銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

千代田湯

2017-03-15 19:24:49 | 銭湯
昔ながらの銭湯はたいてい住宅街にあるが、千代田湯は商店街の中にある。東急白楽駅から徒歩2~3分と好立地である。
表からは見つけにくいが、裏路地に入ればすぐにみつけることができる。
銭湯といえばレトロの代表格。千代田湯はそうした昭和の面影を追い求める人たちにとっては、格好の場所だろう。ただ本当に銭湯としてのサービスを求めるなら、ちょっとお勧めできないかもしれない。
入り口の外に下足箱があり、扉を開けると番頭が座っている。
先客が数人入浴してるが、会話は一切聞こえてこない。聞こえてくるのは、シャワーや体を洗う音だけ。脱衣場では、小さなテレビがニュースを流していた。建物はたしかにレトロ風情。天井も高く、典型的な昔ながらの銭湯だ。ただ、お世辞にも手入れができているとはいえない。とにかく全体がボロく、雑然としている。
浴室に入ると、手前側にカランが並び、奥に浴槽がある。奥左手に薬湯。その右手にメインとなるバイブラと、おそらく単なる水道水。それと右手に寝湯のジェットバスがある。ジェットバスはなかなか勢いがあり、ボコボコ音を立てていた。
はじめて来る銭湯は、最初にどれぐらいの熱さなのか手を入れて確認するのだが、千代田湯の場合はとにかく熱すぎた。
薬湯のほうはそれほどでもないのだが、それでも感覚的には41~2℃。温度計をみると34℃。完全に壊れてる。今度は熱すぎる湯船に覚悟して入ってみると、足が熱いというか、痛い。氷のはった水に手を突っ込んだときのような痛覚がある。
しかし、こんなに熱くて客は入るのだろうか? 自分が浴室に滞在してる間(およそ30分の間)に入ったのは、二人だけ。そのうち、一人は入ってすぐに出てしまった(ほんとうに数秒)。ジェットバスに反復浴する人はいたが、バイブラ湯には入らなかった。結局まともに入ったのは自分だけで、入浴しながらバタ足をしたり出入り口の縁で座り込んだりと自由を満喫させてもらったが、やはり肩まで浸かってると怒りがこみ上げくるほど熱い。
おそらく昔の人はこれぐらいの熱さに慣れっこだったのかもしれないが、銭湯側としても客の回転を早める措置もあったのではないか。
今の時代は自宅にお風呂をもつ人がほとんどで、そうした家庭では40℃前後のお湯が一般的だ。そうした温度に慣れてしまった人たちからすると47~8℃(おそらくそれぐらいだったろう)の温度など尋常じゃないし、そもそも体にも良くない。
そうした気配りの無さが一事が万事すべてにあらわれている。脱衣場の汚さや愛想の悪さも含め、サービス精神の欠片も感じられない。
昭和の懐かしさを求める人には「夢と魔法の国」かもしれないが、純粋に銭湯を楽しむ人にとっては、ひどく落胆させられる施設だ。
落語の若手を招いて公演会を開くなど、文化的な活動を積極的にやってるらしいが、そうした予備知識があっただけに期待はずれの印象は拭いきれなかった。
ちなみにウェブマガジンの「はまれぽ」では、人情味のある銭湯という風に紹介していたが、銭湯に入って誰一人として話し声を聞かずに退店したのはこの銭湯がはじめてである(番頭も一切口を開かなかった)。
地元に愛される銭湯は、客同士で会話が弾んでいるものだ。そうした姿をみかけなかっただけに、人情とは無縁の悪い意味で昔ながらの銭湯ではなかったか。

評価チェック箇所
・値段 470円
・アクセス(道程) 近い
・周辺の店 商店街なので、色々と充実してる
・休憩所 落ち着かない
・混雑ぶり ガラガラ
・清潔さ 汚い
・接客 悪い
・客層 年配か中年
・脱衣所 怠惰な雰囲気
・キャパシティ 客が少ないので十分
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 良くない
・温度 熱すぎ
・高低差 なし
・眺望 天井が高い
・食事 なし