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チョウ・ユンファ主演 DRAGONBALL EVOLUTION [監督:ジェームズ・ウォン]

2009-03-27 19:10:50 | 映評 2009 外国映画
個人的評価: ■□□□□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]

『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』につづく『本当は観たくないがあのお方が出ているから仕方なく観る』シリーズ第二段
全世界待望のチョウ・ユンファ主演最新作は「ドラゴンボール」の実写映画版だ。
盟友ジョン・ウーの「レッド・クリフ」の周瑜役を降りておきながら、ドラゴンボールの亀仙人役は引き受けるという、常識では考えられないチョイスで我らを驚かせてくれるユンファ先生。
ハリウッド進出後はファンタジー率がやたら強くなって男気率が下がってしまったユンファ。しかしユンファとファンタジー作品の相性は悪くもない。
ユンファ主演作品で初めて日本で公開されたものはファンタジーアクション映画「セブンス・カース」だった。
他に香港時代のファンタジー作品では「フル・ブラッド」という佳作もあったし、なにより「男たちの挽歌2」や「ゴッド・ギャンブラー」は下手なファンタジーよりよっぽどファンタスティックな映画だ。

孫悟空のアメリカンハイティーン青春風味のぶっちゃけ本編より楽しかった高校篇エピソードに続いて、いよいよユンファの登場だ。香港時代のコメディ作品での演技をさらにエボリューションさせた過剰な身振り手振りの演技と、そして孫悟空とのバトルを披露するユンファ先生。
遅い!鈍い!キレがない!の三拍子そろった格闘シーンに、思わず彼やスタッフのやる気を疑ってしまう。
ユンファにアクションを期待するのはやめて、コメディ演技っぷりを楽しもうと早くもモード切替えを余儀なくされる。
なんといってもエロスケベ顔演技も大得意のユンファ先生のことである(「男たちの挽歌」における台湾の料亭シーンを思い出してくれ)。亀仙人の原作イメージに忠実なイングリモングリパフパフ演技くらいお茶の子さいさいだろう。
まして相手は本作品の唯一のほめどころといってもいい超かわいいエミー・ロッサム嬢扮するブルマである。これは期待できるぞ・・・と思わせながら・・・・・・ユンファ先生はお尻に軽くタッチするだけ。ブルマも「ぶっ飛ばすわよ」という台詞だけでなく本気でぶっ飛ばせばユンファ先生は見事な演技でぶっ飛ばされてくれたろうに・・・

そのブルマはクライマックスの闘いでは二丁拳銃をガンガン撃ちまくる。
ブルマどの・・・そ・・それは貴女より似合っている方がいるではありませんか・・・亀仙人に持たせてはいかがかと・・・彼ならマッチ棒くわえながらガンガン撃ちまくり仲間にニヤリと笑みを返してくれたろうに。
だがそのころ我らがユンファの亀仙人はというと・・・大猿悟空に絞め殺されているのだった
弱い! 寒い! 使えない! 逆三拍子そろってしまったユンファ先生。
マークは、ケンは、賭神は、亜州影帝はどこにいったんだ!!!と叫びたくなるある種壮絶なユンファ。
しかし「風の輝く朝に」「男たちの挽歌」「友は風の彼方に」「狼」もろもろから、死んで何ぼの男というイメージのユンファに、「それでも生きろ」と訴えるように、ユンファはドラゴンボールの力で復活させてもらう。じっちゃんもついでに復活させりゃいいのにと思わせつつ、ユンファだけを生き返らすラストに、スタッフのユンファに対するせめてもの敬意が見て取れるのだった・・・・

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それにしても見事な駄作っぷりの映画であった。

致命的な失敗はボス敵ピッコロをただ緑色して気持ち悪いこと以外何もわからない奴として描いてしまったことだろう。

原作知らずに本作を観た人がピッコロに抱くイメージ
・昔、封印されたらしいが、すぐ次のシーンでは何か知らんけど復活済みで最初の設定は何だったのか?
・ドラゴンボール集めて何するつもりだったのか謎
・部下は一人。人望はない。
・善人の前にその姿を現すとき、まがまがしいオーラをまとったり轟音響かせたりスローモーションで現れたりせず、スタスタと普通に玄関から入ってきて登場。小物くさい。
・主要キャラでピッコロに殺されたのは悟空のじっちゃんだけ。実は弱い、悟空のかませ犬。


敵はたった2人の小規模組織。しかも2人とも寡黙なので目的がよくわからない。実は世界平和のためにドラゴンボールを集めていたのかもしれない
対して味方は5人もいるのでキャラの見せ場を作りにくい。
ヤムチャなど出す必要があったのだろうか。ろくに戦いもせず、話にもからまない(原作の立ち位置と似てるといえば似てるが)。唐突に恋愛が芽生えるブルマとヤムチャ。「原作がそうだから」以外に説明不可能な惹かれ方をする2人。

ラスト、あゆの主題歌がむなしく響き渡る。
「誰かに決められたルール そんなもん必要ない だってこの僕らがルール そこんとこ譲れない」
ドラゴンボールはこうでなくてはとか、ユンファは二丁拳銃撃たなくては・・・などというルールなんか必要ないということか。
でも本当に必要ないのはこの主題歌だ。
「追いかけろ!!ドラゴンボール!!」と熱唱してくれたらどれだけ救われたことか。

エンドクレジット後のエピローグがまた無駄に長い上に、ダイナミズムも美しさもスピード感も何もなく、納期優先でさっさと撮りました感が漂う。

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[追記]
監督のジェームズ・ウォンは調べてみたら、あの超傑作「ファイナル・デスティネーション」や「ザ・ワン」を撮っていた方だった。今回のことは早く忘れて次回作に取り組んでほしいものだ。

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4 コメント

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・・・・ (sakurai)
2009-03-28 20:28:04
見たんですねえ。
凄い有機です、いや、勇気です。
賞賛します。素晴らしい。
うーん、いくら暇を持て余していても、足がどうしても向きません。
って、トンと忙しくて、まず見なきゃなんない映画も見れてないのですが、なぜ、この仕事を受けたんでしょうね。七大不思議に加えましょう。
返信する
コメントどうもです (しん)
2009-03-28 22:29:49
>sakuraiさま
まあ、なんというか、「Stud!o yunfat」を名のっておきながら観ないってわけにはいかず
「パイレーツ」だって「デッドマンズ・チェスト」は観てません。
「しかたなく観る」映画に出るのはそろそろ止めてほしいですが、香港時代もけっこう、どうでもいい映画にも出ていたんですよね。らしいっちゃらしい。

ちなみに「王家の紋章」は松本で公開されなかったので観れませんでした
返信する
こんばんは (まりっぺ)
2009-03-30 00:25:15
亀仙人の1番の見せ場は、やはりカメハメハでしょうか。
悟空への・・・・
返信する
コメントどうもです (しん)
2009-04-02 23:15:47
>まりっぺさま

亀仙人は悟空に惨殺されるとことか、ドラゴンボール無駄遣いするとことか、のろいアクションとか、見せ場多いですよお
返信する

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