里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

タコノアシ 絶滅危惧種

2017-03-25 | 日記
滑稽な名前の植物ですが、これでもれっきとした標準和名です。
10月中頃になると、葉や茎、花序や実までが赤く色付き、ユデダコの足を
連想させることから、名付けられたようです。
その時季に、改めて撮影できると良いのですが・・・
稲刈り前に、刈り払われるのではないかと心配しています。

滑稽な名前に反して、絶滅危惧種に指定されています。
河川敷の葦刈りが行われなくなったとか、上流にダムが出来て土砂の流下が減った
などの人為的な要因と、セイタカアワダチソウなどの外来種が繫茂するようになった
ことで、淘汰されたとの見方もあるようです。




                             二枚とも2015.8.25撮影

偶然見つけたのはオグルマが自生していた農道近くで、脇には水路があります。
数年前に水田の大区画化工事があり、その際の撹乱で目覚めたと推理しています。
河川敷や湿地などの水辺に自生しますが、同じ場所に長期間にわたって生育する
ことは少なく、安定した状況が何年も続くと、いつの間にか消滅してしまいます。
洪水などで土砂が流れ込んだり、流路が変ったりで土砂の撹乱があると、自生が回復
すると言われています。人為的な撹乱も同様の効果があるようで、道路の側溝工事や
水田の区画整理がなされると、突然出現することもあります。
ある機関の研究によると「温度差・明暗差が大きいと発芽率が高まる」とありました。
土砂に埋もれていた種子が撹乱によって明るい表層に出るとか、葦刈りで周囲が
明るくなることで発芽するということでしょう。
また、水位の大きな変動も、生育に好影響を及ぼしているようです。


                                 2015.8.25撮影

ユキノシタ科 タコノアシ属の多年草で、本州~九州に分布する。
河川敷や湿地、水田跡などの水辺に自生し、草丈は30~100cm。
地下茎で増殖するとともに、種子繁殖もする。
地下茎はあまり枝分かれせず、1本の茎から数本が形成される程度。
地上茎は分枝せず直立し、やや株立ちとなって疎な群落を作る。
葉は互生し、葉身は披針形で長さ6~11cm、幅5~12mmで、無毛。
縁には細鋸歯があり、基部はくさび形でほとんど無柄。
花期は8~9月で、茎上部から外側に反った穂状花序を数本出し、内側に黄白色の
小さな花をたくさん付ける。花の直径は5mmほど、花弁はなく、5枚の萼片、10本の
雄しべ、5本の柱頭がある。果実が熟すころには全草が紅色に染まる。
果実は蒴果で、種子は非常に細かく微粉状。


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