銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

大黒湯(東京・祐天寺)

2018-04-14 07:11:03 | 銭湯
東急東横線の祐天寺駅を降りて線路沿いを少し歩くと、住宅街の奥まったところに大黒湯がある。
建物や浴室はいかにも古典的な作りではあるが、とてもきれいで手入れの行き届いた正統派の銭湯だった。



▲祐天寺駅


▲まずは線路沿いを渋谷方面に歩く




▲線路の下を潜り




▲左側に出る


▲道の両脇には石が整然と置かれてあった






▲突き当たったところ


▲左折する


▲まっすぐ歩いて


▲坂道を降り始めたところを右折


▲右に曲がったところ


▲すぐに分かれ道が出てきて左




▲細い道が見えてくるので、その駐車場裏の細い道を通る












▲突き当たって


▲左折する


▲すると大黒湯がみえてくる




▲大黒湯に到着



着いたのはちょうど開店前の時間帯で、高齢者の男性がポツンと一人座っていた。ほかの銭湯だとだいたい最低でも2~3人はいるので一見さんの自分も含めて2人は寂しいなと思っていた矢先にガラガラとシャッターがあがって背の高い男性が顔を覗かせる。見た目30代後半ぐらいだろうか。
話し方や表情がいかにも穏和そうで、印象がとても良い。
入り口の目の前にある小さな下足箱に靴を預け左側に進むと、受付のフロントがあり、奥にはテレビ。家庭的な感じの椅子がフロント前に並んでいる。
お金を支払って貸しタオルをかりると、かりる際に「使い終わったらこちらに戻してください」と説明を受ける。


右側の男湯のれんをくぐると、すぐ目の前に冷蔵庫。右側にロッカーが並び観葉植物がその上に並んでいる。手前の壁一画には常連客用のロッカー。近くにカゴが置かれてあった。
広さはそんなに広くもないけど、小さいながらもムダが一切ないので実際より広く感じる。
左側奥すみっこには、洗面台や体重計、ラックなどがコンパクトにまとめられており、右側には洗濯機。動線がしっかり確保されているのでスッキリした印象だ。


つづいて脱衣場の真ん中には丸テーブルと数脚の椅子。その前にテレビが置かれてある。
坪庭もみえて、奥まで観葉植物が並び、真ん中にはパイプで支えられた腰の曲がった老木が家主のように鎮座している。
磨かれた床は経年とともに味わい深い色をたたえていて独特の古い雰囲気を醸し出していた。天井は格天井。古い銭湯の特徴をすべて網羅している。


浴室に入ると、第一印象はすごく綺麗だと感じた。古い建物なのでその老朽化は隠せないはずなのだが、しっかり清掃がされているとそうした古さを感じさせない。
入って目の前に島カランが中央を貫き、左右の壁にもカランが並ぶ。ただ、右側のみ温度調節できるカランになっており、加えて手前側は操作ハンドルと鏡が下に取り付けられているが立ちシャワーとしても使えるように頭上高くにヘッドが設置してある。


そして奥にある浴槽もまたシンプルで、右側が主浴槽で全体の8割ほど。浅浴槽でジェットが2つついている。左の深浴槽はバイブラ仕様だ。
温度は43℃とちょっと熱い程度。
底は青いタイルだが側面はワインレッド色に縁(ふち)をピンクであしらわれている。


そしてなんといってもここで言及しなければならないのが、木の桶と腰掛けが用意されてあることだろう。
久しぶりに目にした木桶だったが、床に置くと「カコーン」と音が鳴り響いて、なんともいえないいい音色がこだまする。天井が高いのでいっそう響き、それが更なる風情を醸し出すのだ。
ただ意外だったのは木の桶を使っているのは自分ひとりだけで、ほとんどの人は見向きもしない。
たしかに使ってみると分かるのだが、木製はけっこう重い。ずっしりくる重さだ。それに比べてプラスチック製は軽く滑りもよいので使いやすい。
こうして使ってみると、改めて木の桶がプラスチック(あるいはケロリン)桶に駆逐されたのも分かる気がする。
風情の点では木の桶のほうがいいのだが、やはり機能面ではプラスチックに負けるだろう。


それと壁画はこれまた期待を裏切らない古典的な富士山。男湯側に富士山が配置されがちだが、ここは真ん中。男女平等である。左の隅っこにひらがなでなかじまとサイン。平成27年に描かれたペンキ絵だ。
そしてその下の九谷焼のタイル絵は鯉。お客さんコイコイである。
天井は白を基調として、窓などを青色で縁取られている。
客層は高齢者と中年あたりの半々ぐらいだろうか。


最初に入ったときは、その清潔さに驚くほどだったが、よくよく見るとタイルの目地などは一部黒ずんでいたりペンキも剥がれ掛かったところもある。しかし逆にそうした年月を経ていながらここまで清潔さを維持できるところに驚いた。
真面目にコツコツと丁寧な仕事を積み重ねさなければ維持できない美しさだろう。
奇抜さなどは一切ないが、当たり前のことを当たり前に徹底してやりぬく大切さを教えられた気がする。
接客もとても丁寧で家庭的な温もりと古き良き時代の雰囲気をきちんと残している。ここがまさに銭湯の王道ではないかという気がした。


【評価チェック箇所】
▼アクセス
最寄り駅 祐天寺
経路 線路沿いを歩き住宅街の中へ
周辺の環境 住宅街
●空間演出 
建物外観 昔ながらの銭湯
壁画・眺望 富士山、鯉
統一感 あり(完璧)
置物 特になし
照明 やや薄暗いがいい雰囲気
★設備
休憩所 脱衣場兼
脱衣所 ムダが一切なく清潔
シャワーの出 普通
浴槽の種類 浅浴槽(ジェット)と深浴槽(バイブラ)
サウナ なし
温度 43℃
棚 浴室外にラック
男女入れ替え なし
■サービス
接客 丁寧で素晴らしい
清潔さ 理想的
貸しタオル あり
備え付け なし
◆人
受付 30代後半ぐらいの男性
客層 高齢者や中高年


【案内】

住所
〒153-0051
目黒区上目黒4−25−10

電話番号
03-3712-2641

アクセス
東急東横線「祐天寺」駅下車、徒歩7分 
東急東横線・東京メトロ日比谷線「中目黒」駅下車、徒歩13分

休日
月曜

営業時間
15:00−24:00


※東京銭湯ホームページ転載