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映画作りの糧とすべく劇場鑑賞作品中心にネタバレ徹底分析
映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

スラムドッグ$ミリオネア [監督:ダニー・ボイル]

2009-06-25 20:28:05 | 映評 2009 外国映画
個人的評価: ■■■■■□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]

面白かった。映像の熱気、スピード感にぐいぐい引込まれた
綺麗ごとの通用しない世界。それを表すべく映像にも綺麗さがない。映像の汚らしさにはリアリティがある。糞まみれ描写や、凄惨な暴力描写もあったりで、臭いや痛みまで感じるようで、それでいて性描写はなく、不快指数の高い映像が溢れる。しかしそれが恋だけはひたすら綺麗に扱う主人公の心情を強調して効果的だ。
本物の感動は汚く残酷でなければ描けないのかもしれない・・・とすら思ってしまった。

宗教対立で親も家も失った主人公は神にすがるでも頼るでもなくひたすら自分一人で考え、決断し、生きていく。
お兄ちゃんはそれなりに敬虔なイスラム教徒のようだったが、主人公が信じるのは自身の経験だけ。生涯設計など考えるゆとりはなく、思い描く未来といえばヒロインと結ばれることを信じるその一点のみ。
そうだ。恋の映画なんだ。
愛ってより恋。だから「恋愛映画」でなく「恋の映画」と呼びたい。
打算なく、ただ運命に身を委ねるようにして、そしてある一瞬に結実する運命。何とも美しい。
エンドクレジットのダンスシーンも熱い。(音楽は「ムトゥ踊るマハラジャ」の頃は「インドの小室哲哉」と形容されたが今は誰もそう呼ばないA.R.ラフマーン)

[追記1]
お兄ちゃん役の役者さん、子供時代も少年時代もパッとしない感じだったのに、現在パートの青年時代を演じる役者さんになると急にインドのデカプリオと呼びたくなるような、目つきの鋭いイケメンになってビックリだ。ハリウッドデビューしないかなあ・・・彼が出る映画なら観たい! 俳優の名はマドゥル・ミッタル。覚えておこう。

[追記2]
この映画を観ていて「男たちの挽歌」のマークとホーの会話を思い出した

ホー「神を信じるか?」
マーク「ああ、信じるさ。人間こそ神だ。運命を支配できる」
ホー「だが運命は思い通りにならない」
マーク「出たとこ勝負さ」


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