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映像作品とクラシック音楽 第97回 『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

2023-08-30 20:50:00 | 映像作品とクラシック音楽
久々投稿となります。
今回は、劇場公開時に見逃してしまったエンニオ・モリコーネのドキュメンタリー映画を配信で鑑賞したのでそれについてです。
モリコーネは、私の投稿だとジョン・ウィリアムズの次くらいによく取り上げる作曲家ですね。って、もうクラシックCD鑑賞部屋の投稿っぽく無いですね。

本作はイタリアの作曲家で主に映画音楽の世界で活躍したエンニオ・モリコーネのドキュメンタリーで、生前のモリコーネへのインタビューを中心にまとめられたものです。モリコーネ本人だけでなく、モリコーネと関わった人たち、モリコーネをリスペクトする人たちへのインタビューも多く含んでいます。

重要なのは本作の監督がジュゼッペ・トルナトーレというところですね。
そうです、『ニューシネマパラダイス』の監督です。ぺーぺーのルーキーだったトルナトーレが、デビュー作『ニューシネマパラダイス』で、生意気にも音楽を巨匠モリコーネに依頼したのです。そうしたらモリコーネが『ニューシネマパラダイス』に猛烈惚れ込んでしまい、精魂込めて心優しい名曲の数々を書き、いまやサントラ界では語り草になっているほどの名盤が生まれたのです。
孫くらい歳の離れたトルナトーレをモリコーネはとても気に入り、以来生涯の親友かパートナーの如くトルナトーレ作品のために音楽を書き続けました。
そんな経緯から、トルナトーレのモリコーネ愛が作品の節々から香ってきます。
ドキュメンタリーではありますが、所々明らかに演出したショットがあります。モリコーネが自宅でエアでタクトを振ってるショットやら、筋トレしてるショットやら。2人の関係性がそうした演出を可能にしているのでしょう。

モリコーネ自身へのインタビューだけでなく、モリコーネゆかりの人のインタビューもたくさんあります。例えばクリント・イーストウッドだったり、ベルナルド・ベルトルッチだったり。べルトルッチは2018年没なので、随分前から映画のためのインタビューをしていたようです。本当はモリコーネ存命中に完成させたかったんだろうなあ。
他にもモリコーネを敬愛する人たちのインタビューもあります。イタリアの作曲家で『ライフ・オブ・ビューティフル』でアカデミー賞を受賞したニコラ・ピオバーニや、『ライフ・オブ・パイ』でアカデミー賞を受賞したマイケル・ダナだったり。
そういう人に混じって現代の巨匠もインタビューに応じています。ハンス・ジマーとジョン・ウィリアムズです。
ウィリアムズはともかく、ジマーがモリコーネ音楽について熱く語るのを聞くのは不思議な気持ちでした。全く系統違うから。とは言え映画ではブルース・スプリングスティーンや、メタリカのボーカルのジェイムズ・ヘットフィールドなんかもモリコーネを熱く語っており、ジャンルを超えて愛された人だったことがわかるわけです。
ちなみにウィリアムズは、モリコーネについて「もう引退してもいい歳なのに驚くべきことにまだ現役で創作を続けている」などと語っていました。いや、あんたもやん!

印象的だった話は、セルジオ・レオーネ映画をはじめて手がけた時のこと。60年代モリコーネは映画音楽を見下していてすぐに映画音楽の世界から抜けていくつもりだったので映画音楽の仕事のときは当初は別名を語っていました。
レオーネが別名で発表した音楽を聴いて『荒野の用心棒』の音楽を依頼するため直接会ってみると、そこにいたのは小学校で同級生だったエンニオ君だった事がわかってしまったのだそうです。もう運命ですね。
それからモリコーネは何十年も映画音楽はやめる、やめるを言いづけてでもやめられず、2000年代になるとやめると言うのをやめたそうです。

それでも純音楽作品も多数残しており、9.11テロの犠牲者と全ての虐殺の犠牲者に捧げたという交響曲を発表してもいるそうです。
聞いてみたいものですが、見つかりません。映画音楽以外のモリコーネもいつか聞いてみたいものです。

では、今回はこんなところで
また素晴らしい映画と音楽でお会いしましょう

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