個人的評価:■■■■□□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)】
いつもと違いけっこう面白くまとめられた三谷幸喜の群像劇コメディ。(と面白かったのにちょっとイヤミな書き出しから始める)
音楽が違うと思った。
「佐藤浩市が大マジメにバカなことやってんのがおかしいね。クスクス」っていう客の気持ちを代弁するスコアなのかもしれないが、しかし佐藤浩市はバックにあんなポッポコポッポコとコミカルな曲がかかるのをイメージして演じていないハズだ。
かっこいい殺し屋になりきっている彼の心情を代弁するなら、故ジェリー・ゴールドスミスやハンス・ジマー風の本気度満点のかっこいい曲にしてあげるベキだし、その方がもっと笑いもとれたと思う。コールドスミスだジマーだといかないまでも、佐藤浩市演じる俳優が憧れていたであろう50年代のギャング映画っぽいオーバーな曲で最後の活躍は盛り上げてほしかった。
あんな曲では浩市が可哀想だ。
作品としては面白かった。
「まるで映画みたいな街」と「実際にありそうな街の外の撮影所」の対比が、本作の変な世界へ入りやすくしている。
もっとも私は現実の撮影所など観た事も無いが、いかにもな照明の港町と、ナチュラルライティングな撮影所シーンと、照明で別世界を作っている。
登場人物みんながコミカルで非現実的な演技をする中で、その中においてさえ浮きまくる佐藤浩市のスーパーオーバーアクトは、巧い芝居とは違うかも知れないけれど、底抜けに面白い。
だが、そんな役者の演技と台詞に依存してきたこれまでの三谷作品とは違い、ちゃんと映画として作っているところが好感持てる。
映画館で偶然、自分の出演シーンのラッシュを観てしまう佐藤浩市。
スクリーンにアップで映し出される佐藤浩市の顔と、それを観て落涙している佐藤浩市のモンタージュ。
「俺の顔がアップで映るのを映画館で観る事が夢なんだ」(うろ覚え)という、以前のシーンでの台詞をボイスオーバーさせたり、浩市に「俺のアップだぁぁぁ」とか説明台詞喋らせるような野暮なことはしない。
台詞なし、涙とスクリーンのモンタージュだけで佐藤浩市の感情を余すところ無く伝える。
こういうのを映画的演出というのだ。
このシーンだけでなく、全般的にこれまでの三谷作品と比べて、台詞がぐっとスリムで、のどごしすっきりな印象。
今回は三谷幸喜は脚本家としてでも、舞台の延長でもなく、「映画作家」として制作に挑んでいるのがよく判る。
ただ脚本家としても、三谷作品の中ではデキがいい方になるだろう。得意の群像劇ではあるものの、基本的に佐藤浩市の話とし、後のキャラを添え物に落とすことで、無駄なく軸もぶれず、感情移入しやすくできている。
*****
妻夫木聡の映画監督になりきった台詞が好きだ
「覚えた台詞なんか俺の映画にはいらないんだよ!!」
「自然光に勝る照明なし!!」
*****
市川崑監督の登場シーンに感動。
エンディングのキャスト紹介も市川版金田一シリーズっぽくしていて巨匠への敬意が現れている。
********
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)】
いつもと違いけっこう面白くまとめられた三谷幸喜の群像劇コメディ。(と面白かったのにちょっとイヤミな書き出しから始める)
音楽が違うと思った。
「佐藤浩市が大マジメにバカなことやってんのがおかしいね。クスクス」っていう客の気持ちを代弁するスコアなのかもしれないが、しかし佐藤浩市はバックにあんなポッポコポッポコとコミカルな曲がかかるのをイメージして演じていないハズだ。
かっこいい殺し屋になりきっている彼の心情を代弁するなら、故ジェリー・ゴールドスミスやハンス・ジマー風の本気度満点のかっこいい曲にしてあげるベキだし、その方がもっと笑いもとれたと思う。コールドスミスだジマーだといかないまでも、佐藤浩市演じる俳優が憧れていたであろう50年代のギャング映画っぽいオーバーな曲で最後の活躍は盛り上げてほしかった。
あんな曲では浩市が可哀想だ。
作品としては面白かった。
「まるで映画みたいな街」と「実際にありそうな街の外の撮影所」の対比が、本作の変な世界へ入りやすくしている。
もっとも私は現実の撮影所など観た事も無いが、いかにもな照明の港町と、ナチュラルライティングな撮影所シーンと、照明で別世界を作っている。
登場人物みんながコミカルで非現実的な演技をする中で、その中においてさえ浮きまくる佐藤浩市のスーパーオーバーアクトは、巧い芝居とは違うかも知れないけれど、底抜けに面白い。
だが、そんな役者の演技と台詞に依存してきたこれまでの三谷作品とは違い、ちゃんと映画として作っているところが好感持てる。
映画館で偶然、自分の出演シーンのラッシュを観てしまう佐藤浩市。
スクリーンにアップで映し出される佐藤浩市の顔と、それを観て落涙している佐藤浩市のモンタージュ。
「俺の顔がアップで映るのを映画館で観る事が夢なんだ」(うろ覚え)という、以前のシーンでの台詞をボイスオーバーさせたり、浩市に「俺のアップだぁぁぁ」とか説明台詞喋らせるような野暮なことはしない。
台詞なし、涙とスクリーンのモンタージュだけで佐藤浩市の感情を余すところ無く伝える。
こういうのを映画的演出というのだ。
このシーンだけでなく、全般的にこれまでの三谷作品と比べて、台詞がぐっとスリムで、のどごしすっきりな印象。
今回は三谷幸喜は脚本家としてでも、舞台の延長でもなく、「映画作家」として制作に挑んでいるのがよく判る。
ただ脚本家としても、三谷作品の中ではデキがいい方になるだろう。得意の群像劇ではあるものの、基本的に佐藤浩市の話とし、後のキャラを添え物に落とすことで、無駄なく軸もぶれず、感情移入しやすくできている。
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妻夫木聡の映画監督になりきった台詞が好きだ
「覚えた台詞なんか俺の映画にはいらないんだよ!!」
「自然光に勝る照明なし!!」
*****
市川崑監督の登場シーンに感動。
エンディングのキャスト紹介も市川版金田一シリーズっぽくしていて巨匠への敬意が現れている。
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ちがった、かゆいところに手が届いたようにわかります。ダハ。
なんか素直に認めたくないんですよね、あの男を。
でも、きっと、三谷氏は、その辺のことも十分わかっているんでしょうね。
きっと自分の映画も、今までのいまいちの部分をよーくわかってて、今回は入魂で、納得の行った作品にした!という自信がにじみ出てました。
佐藤浩市さまさまだとは思いますが。
なるほど言われてみればいいシーンですね!
ここにいくまでに、既に反佐藤浩市度がマックスに近くイラついてたんで、そう感じる余裕もなかったです。
冷静に自宅のTVで見たら面白がれるかもしれませんので、覚えときます。
認めたくないというよりは「基本的には面白くない脚本家」として認めております。何本かの例外を除いては
ま、ただ今回は、たしかに面白かったです。
>aq99さま
僕は、どうせやるならやりすぎの方が好きなんで、浩市以外のただのオーバーアクトよりは浩市のバカ丸出し感がステキでした。
だから対比で浩市の涙に普通に感動したりもしてました。
ま、でもそういうの抜きでも、クレショフ効果の見本みたいなモンタージュは映画の教科書代わりになるとおもいますよ。