になる+タイガ(広大な針葉樹の森)の木の根が水浸しになって枯れる
 →永久凍土の溶解が加速する
 →永久凍土に閉じ込められていた気体の約50パーセントを占めるメタンガスが空気中に放出される
 →メタンガスの温室効果は二酸化炭素の20倍にもなるので、温暖化はさらに加速される

 もう一つは琵琶湖の湖底の酸素の減少が加速しており、固有種が絶滅する危険がある、という話でした。


 ここで、私がもっとも問題にしたいのは、私たちの仲間である国立環境研究所の西岡秀三先生をコメンテーターとして迎えておきながら、発言の機会はごくわずかしか与えず、しかも「小さなことの積み重ねが大きなことになることがある」「一人ひとりが……」というコメントしかさせていないということです。

 もちろん先生としては「一人ひとりの小さなことの積み重ねも大切ですが、国の政治・経済のシステム全体が変わらなければ、根本的解決にはなりませんね」といったコメントをなさりたかったはずです 4)

 「ちょっと変だぞ」、いや「すごく変ではありませんか? NHKさん」と感じました。

 そういう姿勢はもしかしたら過剰な「政治的中立性への配慮」から来ているのでしょうか?

 そうだとして、それは政府のためのメディアではなく、国民のためのメディアの取るべき姿勢でしょうか?

 あるいは、環境問題は資源の大量使用・大量生産・大量消費・大量廃棄という経済・産業システムをそのままにしておいても、政府や産業界や市民の努力の積み重ねと環境技術の進歩でなんとかなる、と認識しておられるのでしょうか?

 それは、違うと思います 5)

 といっても私は、NHKに個人的な投書をするつもりはありません。

 もっと国民全体の世論が盛り上がって、NHK、その他のメディアの姿勢が変わるほどの影響を与えるのを待つほかない、と思っているからです。

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コメント (3)
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