こんな事をするだろうか。写真は、6日の夜、51年の歴史に幕を
降ろした三越池袋店の店頭。建物に掲示された多くのディスプレイ
は夜のうちにはがされているのに、店のシンボルのライオンだけが
ポツンと残る。こういう事ではだめなのだ。
三越は、これで倒産するわけではない。九州の店もこれから閉鎖
をする予定らしいが、これから再生して行かなければならない。それ
なのに、すべての店員の心を束ねるシンボルをこんな状態にしてい
る。心が感じられないのだ。この池袋の店も51年営業を続けたとい
う。この店を少なからず利用した客には、いくつかのこの店に結びつ
いた思い出がある。この店には、そういうお客の心を受け止める目、
心の置き場、他者の目を意識する心がない。これではダメだ。
百貨店業は、テナント業ではない。利益の出るブランド店を入れ、
そこからテナント料を頂戴するのが仕事ではないのだ。原点に帰ろう。
お客さんを見て、お客さんのリアクションを見て自分の行動を決める。
人のつながりというものは、そういうもののはず。忌野清志郎さんが
亡くなって、多くの人が「清志郎」を呼ぶのは、その歌と姿勢にハート
があるから。三越だって、多くの人の心を引きつける素材がたくさん
あるはず。そして、心ある店員さんもたくさんいるはず。もう一度、
原点に戻ろう。こんなじゃだめだ。
路上音楽情報紙「ダダ」編集発行人・青柳文信