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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

『ゴジラVSキングギドラ』

2022-06-23 21:52:00 | ビデオ・DVD・テレビ放映での鑑賞
久しぶりに見る
公開時に劇場で観た
たしか12月公開で、大学受験前の最後の模試の日で、模試があるの忘れていて、あ、模試だったと思って、現実逃避で映画館に行った

その当時はなんだろこの映画…と思ったが、それは見返しても基本的には変わらない。
けれども日本とは?祖国とは?について真剣に考えた映画として少し感動できる。
かつて戦場でゴジラに助けられた男が、巨大企業グループの会長として日本を経済発展させ、やがては世界を経済で支配する運命にある。それがタイムトラベルにより世界線が強制変更されると、潔く自分の人生を終わらせることを選ぶ。

この男を演じているのが、黒澤映画ファンにはお馴染みにして、怪獣映画ファンとしてもガス人間第一号だったりX星人の司令官だったりで有名な土屋嘉男であるということも重要だ。
X星人の司令官として特撮史に残る名台詞「我々は脱出する!未来に向かって脱出する!まだ見ぬ…未来へ向かって」を吐いた土屋さん。思えばこのセリフもX星人全滅を前に吐いていたのだが、ゴジラVSキングギドラでは「私はラゴス島で死んでいたんだ」と言いこの期に及んで未来に対してちっとも未練はないのだ。
平田昭彦、佐原健二とともに「3大怪獣名バイプレイヤー」の土屋さんの名シーンであった。

とは言えやはり映画的にはあちこちグダグダすぎる。
ラゴス島に残したドラッドたちは核実験が行われるまでの9年間何をしていた、いや核実験でキングギドラになってからの約40年何をしていたのか?
新たな世界線でもやはりゴジラが生まれてしまったのはいいとして、日本を滅ぼしたかった未来人はどうしてわざわざキングギドラをゴジラと戦わせたのか?

網走付近から上陸したゴジラがその後札幌を襲い、さらに太平洋に抜けると言うことは北海道はほぼ蹂躙されたということか?
自衛隊のメーサー光線車部隊はどうして札幌の大通公園でゴジラを迎撃するのか?札幌進入の前に攻撃すべきだろう。もちろん画的な見せ場だからという演出的な事情はわかるが。
そして東京湾から上陸したゴジラが新宿都庁を襲うというのも考えてみると東京はほぼ蹂躙されてる気がする。
メカギドラのゴジラ捕獲装置も正面から掴んで釣り上げたら熱線食らうに決まってるのに…

などとツッコミどころは多いが逆に今見るとほほぉと思うことも
1944年にアメリカ軍の「スピルバーグ少佐」がUFOを目撃するというつまらないギャグがあるのだが、スピルバーグ少佐は艦上からゴジラザウルスを目撃するのであるが、まさかこの映画の2年後にスピルバーグが恐竜の映画を撮るとは、誰も(スピルバーグ自身も)予期していなかっただろう。
ジュラシックパークの続編でサンディエゴの街をティラノザウルスが襲い、日本人が逃げるというシーンはもしかしてゴジラVSキングギドラへの意趣返しか。「レディプレーヤーワン」で伊福部テーマとともにメカゴジラを登場させたのも深読みすると本作の影響かも。
ちなみにスピルバーグは1946年生まれ。スピルバーグの父は第二次大戦に従軍しており、映画の中で「未来の息子に語ってやりたまえ」と言われるのはちょっとだけリアリティあり。ただし父スピルバーグの戦争での赴任先はインドで、爆撃機の乗組員だったとのことで、南太平洋の駆逐艦に乗り込んでいたことは無いだろう。

伊福部昭ファン的に一番熱いのは、「キングギドラのテーマ」から「キングコング対ゴジラ」で使われた怪獣激闘テーマにリレーされる音楽が、伊福部昭のSF交響ファンタジー第二番と同じ流れであることだ。
特にクライマックス、未来から転送されたメカギドラが登場しキングギドラのテーマが大ボリュームで鳴る中、都庁の周りをゆっくりと飛ぶギドラ。やがて着地しどういう仕組みか知らんがあちこちビカビカ光って、さらにカットはコックピット内に移り、エイミーが操縦桿をグイッと握ると激闘のテーマに移行するところは最高テンション上がる。
自衛隊出動シーンの怪獣総進撃マーチも、キングギドラとF15戦闘機の空中戦シーンの「ラドン追撃せよ」の曲も熱い。
前作のビオランテは伊福部テーマを使いつつもアレンジが下手というか演奏がちゃちいというかでなんかずっこけ気味だったのだけど、本作では伊福部昭御大自らが編曲しオケを指揮していることもあって、圧倒的迫力。
あちこちグダグダなこの映画を救っているのは間違いなく伊福部昭の音楽だ。

追記
ゴジラ対策本部みたいなとこに小林昭二と黒部進がいて科学特捜隊かよって思いました。

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