木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

シリア攻撃は野蛮な十字軍行為

2013年08月31日 | Weblog

既視感のある英米仏のシリア攻撃。
そう、10年前のイラク攻撃だ。あの時、イラクには大量破壊兵器、今回問題になっている化学兵器も含むがあるとして、国連決議も得ずに英米はイラクに攻撃を仕かけた。結果は「大量破壊兵器なし」のイラク人の大量殺害・国土の破壊だけが残り、アメリカの軍需産業が大儲けをし、「戦争の民営化」が進んだと言われた。
またおなじことが繰り返されようとしている、と人々が思って当然だ。
イラク攻撃の時には反対したフランスが今回は「攻撃も辞さず」という。フランスも兵器を売ることで成り立っている国だ。フランスはシリアの旧宗主国。手離したくない、あるいは手に入れたい権益があるのだろう。
イギリス下院議会はキャメロン首相の「攻撃説得」を反対多数で拒否した。それ程今回の化学兵器使用は、アサド政権側の使用とは言いがたい疑問が多いものだ。
モサドとCIAは何でもやる。しかも巧妙に。
10年前のイラク攻撃の時にはこれら情報機関の秘密行動を人々に知らせるウィキリークスやスノーデン氏の存在は知られていなかった。
今や欧米政府の振りかざす「正義・大義」を信じる者はいない(日本人を除いては)。
当のアメリカでもアフガンやイラクへの攻撃の時とは違って、シリアへの軍事介入を支持する世論にはなっていないし、日本でさえNHKの平板な報道に対してテレビ朝日の報道ステーションは英議会の様子や化学兵器使用は果たしてアサド政権側か、それとも反政府側なのかという点に踏み込んでいる。
アメリカ在住の藤永茂氏のブログ「私の闇の奥」
は、通常の新聞やテレビとは全く違う見方を示してくれて参考にしているが、藤永氏は「オバマは稀代の詐欺師」だとまで言っている。
黒人で、シカゴで貧しい人々のために働く弁護士としての経歴を持ち、「戦争のブッシュ」に辟易としていたアメリカのリベラル層や中間層、貧しい黒人や移民層の圧倒的支持を受けて大統領になったオバマだが、やっていることはブッシュと大差ない。
大差ないことしかできないのに、あたかもそうではないという希望を一時的にも人々に与えた点で罪が深いとも言える。
民主・共和という2大政党制の不毛がここにある。
リビアのカダフィーにも藤永氏は同情的で、国民にではなく、欧米によって倒された政権だという。
シリアのアサドも欧米が描く「極悪な独裁者」とは言えず、国民の支持は失っていないとも言う。
こういう見方は日本の報道に接しているだけでは得られない。
オバマ氏に関しては、私もそうそう人々の期待に答えることは簡単ではないとは思っていたが、彼が大統領に就任して要職に就けた人材を見て「あれ?これってマネーゲームの中心にいた人物ばかりじゃない」と疑問に思ったけど、ウォール街は「オバマを買った」んだね。
とにかくイスラエルに首根っこをつかまれていて、「シリアを攻撃しないと、イランに核攻撃するぞ」とか何とか脅されてもいるとも言われている。

「十字軍」は今も。
偶然、今『十字軍』という橋口倫介・著の岩波新書を読んでいる。1974年出版だが、西ヨーロッパのキリスト教徒達が1000年前後、日本の時代で言うと平安後期から聖地エルサレムへの巡礼という口実で侵略・略奪行をした歴史をわかりやすく解説した本だが、欧米のアラブ・イスラム諸国への攻撃の歴史は連綿と今日まで続いているとしか思えない。
当時の西ヨーロッパの人々から見ると、東方は気候も良く、豊かな地であり、憧れでもあった。エルサレムはイスラム教徒にとってもまたユダヤ教徒にとっても聖地であり、イスラム教徒達は聖地巡礼に異教徒が詣でることには寛容だった。
それが領土拡大の野望を持った諸候や騎士団は東方の宝物に目がくらみ、城市を襲い、略奪と殺戮の限りを尽くしたと、これはキリスト教徒側の年代記の作者も記している。
その野蛮な血は今も健在で、日本は欧米を手離しで信頼してはいけない。
むしろ友好を結ぶべきはアラブ、そして足元のアジアの国々だ。

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