銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

日吉湯

2017-03-25 19:22:53 | 銭湯
横浜市営地下鉄グリーンライン日吉本町駅から5分ほど歩いた住宅街のところに日吉湯がある。ビル丸ごと銭湯で、一階が駐車場とコインランドリー、二階が受付と休憩所、浴室だ。
二階にあがる階段には、ところ狭しとポスターが貼ってあり、この時点でなにやら嫌な予感がしたのだが、見事的中する。下足箱がすごく汚く、手入れが行き届いていない。具体的には、汚れた靴下や靴が下足箱の上に放置されており、床もかなり古びた感じ。銭湯で汚いのは、商売上致命的だと思うのだが…。
入り口にある休憩所は家庭的な作りで、まるで人のうちにやってきたような印象がある。洋間と和室があるのだが、和室は完全に自宅そのもの。入浴客の母親と子どもがその和室でまったりしてたが、他人の家を覗いているような感覚だった。
脱衣場は下足箱と同じく今まで経験した中では最高の汚さ。それと目立つところに監視カメラが設置されており、ドキッとした(やましいことはしてないけど気分は良くない)。ただ、カメラの部分がおもいっきり埃をかぶっていたので、実際に機能してるのかどうかは定かでないが。
浴室は、男湯だと左側がカランで、右側が天然のラジウム温泉、そのとなりがメインとなる普通の浴槽。少し広いが、取り立てて広いというわけでもない。奥側にジャクジーの座湯とボディジェット、電気湯、それとウォーキングジェット。このウォーキングジェットはいつ頃のものなのか分からないが、古くもなく新しくもない銭湯でよく遭遇する。
さらにその隣にサウナと水風呂。外に露天風呂と続く。露天風呂は通常、囲いを岩などで作られるが、ここは内風呂と同じく全部タイル。露天でタイルは珍しいが、個人的にはこっちのほうが好みだ。浴槽はバイブラでかなり泡立っており、見た感じ物凄く熱そうにみえるが、実際はぬるい。多分40℃ぐらいだろう。半身浴だと、ずっと入っていられる感覚がある。屋根がないので、開放感はある。ただ外壁がマンションと同じなので、風情はゼロ。
それと再三の指摘になるが、ところどころ浴槽が黒ずんでいた。古くてもしっかり手入れされてるところは綺麗だが、ここはちょっと清掃を徹底してほしいと思う。

【評価チェック箇所】
・値段 470円
・アクセス(道程)ほどほど近い
・周辺の店 コンビニやスーパーなど
・休憩所 自宅のような作り
・混雑ぶり それなりに
・清潔さ 汚い
・接客 普通
・客層 高齢者や子ども連れ。ほとんど地元の客だろう
・脱衣所 大きさは普通
・キャパシティ 間に合ってる
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 普通
・温度 銭湯にしては全体的に温度が低い
・高低差 なし
・眺望 良くない
・食事 なし

【銭湯考】温度はなぜ明示されない?

2017-03-25 17:45:27 | 銭湯考

近年、東京を中心にリニューアルオープンしたお店がいくつかあるが、代表的なものに蛇骨湯(浅草)斉藤湯(日暮里)、改正湯(蒲田)、清水湯(南青山、武蔵小山)、光明泉(中目黒)、文化浴泉(池尻大橋)、千代の湯(学芸大学)などがある。どの店も限られた空間ながらとてもお洒落で快適な演出がなされている。
こういうリニューアルした銭湯は昔の銭湯と比べると斬新なデザインやコンセプトなどが注目されるが、その一方で、もう一つ注目したいのが温度の違いだ。
昭和初期頃から続く伝統的な銭湯は、だいたい45℃ぐらいがほとんどで、常連客を満足させる熱いお湯が用意されている。それに対して新しくリニューアルしたお店は、ほぼ全部と言っていいが、従来と比べて温度設定が低い。高くて42℃。それ以上はほとんどない。つまり家庭のお風呂とさほど変わらない温度設定になっている。
これは近年にみられる誰にでも優しいユニバーサルデザインの考え方だろう。こうした銭湯が増えることは、客の裾野を広げるうえでとてもいいことだと思う。

お湯の温度というのは、服にたとえるとサイズだと思う。人によってはこの温度は入れるけど、これ以上になると熱くて入れない。服も同じで、このサイズなら着れるけど、このサイズはきつくて着れない。
アパレルなら必ず商品にタグ(サイズ表記)をつけるのだが、銭湯ではこの温度で商売してますという表記がほとんどない。これはどういうことだろうか?
インターネットのレビューをみると、評価の低い銭湯というのは、接客や入浴客のマナーの悪さと同時に、温度設定の不満が書かれている。熱すぎて入れないという不満。あるいはぬるくて体が温まらないという不満。
こうしたミスマッチはお互いにとって不幸だと思う。
温度設定の多様は選択肢の多様であり、銭湯文化を盛り上げるうえでとてもいいことだと感じる。そうした多様性がある時代だからこそ、各店舗が温度設定を明確にし、客が好みの温度でも銭湯を選べるような環境を整えるべきではないだろうか。
いまは独自のホームページを持ってる銭湯がほとんどだし、組合のホームページも所管する地域の銭湯を紹介している。そういうところで多少のアバウトさはあれ目安となる温度設定を表記することがそんなに難しいとは思えない。このあたりは銭湯の温度というのが暗黙の了解としてきた長い歴史があったせいなのかもしれない。
新しく出現してきた銭湯は、見た目のデザインだけでなく、そうした今までの意識や慣習をも変えてほしいと思う。






おふろの王様高座渋谷店

2017-03-25 17:44:44 | 銭湯
小田急高座渋谷駅から徒歩10「秒」。文字通り駅前にあるのが、おふろの王様高座渋谷店だ。もともとこのお店は、相鉄不動産が運営していた「ゆめみ処ここち湯」を東京建物が取得し、のちにリニューアルして改名されたものである。そのため、おふろの王様がゼロから作ったわけではない。
ここの施設がほかと大きく異なるのは、最初の受付でICタグが渡されることである。このタグが施設内の買い物すべてを済ませてくれる。帰り際にはそのタグで清算する仕組みだ。ただ、入浴料だけは前払いである。
建物はビルの中にあるが、ほかのスーパー銭湯と同様に清掃が徹底してるし、空間も広く取られている。浴室に向かう際のエントランスや休憩所の広さ、充実ぶりは素晴らしい。原型をつくった相鉄不動産の本気度がいかに凄かったかよく分かるというものである。
受付を済ませて中に入ると、左側には岩盤浴の利用者に用意された休憩所があり、コーヒーの無料サービスやコミックの読み放題など、さながら銭湯内に漫画喫茶が併設されてる感じである。
上階にあがると、脱衣場があって浴室と続くが、脱衣場と浴室の間には、少しばかりの廊下を歩く。この廊下があるおかげで、濡れたままの人でも脱衣場までほとんど水を持ち込むことはない。
通常のスーパー銭湯でも体を拭くスペースはあるのだが、たいてい小さな作りで、中にはそのまま濡れた体で脱衣場に入る人がいる。しかし、ここでは強制的に歩かされるので、水浸しのまま脱衣場に来ることはない。よく出来た構造である。
そして廊下の突き当たりでは、内風呂か露天風呂かに出入り口が分かれている。通常のスーパー銭湯は内風呂に入ってから露天風呂に出るのだが、ここははじめから内風呂か露天風呂かを選ぶことができる。このあたりもユニークな試みだ。もちろん、出入り口の前にはシャワーが用意されている。
内風呂はそれほど個性を発揮した作りではないが、入ってすぐのところに炭酸泉、奥にメインの浴槽が広がり、右手にはカラン群と、その奥がサウナ、水風呂である。
ここで取り上げるべきは、露天風呂のほうだろう。ビルの銭湯ながら高低差のある作りで、非常にワクワクさせてくれる。また大きな湯船はないかわりに種類も豊富で楽しい。大まかに上段、中段、下段に分かれていて、上段が湯冷め用の寝転びマットがあり、メインとなるのは白濁の湯船。中段がその湯船から落ちるお湯を受け止めながら、透明なべつの湯船になっている。一人で入れる壺湯もある。下段はテレビが設置された露天風呂だが、熱い湯に入りたい人向けの42℃設定だ。
高座渋谷店は「天晴れの湯」と「木立の湯」とあって男女日替わりなのだが、この日は木立の湯。みえるとしたら、地平線まで広がる住宅街のみである。天晴れの湯だと晴れれば富士山や丹沢山塊もみえるらしい。
総じてみると、ほんと細部まで作り込まれており、スーパー銭湯の中でもここほどよく出来た店はなかなかないのではないかと思う。ただ唯一の問題点は脱衣場のトイレだ。一つしかなくて、これは正直困らされた。トイレに入ろうとしたら先客がおり、さらに外で待ってる人がいて、自分は三番手。緊急を要する状況ではなかったので大きな問題にはならなかったが、場合によってはわざわざ着替えて休憩所のトイレに駆け込まなければならなかったかもしれない。この規模のスーパー銭湯で、脱衣場にあるトイレが一つしかないのはちょっと問題である。おそらく構造上、これ以上増やせなかったのだと思うが、もう少しなんとかならなかったか。ただ、それ意外は手放しで素晴らしいと言えるスーパー銭湯である。
  
評価チェック箇所
・値段 スーパー銭湯にしては普通
・アクセス(道程)駅からはすごく近くて便利
・周辺の店 あまりない印象
・休憩所 素晴らしい
・混雑ぶり それなりに混雑してるが、スーパー銭湯にしてはまずまず
・清潔さ 綺麗
・接客 良い
・客層 バランスが良い。比較的若い人や家族連れが多い
・脱衣所 余裕がある
・キャパシティ 間に合ってる
・洗い場仕切りの有無 あり
・シャワーの出 良い
・温度 ちょうどよい
・高低差 あり。楽しい作り
・眺望 素晴らしい
・食事 食べてない

徳の湯

2017-03-25 17:10:30 | 銭湯
東急東横線東白楽駅を降りて改札口を出ると、幹線道路越しに徳の湯をみつけることができる。運良く信号機が青なら、歩いて1分と掛からない。開店直後の11時頃に入店したが、客はそこそこは入っていた。ここはビル型の銭湯で、一階に「市の湯」と二階に「仁(に)の湯」に分かれる。この二つは定期的に入れ替わるらしく(間隔は確認しなかった)、その日は男湯が一階にある市の湯だった。
自販機でチケットを買ってカウンターで渡すと、すぐ目の前は脱衣場の入り口。入り口付近にはシャンプーやタオル専用の貸しロッカーがある。月500円で、上下段は300円らしい。
脱衣場は、銭湯の規模にしては余裕がある。テレビがあり長いすがあり、マッサージチェアと謎の運動器具となかなか充実してる。体重計は、昔ながらのはかりタイプ。
浴室は横長の作りで、左側にカラン、右側には浴槽が広がる。浴槽はけっこう広い。メインとなるのは普通のお湯だが、その奥側には電気湯、寝湯ジャクジー、座湯、そしてなによりも初めて体験したのがウォーキングジェットだ。
構造としては深い(1.2メートルの深さ)浴槽になっていて、形はOの字。足下には丸い石が敷き詰められており、曲がり角すべてにジェットが設置されている。ウォーキングジェットとは、その中を歩くというものだった。浮力が働く湯船だが、歩くと足の裏がけっこう痛い。ほとんどの人は利用してなかったが、自分以外だと年配の人が利用していた。
それと浴槽の反対側にはサウナと水風呂。サウナはもちろん別料金である。
外には露天風呂があり、空を遮る屋根がないので、光が差し込むと良い雰囲気になる。打たせ湯もあるが、正直音がうるさい。露天風呂の出入り口付近にはぶら下がり器がある。
客層は、若い人もいたし、中年、年配者と様々。久しぶりに浴室で本を読む人と遭遇。こういう銭湯で出会えるとは思ってもみなかった。
カランは、地元客が多い下町の銭湯によく見られる傾向だが、私物を置いた場所取りが横行。このへんは、もはや地元に根付いた銭湯の宿命かもしれない。
湯船の温度は、温度計が15℃を指し示していたが、肌感覚ではたぶん40℃前後だろう。露天風呂が42℃で、一般の銭湯にしては熱くない。
創業は昭和28年らしいが、施設は少し前のトレンドを取り入れた銭湯といえる。

評価チェック箇所
・値段 460円
・アクセス(道程)駅からすぐそば
・周辺の店 飲食店が多い
・休憩所 普通
・混雑ぶり まずまず
・清潔さ 普通
・接客 一般的な銭湯の対応
・客層 少し高齢者が多い感じ
・脱衣所 余裕がある
・キャパシティ 間に合ってる
・洗い場仕切りの有無 なし
・シャワーの出 普通
・温度 ちょうどよい
・高低差 なし
・眺望 とくになし
・食事 食べてない