個人的評価: ■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]
トニー・スコットの新作を、また今年も観れる。なんて喜ばしいことだろう。
ここ数作、本気かつ全力で映画と取り組んできたトニー・スコットであるが、本作「サブウェイ123」はぐっと肩の力を抜いて、真剣になりすぎずに楽しんで作った映画という印象を受ける。
なので「エネミー・オブ・アメリカ」以降の珠玉の作品群と比べると、見劣りする感は否めないが、その反面で、子供のような純粋さで映画と戯れる「天才の休憩時間」を垣間見るような楽しみ方ができる。
とにかく本作は何も考えていない。
いい具材をそろえておきながらナタでぶつ切りにしてボールに移してそのまま客に出した食い物のようだ。
ストーリーでなく、サスペンスでなく、ただ出来事をつなげているだけなのかもしれない。
暴走した地下鉄は何か知らんけど止まる。
人質たちのキャラクターやアイテムが後半で物語に消化されることもない。
デンゼルとトラボルタの闘いも、偶然ばったり会っちゃったから戦いました的展開で、ドラマもサスペンスもへったくれもない。
運良く地下鉄ジャック犯たちから逃れたデンゼルは、逃げたいのか追いたいのかよくわからないまま地下から地上に出ようとする様が淡々と写され、そして地上に出たと思ったらばったり出会ったトラボルタの追跡を始める。
しかしトラボルタを見失い、何か作戦なり根性なり機転を利かすなりするでもなく、トラボルタに狙われて危機一髪な見せ場にするでもなく、単なる「ばったり再会」で対決場面へとなだれ込む。
こう書くと、確かにつまらない。盛り上がらない。しかし、なぜだか嫌いになれない。
ある一日の喧騒をそのまま映画で再現したかのようなある種ドキュドラマとして観るべきなのだろう。
本作の面白いところは、とってつけたっぽさの溢れるシーンである。
本筋と関係ないところで、映画は遊ぶ遊ぶ。
市長に浮気疑惑の質問をぶつける記者。
全く印象的でもなかったくせに死ぬときだけやたらかっこよく描かれるトラボルタの仲間。
オープニングで夫婦の諍いを描けばもっと活きただろうにそんなことはせずに、完璧に「とってつけた」牛乳をめぐる夫婦のドラマ。
そして何といっても、本作で一番の名シーンにして、トニー・スコット史上でも名シーンベストテンに入りそうなのが、身代金を輸送する、ドラマ的にはあってもなくてもどうでもいい、くだらなく馬鹿馬鹿しいシーンだ。
身代金を輸送する車と、護衛の白バイが、ニューヨーク市内を爆走し、次々とド派手なクラッシュを繰り返していく意味不明というより、意味なんか無いシーン。極めつけに市長は、さんざん苦労しまくっている身代金輸送作戦に「なんでヘリで運ばないんだ」と突っ込みを入れる。笑わずにいられるか。
無駄に動くカメラ、無駄に殺される人質、無駄にクラッシュする車。そして本来のドラマもサスペンスも投げっぱなし。やる気がないというより、ドラマよりサスペンスより無駄なことで楽しみたい、そんな2時間の空騒ぎ。
映画監督の遊び心が伝わってきて、空虚さがむしろ心地よい。
********
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
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トニー・スコットの新作を、また今年も観れる。なんて喜ばしいことだろう。
ここ数作、本気かつ全力で映画と取り組んできたトニー・スコットであるが、本作「サブウェイ123」はぐっと肩の力を抜いて、真剣になりすぎずに楽しんで作った映画という印象を受ける。
なので「エネミー・オブ・アメリカ」以降の珠玉の作品群と比べると、見劣りする感は否めないが、その反面で、子供のような純粋さで映画と戯れる「天才の休憩時間」を垣間見るような楽しみ方ができる。
とにかく本作は何も考えていない。
いい具材をそろえておきながらナタでぶつ切りにしてボールに移してそのまま客に出した食い物のようだ。
ストーリーでなく、サスペンスでなく、ただ出来事をつなげているだけなのかもしれない。
暴走した地下鉄は何か知らんけど止まる。
人質たちのキャラクターやアイテムが後半で物語に消化されることもない。
デンゼルとトラボルタの闘いも、偶然ばったり会っちゃったから戦いました的展開で、ドラマもサスペンスもへったくれもない。
運良く地下鉄ジャック犯たちから逃れたデンゼルは、逃げたいのか追いたいのかよくわからないまま地下から地上に出ようとする様が淡々と写され、そして地上に出たと思ったらばったり出会ったトラボルタの追跡を始める。
しかしトラボルタを見失い、何か作戦なり根性なり機転を利かすなりするでもなく、トラボルタに狙われて危機一髪な見せ場にするでもなく、単なる「ばったり再会」で対決場面へとなだれ込む。
こう書くと、確かにつまらない。盛り上がらない。しかし、なぜだか嫌いになれない。
ある一日の喧騒をそのまま映画で再現したかのようなある種ドキュドラマとして観るべきなのだろう。
本作の面白いところは、とってつけたっぽさの溢れるシーンである。
本筋と関係ないところで、映画は遊ぶ遊ぶ。
市長に浮気疑惑の質問をぶつける記者。
全く印象的でもなかったくせに死ぬときだけやたらかっこよく描かれるトラボルタの仲間。
オープニングで夫婦の諍いを描けばもっと活きただろうにそんなことはせずに、完璧に「とってつけた」牛乳をめぐる夫婦のドラマ。
そして何といっても、本作で一番の名シーンにして、トニー・スコット史上でも名シーンベストテンに入りそうなのが、身代金を輸送する、ドラマ的にはあってもなくてもどうでもいい、くだらなく馬鹿馬鹿しいシーンだ。
身代金を輸送する車と、護衛の白バイが、ニューヨーク市内を爆走し、次々とド派手なクラッシュを繰り返していく意味不明というより、意味なんか無いシーン。極めつけに市長は、さんざん苦労しまくっている身代金輸送作戦に「なんでヘリで運ばないんだ」と突っ込みを入れる。笑わずにいられるか。
無駄に動くカメラ、無駄に殺される人質、無駄にクラッシュする車。そして本来のドラマもサスペンスも投げっぱなし。やる気がないというより、ドラマよりサスペンスより無駄なことで楽しみたい、そんな2時間の空騒ぎ。
映画監督の遊び心が伝わってきて、空虚さがむしろ心地よい。
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