しゅぷりったあえこお nano

ブログ版 シュプリッターエコー

楽しかった、と言っておくれよ星野さん

2008-08-25 23:13:00 | スポーツ、オリンピック
 野球の日本代表が帰国しました。
 星野監督以下、選手全員がまるで総謝罪、総懺悔(そうざんげ)のありさまです。
 しかし、なにも悪いことをしてきたわけではないのですから、そこまでシリアスな謝罪や懺悔は必要ないと思います。
 負けたけれど、楽しかった、とそういう顔で帰ってくればいいんです。

 むしろ負けたら懺悔しなければならないような、そんな心理に追い込んでしまうこの国の精神状態が、選手たちを呪縛(じゅばく)、自縛(じばく)することになって、日ごろの実力を発揮できなかったのではないかとも思います。
 結局、ぼくらはぼくら自身に負けたんじゃないですか。

 だいたい、韓国もキューバもアメリカも、みんな命がけの連中ですからね。

 韓国は、もし3位以内に入れたら選手の兵役を免除すると、政府がそんな約束をしていました。
 こんな不気味な世界情勢のなかで兵隊にとられるなんて、そりゃあ、本気でいやですよ。
 日本の選手だって、そういう状況の中だったら、韓国の選手のように自分からボールに当たりにいっても塁に出ようとしたでしょう。

 キューバは野球が国技で、野球チームは国家の宣伝隊なんです。
 国の税金から一般の国民では考えられないような高額の給料をもらって、特権的な暮らしをしているわけですから、凡プレーをしてそれで負けたりすれば、いい生活も名誉も恵まれた社会的特権もぜんぶ失ってしまいます。
 生存がかかっています。
 必死ですよ。

 アメリカは日本でいえば二軍にあたる3Aの選手でチームをつくっていました。
 大リーグ(一軍)の選手たちだったら、まあプライドの問題はあるでしょうけど、必死のパッチというようなことにはならないでしょうから、前回のワールド・クラシックのような番狂わせも起こったろうと思いますが、二軍の選手にとってはオリンピックで活躍すれば、大リーグに上がるチャンスが開かれるわけですから、これは必死のパッチになりますよ。
 ハンバーガー暮らしから脱出して、贅沢なメニューをたらふく食って高級車に乗って豪邸に住める生活が北京のあのワビシい野球場にぶらさがっていたというわけです。

 まあ、こんな命がけの連中が相手なんですから、勝ちを譲ってもいいでしょう。
 ナントカという団長さんが言ったような、早くから統一チームを作って、みんなでオリンピック村で共同生活をしたら勝てる、なんてそんな簡単な問題ではありません。
 むしろよく4強の一角にまで食い込んだと、ほめはしないまでも、ねぎらいの拍手を送ってあげてもいいんじゃないですか。
 ぼくはそう思いますけどね。

 もっとも、もし日本が金メダルを取っていたら、ただただ名誉のために、主体的な人間の集団が、主体的に力を尽くして世界野球の頂点に立った、ということで、これはもう、まったく美しいことでしたが…。