個人的評価:■■■■■□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)
久々の大満足。すげー面白かった。
これほど続編を作ってほしくなる映画もめずらしい。
とりあえず4年後。20歳になったジュノが、結婚して2人目を出産するところを観たい。
そして16年後。ヴァネッサに譲った息子があの時のジュノと同じ16歳になり、やはり恋と性に迷っていて、そして32歳の立派なママになったジュノと再会する。
最低限、そこまで描いて初めて、この物語はやっと完結するんではなんかろうか?
本作でアカデミーを受賞した脚本のディアブロ・コディ。「ジュノ」を彼女にとっての「赤毛のアン」にしてほしい。ライフワークとしてシリーズ化してほしい。可能な限りキャストもスタッフも代えずに。少なくともジュノ役は絶対死ぬまでエレン・ペイジで!!(本作でアカデミー主演賞候補!!当然だ!!)
監督のジェイソン・ライトマンは「ゴーストバスターズ」のアイヴァン・ライトマンの息子だとか。すごく映像センスのある人だと思った。PVあがりかなと思ったが公式HPによるとCM出身らしい。それはそれでなるほどと思わせる。
ジュノがマークとヴァネッサの家を初めて訪れるまでの、様々な豪邸とその前を通り過ぎるジュノを乗せた車を写すショット。同一構図で何度も何度も繰り返すそれは、短い時間でテンポよく舞台となる街の雰囲気を説明する。
ヴァネッサとマークの家でのカメラも素晴らしく、一階と二階をはさんだ立体的なやり取りで、家の作りも広さもよく判る。おまけにヴァネッサとマークとジュノの何か起こりそうな不安定な関係性も説明していて巧い。
その他、ショッピングモールのシーンなどでも上下の位置関係を巧く使っていたりして、縦横無尽なカメラにほれぼれさせられる。低予算映画なだけに、自主映画人心をくすぐるのである。
四季それぞれの街の表情を見せるチャプター区切りのショットも、オープニングの手書き風アニメも、心くすぐる。
ディテールの話ばかりで申しわけないが、ジュノが堕胎をやめて産むことを決意するシーンが素晴らしかった。
胎児にはもう爪が生えていると堕胎反対の同級生の言葉をかるく受け流して、中絶クリニックに行くが、そこで聞こえてくるリズムが耳につく。爪でタタタン、タタタンとボードをたたく女性。そしてその音をBGMにして彼女の目に飛び込む女性たちの爪、爪、爪。中絶反対を声高に主張する映画ではないが、16歳の女の子が生命を大切にしようと思ったことはこのシーンに現れている。
胎児を単なる異物として認識しさっさと処理したいかのような言動を終始続けるジュノだが、その言葉の裏に生命への畏怖と宿してしまった命に対する責任を読み取らねばならないだろう。
なにしろ16歳で、それほど高度な教育を受けているとも思えない女の子である。考えをうまく表現できる言葉を知らないのだ。
だがこうと決めたら前向きである。必要なことはなにかと考え、動き出す。
ジュノだけでなく、ジュノの義母もヴァネッサも、とにかく女たちは現実を受け入れて行動し前進していく。
それに対して男たちは、マークもポーリーも、女の苦労より自分の夢の方が大切である。躊躇し行動を先延ばしにしようとする。
だがそれはそれでジュノはそんな男たちを受け入れる。
強い。とにかく強い。
作品の中でこんな台詞があった。
「女は妊娠で母になり、男は子供の顔を見て父になる」
女は男の一歩先を行く。
男は夢に生き、女は現実(いま)に生きる。
私も夢に生きていきたいが、女の苦労と努力に敬意を払う事は決して忘れないようにしようと思った。
********
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)
久々の大満足。すげー面白かった。
これほど続編を作ってほしくなる映画もめずらしい。
とりあえず4年後。20歳になったジュノが、結婚して2人目を出産するところを観たい。
そして16年後。ヴァネッサに譲った息子があの時のジュノと同じ16歳になり、やはり恋と性に迷っていて、そして32歳の立派なママになったジュノと再会する。
最低限、そこまで描いて初めて、この物語はやっと完結するんではなんかろうか?
本作でアカデミーを受賞した脚本のディアブロ・コディ。「ジュノ」を彼女にとっての「赤毛のアン」にしてほしい。ライフワークとしてシリーズ化してほしい。可能な限りキャストもスタッフも代えずに。少なくともジュノ役は絶対死ぬまでエレン・ペイジで!!(本作でアカデミー主演賞候補!!当然だ!!)
監督のジェイソン・ライトマンは「ゴーストバスターズ」のアイヴァン・ライトマンの息子だとか。すごく映像センスのある人だと思った。PVあがりかなと思ったが公式HPによるとCM出身らしい。それはそれでなるほどと思わせる。
ジュノがマークとヴァネッサの家を初めて訪れるまでの、様々な豪邸とその前を通り過ぎるジュノを乗せた車を写すショット。同一構図で何度も何度も繰り返すそれは、短い時間でテンポよく舞台となる街の雰囲気を説明する。
ヴァネッサとマークの家でのカメラも素晴らしく、一階と二階をはさんだ立体的なやり取りで、家の作りも広さもよく判る。おまけにヴァネッサとマークとジュノの何か起こりそうな不安定な関係性も説明していて巧い。
その他、ショッピングモールのシーンなどでも上下の位置関係を巧く使っていたりして、縦横無尽なカメラにほれぼれさせられる。低予算映画なだけに、自主映画人心をくすぐるのである。
四季それぞれの街の表情を見せるチャプター区切りのショットも、オープニングの手書き風アニメも、心くすぐる。
ディテールの話ばかりで申しわけないが、ジュノが堕胎をやめて産むことを決意するシーンが素晴らしかった。
胎児にはもう爪が生えていると堕胎反対の同級生の言葉をかるく受け流して、中絶クリニックに行くが、そこで聞こえてくるリズムが耳につく。爪でタタタン、タタタンとボードをたたく女性。そしてその音をBGMにして彼女の目に飛び込む女性たちの爪、爪、爪。中絶反対を声高に主張する映画ではないが、16歳の女の子が生命を大切にしようと思ったことはこのシーンに現れている。
胎児を単なる異物として認識しさっさと処理したいかのような言動を終始続けるジュノだが、その言葉の裏に生命への畏怖と宿してしまった命に対する責任を読み取らねばならないだろう。
なにしろ16歳で、それほど高度な教育を受けているとも思えない女の子である。考えをうまく表現できる言葉を知らないのだ。
だがこうと決めたら前向きである。必要なことはなにかと考え、動き出す。
ジュノだけでなく、ジュノの義母もヴァネッサも、とにかく女たちは現実を受け入れて行動し前進していく。
それに対して男たちは、マークもポーリーも、女の苦労より自分の夢の方が大切である。躊躇し行動を先延ばしにしようとする。
だがそれはそれでジュノはそんな男たちを受け入れる。
強い。とにかく強い。
作品の中でこんな台詞があった。
「女は妊娠で母になり、男は子供の顔を見て父になる」
女は男の一歩先を行く。
男は夢に生き、女は現実(いま)に生きる。
私も夢に生きていきたいが、女の苦労と努力に敬意を払う事は決して忘れないようにしようと思った。
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TBありがとうございます。
流石映画制作をしていらっしゃるから、続編、続々編まで構想までできてますね。
さりげないシーンや表情で多くを語るところが、とってもよかったですね。
これからも宜しくお願いいたします。
あっちもぜひどうぞ。
「ハード・キャンディ」で、これはすごい女優だ・・と思ったのですが、よかったですね、エレン・ペイジ。
あたし的に一番膝をうったのは、ステップマザーでしたわ。いい感じだったぁ。
続編は賛成しません。
この映画は、あすこで完結したと思いますです。
続編できるといいんですけどね。
エレン・ペイジの表情の豊かさにきゅんきゅんでした
>sakuraiさま
そうは言っても続編作られたら観に行くんじゃないすか
だから「赤毛のアン」なんですね
あれも一作目で完結してるし充分感動できるし、ぶっちゃけ一番面白いのは一作目だけど、やっぱその後は気になるし、読むと面白いしで
まあ現実的にはエレン・ペイジのギャラが跳ね上がったり、ディアブロとライトマンとあとプロデューサの間で意見が割れたり、配給元が変わって権利関係でもめたりして作れなくなる可能性の方がでかそうですが
確かにそれは観てみたいかも。
私はしんさんほどこの世界に深くは入れなかったけど、極めて完成度の高い良作だったと思います。
女は常に前進し、男は夢という足踏みを続ける、そんな事を実感させられる映画でした。
ホントに、男の足踏みには困ったものです。
でも前進する気持ちだけは持ち続けておかないといけませんな
車がいろんな家の前を通り過ぎるのをフィックスのカットで重ねるところ、鮮やかだったですね。マークの家やショッピングセンターの一階と二階の使い方、言われてみれば技ありかも。気がつきませんでした。
トラバします。
とにかく映像の切り取り方が上手いんです。
私なんかは地上1.6mくらいの高さからの映像しか思い浮かばないのに対して、この監督は色んな高さ角度から映像を判断できるのでしょう
センスなんです
圧倒的にセンスがいいんです
うらやましいなあ