大郷町西部、丘陵地の麓の集落道をゆるやかに下って行くと、道路脇の畑にナスがたくさ
ん植えられていて、紫色の花が下向きに咲いています。
真夏日が続いているにもかかわらず、茎葉にほとんど傷みが無いので、ナスは高温多湿な
気候がお気に入りなのかも知れません。或いは遅く植えられた晩生の品種でしょうか。
実を探しても小さな実しか生っていませんからね。
ナスの花には黄色い5本の雄しべがあり、その中心に1本の雌しべがあります。
ふつう雄しべよりも雌しべの方が少し長くなっていて、周囲の雄しべから花粉が振り掛け
られるようにして付き、受粉する仕組みです。チョウやハチの手伝いがなくても受粉でき
るわけで、これを自家受粉と言います。他家受粉に比べると受粉の成功率が高く、それで
「親の意見とナスビの花は千に一つのむだもない」の例えができたのでしょう。
二枚とも2023.8.18撮影
ナスの原産地はインドの東部で、我国へは中国を経由して、奈良時代の頃に伝来したよう
です。広く栽培されるようになったのは江戸時代で、容易に自家採種できることから各地
に伝統品種が生まれ、仙台長茄子や米沢市の窪田茄子、湯沢市の関口茄子などが今日に至
るまで残されています。
ナスには栄養分が少ないといわれますが、それは水分量が多いことによるようです。
ナスの93%が水分ですが、他の野菜も似たようなものでトマトは94%、きゅうりは95%、
キャベツも92%です。或いは、旬に値が下がりやすいことを受けて、価値を下げるような
表現がなされたのかも知れませんね。
ナスの果皮は黒紫色ですが、これはポリフェノールの一種の、ナスニンと呼ばれるアン
トシアン系の色素によるものです。強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとにな
る活性酸素を抑える力が強く、またコレステロールの吸収を抑える作用もあるそうです。
二枚とも2023.8.18撮影
ナス科ナス属の多年草で、原産地はインド東部の熱帯地域。草丈は60~100cm。
温帯地域で栽培される場合は一年草となる。
茎や枝は黒紫色で微細な綿毛があり、ときに下向きに曲がった刺がある。
葉は互生し、葉身は卵形~長楕円状卵形で長さ6~18cm、星状の綿毛がある。
葉の基部は丸く、先端は鈍く尖り、葉縁は波打つ。葉柄は長さ2~4.5cm。
花期は6~9月。葉腋に淡紫色~紫色の花を下向きに付ける。花序はほとんどが単生花、稀
に縮小した総状花序を出す。花序柄はほとんど無い。
花は雄花両性花同株。花冠の直径は3~5cm。雄しべは5個で黄色く、その中心に1本の
雌しべがあり、自家受粉する。咢片は披針形で、外面に長さ3mmほどのトゲがある。
果実は液果。形や大きさは変化が多いが、標準的な中長ナスは長さ12~18cm、直径4~7
cm、果皮の色は黒紫色。果肉はスポンジ状で淡い黄白色。
種子はレンズ形で長さ3~4mm。
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