里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

タニウツギ 淡紅色の花

2020-05-30 | 日記

栗原市金成普賢堂地区西部、山裾の林道をゆるやかに上がって行くと、林際に淡紅色の
花を付けた低木が点々と生えています。これはタニウツギの花ですね。
日当りのよい場所ではほぼ満開で、半日陰に生えている木ではまだツボミでした。

タニウツギは多雪地に生える樹木ですから、主に日本海側の地域に分布します。
宮城県内では雪の多い奥羽山系に分布していますが、飛地的に南部北上山地にも分布して
います。綺麗な花が咲くものの、枝が暴れるので庭に植栽されることは稀でしょう。

                              二枚とも2020.5.24撮影

我が村ではこの木を「カテノキ」と呼んでいました。カテを漢字表記すると「糧」で、飢
饉の際にこの葉を食べた、と言い伝えられています。
若葉を摘み取って日干し乾燥させ、食べるときは水に浸した後、刻んで米に入れて炊いて
食べたと言われています。そうして増量したものを「カテ飯」と言ったようで、それはタニ
ウツギの葉に限らず、ダイコンの葉やサツマイモのツルなども利用したものと思われます。

                              二枚とも2020.5.24撮影

スイカズラ科タニウツギ属の落葉広葉樹で、樹高2~3mの低木。
北海道西部〜本州の日本海側に分布し、山地の日当たりのよい場所に自生する。
伐採跡地や崩落地などに、最初に進出する先駆樹種。
下部からよく分枝して株立ちになる。樹皮は灰褐色、縦に裂けて、はがれ落ちる。
葉は対生し、葉身は卵状楕円形で長さ4〜10cm、先端は尖り、基部は円形〜広いくさび形。
縁には細かい鋸歯がある。裏面には全面に白い毛がある。葉柄は長さ3〜10mm。
花期は5~7月、枝先や上部の葉腋に散房花序を出し、花を2~3個ずつ付ける。
花冠は長さ3~4cmほどの漏斗形、先端は5裂する。淡紅色~紅色で、外側の方が色が濃い。
花筒の上半部は急に膨らんでいる。筒部は短い。雄しべ5個、花柱は1個で花筒から少し
突き出る。萼は有毛で基部まで5裂、萼片は長さ4〜7mm。
果実は円筒形の蒴果で長さ2~2.5cm、熟すと上部が2裂して多数の種子を出す。
種子は楕円形で長さ2mmほど、周囲には翼がある。



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