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映像作品とクラシック音楽 第98回 ジョン・ウィリアムズ×サイトウキネンオーケストラ コンサート(東京サントリーホール2023.9.5) 前編

2023-09-14 09:35:00 | 映像作品とクラシック音楽
9月5日の東京のサントリーホールでのサイトウキネンオーケストラとジョン・ウィリアムズのコンサートに行ってまいりました。
相当な倍率だったチケット抽選に運よく当たったのです。

コンサートからだいぶ経ってしまいましたが、なんか感動の余韻が続いて言葉にするのをためらっていたのですが、思い出しながらコンサートの様子を書いてみたいと思います。

9月5日。その3日前に長野県松本市で行われたセイジオザワ記念音楽祭の今年の目玉企画でもあり、それと同じプログラムとなります。
松本には15年住んでいたこともあり、本当はそっちのコンサートに行きたかったのですが、そちらはチケット抽選に外れました。
松本では演奏の後に小澤征爾さんが登壇しジョンがハグしたりと、とても感動的な場面があったそうです。

コンサートは、前半をステファン・ドゥネーブが指揮、休憩はさんで後半をジョン・ウィリアムズ御大が指揮するという流れで進みました。

感動、圧巻のジョン・ウィリアムズコンサートのレポを2回に分けて投稿しようと思います。

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仕事を午後半休して、小伝馬町のドーミーインにチェックインし、2サウナしてほどよく整ったところで出発します。
南北線六本木1丁目駅で下車し、サントリーホールへ。
開演30分前には着いたのですが、1階はたいへんな混雑でした。グッズ販売があるじゃないか、パンフレット買おう…と思って最後尾はどこだどこだと探してようやく見つけたと思ったら私が並んだ所で、「開演前のグッズ販売はここ(私)までとさせていただきます」と告げられまして、ラッキーと思ったのでした。
そんなこんなでパンフレット入手。席につきパンフをペラペラめくりながら開演を待ちます。そう言えばクラシックコンサートにありがちな雑誌一冊分くらいになるチラシの束は頂きませんでした

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さて、いよいよ開演。ステファン・ドゥネーブ氏が登壇します。

私は2016年にアメリカのフィラデルフィアで行われたジョン・ウィリアムズのコンサートに行った事がありまして、フィラデルフィアでも前半ドゥネーブ、後半ウィリアムズの指揮という構成でした。
ドゥネーブさんはよく喋る方でしたが、今回も舌好調です。

まず通訳としてSKOのチェロの女性が立ち、Ladies and jentlemen… と綺麗な発音の英語で喋った後で、ドゥネーブ氏か「皆さんこんばんわ」と日本語で(わりといい発音)挨拶し、会場がドッと沸きます。
持ちネタなんでしょうか?ともかくツカミはOKでした。

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コンサートの一曲目は「雅の鐘 Sounds the Bells!」という曲で映画音楽ではなくジョン・ウィリアムズによる純音楽です。
この曲はフィラデルフィアでも1曲目でした。ドゥネーブの得意曲なんですね。
「雅の鐘」ですが、パンフレットの紹介文を引用します。
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1993年6月、ボストンポップス来日と時期が重なった天皇皇后両陛下(当時 皇太子同妃両殿下)の御結婚を祝う金管と打楽器のためのファンファーレとして作曲『本日演奏されるのは作曲者自身による管弦楽編曲番。)
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少し前に投稿したジョンウィリアムズ来日コンサート曲目予想でも一曲目は「雅の鐘」と書きましたが、予想通りの一曲目でした。(あとの予想は大体外れましたけど)

鐘のキンコンカンコンな音とぬけのいい金管が心地よい開幕にふさわしい曲でした。

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2曲目もジョン・ウィリアムズの純音楽で、「トリビュート for Seiji」という曲です。
ジョン・ウィリアムズが小澤征爾に献呈した曲です。
私ははじめて聞いたのですが、難解な現代音楽という印象ではありましたが、おどろおどろしく不気味なそれでいて迫り来る迫力のある曲でその世界に引き込まれていくような作品でした。弦のうねりにジョン・ウィリアムズ節を感じる事ができますし、現代音楽の演奏にも秀でていた小澤征爾さんへの挑戦状にしてラブレターのようにも感じられます。
このコンサート全般に感じられたのが、ティンパニの力強さですが、この曲では特にティンパニが胸に迫ってくるように感じました。ティンパニはドン・リウッツィさん(フィラデルフィア管弦楽団主席)。

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現代音楽2つ終わったところでまたドゥネーブ氏によるトーク

アイルランド音楽を楽しめる「遥かなる大地へ」(という映画の邦題がわからなかったのか通訳の方は綺麗な発音で Far and Away と原題で紹介していました。まあ、仕方ないよね、あんま売れなかったしあの映画)と、E.T.を演奏しますと話します。
ドゥネーブ氏はE.T.をはじめて観た時の私はエリオットと同い年でしたよ、などと語ってまた会場を和ませます。

⚫︎「遥かなる大地へ」組曲
ベルリンコンサートに続いての演奏となります。ウィーンライブでも一部の曲をアンネ=ゾフィー・ムターに演奏させたりしていたので、これはもうジョンウィリアムズのお気に入り曲決定ってことで良いでしょう。
映画は批評も興収もパッとせず、90年代以降ジョン・ウィリアムズがアカデミー賞にノミネートされなかった数少ない作品でもあるのですが、そんなことは関係なく本人はとても気に入っているのです。
そして映画を見ていなくても伝わってくる楽しさ、明るさ、高揚感。すっきり気分を上げてくれる名曲です。チェロとコントラバスが激し目にぶつかり合う部分は、映画ではトムクルーズが町の喧嘩勝ち抜き戦みたいなやつでどんどん勝ち進んでいく場面の曲ですが、チェロとコントラバスが喧嘩でもしているようで(と言っても楽しげな喧嘩)、ワクワクしてきます。

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⚫︎交響組曲E.T.
今回のコンサートの楽曲的にはもしかしたら最大の推しポイントかも知れません。
3曲で構成されてまして
1曲目 「遥か300万光年の彼方から」
2曲目 「スターゲイザー」
3曲目 「フライング・テーマ」
…となります。
3曲目はすっかりお馴染み定番曲ですが、あとの2曲をコンサートで聴けるというのが非常に希少な経験なように思います。

1曲目「遥か300万光年の彼方から」は映画だとオープニングの地上に降りた宇宙船の描写と、E.T.がNASAの男たちに追われて逃げるも宇宙船はE.T.を残して飛び立ってしまう…のくだりの曲です。
冒頭部分はサントラだとパイプオルガンの音色が印象的だったのですが、コンサートにおいてもサントリーホールのパイプオルガンを使ってサントラの音を再現しています。オルガン奏者は石丸由佳さんです。後日STAGE+の配信映像を観ましたが、カメラはパイプオルガンに寄っては行くのですが、そこまで望遠性能のいいレンズでなく石丸さんの演奏姿をアップに捉えることはできませんでした。
ところで疑問なのですが、パイプオルガン奏者は指揮者に背中を向けて演奏するわけですが、どうやって指揮者とコンタクトを取るのでしょう?隣に助手がついてるでもないようでしたし、鍵盤の近くにモニターでもあるのでしょうか。リハでタイミングや感覚を覚えてあとは勘なのでしょうか?
音楽は後半のE.T.追われるのところになると、数々のアクション場面やチェイスシーンを彩ったジョン・ウィリアムズの本領発揮と言いますか、激アツなアクション楽曲が鳴り響きます。追われるE.T.の恐怖の感情と、間に合うや間に合わずやのハラハラ感、そして置き去りにされた絶望感や哀しみをオーケストラは思い切り表現してくれて、脳内には映画の場面が自動再生されたのでした。

2曲目「スターゲイザー」…ってそんな曲名聞いた事ないなぁ…と思っていたのですが、サントラだと「E.T.と僕」というタイトルで収録されていた曲でした。なんだよ、E.T.と僕でいいじゃないかい。
映画ではE.T.とエリオットが出会って最初の頃、自分の部屋にE.T.を連れ込み、オモチャの遊び方を教えたりするあたりでかかる曲です。
吉野直子さんによる美しいハープのソロが印象深く、そこからストリングスがメロディを引き継いでいく構成ですが、1曲目で火照った心を癒してくれるうっとりサウンドです。

そして3曲目「フライング・テーマ」はまあお馴染み問答無用のアレです。もう300万回くらい聴いた気もしますが、生で聴くのはまた格別ですね。

曲の締めくくり、映画だとE.T.が去っていったのを見送るエリオットの顔のアップになる壮大なファンファーレ、ティンパニがドンドンドンドンとこれでもかというくらい盛り上げて終わります。
場内は熱い拍手と大歓声。笑顔ではけるドゥネーブさん。
前半プログラム終了です。私の妻などはE.T.の曲が終わった時に泣いてました。
おいおいジョン・ウィリアムズ御大が出てくるのはこれからだぞ、と思うくらいすでに会場は温まりを超えて熱烈状態です。

後半プログラムの前にまずは休憩です。
コンサート名物の長いトイレ行列に並びに行く私でした。

今回はここまで
次回はついにジョン・ウィリアムズ登場の後編について書きます

それではまた!素晴らしい映画と音楽でお会いしましょう!

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