里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

コガマの花穂 耕作放棄田

2019-08-08 | 日記
一関市花泉町永井地区北部、県道を南へ歩いていると、東側の丘陵中腹に赤土がむき出しに
なった崖があり、かつては一帯が土取場だったのかも知れません。その跡地が今は牧草地か
田んぼになっているようで、草藪が刈り払われて細道が上へと延びています。

細道を上がっていくと、大きな田んぼが何枚か耕作されていて、その外周のあぜ道を行くと
奥の方は耕作放棄されて、アシなどの湿地性の植物が生い茂っています。
その一角に小さなガマが群生しているように見えます。ガマやヒメガマは何度か観察していま
すが、未だコガマを見たことがなかったので、ひょっとして出合えるかも知れないと、湿地性
の草地に踏み込んでみました。




                              二枚とも2019.8.6撮影

耕作放棄田はすっかり湿地化していて、踏み込むとジュクジュクと水が浸みだしてきます。
奥の方はもっと水が多く、トレッキングシューズの甲の上まで沈み込んでしまいます。
それに泥の中からメタンガスが上がってきて、ドブ臭いこと甚だしい。

ガマが群生している所まで入っていくと、ここのガマは丈が低く、ふつうのガマの6~7割の
大きさしかありません。それにまだ花穂が淡緑色ですから、すでに茶褐色になっているガマや
ヒメガマよりは3~4週間花期が遅いですね。
我が国に自生するガマは前述の三種しかありませんから、これがコガマなのでしょう。
ようやく見つけましたが、特にきれいな花が咲くとか、食べて美味しいというものではない
ので、いわゆる発見の喜びのみですね。
なお、中部地方以西では絶滅危惧種や、準絶滅危惧種に指定している都府県があるようです。




                              二枚とも2019.8.6撮影

ガマ科ガマ属の多年草で、本州~九州に分布し、草丈は1m~1.5m。
水路や池沼、湿地や耕作放棄田などの浅い水辺に自生し、日当たりを好む。
ガマに似ているが草体や花穂がガマより小さく、茎頂の雄花穂に雌花穂が接している。
地下には太い根茎があり横走して繁茂するので、しばしば群生する。茎は強靭で直立し、滑ら
かな緑色の円柱形。葉は剣形で長さ40~70cm、幅4~9mm、葉裏は凸面状、横断面は半円形。
雄花穂は茎頂に付き、長さ3~9cm、基部又は中間部分に1~3個の脱落性の苞がある。
雄花は雄しべ3個、葯は長さ3mmほど、花粉は黄色い単粒で、直径15~20µm。
雌花穂は雄花穂と接していて、果時に長さ4.5~15cm、直径10~20mm、上端がやや幅広い円柱形。
咲き始めは淡緑色で果時は茶褐色、基部に1個の脱落性の苞がある。雌花は小苞がない。
花柱は長さ1.2~2mm。柱頭はへら形、長さ0.5~0.8mm。
熟すと白い綿毛のある果実を散らす。果実は小さな堅果状楕円形の袋果、果皮は透明で、水中で
縦に割れて種子を放出する。種子は長さ1mm。




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