知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

就労移行支援というのは、支援法から切り離したほうがいいかも・・・

2020年06月25日 | Weblog
退職して(未だ席はありますが)3日・・・、この業界、障害者総合支援法の関係する「就労継続支援A型・B型、就労移行、就労定着支援」がありますが、それぞれに関わってきた身として、言えるのは、同じ枠内で考えることが、なかなか難しい部分があることです。


ここで、原点に戻って、「障害者総合支援法」とは、なんぞや?というところから、考えてみます。

この法律で「障害者」と定義しているのは、以下の方々です。

・身体障害者(身体障害者福祉法第四条で規定)のうち18歳以上の人
・知的障害者(知的障害者福祉法でいう)のうち18歳以上の人
・精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定)のうち18歳以上の人(発達障害のある人を含む)
・難病(治療方法が確立していない疾患その他の特殊の疾患で政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度)のある18歳以上の人

実際に、この業界で勤務された方なら、なんとなくイメージが出来ると思いますが、それぞれに伴っている方もおられます。
また、自身で病気を認定するのではなく、専門医の診断が必要になります。


その対象になる方々の社会参加をサポートするのが、(簡単に言うと)この法律なわけですね。


詳しくは、様々なサイトがあるので、「障害者総合支援法」で検索して下さい。(LITALICOさん等、非常に分かりやすく解説していただいていますので、参照を)



その中でも、上記の「就労継続・就労移行・就労定着」については、就労支援サービスの枠内になる訳ですが、障害者の方が、一般社会で様々なサービスを受けるには、その他いろいろなものがあるので、ここには記しません。(ここでは、あくまでも「就労支援サービス」についてだけ述べます)


障害者の方の種別も様々で、この人はここ、あの人はここ・・・と、簡単に振り分けは出来ません。

もちろん、それぞれの方に適切なサービスを受ける場所は、確実にある訳ですが、それを各支援センター等が紹介もしてくれます。後は、本人がそのサービスに合うかどうか?が重要な部分で、事業所や施設、職員、体制、環境、通勤・通所(交通機関)等、条件によっても変わってきます。



利用者の方が、この就労継続を利用する際には、基本的には紹介・見学・実習等の体験が出来、自身に合っているかどうかを確かめることが出来ます。

当然、就労移行や就労定着の事業所も同様なんですが、この選択肢が重要で、特に就労移行になると、サービスを受けられる期間が短く(2年)、誤った選択肢だと、期間を無駄にしてしまいます。

結局、法律が施行されて、古くから取り組まれている事業所か、考え方や方向性がしっかりしている(また、実際に結果・・・実績も残している)事業所が、薦められるところになってきますね。

新しい事業所は、どうしてもその実績の無さに、利用者が集められない・・・というジレンマに陥り、撤退するか、変な方向性に向かう場合が生じます。

正に、私が直近で勤務した事業所が、その変な方向性の典型的なところで、他の成功している事業所の様子を見学に行ったり、方法論を教授してもらったりが、ありません。
私は、開所してもう8か月が経過するのに、その部分を、何度も問いかけました。

すると、「それはあなたがすればいい・・・」と突き放されました。
「職員は、そういう目的や意図は、理解しなくてもいいんですか?」と尋ねると、「今はその時期じゃあない」と・・・。(じゃあ、いつ?)


企業が参入する是非を、前回考えてみましたが、障害者の方が、社会に出るための一番の近道であるはずの「就労移行」が、企業の儲けの一部になっていれば、本来の目的とはかけ離れてきます。

そういう意味では、この「就労移行」事業が、儲けを考えている企業が行うのは、間違っているのでは?と思います。

企業の中には、本当の意味での、障害者を雇用するための方策として、この事業を行っているところもあります。

ただ、その違いは、選択する側の利用者の方には、見えない部分です。



そういった事業所は、まずは利用者目線で、物事を考えています。ホームページ等でも、駅からの道のりを、写真や動画で紹介したり、中での様子を細かく説明しています。選択肢としては、有効ですね。

これは、最初の事業所立ち上げの際に、行ってゆくべきものですね。利用者側とすれば、安心感は大きいと思います。



「就労移行」というのは、最長2年間という期間の元、自身が必要な技術等を身に着けていくところです。

いわば、一番社会生活への移行に、最接近していると言えます。この部分で、「就労継続」との違いは大きいと言えます。


企業側が、近くに見えているか、少しだけ絡んでいるか、また別物として動いているか・・・、それによって、賃金も労働条件も違います。

「就労移行」に、福祉系の職員が絡まないほうがいい・・・(前回の投稿から)、というのも、そういう事情があるためですね。福祉系出身の職員は、あくまでも利用者主体である訳で、利用者の一般就労に関しては、少し距離があると思います。


その辺を考慮すれば、福祉系があまり必要のない部分での分野であり、福祉系(中でも一応必要とされている”サビ管”)の職員が、あまり活躍出来ないという状況が、見えてまます。

そういうことであれば、この「就労移行」という、名ばかりの福祉系事業は、あまり意味がないのでは・・・?と考えます。


むしろ、企業側の付随する障害者雇用を重視した部分の法律に転換してほしいと思います。

例えば、企業の障害者枠に関する法律に付随して、必要な人材(適切な対応が出来る専門員)を雇用する・・・等。

各自治体も、その辺はいろいろな考え方や方策をされているようで、まだまだ過渡期というところなのかもしれません。

それは、各自治体が、専門性が必要ということで、それぞれに地元の法人や事業所に、業務委託されている経過もありますね。


直近の勤務していたような考え方の事業所が、今後発展しないことを願うばかりです。






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