緊急通報の電話番をしている警察職員に、車の中の女から緊急連絡
「ハーイ、元気」
「おい、酔っ払ってんのか?」
だが女はどうも子供と話してるかのような一方的な会話を続ける
「イエスかノーで答えて、隣の人は緊急通報にかけてることを知ってる?」
「…ノー」
「誘拐されたのか?」
「…イエス」
以降、カメラは警察職員だけを写し、誘拐事件をめぐるストーリーは電話からの音声と電話担当官の表情だけで展開される
室内から動かない人間
音だけで展開されるサスペンス
そして社会で生きる事の重さを伝え決して安易なハッピーエンドにしないストーリー
面白かった
しかし、
映画学校で学んだ脚本の書き方に忠実に作った印象も無きにしも
情報が音だけのため、情報に雑味がなく、つまりミスリードを誘う要素がなく、割と思った通りのストーリー展開になってしまう感もなきにしも
それは脚本のイロハを丁寧に守ろうという若さと、音だけで描こうという秀逸なアイデアとの不幸な邂逅なのかもしれない。
ストーリーを形作るパーツが少ないから、意外な展開に思えても、提示されたパーツ、つまり伏線の回収的にそろそろあの話にオチ付けるんだろうなー、とかそういう変な勘ぐりが生まれてしまうのだった。
とは言え、正義にかられ自分の業務を逸脱した結果生じるさまざまな不幸
それらを目の当たりにしたからこそ説得力の生まれるラストの告白など、やはり脚本はうまい
今はただ上手いだけって感じ。「習作」って印象。もっと熟成されたこの監督の作品を観たいと思った。
調べると監督は88年生まれという。30歳くらいか。若く才気走った奴の映画だなー。そうか「セッション」の時もそんな風に感じたな。
むき出しの映画センス、
THE GUILTY/ギルティ (原題 DEN SKYLDIGE)
監督:グスタフ・モーラー
出演:ヤコブ・セーダーグレン
2019年3月 新宿武蔵野館にて鑑賞