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アメリカ国民はやりました―オバマ新大統領

2008-11-06 18:28:01 | セイジ
 黒人のオバマさんがアメリカの次の大統領に決まりました(2009年1月就任)。
 アメリカの大統領選挙はこれまでずっと白人が主軸で、黒人はアウトサイダーの位置に置かれていましたが、そのアウトサイダーがいよいよ政治の中枢(ちゅうすう)に入ったのです。
 アウトサイダーはしばしば停滞・閉塞(へいそく)した社会に新しい理想を持ち込みます。
 社会を活性化させるのです。
 アメリカに新しい理想主義が復活するかもしれません。
 その新しい動きは、現代の地球にふたたび理想がよみがえるきっかけになるかもしれません。

 わたくしごとで恐縮ですが、ぼくはその昔、アメリカの奴隷制度をテーマに卒業論文を書きました。
 しかしその論文を書きながら、やがてアメリカに黒人の大統領が誕生するときが来るなどとは考えさえもしませんでした。

 社会の問題で論文を書く以上は、理想の社会を求めて理論を組み立てていくわけです。
 その理想の象徴の一つとして、黒人大統領の誕生をせめて一時の空想としてでも考えてみるべきだったと思うのです。
 しかし、たぶん無意識のうちでアメリカにそんなことはありえないと思いこんでいたのでしょう。

 しかしアメリカ国民はやりました。
 今はじぶんの想像力のなさを恥ずかしく思います。

 歴史はやはり動くときには動くのです。
 これではいけないとみんなが思い始めたとき、劇的に動くのです。
 人間はやっぱり理想に向かって進むのです。
 個人の想像力をはるかに超えて歴史の歯車が強力に回転することがあるのです。

 新聞やテレビでは、オバマさんの勝利を、アメリカの金融危機やイラク政策の手詰まりで説明する論評がもっぱらです。
 確かに現在の局面で見るかぎり、それは誤りではありません。
 しかし、それは表面の風景です。
 人間の精神・思想。哲学のレベルで見ると、これはもっと底の深い出来事です。

 人間がみずからを再生させる存在であるということ、状況を超克するエネルギーを持つということ、未来に理想を投影する目を持つということ、それらかけがえのない能力の現実的なあかしです。
 むしろ世俗的なあかしといったほうが、より未来を展望できるかもしれません。
 おしゃべりをしたり、悪ふざけをしたり、コーヒーを楽しんだり、そんな日常の延長線上で、人は歴史を変えるのです、こんなふうに。

 人間や善し。
 ぼくたちも立ち直ろう。

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