里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

トクサ 谷間の希少種

2017-03-21 | 日記

藤沢町大籠地区の、千松集落の上流域には廃屋が点在しています。
その最上流にある廃屋ですが、かつての主は園芸好きだったようで、家の周囲には
椿、ツツジなどの花木類、イチイや風雅な笹竹などが植栽されていて、放棄された
いまも生き生きと生長し続けています。植物の生育条件を理解した上で、好適地に
植えたものと推察されます。

廃屋の下手には沢が流れていて、ほとりにたくさんのトクサが繫茂していました。
流域のどこかに自生地があり、それを移植したものか、或いは買い求めたものかは
知る術も有りませんが、これだけ繫茂しているのは適地に植えられたゆえでしょう。




                            二枚とも2015.12.13撮影

いつもは澄みきった流れなのですが、いま上流で杉の伐採作業中のため幾分濁りが入り、
川底の石も泥を被っています。残念なことですが、これが地域の主産業ですから、嫌って
ばかりもいられません。

トクサは上流域の狭い谷間よりも、日当たりの良い開けた場所を好みますが、今では
自生が殆ど見られなくなってしまいました。開けた沢沿いなどは農耕地になったり、
河川改修がなされたりしましたからね。
でも、廃屋や耕作放棄地が増えつつある昨今、また自生地が増えるかも知れません。


                                2015.12.13撮影

トクサ科トクサ属の常緑性羊歯植物で、北海道~本州に分布する。
冷涼な土地柄を好み、やや日当たりのよい渓流沿い、土手、湿地などに群生する。
地下茎が横に伸び、地上茎を直立して叢生させる。
茎は中空で直径2.5~17mmの線状、節はあるが分岐しない。質は硬く、縦に14~50の
隆条線があり、隆条の上に2列の細かい点が並ぶ。
茎の節にある葉鞘は黒色、上部の歯牙は膜質で落ちやすい。
6~7月、茎の先に、ツクシに似た長さ1~3cmの胞子嚢穂を付ける。
トクサは茎に珪酸分を多く含んでいて、かつては木材や金属の磨きに使用されたこと
から「砥ぐ草」となり、それが詰ってトクサとなった。



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