7月28日の朝は、周りのテントは早発ちで、一番最後にテントをたたんだ。
天気は薄曇りだったが、霧で遠くの眺望は利かない。
6時15分、遅い出発。
樹林帯の道はいかにも南アルプス。
カラマツソウ。
時には赤石山脈の峰々が垣間見えた。
時には木道を通り、
ゴゼンタチバナ。
お花畑も通る。
易老岳を通り抜け、アップダウンを繰り返しながら喜望峰という、何やら世界地図で見たような名前のところに到着。
ここから空身で仁田岳を往復。
雲上のプロムナードならぬ霧中のプロムナードは次なるピーク、茶臼岳に続いていた。
茶臼岳。
標高2,604メートル。
信州百名山の一つ。
このピークで、我が信州百名山は74座目となる。
夢見心地で稜線を進むと、特徴的な岩の門が出迎えてくれる。
その名も、竹内門。
ここらで一休み。
下界ではそれほどでもないが、山で食べるとどうしてこんなにもうまいのだろう。
ついでに餅も焼いて食べた。
素敵な響きのツマトリソウ。
タカネバラ。
ハクサンチドリ。
ハクサンイチゲ。
イワギキョウ。
唯一残っていた残雪。
色々なものが目を楽しませてくれる。
やがて上河内岳分岐に到着。
ここも空身で往復。
ピラミッドのような秀麗な山頂から、これから辿る稜線が霧の間に透けて見えた。
南アルプスは、別名雨のアルプス。
太平洋の、たっぷり水分を含んだ空気がこの山にぶつかり雲になり、雨になる。
本当は、この秀麗な峰を信州百名山に入れたかったが、山頂がわずかに静岡側に寄っているので断念したという。
代わりに選ばれたのが、先ほど登ってきた茶臼岳という訳だ。
アオノツガザクラ。
テガタチドリ(多分)。
マツムシソウ。
日本のエーデルワイス。
色々な花が、それぞれの分を守って、静かにそこにある。
13時15分、幕営地の聖平小屋に到着。
7時間の霧中散歩だった。
聖平小屋に着いた途端、土砂降りの雨。
お天気の神様がついている、とは自他ともに認めるところ。
受付を済ませ、サービスのフルーツポンチをごちそうになる。
テント場には既にいくつかのテントが張られていたが、雨が止むのを待ってから張ることにした。
フルーツポンチをお代わりしながら、雨が止むのを待っていると、ずぶ濡れになった登山者たちが次々と到着。
わずかの差で、ぬれずに済んだ身と、濡れネズミになってしまう身と、いったい何がそれを分けたのだろうか。
そんなことを取り留めもなく考える。
非科学的なことは信じないたちだが、それでも不思議と天気には恵まれる。代わりにクジ運は最低。
日頃の行いのせいにしておけばいいのだろうか。
かみさんは「余程、山の神様に愛されているのだ」という。
自分でも、、、、そう思う。(かなり厚かましいか)
ここが今夜の我が宿。
我が愛する山々に乾杯!
最近のフリーズドライ食品は、昔と比べれば雲泥の差。
充分に実用になる。
ひと時止んでいた雨が、また静かに降り始めていた。
夜は聖平に徐々に充ちていき、僕は満ち足りた眠りに落ちて行った。
(光小屋~聖平の項終わり)
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